アリの一言 

オキナワ、天皇制の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

震災後の「外国人犯罪」の流言と「天皇ビデオ」

2017年06月22日 | 天皇制と人権・民主主義

     

 「人権と生活」(在日本朝鮮人人権協会発行)の最新号(44号)に「震災後の『外国人犯罪』の流言と現在」と題した興味深い論考が掲載されています。

 筆者は郭基煥氏(東北学院大教員)。関東大震災(1923年)では「朝鮮人が毒を井戸にもっている」などの流言が広がり、「自警団」(写真中)など「日本人の一般市民」によって少なくとも数千人の朝鮮人が虐殺されました。
 郭氏は「では、東日本大震災においてはどうだったのか。もちろん、流言によって特定集団に対する暴行が行われたという事実はどこからも聞こえてはこない。しかし、だからといって、あの時の状況は、1923年の状況とまったく異なっていたと言えるだろうか」という問題意識で、アンケート調査を実施しました(調査は無作為抽出の郵送で、仙台市=770票と東京新宿区=174票から、計944票の回答を回収。実施は2016年9月)。主な結果は次の通りです。

 ●「被災地で外国人が犯罪をしている」といううわさについて
      たくさん聞いた 1~2回聞いた まったく聞かなかった
  仙台市   32・2%    19・4%     47・8%
  新宿区   17・8%    22・4%     59・8%

 ● うわさを信じたか
      とても信じた やや信じた    あまり信じなかった まったく信じなかった
  仙台市   37・8%   48・4%     12・1%     0・8%
  新宿区   25・7%   60・0%     12・9%     1・4%

 ● 外国人のうちどのような人たちが犯罪をしていると信じたか(仙台市のみ。複数回答)
   中国系の人         63%
   朝鮮・韓国系の人      25%
   特にどの人とは考えなかった 26%

 ● 非常事態におけるイメージ
          信頼できる                 秩序正しい
     とても思う やや思う そうは思わない   とても思う やや思う そうは思わない
 日本人  12・3%  44・8%   13・1%    15・1%   51・7%   9.4%
 外国人  2・1%  19・5%    21・3%    2・1%   14・3%   29・2%

 驚くべき結果です。郭氏はこう結んでいます。

 <東日本大震災という危機にあって、日本人/東北人が美徳(「秩序正しい」などー引用者)をもっていることを強調する美名化の言説ーイデオロギーーは確かに共助の精神や復興への意志を効果的に鼓舞し、結集させたかもしれない。しかし、そのイデオロギーは、外国人犯罪の流言によってそのほころびを覆い隠すことで機能したのではないか
 そして、震災から六年が経過した今、考えなければならないのは、非常事態において噴出した日本(人)の美名化とアジア、特に中国(人)や韓国・朝鮮(人)の汚名化という相補的な言説が、社会が通常状態へと回復していく過程で、衰退するのではなく、むしろ、国政の舞台から日常生活にいたるあらゆる場面で何事かを語る際の定型的な認識枠組みとして定着してしまったのではないか、ということである。それが先鋭化したのが、日本人の「誇り」の元で朝鮮人・韓国人をののしるヘイトスピーチに他ならない。…1923年とは違う姿をまとった、同じ構造の何かが繰り返されたように思われる。

 郭氏は一言も触れていませんが、私はすぐに「天皇のビデオメッセージ」を思い出しました。
 「天皇のビデオメッセージ」といっても、「生前退位」を示唆した昨年8月8日のものではありません。天皇が初めてビデオメッセージをテレビで流したのは、実は東日本大震災から5日後の2011年3月16日でした(写真右)
 この中で天皇明仁は、「自衛隊、警察、消防、海上保安庁(この順番に自衛隊幹部は感激したー引用者)」などの救援活動の「労をねぎらい」、こう言いました。

 「海外においては、この深い悲しみの中で、日本人が、取り乱すことなく助け合い、秩序ある対応を示していることに触れた論調も多いと聞いています。これからも皆が相携え、いたわり合って、この不幸な時間を乗り越えることを衷心より願っています」

 明仁天皇の主観的意図がどうだったかは別にして、天皇のこの言葉こそ、「非常事態」における「日本人の美名化」の最たるものではないでしょうか。それが、無意識の中で、外国人(特に中国、朝鮮、韓国人)の「汚名化」と「相補的」な関係になっていることを銘記する必要があります。
 震災後のこの「天皇ビデオメッセージ」は、「日本国」に「象徴天皇制」があることの1つの意味を示したのではないでしょうか。   


