福田貂太郎(1905~1999)が描いた馬場川通、料亭岡源の玄関口です。
「明治末期の旗楼岡源の光景也」と書かれていますから、100年ちょっと前の馬場川通です。
福田貂太郎さんが描いた岡源はこの場所にありました。馬場川通と千代田通の角、群馬銀行前橋支店の裏口の馬場川に面したところです。隣の木造の建物は、かつて「清元」という旅館、その先のビルは喫茶店「小町」のビルです。
絵の左下のところの書き込みを読んでみましょう。
……明治末期の料亭「岡源」の風景です。子どもの頃、この通りを毎日のように通りました。そのたびに、眺めていたこの建物の記憶は、薄れたとはいえ、今でも眼の底に焼きついています。
最近訪ねてこられた人に、岡源の店の写真を見せられ、懐かしさに胸がふくらみました。川をのぞいては、流れの音を聞き、泥土の道を駆け回った少年の日に引き戻された気持ちになりました。そして、にわかに絵心がわいて、写真に記憶を加えて、この絵を描きました。
今風の言葉に書き直すとこんな感じのことが書かれています。
福田貂太郎さんにとって、前橋空襲で焼失した岡源の建物は、馬場川通の風景の記憶そのものなんですね。
こちらは詩人の伊藤新吉さんの俳句です。前橋に来るといつも立ち寄ってコーヒーを飲んでいた喫茶店小町に残された句です。
「なんか書くものないかな」って、コーヒーをすすってた伊藤さんに声をかけられ、「お手元の本に書いて構いません…」と答えたら、本の表紙裏にこの句を書かれたと、店主の北原雄一郎さんから聞きました。
「古き日の馬場川通り也」、詩人にとって、馬場川通の遠い記憶はとっても大事そうです。
馬場川通は、昔の利根川の河岸段丘の下にある通りです。南側はがけ地になっていますから、本町通へ出る道はみんな上りの坂道です。伊藤さんの句に出てくる「片町」というのは、崖地や川なんかで片側が利用できない地形で、片側だけに屋並みが連なっている街のことをいうのですね。馬場川通は前橋では珍しい崖下にできた片町なのです。
崖下の街は、かつては花街だったんです。戦前、糸繭の取引が最盛期の頃には、200人を超す芸妓がいたって聞いています。三代目吉駒の祖母の初代吉駒とその娘の二代目吉駒は、そんな花柳界の舞踊の師匠だったんです。
そんな馬場川通に新しい風景が生まれました。白井屋ホテルです。
片町に新しい土手の風景ができました。この風景、造っているときからすごく気に入っていました。いいなって、思い続けていて、出来上がったのを見るとさらに素敵です。
きっと、何十年かが過ぎた時に、今はまだ乳飲み子のアーティストたちが、この風景に刺激されて作品を作ってくれる気がします。新しい詩や歌も生まれると思います。
まちは揺り籠だって思います。一人一人の人やそこに集う仲間たちをはぐくむふ卵器みたいなものです。そこから新しい何かが生まれ育ち、どこかへ飛び立ってゆきます。白井屋ホテルの土手の風景を見ていると、何か素敵なものが生まれ育つ予感がします。
「白井屋ホテルの感想②」は、素敵な予感です。
まちの道端は、あっちもこっちも小菊の花です。きれいです。
帰りに通った正幸寺で、擬宝珠の上にとまっているジョウビタキに出会いました。北から渡ってきた冬鳥、美しい鳥です。
家に戻ってごちゃごちゃしてたら、COCOが猫窓から見ている風景が夕暮れ近くになっていました。時計を見たら3時50分、慌ててカメラを持って飛び出しました。
午後4時前、城東町5丁目の市営住宅の外階段の踊り場から見た赤城山です。時間がないので一番近いビューポイントを選びました。風が吹いていましたので、稜線がすごくくっきりと見えていました。赤城の寝牛が見られそうです。
16時5分の赤城山、鍋割の影が牛の頭になりました。
5分後の16時10分です。影の形が微妙に変化して行きます。
16時15分、これでは牛の頭に見えないかな…、最初の16時5分のが一番牛の頭らしく見えたような気がします。
ただ、もっと西よりの地点から眺めないと、鍋割全体が牛の身体に見えるような「赤城の寝牛」にならないようです。前橋の市街地でも、利根川寄りの方が良いみたいですよ。
赤城の寝牛を眺めてたら、すぐ下の家の塀の上を黒白の猫が通って行きました。赤城山の西側には、谷川岳も遠望できました。雪はだいぶとけてしまったみたいですね、暖かかったですから。
夕食は煮込みおでんでした。でもね、お腹が空いていたので写真を撮らずに食べちゃいました。食べ残しの写真です。
制作途中の写真がありましたのでご覧ください。袋は二種類、牛肉と野菜、おろし蓮根と銀杏です。それとキャベツロールです。昆布も巻きました。大根、玉子、こんにゃく、はんぺん、さつま揚げ、ごぼう天、つみれも入っていたんです。
11月14日の体温 7:40 36.5℃ 15:00 36.6℃ 22:00 36.7℃
今朝の血圧 7:40 最高 129 最低 71
今朝の体温 7:40 36.5 ℃
若柳吉駒でございます。4月12日に開催を予定しておりました第77回美登利会につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期してまいりましたが、秋になりましても、お客様に足をお運びいただくうえでいろいろな心配が解消できませんことから、来年の春まで延期させていただくことといたしました。誠に申し訳なく存じますが、どうぞお許しの上、来春の開催までのお待ちをお願い申し上げます。
第76回美登利会と三代目吉駒襲名リサイタルの舞台はこちらでご覧いただけます。
お稽古場は前橋市城東町、詳しくはこちらをご覧ください。
父の書棚からみつけた福田貂太郎さんの『前橋今昔』を、山猫書房さんに引き取っていただきました。私より大事にしてくださる方のもとに行ってもらいたいです。
『前橋今昔』は、前橋市立図書館で拝見したことがあります。素敵な絵と文、欲しい方はたくさんいらっしゃると思いますよ。
ちなみに、福田貂太郎さんについては、前橋文学館から「福田貂太郎 画と書と文と」という書籍が刊行されています。800円だったかな。手軽に、福田貂太郎さんを知ることのできる良い出版物です。
お知らせありがとうございます。