志情(しなさき)の海へ

琉球弧の潮風に吹かれこの地を掘ると世界と繋がるに違いない。世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

平田オリザさんが、「沖縄は政権交代があるから」と発言していて、興味深かった。平田大一さんとの対談で~!

2021-07-19 23:41:53 | Academia
(苦瓜の収穫は嬉しい❗️)
政権交代があるからとの言及は、平田大一さんが30歳で勝連半島にあるキムタカホールの館長に抜擢され、その後42歳で仲井真沖縄県知事の時に県の観光・文化・スポーツ部長に抜擢された経歴に関しての評だった。日本ではあまり政権交代がないのでとも~。地方自治でも「交代」が少ない日本なのだろうか。対して韓国は政権交代がよくある国だ。(演劇教育が小中高、大学といいカリキュラムがあり、映画のアカデミー賞受賞もその要因との見方だった❗️)

政権交代という言葉からは、中央政府の政権交代のイメージを持っていたのだが、現在東京から兵庫県に根拠地を移した平田オリザさんの視点からすると、沖縄県知事は政権交代するようなインパクトがあるという、視点を持っていることを意味する。一方、平田大一さんは、保守政権の仲井真県政の時に抜擢されている。自民党と公明党(創価学会)の後ろ盾があったということである。革新側の県政と言えば大田昌秀さんが知事の時の1991年、当時中学校教諭だった幸喜良秀さんが観光文化局長に抜擢されている。これも平田オリザさんの言及する沖縄の政権交代の象徴と言えるのかもしれない。興味深い。政権交代ではなく県政交代だが~。幸喜良秀さんと平田大一さんの違いは何だろう。比較検証するのも芸術文化論なり運動論の観点から興味深いと思う。

ところで30代で公共ホールの館長や劇場の舞台監督に抜擢されるのはフランスでは普通だと確か平田オリザさんは話していた。対して平田大一さんは、彼が部長の時に嘉数道彦さんが33歳と4ヶ月で国立劇場おきなわの芸術監督になったことに言及した。つまり平田さんが嘉数さんを推挙・抜擢した印象を与えた。

私見では嘉数さんの抜擢は5年計画で沖縄を代表する演出家幸喜良秀(前芸術監督)によって養成されて誕生したと見ているが、当時の宜保栄治郎(国立劇場おきなわ常務理事)と共に国立劇場の将来を見据えての周到な計画だったと言える。嘉数さんは期待に存分に応えて現在の20代から40代中心の国立劇場の若々しいエネルギーを推進している。県立芸大や組踊研修生、そのOBをメインに据えた新作作品をこの間どんどん創作し、舞台発表している。その目論見に間違いはなかったのだろう。一方で取り残された(見捨てられた)芸能者の方々もいる。

現代演劇の演出から沖縄芝居、組踊、新作組踊と大胆に演出活動をしてきた幸喜さんのビジョンとはちょっと異なり伝統芸能とその新作に才能を発揮している嘉数さんだが、幸喜さんの演出作品に比べて、内向きで、世界の潮流を巻き込むような大胆さはない。今後それが出てくるかは未知数。時代の空気を汲み取ってきた幸喜さん世代(現在80代)と30代の差異は大きい。その間の40代から60代の人材がいなかったロスが現在の30代中心の若い国立劇場おきなわの芸能政策である。

県指定無形文化財「琉球歌劇」の保持者に、30代夫婦が認定される状況にまで及んでいる沖縄の現在である。会の規約にも反することを会長や役員、事務局がやってしまった沖縄の現実は、政権(県政)交代の影響があったかどうか~、ネオリベラリズムの実験場そのものに見えなくもない。30代夫婦が、保持者認定の受理に関して躊躇した気配もない。中には琉球歌劇保存会の「30周年記念公演」の本番に穴をあけた伝承者も保持者認定されている。ハチャメチャである。歌劇保存会の存在意義が失われているようだ。それだけ歌劇の継承に赤ランプがついていることを意味するのだろうけれど~。

しかし文化政策を企画助言すべき教育庁文化財課がそれを鵜呑みにしてしまう、行政のセンスの欠陥は否めない。文化政策(Politics)を誰がその基軸を構築していくか、骨太の構想が問われているはずだが~。文化企画コンテンツを電通や博報堂などの中央のコンテンツ会社に丸投げしてしま行政でもある。やれやれ。(もし見解に間違いがあれが指摘してほしい。)

琉球舞踊保存会も色々問題があるようで、どの芸能団体も多かれ少なかれの組織の持つ内在的な葛藤なり確執を有していると言えるのだろうが、人口140万人余の小さな県内の芸能文化の今日から明日へ、新聞社はコンクールによる文化運動と独自の収益システムを構築しており、地域の民俗芸能も含め、祭りや催し物が多いこの島の共同体は今後どう展開していくのだろうか。

コロナパンデミックの実相は近未来に明らかにされるだろうか、異風な空気に侵されている世界の中で、それでもパフォーマンスは人間の魂の表象でありつづける。人間の感性を思念を人生を生身の感動を解き放つ空間が多様に展開される空間(場所)、精神や身体を解放する磁場は生きる上で欠かせない。生の想像、創造の場、人々の共有する集合的意識や知見・感動が一体化する空間は、やはり必要だ。

政権が代わると文化政策も代わる。県政が代わると文化政策が代わる。ドラスティックな政策ができる。政権交代の揺れやブレの中で思考が鍛えられ、よりいい方向へ人々の知恵や感性が動いていくと平田オリザさんは言いたかったのかもしれない。本人がそのように話していたような気も~。

地方創生が平田オリザさんと平田大一さんの接点だった。世界中で地方創生が闊達になされ繋がりあう地球社会の未来は悪くない。






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