坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

ワシントン・ナショナル・ギャラリー展の見どころ①

2011年02月26日 | 展覧会
今年の印象派展では、最大規模になる本展は、印象派への架け橋となったコロー、マネから始まり、モネ、ルノワール、ピサロ、ドガ、カサットら印象派にいたり、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、スーラなど印象派から影響を受けながらもそれぞれの表現によって乗り越えていったポスト印象派の作品群、日本初公開作品(油彩、版画、素描を含む)約50点を含む全83点が展覧されます。〈これを見ずに印象派は語れない〉という本展のキャッチフレーズのように、明暗表現に革新を起こした1870年代からの名作の数々が登場します。
・掲載作品 ルノワール「ポン・ヌフ、パリ」1872年 ルノワールの最も印象派に接近し技法的にも影響を受けた作品です。セーヌ川にかかるもっとも古い橋の近くにあるカフェの上階の部屋を借りて、制作した作品で、地平線を画面のほぼ2分の1にとり空を広くとった俯瞰した構図ですがすがしい陽光あふれる作品です。印象派は光と影を追求しましたが、画中行きかう人々の影は青みを帯びて、全体の明るい青を基調としたハーモニーを奏でています。

◆ワシントン・ナショナル・ギャラリー展/6月8日~9月5日/国立新美術館
 京都展/9月13日~11月27日/京都市美術館