坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

家族を描いたモーリス・ドニの魅力

2011年02月07日 | 展覧会
ボナールらとともに、フランスの象徴派として20世紀の初め、新しい絵画の潮流をつくりだしたモーリス・ドニ。文学や聖書、神話から紡ぎだした独特のテーマと神秘的な色彩によって物語のある世界へと導きました。
掲載作品は、参考として昨年開催されたオルセー美術館展に出品されたもので、象徴派的な傾向の強い作品となっています。一方で、ドニは敬虔なカトリック教徒であり、平穏な日常の家族の姿を多く描きとめました。この展覧会では子供や家族の親密な情景が頻繁に登場します。その作品の流れの中で子供たちが成長する姿が発見できます。パリの郊外の自宅や海外旅行などを含めて子供たちを描きとめたドニの作品世界が、日本で初公開作品を含めて展覧される内容となっています。

◆モーリス・ドニ展/4月16日~6月12日/山梨県立美術館他