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あの異常国会の後の首相会見がたった23分か

2017年06月20日 | 安倍政権とメディア

    

 厚顔無恥とはまさにこのこと。19日夕の安倍首相の記者会見です。

 強行採決以上の「中間報告」なる禁じ手を使っておいて「十分審議できなかった」とはよくも言えるもの。「反省している」と言いながら実は野党を「印象操作」と攻撃する開き直り。「政策とは関係ない議論」とは自らの「森友・加計疑惑」=行政の私物化を隠ぺいする口実…。挙げればきりがありません。

 そもそもこの男にまともな「反省」や議論を望むのが無理な話です。蓮舫氏は「総理のために開く会見は意味がない」(19日の記者会見)と言いました。しかしそうではありません。問題は、記者会見が「総理のため」のものになったことにあります。すなわち記者会見のあり方を抜本的に改める必要があるのです。

 首相会見が始まったのは午後6時ちょうど。はじめに安倍氏の発言が17分間。それから記者との質疑応答に入りましたが、6時40分にはきっかり終了。つまり、安倍氏の゛独演会”を除けば、実質的な記者会見はわずか23分しかなかったのです。

 最後まで内容が不明確なまま成立が強行された「共謀罪」法。内閣府と文科省の言い分が食い違い官邸主導で真相隠しが行われた加計学園疑惑。これだけをとっても異常な国会でした。「国会は死んだのかもしれない」(高村薫氏)と言われるゆえんです。

 その国会が閉会した直後の首相会見です。国会では明らかにならなかったことを記者が国民に代わって追及しなければなりません。テーマは山ほどあったはず。ところがその会見が実質23分。まったく話になりません。

 しかも「23分」の中身がまた問題です。はじめに幹事社から2人(毎日新聞、TBS)が大雑把な質問をし、その後は質問希望者が挙手をし、司会者が指名するのですが、これが曲者です。なぜなら、指名する司会は官邸(安倍政権)が行っているのですから。

 案の定、この日指名された記者4人のうち、ロイター(外交問題)を除けば、NHK(公文書管理)、日経(成長戦略)、社名を名乗らない男性(北方領土)はいずれも安倍氏にとって痛くもかゆくもない質問ばかり。安倍氏に宣伝の場を与えてやったようなものです。朝日新聞や東京新聞、ましてフリーの記者はまったく指名されませんでした。
 加計疑惑の文書をめぐってこのかん菅官房長官の記者会見で執拗に質問していた記者たちも、発言の機会は与えられませんでした。

 時間といい、運営方法といい、この首相会見は異常です。まさに「総理のための会見」として仕組まれたものです。
 今回だけではありません。首相会見はだいたい同じような時間・運営方法で行われています。こうしてテレビ中継する首相会見が「総理のための会見」になっていることが、安倍内閣の虚構の「高支持率」の1つの要因になっていると言っても過言ではないでしょう。
 
 これを抜本的に改める必要があります。
 時間については、質問希望者がいなくなるまで行うべきです。少なくとも1~2時間の質疑時間は確保すべきです。
 会見の司会(質問者の指名)は官邸(政権)ではなく、記者クラブが行うべきです。

 現在時間も運営も官邸主導になっているのは、会見自体が「官邸主催」になっているためだと思われます。それを抜本的に改め、会見は「記者クラブ主催」にすべきです。
 首相会見を「総理のための会見」ではなく、「国民のための会見」にするのは国民に対するメディアの責務です。
 日本新聞協会、新聞労連の姿勢と責任が問われます。


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安倍内閣の支持率が暴落しないのはなぜか

2017年06月19日 | 安倍政権と民主主義

     

 共謀罪法強行後に各メディアが行った世論調査で、安倍内閣の支持率が軒並み急落しています。
            支持      不支持

   毎日新聞   36%(-10)   44%(+9)
   ANN(テレ朝系) 37.9%(-8.5) 41.6%(+9.2)
   NNN(日テレ系) 39.8%(-6   41.8
   朝日新聞   41%(-6)    37%(+6)
   共同通信   44.9%(-10.5) 43.1(+8.8)
   NHK    48%(-3)    36%(+6)
   読売新聞   49%(-12)   41%(+13)
   日経新聞   49%(-7)    42%(+6)

