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小熊英二「戦後沖縄の位置と現在」、勝方=稲福恵子の「私にとっての沖縄女性学」共に17日!

2012-03-18 10:58:55 | グローカルな文化現象
                  (小熊英二さん、一枚だけ写真を撮りました!)

県立図書館の文化フォーラムは小熊英二の2時間の講演で、なは女性センターは勝方=稲福恵子さんの講演だった。共にネット検索で知った講演で、ネットで申し込みである。女性センターはネット申し込みがうまくできなかった。女性学については、正確にはツイタ―で知った。下地さんという東京大学出身のゲイなどの権利≪セクシュアルなマイノリティーの権利と理解しているが、間違っていたら訂正します≫を推進している方がツイタ―で紹介していてそれで知った。

新しい視点なり論や状況分析と未来への展望がどう大学知識人研究者の生の声から聞こえてくるか?が関心の対象である。小熊さんのレジュメは詳細で、戦後を総なめにするわけで、今回の発見はつまりアメリカの世界戦略、朝鮮戦争やヴェトナム戦争などの絡みで沖縄の軍事基地の動向が決まることや沖縄戦で1万2千人も犠性にしたアメリカの沖縄占領への思い入れがあることなど、戦後日本の核武装化への野心と頓挫、(読売などはアメリカの傭兵としての自衛隊を推進する論調だと孫さんがツイタ―で書いているが)どうも冷戦期の状況をそのまま外務省と防衛庁がひきづっている日本政治の構造的問題があるようで、中国脅威論や北朝鮮脅威論に組しない小熊の立ち位置はあきらかだった。また大阪の橋本さんの教育改革についても言及していたが、早口でよくつかめない所があった。歴史教育が何のための歴史教育かの問いかけはいいとして、沖縄独自の歴史、対日本の歴史、国際関係の中の沖縄の歴史、その3点から論じるというのは明快でよかった。今後三番目の視点がかなり重視されてくるのだろう。

防衛庁へのアイロニー的批判が面白かったのは戦車一台10億の無駄金の話など、なるほどだった。与那国に自衛隊を常駐させることの問題の指摘など、氏がかなり沖縄の新聞や論調もまた網羅して視野に入れていることは十分考えられる。情報を攫うのは研究者の普段着感覚の手段だから、新しくもないが、問題は東アジアの状況(情況)分析であり、アジア諸国の動向であり、世界の警察官アメリカ(財産破綻は免れた?)の動向である。グローバル化が富の一極集中をまねき、多くの国々や地域が疲弊する現象が国単位で、また世界(マクロ)規模でも起こっている現実があり、そこからどう可能性を見出して行くかが問われている。

そして沖縄はどんなスタンスに立てばいいのか?答えが彼にあるわけではない。沖縄自ら状況認識を深め、決断する必要があるわけで、これが絶対はもはやありえない。ただ小熊さんのお話から彼の視点なり良識が日本の知識人の一般良識になりえるとしたら日本は変わっていくのだろうが、実際はどうなのだろう。現実を細かく見据える目線の強度が試されていると言えるのだろうが、日本政府の軸の弱さが未来に影を与えている。

沖縄は沖縄独自の論理を声を主張し続ければいい。ただし日本の状況分析を怠ることなく、アメリカやアジア諸国の状況もまた見据える必要がある、のは言うまでもないのだろう。

一方で女性学の方は読み解くにはあと2時間ほど必要な感じがした。勝方さんは真面目な方で正直に御自分のスタンスと問題意識をしっかり引用文献を提示してお話された。先輩沖縄女性として、後ろ姿を見つめている!紹介された文献資料など一部は注文したいと思う。移動が根(ルーツ)に対する反転であり、途中、途上であること、をお話されたが、移動が現在の世界状況をまた表象するにしても、逆に定点、移動しない身体ゆえに戦略的本質主義が可能な点もあったと見えなくもない。

植民地的近代の概念も興味を引いた。女性学の面で民俗学的な点で従来の妻や妹の位置やおなり神についてもまた違った概念が出されつつあり、沖縄女の位置づけもまた変わりつつあるのかもしれない。また女であることの客体化の問題など、興味深い概念が並んでいた。それらを読み解きたいと切に思う。『沖縄女性学』の著書から勝方さんがその後どう論を深め、展開していったのか興味深い!遅く来た者は遅く来たなりに追っていく必要がある。

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