みみずのしゃっくり

みみずのしゃっくりのように役に立たないことを不定期に書き込むブログ。
専属スターはいませんが、猫っぽい内容です。

さりえら

2016-06-02 | その他

「さりえら」というのは、これです。



原語のイタリア語ではSalieraと書き要するに「塩の入れ物」。金や宝石が使われています。
画像は全てウィキ・フリー画像です。

後ろ側

このミニ浴槽みたいな部分が塩入れ

前側

このミニ神殿みたいなのが胡椒入れ

この美術工芸品の傑作はウィーンの美術史博物館の美術工芸品部門に展示されています。
たかが塩入れに大げさな、という気もするのですが、傑作であることは否めません。
制作者も、ひとクセもふたクセもある有名人ベンヴェヌート・チェッリーニです。

2人の人物像はローマ神話の海の神ネプチューンと大地の女神テルースで、地球を象徴しています。

チェッリーニがフェラーラの枢機卿のためデザインしましたが、ワックス・モデルを見た枢機卿は制作不可能と思い注文しませんでした。その後チェッリーニがフランス王のため、この塩入れを制作、更にフランス王がチロル大公のフェルディナントII世に贈り、こうしてハプスブルク家の財産となりました。

チェッリーニの作品は長く忘れられていましたが、ゲーテがチェッリーニの自伝を翻訳編集してから再び評価が高まり、サリエラはチェッリーニの金細工作品で唯一現存するものと考えられています。

美術史博物館館内修復・改修中の2003年、サリエラは盗まれて行方不明になりました。このとき、貴重な展示品に対する防犯対策の手薄なことが発覚しました。犯人は防犯装置の専門家で、工事中の足場を見て「こんな無防備なら盗むのは簡単だな」と思い、試したら盗めちゃった、ということのようです。でも、結局犯人は逮捕され4年間の懲役が決まりましたが、模範囚だったらしく2年で出獄しました。

この事件に関連して保険会社が評価したサリエラの「価値」は5000万ユーロでした。
この事件以来、特別貴重な展示品の防犯対策が大幅に改善されました。

自然史博物館ヴィレンドルフのヴィーナスさんも、今は独自の個室にお住まいです。

英語ウィキ:Saliera


おまけ

チェッリーニの自伝に感動したベルリオーズが幾つかのエピソードからオペラを作曲しました。

その序曲






最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (めんまねえちゃん)
2016-06-02 22:55:20
盗まれたのはあれですが、
その後警備が厳しくなったのは良いですね。
なんか、よその話だと思うんですが
絵をどこかで盗んだ人物が、脇に抱えて
外にそのまま出られたって話してたことが
あったような(絵だけ丸めて、だったと思うんですが)。

これ、見たような記憶があります。違うかもだけど。
確かに大げさですが、私はどちらかと言うと
具象のものが好きなので、できることならぐるぐる回って
さらに下からとか、近くから虫眼鏡でじーっと
見たい気分です。
こうやってみてもすごいけど、アップで
虫眼鏡で見たら驚嘆するのかなあ。と。
ワックスモデリングまでできていたとしたら、
それはかなり具体的な話なのに、注文せず
もったいないことをしましたね。でも実際作られてよかった。ワックス制作もけっこう大変だし...
ここまで細かいと、彫金技法ではなくて、ワックスモデリングじゃないと無理だったでしょうね。
(できるひともいるのかもですが)
返信する
めんまねえちゃんさん (ななみみず)
2016-06-04 05:24:47
幸い悪質な泥棒でなく出来心という感じで
唯一無二の芸術品が戻って幸運でした
私も、うろ覚えだけど盗んだ絵を持って出て行ったって話
以前聞いたように思います。

ワックスモデルも本作品もチェッリーニ作ですが
多分、弟子を使っていると思います。
注文しなかったということは、散財せずに済んだということで・・・
昔の王侯貴族は、権力の象徴として美術品や財宝を集めましたが
その中から政略上、誰かにプレゼントをする
という必要もあったのだと思います。
返信する

コメントを投稿