 菅官房長官は19日の記者会見で「一喜一憂すべきでない」と虚勢を張りましたが、大きな打撃であることは確かです。この背景に森友・加計問題、共謀罪強行があることは、それぞれの項目の世論調査結果が示している通りです。

 しかし、私はこの世論調査結果に逆の感想を持ちました。安倍内閣の支持率はまだこんなにあるのか。支持率は暴落しないのか。

 上記の各社の結果を細かく見ると、①不支持が支持を上回っているのは3社だけで、あとの5社はまだ支持の方が多い②支持の下落率(㌽)は3~12、不支持の上昇率(㌽)は6~13の範囲にとどまっている、ことが分かります。「急落」といってもこの程度です。

 共同通信の調査では、安倍内閣の支持率は2015年7月、戦争法(安保法制)を強行した直後に37%(-9)で最低を記録し、不支持が支持を上回りました。しかし、数カ月後には支持率は回復し不支持を上回りました。今回の支持率の下落もいつまで続くか、けっして楽観的にはなれません。

 世論調査の支持率で見る限り、日本の「国民」はあまりにも政権に甘いと言わねばなりません。それは、同じく「親友」への便宜で政治を私物化したため、「コンクリート」と言われた支持率が暴落し、朴前大統領が退陣に追い込まれたお隣の韓国と比べても、歴然としています。

 なぜ日本はそうなのでしょうか。
 共謀罪法が強行された直後、作家の高村薫さんが共同通信のインタビューに答えてこう述べています。

 <国会は死んだのかもしれない。「共謀罪」法を成立させた国会を見てつくづく感じました。安倍内閣に支持率50%を与えている私たちの責任でもあります。代わる人のいないことが高支持率の要因の一つですが、そうだとしても常識的な判断力が働いていれば、「ノー」と言うべき状況です。いまの政治状況は、明らかに越えてはいけない一線を越えているのですから。有権者の多くが、まだこの政治にげたを預けているのは、戦後72年の繁栄と安定に寄り掛かっている慢心でしょう。>(17日付各紙)

 「繁栄と安定に寄り掛かっている慢心」なのか、それとも生活苦・将来不安からの現実逃避なのか。いずれにしても、「政治にげたを預けている」ことは確かでしょう。
 安倍内閣の「高支持率」「支持率が暴落しない」背景・元凶な何なのか。簡単に答えが出る問題ではありませんが、それを追究することは、この国の社会変革にとって急務であり、死活的に重要であることは確かでしょう。  


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官僚(国家公務員)は政権の下僕ではない

2017年06月17日 | 安倍政権と民主主義

     

 「文科省から出向してきた方が、不適切だが、陰で隠れて本省(文科省)にご注進したものだ」
 山本幸三地方創生相の発言(16日の参院予算委員会、写真中)には唖然としました。萩生田光一官房副長官が加計学園に便宜を図る修正を指示した文書が明るみに出て、その存在を否定できなくなったら、今度は文書を書いた職員をおとしめ、責任を転嫁しようというわけです。大臣はおろか、政治家はおろか、一般社会人としても下の下です。

 山本氏といえば、「一番のがんは学芸員」(4月16日)という暴言を吐いて厳しい批判を浴びたばかり。人を愚弄する下劣さは筋金入りのようです。

 山本氏だけではありません。文科省の内部告発者に対して義家弘介文科副大臣が「国家公務員法違反になる可能性がある」(6月13日衆院農水委員会)と言って恫喝したのもつい先日のことでした。

 山本氏や義家氏のこうした一般職員に対する愚弄・恫喝は、もちろん彼らが勝手に行っていることではありません。言うまでもなく、安倍晋三首相と菅義偉官房長官という、それこそ「官邸の最高レベル」による各省庁・官僚支配の反映にほかなりません。官邸が各省庁の人事権を掌握してその支配は格段に強まりました。

 ここで明確にしておかねばならないのは、霞が関の官僚はけっして政権の下僕ではない、ということです。

 官僚(国家公務員)とは何か。その根本を規定しているのは、日本国憲法です。憲法第15条にはこう明記されています。

 「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」(第1項)
 「すべて公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」(第2項)

 さらに、この憲法の下に制定された国家公務員法は、第1条(法律の目的)でこう規定しています。
 「この法律は、国家公務員である職員について適用すべき各般の根本基準を確立し…以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする」

