猫のキキとヒゲおじさんのあんじゃあない毎日

『あんじゃあない』って、心配ない、大丈夫っていう群馬の言葉、いい歳こいたキキとおヒゲのどうってことない前橋の暮らしです

仏壇じまいした日は、「猫の文学誌」を紹介します…

2018-10-20 07:02:37 | あんじゃあない毎日

京都の東山、「永観堂」の阿弥陀堂脇にある松の木の葉を丸めたお守りです。「三枝の松」とよばれる葉が三枚の松葉で私が作りました。

 昨日は千代田町にある二代目吉駒の稽古場兼住いに設えられていた仏壇を片づけました。高岑院(こうしんいん)のご住職に法要をお願いして、朝日町のユキ子さん両親の家の仏壇一つにまとめ、祀られていた仏像とユキ子さんの祖母の初代吉駒、伯母の二代目吉駒の位牌は、高岑院の位牌堂へ移していただきました。
この間、ユキ子さんと宏子さんの2人が、お守りをしてきてくれたのですが、伯母の一周忌が無事にすんだのを期に、「仏壇じまい」となりました。

 この家は、1957年(昭和32年)に建てられた家です。前橋空襲で焼け野原になった前橋の中心市街地が戦災復興事業でようやく町の形を取り戻した時期の建物です。
仏壇は、当時の職人さんが茶の間に誂えてくれたものと聞いています。法要の後、仏壇の中を片づけていたら、「これ、恭一さんの…」って、ユキ子さんが言ったのが永観堂の松葉なんです。
ずいぶん前のことです。京都に出かけた私が永観堂に寄って、伯母さんのためにつくって来たっていうことです。仔細は記憶にありませんが、大事にしていただいていたことをありがたく思います。

今にも雨が降り出しそうなどんよりとした一日でした。
年内には、千代田町の家の片づけが終わりそうです。あれこれ、雑事が続いているんです。

昨日のことではないのですが、こないだまちの中で出会った読者の方から、猫をテーマにするか、登場させるかしている文学作品の手引書はないのかと問われました。今日はそのことを書きおきます。

 

 キキと暮らすようになって、猫の理解者になるために、数十冊の猫本を買い込んだのですが、その中には当然猫の文学誌も含まれていました。
写真は、私が作ってあげたキャットウォークの上のキキです。運動用にと寝室の壁面に設えたんですけど、追いかけっこして遊ぶと、キキは必ずここへ駈け上って「どんなもんだ!」って威張ってました。

 で、この本は「猫」、クラフト・エビング商会プレゼンツ 中央公論新社:2004年刊 です。
有馬頼義、猪熊弦一郎、井伏鱒二、大佛次郎、尾高京子、坂西志保、滝井孝作、谷崎潤一郎、壺井栄、寺田虎彦、柳田國男の作品が収録されています。そして、 クラフト・エビング商会の「探し物 忘れ物」という題の楽しい黒猫の絵入りのお話のおまけ付です。猫が好きになる本です。
ちなみに、クラフト・エビング商会は、グラフィック・デザイナーで著作家の吉田篤弘と吉田浩美の二人からなる素敵なユニットです。

 次は、猫の文学誌の大名著、「鈴の音が聞こえる 猫の古典文学誌」 田中貴子著 淡交社:2001年刊 です。
平安時代の王朝文学から江戸時代の庶民の読み物まで、文学の中で猫がどのように扱われてきたのかを、ものすごくきちんと解析した、専門的かつ滅茶苦茶に楽しい文学誌です。
ちなみに、キキは清少納言好みの猫のようでした。

田中貴子さんは中世文学を専攻する国文学者、甲南大学の教授です。2004年には、『あやかし考』(平凡社刊)という著作でサントリー文学賞を受賞しています。

 <おい、ちょいと難しそうだぜ、もうちっと笑って読めるものねえのかよ?>
「べつにさ、どっちも難しくはないよ、たのしく読めますよ」
<でもさ、手軽なのがいいやいね…>、笑い猫からの注文ですので…

  最近刊行された文庫本です。
「世界は今、猫のものになる」というキャッチコピーで売り出された「猫の文学館Ⅰ」 和田博文編 ちくま文庫:2017年 と、「この世界の境界を越える猫」というレベルアップしたキャッチコピーの「猫の文学館Ⅱ」 和田博文編 ちくま文庫:2017年刊 の二冊です。
「猫の文学館Ⅰ」は、
 1のら猫・外猫・飼い猫 2仔猫がふえる 3猫も夢を見る

 4猫には何軒の家がある? 5そんなにねずみが食べたいか
 6パリの猫、アテネの猫  編者エッセイ 猫が宿る日本語
ということで、大佛次郎、寺田寅彦、太宰治、鴨居羊子、向田邦子、村上春樹などの作品が収録されているのですが、ものすごく多いのです。詳しくは。こちらに収録作品一覧があります。
「猫の文学館Ⅱ」は、
 1死んだ猫のゆくえ 2ペット・ロス症候群

 3猫の精霊ばかりが住む町 4化け猫と不思議な話
 5猫の一族  編者エッセイ 日常と異界の往還
ということで、佐藤春夫、夏目漱石、吉行淳之介、星新一、武田花なんかが収録されているのですが、とにかくいっぱい集録されています。収録作品はこちらをご覧ください。

ちなみに、編者の和田さんは、東京女子大学教授の近現代文学の専門家です。とにかくたくさん知りたい方には、とても好都合な文庫本です。

 

 という訳で、「仏壇じまい」のお手伝いしてたんで、猫本の話にしました。私のすぐ脇には、猫フェスのキャン猫をしているキキの写真がじっと見つめてくれています。
そうなんです、前橋ネコフェス2018は、明日、21日にスタートするんです。
糸駒は、21日、前橋市民文化会館で開かれる、前橋市民文化祭「日本舞踊のつどい」で、筝曲「茶音頭」を舞います。子ども体験教室に参加してくれた子どもたちも出演します。どうぞご来場ください。

 

 

 直派若柳流の若柳糸駒ことユキ子でございます。

祖母の初代若柳吉駒、そして伯母の吉啓、二代目吉駒と昭和12年から続けてまいりました美登利会を引き継がせていただきました。
二代目吉駒の遺志と教えをしっかり守って、一生懸命つとめてまいりますので、よろしくお引き立ていただきますようお願い申し上げます。

4月8日の第75回美登利会の舞台の様子はコチラでご覧になれます。
お稽古場は前橋市城東町四丁目です。詳しくはコチラをご覧ください


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