坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

コミックに通じる幕末の絵師、国芳展

2011年02月03日 | 展覧会
今日は、節分。一歩春に近づいたようなお天気でした。グランヴィルと同時代の日本に目を移すと、戯画の達人とも言える幕末の浮世絵師、歌川国芳(1797~1861)が活躍しました。近年とくに若い世代にも人気が高まっています。「水滸伝」の登場人物をダイナミックに描いた武者絵、没後150年記念として開催される本展では、「宮本武蔵の鯨退治」大判錦絵三枚続は、大海原に浮きあがる巨大なクジラの上にまたがり剣をつき立てる奇想天外なスケール感で圧倒。無類の猫好きであった国芳は、猫百態を思わせる猫のたこという文字の作品も。掲載の役者絵の顔も人物がパズルのように組み合わされて表わされています。奇抜なアイデアと想像力が現代にも躍動します。
もう一世代前の奇想の画家、長沢芦雪の大規模な回顧展もこの春開催されます。

◆没後150年 歌川国芳展/4月12日~6月5日/大阪市立美術館他巡回展あり
◆長沢芦雪 奇は新なり/3月12日/MIHO MUSEUM(滋賀県)