 こうした憲法や国家公務員法の規定で明らかなように、公務員が「奉仕」すべき相手は、「一部の」政治家や政権ではなく、国民「全体」です。霞が関の官僚ももちろん例外ではありません。

 例えば、今回の文科省の内部告発は、安倍首相が「腹心の友」である加計孝太郎氏に便宜を図って行政を私物化したという国民(主権者)にとっての重大疑惑について、当然国民に開示されるべき文書(行政文書は国民のもの)を、安倍政権が「怪文書」(菅官房長官)呼ばわりして闇に葬ろうとしたのに対し、「確かに存在する」と事実を明らかにしただけです。この行為が国民の利益に叶っていることは明白です。義家氏が言う「守秘義務(国家公務員法第100条)違反」はまったくのお門違いで、内部告発が怖いだけのこじつけにすぎません。

 むしろ、政権が党利党略・私利私略で国民の知る権利を蹂躙し、事実(文書)を隠ぺいしようとするのに対し、各省庁の職員は積極的に内部告発すべきです。それこそが「国民に奉仕」する公務員の使命ではないでしょうか。


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共謀罪法成立強行!安倍ファシズムを支えるものは・・・

2017年06月15日 | 安倍政権と民主主義

     

 安倍政権は15日、共謀罪法案の成立を強行しました。加計学園をめぐる安倍首相の疑惑隠しと表裏一体です。
 法案自体の問題もさることながら、このかん安倍政権は「国権の最高機関」(憲法第41条)である国会に対して何をしてきたか、それが大問題です。森友学園問題以降の主なものを振り返ってみましょう。

●森友学園に対する国有地払下げの不正を示す資料は「破棄した」と隠ぺい
●安倍昭恵氏らの証人喚問をあくまでも拒否
●加計学園問題で「総理のご意向」とした内閣府審議官の言葉を記した文科省内の文書を「怪文書」(菅官房長官)と揶揄して否定
●松野文科相がおざなりな「調査」で「問題の文書は確認できなかった」と隠ぺい
●「あるものをないものにはできない」と告発した前川前文科省次官に対し、菅官房長官が読売新聞の記事を使って個人攻撃
●前川前次官らの証人喚問をあくまでも拒否
●衆院法務委員会で金田法相に代わる答弁者として野党が同意しない刑事局長の出席を強行
●金田法相の答弁は二転三転四転…。政府部内で答弁の食い違いが露呈
●共謀罪法案の危険性を指摘した国連人権理事会の特別報告者に対し安倍首相は「不適切」(参院本会議答弁)と攻撃
●加計学園「文書」の存在を証言する文科省の内部告発に対し、義家文科省副大臣が「国家公務員法違反の可能性がある」と恫喝
●「中間報告」なる禁じ手で参院法務委員会の審議をふっ飛ばして共謀罪法案の本会議採決を強行

 以上のことは、すべて安倍政権の1つの共通戦略から生まれています。それは国民に事実・真実を知らせない、国民の目と耳をおおう、結果、口もおおって、政権がやりたいようにやる、ということです。
 メディアは相変わらず「与野党の対決」という図式で国会の状況を報じていますが、事実はそうではありません。安倍政権が攻撃しているのは主権者・国民であり、この対決は「安倍政権対国民」です。

 「世界平和アピール七人委員会」(武者小路公秀、土山秀夫、大石芳野、小沼通二、池内了、池辺晋一郎、高村薫の各氏)は6月10日、「国会が死にかけている」と題する緊急アピールを発表しました。その中でこう指摘しています。

 「政府と政権与党のこの現状は、もはや一般国民が許容できる範囲を超えている。安倍政権によって私物化されたこの国の政治状況はファシズムそのものであり、こんな政権が現行憲法の改変をもくろむのは、国民にとって悪夢以外の何ものでもない」

 まさに日本の政治状況はファシズムそのもの、安倍ファシズムといえるでしょう。
 しかし、ファシズムも「民主主義」の体裁をとらずには存続できません。ヒトラーも選挙で選ばれて独裁者になったのです。安倍政権も同じです。安倍ファシズムを支えているもの、それは安倍政権に対する「世論調査」の「高支持率」です。

 これほど自由と権利を攻撃され、踏みにじられても、まだ「国民」の多数は安倍政権を「支持」し続けるのか。ほんとうに問われているのは「国民」です。


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