時空トラベラー THE TIME TRAVELER'S PHOTO ESSAY

歴史の現場を巡る旅 旅のお供はいつも電脳写真機

私の「青い山脈」 〜青というモチーフ〜

2016年08月04日 | 日記・エッセイ・コラム

 大阪から高知へ飛ぶ双発プロペラ機ボンバルディア。エンジンをうならせながら高度を上げようとするが低空飛行のまま四国山地の険しい山々に差し掛かる。越えられるのかと心配になるが、健気に機体を震わせながらようやく飛び越えると、視界に突然太平洋が広がる。青い山脈、幾山河。そこを越えれば青い大海原だ。

 

 今月で40余年のサラリーマン生活に終止符を打った。これからは肩書きと他人が決めたスケジュールから解放された自由人。資本主義のロジックと、所属する組織独特のロジックからも解き放たれる。出世欲、名誉欲、物欲といった煩悩とは無縁の閑人人生をスタートさせるのだ。ま、少しくらい欲は残るかもしれない。いや、なかなか煩悩から解脱できないだろうから、ちと覚悟しておく必要があるが...

 

 「青雲の志」を抱いて飛び出した故郷。あこがれの「青い山脈」から始まった私の人生は、その画期となる通過点に達した。確かに大きな節目ではあるが、新しい人生の出発点でもある。そこにはあの頃の「青い山脈」や「坂の上の青空に浮かぶ一朶の雲」はない。他の人から示されるゴールや目標ではなく、これまでに自分で歩んだ道のりを観照して、自ら設定する目的地に向かって歩み始める。

 

 「幾山河越えさりゆかば寂しさの果てなむ国ぞ今日も旅ゆく」(若山牧水)

 

 「人間到処有青山」 人間到る処 青山有り(釈月性)

 

 そう、旅はまだまだ続く... 日暮れて道遠し。だが、急がず慌てず、脚下照顧。自分の足元を見ながら歩を進めよ。行け「青二才」!夜明けの来ない夜はない。

 

 

 


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