気ままな日々を 思いつくままに

旅の様子や
今日の庭
思いついたことなどを
気ままに 気楽に綴ります

伊勢神宮と神々の美術

2009-07-24 01:12:18 | 展覧会から
東京国立博物館へ第62回式年遷宮記念特別展 のサブタイトルをつけた、「伊勢神宮と神々の美術」を見に行って来た
大変申し訳ない言い方ながら、これほどつまらない特別展を久し振りに見た。今、わざわざこの展示会を開いたのか全く伝わってこない。心を打つものが何もない。
パンフレットの「ごあいさつ」にこんな文章があります
「伊勢神宮はおよそ二千年前に鎮座されたと伝えられ、皇室の祖神として政治的地位の高かった古代から、中世には朝廷の影響力が弱まるのに伴い日本国全土の御祖神として武士の崇敬を集めました。その後、戦国期の混乱をしのぎ、江戸時代にはお蔭参りが流行し多くの民衆が訪れるようになりました。今も皇室はもとより、多くの人々の崇敬をうけています。以下略」
この文章一つ取ってみても、突っ込み所は満載だが、戦前と戦後の環境の激変に全く触れない現状認識一つとっても、この展覧会の意義を疑わせると思う
例えば100年前の1913年と比較して何が変わり何が変わっていないのか、式年遷宮の経費は100年前は誰が出し、今回はどのように見込まれているのか、とか 展示会の第三章 今に伝える神宝として昭和4年に調整された美しい神宝が展示されているが、2013年の63回式年遷宮においては全く同じものを調製できるのだろうか。もし調製できるとすればその技術継承のために、神社あるいは関係するところがどんな努力をしてきたか、あるいは現在続けているかを知らしめることが必要なのではなかろうか。
伊勢神宮が時の権力者により維持されてきたことは確かだろう。しかしそこに民衆の支持がなければ2000年も継続出来得る筈はないし、激動する現代にメッセージを発信できないところは滅びざるを得ないのでは無かろうか
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« やっと解散・民主党頑張れ | トップ | 新型インフル再び拡大の恐れ... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (KT)
2009-07-24 22:26:38
いつも共感を持って拝読いたしておりますが、今回はちょっと反論させてください。
御神宝類の調製は、各分野の第一人者と目される工芸家によってなされます。
基本的に前の御神宝と同じものを作るので、現代の美術鑑賞の感覚で見る面白みには欠けるかもしれません。しかし工芸職人にとって、式年遷宮は技術の伝承と練磨の究極の場であり、精魂傾けて作成にあたるのが常です。その究極の技術が展示の見所と思います。
工芸に携わる者にとって、手に入る限り最良の材料を用い能力と技術の限りを尽くして誤魔化しの無い仕事をすることは、殆ど信仰にも似た理想です。譬えれば、宇宙飛行士に選ばれたよう名誉を感じるわけで、ロハで仕事をするわけではないが、決して儲けのために作成しているのではありません。また、後継者への伝承の絶好の機会でもあります。
このへんのことが、美術関係者にとっては自明のことなので、かえって説明が抜けているのかも知れませんが。
おっしゃるとおり、危機に瀕している技術もありますが、過去にも式年遷宮のおかげで辛うじて伝承され、現代に至って息を吹き返してきた技術もあります。平緒の組紐などがその例だと思います。また、技術の保存を目的とする協会もあります。
遷宮費用の件ですが、お考えの通り戦前は国費で行われ、戦後は善意の奉賛金によって賄われてきました。現に今回も各地の神社を通じて奉賛のお願いが回ってきています。遡れば、戦乱による資金不足で100年以上遷宮が中断したこともありますし(だから、厳密な意味で古代技術の継承とは言えない部分もあります)勧進聖の集めた奉加金でかろうじて行われたこともあります。江戸時代は皇室幕府の援助のほかに「御師」の組織する伊勢講のお金が間接的に遷宮の奉賛金となっていたのだろうと思います。費用をめぐる歴史的問題は、確かに興味深いことですが、それだけで歴史的民俗的に大きく広がるテーマで、東博の扱う範囲を超えていると思います。図録には若干詳しい説明があると思うのですが…
最後に、神宮の在り方についての考え方ですが、社会に対してアグレッシブな働きかけをする必要は無い、ただ其処にあればよい存在なのではかと、私は考えます。だから、百年以上も民衆から忘れ去られた時代があっても不思議と甦ってきたのでしょう。
ただ存在するだけでよいという価値観を失いつつあることが現代日本の問題なのだと思うのですが。
 残念ながら上京できないので、見てもいない人間の意見で申し訳ありません
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

展覧会から」カテゴリの最新記事