
人の営みの有象無象を横目に君は庭の主なんだ〜!
家の主が他界しても我関せず〜!君にとっては二人目の主だった。
草花で輝いた庭も主が変われば変わる。
確か君にはつれあいがいたはずだが〜。君は壮健だね。ノラ猫たちの食事を掠め取って悠々自適かな〜?
家の主は、つれに先立たれて深夜に叫んだ。寂しさは怪物のように襲ってきた。耐えられない、耐えられる。意識はますます冴え、悲しみは空気になり全神経に溶けていった。
あの時、あの時、その時〜、後悔はなかった。まずやってみよう。それから考えていい〜。
結果の良し悪しは運の良し悪しか〜。
内に秘められていたリベンジ〜?
出会いは、宿命〜!
世間の常識からズレていると囁き声が聞こえてきた。パッション、パトスは、観念を疾走させる。
僧侶の言葉に胸打つ矢はお経の中にあり、詠うような唱えに魅了された。悟りのことばは詩と異なり、普段着のことばは普段着のように聞こえてきた。
既成のパッケージを熱心に務める送り人がいて、素の「付き合い」コミュニティは、一月余りで続けて逝った魂を偲び、憐れみ、合掌する。いずれ俺もお前も君も彼、彼女も通る道、我が身の明日が脳裏を掠める。
庭の主は分かったのか、否か、思いがけないヒトガキには身を隠した。
主に何かあったのか、否か、キャットフードが有れば俺は生き延びる。否、なければないで生きていく。
自由にさせてくれた主に守られていた事は、鶏の意識にはない。
追い詰められた主は、つれとの絆を深め耐えていたのだ。
彼らを誰もそしることはできない!
罪のない者がこの女に石をなげよ!
その一言に応じる者はいなかった。
今試されているのは、語り継がれる男女の物語ではなく彼らを見つめるこちら側なのだと思い知らされる。地域の人と人のつながりが見え、耳を傾けるに思いがけないことばもやってきた。
Xがいた!噂の領域なのか、涙をこぼして心の内を吐露した男は、親に阻まれた恋を語ったのだった。
あれから30年が過ぎ去った。そして今、密葬ではなく父母と同じ墓に納骨された。
君との約束が果たせる日を、強く思う。約束は重い。