みみずのしゃっくり

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仮の生活3年

2014-03-14 | その他

NZZ(新チューリヒ新聞)は、きめ細かい配慮をする新聞です。

その一例として忘れられないのは、もう10年近く前の8月9日だったか、その前日かに「Und Nagasaki(・・・と長崎)」いう3ページの大特集で、広島に比べて目立たない被爆地・長崎について詳しく紹介したことです。いつも「広島長崎」いう具合に「ついで扱い」にされるから、今年は長崎特集です、という主旨の特別記事でした。
そして今回も、原発事故とは別に「仮の生活のまま3年」が特集されました。



13日付け新聞第1面に陸前高田の仮設住宅の写真

本紙7ページに特別記事がありますというお知らせ

6~7ページを広げたところ


右ページ全面が「地震と津波から3年」、左ページ上は「マドリードの爆弾テロから10年」。

事件現場アトーチャ駅のベンチに花を捧げる人


2004年3月11日、通勤ラッシュのマドリードで近郊電車に仕掛けられた複数の爆弾が爆発、191人の死者と多数の怪我人が出ました。長年ETAのテロ事件が散発するスペインでも前例の無い大きなテロ事件で、ヨーロッパ中にショックを引き起こしました。当時は選挙直前で政権にあった保守党はETAのテロだと喧伝。しかし、じきに実はイスラム原理主義者のテロであることが発覚、保守党は政権を失いました。ウィキ記事はこちら

東日本大災害の特集ページ


ちょっとアップ

左:陸前高田で唯一残った松、右:復旧作業

タイトルは「仮住まいの3年間」

この記事によると、岩手、宮城、福島の被災者、原発周辺で自宅に帰れない人たちあわせて、今も15万人に上る人たちが仮設住宅に住んでいるということです。住むところが臨時であるばかりでなく、人生そのものが、もう元には戻らないのです。

大災害は、目に見えるものばかりでなく、見えないもの、つまり社会構造や人間関係をも破壊します。これまで経営していた店舗や食堂などを、仮設の建物で経営しなければならない人たち、本格的な家が建つまでに年をとりすぎてしまうと恐れる人たち、津波防止の大きな塀が建ち、見慣れた風景を失って悲しむ人たち、近くに大規模なショッピングセンターがオープンするため、経営が成り立たなくなると恐れる小規模店舗の店主など、多くの人たちが様々な困難に直面しています。

陸前高田では、近くの山を切り崩し、市街地の海抜を高くする市街改造プロジェクトが実施されるそうで、こうしたプロジェクトは他の被災地でも実行されるのでしょう。文字通り山を動かす大プロジェクトだけでも2年間を要するそうです。安心して住める新しい市街地と様々な施設・住宅が完成するまで、あと何年かかるのでしょう。

農山村部の過疎化も大災害後、一層深刻化しているようです。

昨年秋からは2020年の東京オリンピックという新たな問題が現れました。被災地の多くの人々が、オリンピック準備の陰で被災地復興プロジェクトは後回しにされるのではないかと恐れています。


東日本大災害は世界中に大ショックを与え、その後の様子は今も世界中から注目されています。


      


前回紹介した日本の作曲家・嶋津武仁の曲は「祈り」というタイトルだということが、ラジオのシリーズ最終回で判りました。番組のタイトルは「福島のためのレクイエム」だったので、このタイトルで検索しても見つからなかったのです。但し「祈り」で探してもYouTubeは見つかりませんでした。
番組の中で何回も嶋津氏が発言していますが、最終回の「子供たちの将来が心配だ」という言葉が特に胸に迫ります。

最新の技術と施設が揃っていても、それだけでは骨格見本のようなもの。結局、ひとつの国の未来を保障するのは、自立した判断力を有する健康な国民です。





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