我が家の地球防衛艦隊

ヤマトマガジンで連載された宇宙戦艦ヤマト復活篇 第0部「アクエリアス・アルゴリズム」設定考証チームに参加しました。

ゼルグートの系譜(ゼルグート級航宙戦闘艦 その2)

2022-09-18 22:02:41 | 1/1000 ドメラーズⅢ世(バンダイ)


 大ガミラス帝星末期における最強艦艇の一つ、ゼルグート級航宙戦闘艦は全長700メートルを超える巨躯とそれに見合う攻防性能、ガミラス航宙艦隊全軍を管制可能な指揮統制能力、更には艦の機能中枢を分離可能という複雑な構造も相まって非常に高価な艦であり、大ガミラスにおいても希少種に分類されている。
 実際、初期の建造数は僅か三隻に過ぎず、しかもその内の二隻は帝国総統及び国家元帥の座上艦とされていたのだから、その希少性・特殊性は論を待たない。
 しかし、そんなゼルグート級を取り巻く環境はデスラー紀元103年に激変してしまう。
 ガミラス帝星より遥か16万8千光年彼方の天の川銀河辺境に位置するゾル星系第三惑星「テロン」。当時、未だ惑星単位の統一政体すら確立していなかった“後進国”との局地紛争を契機に、あれほど強大に思われたアベルト・デスラー帝国総統を頂点とする大ガミラスの国家体制が突如として崩壊、総統アベルトも行方不明となってしまったのである。そして、この間の一連の戦闘と混乱の中で、三隻のゼルグート級も全艦が喪われてしまう。
 以降のガミラス帝国は、これまでのイスカンダル主義に基づく強引な膨張政策の反動や、行方不明となる前に総統アベルトがバレラス軌道上で見せた乱心に対する驚愕もあり、激しい混乱期・停滞期に突入した(帝星議会の全会一致で総統位を剥奪されたアベルト・デスラーの“真意”が明らかになるには、更に四年の歳月を待たねばならない)。
 アベルト無き後のガミラスを考えると、国家的カリスマ足り得る新総統を新たに選出するか、総統を頂点とする現在の国家体制そのものを大掛かりに変更するか、どちらかの処方が必須と考えられた。だが、奇妙なことにアベルト消息不明以降も総統位は空位のまま廃止もされず、“帝国/帝星”の国家呼称も存続した。
 これは、当時の副総統兼内務省長官レドフ・ヒスが帝国内に存続する貴族階級の権威的協力を取り付けるための深謀遠慮だったとする説が根強い。つまり、継承順位序列第一位であるヒスが次期総統就任を辞退しつつ、しかし総統位はあえて残すことで、有力貴族たちに「次期総統」という名の“夢”を見せ、それをエサに国家維持の協力を取り付けたという訳だ。

 こうして、体制はともかく帝国自体の崩壊は辛うじて食い止められたものの、実際問題として当時の帝国に特殊で高価なゼルグート級を増備する必要性はそれほど高くなかった。通常、一戦場に投入される戦力単位としては千隻程度が最大であったし、この場合、艦隊は百隻単位の分艦隊複数で構成されることになる。その程度の規模であれば、比較的近年就役を開始したハイゼラード級航宙戦艦や近代改装後のガイデロール級の指揮統制能力で十分に旗艦任務に堪えたからだ。
 この点、ゼルグート級航宙戦闘艦は強大なガミラス帝国航宙艦隊においてすら性能的に持て余すほどのハイスペックと、ある種の象徴性を重視して建造・配備された艦だったと言えるだろう。
 だが、当初は軍内部でも増備の必要なしという判断が大勢を占めたゼルグート級であったが、最終的には二隻の追加建造が決定した。
 未だ一万隻近い規模を誇る航宙艦隊総旗艦用の四番艦と、新たに安全保障条約を締結した惑星国家テロンに派遣される全権大使用の五番艦である。いずれもガミラス歴(デスラー紀元に代わり制定)1003年に就役している。
 航宙艦隊旗艦用は、実質的には総司令官ガル・ディッツ提督専用艦であった。提督は政治とは常に距離を置く武人肌の軍人として知られ、非貴族階級の将兵たちからも「オヤジ」と慕われるガミラス帝国軍では珍しいタイプの将帥である。
 総統空位後、帝国軍内部では、あくまでアベルト・デスラーに忠誠を誓う一派や、この機に乗じて勢力の拡大を図ろうとする帝国貴族、植民地化された母星を独立させようとする二等ガミラス人部隊などが跳梁し、統制が大きく乱れた。この混乱に対しディッツ提督は、自らの人望と直卒戦力の緊急派兵などの果断な行動で帝国軍全体を短期間で掌握、帝国内独立勢力の鎮静化にも大きな役割を果たした。
 こうした点をヒス副総統や文官出身の各省長官たちは高く評価しており、帝国の新体制が再び盤石となるまでディッツ提督を絶対に失ってはならないとして、最も生存性の高い専用艦を整備することが決定したのである。この際、専用艦の建造を最も強く推したのが開発振興省(旧支配統治省)長官であったことが、当時の帝国の状況を如実に示していると言えるだろう。
 とはいえ、専用艦配備以降も帝国上層部はディッツ提督が前線に出ることに難色を示し続け、提督が専用艦を積極的に用いるようになるのは、帝国とアベルト・デスラー前総統との和解が成立した後となった。

 航宙艦隊総旗艦用の四番艦はともかく、辺境の小国に過ぎないテロン大使用にゼルグート級五番艦が充てられたことは発表当時、大きな驚きをもって迎えられた。しかし、テロンが独自開発したゲシュ=ダールバム(テロン呼称“波動砲”)と「時間断層」の存在を知る帝国上層部にとっては意外でも何でもなかった。それどころか、イスカンダル王国からの技術供与を受けて一気に星間国家へと飛躍したこの小国との関係性が、今後の天の川銀河内ガミラス領域の命運を握るとまで考えられていた。
 様々な経済的・軍事的施策を打っても尚、アベルト・デスラー消息不明後の混乱から脱し切れない当時のガミラス帝国は、大・小マゼラン領域の維持にリソースの大半を費やさざるを得ず、天の川銀河へのパワープロジェクションは今後縮小の一途を辿るのは確定事項だった。そのような状況の中で、未だ人口や領域規模は極めて限られるものの、惑星破壊すら可能な戦略砲を大量配備し得るポテンシャルを有するテロンは、天の川銀河における得難い“番犬”としての価値を持つと理解されていたのである。しかし、扱いを誤れば飼い主にすら牙を剥きかねないのが番犬という存在である以上、常に飼い主の存在を意識させる“重石”も不可欠と考えられた。それが、大ガミラス最強艦の一角、ゼルグート級派遣の意味であった。
 実のところ、既にゲシュ=ダールバムを実用化しているテロンに対しゼルグート級が重石足りえるのかという実際的懸念もあり、一時はデウスーラⅡ級の艦級名を変更した上で追加建造するというプランも存在したが、イスカンダル王国との関係性(当時のバレラスにはユリーシャ第三皇女が長期行啓されていた)を考慮して本プランは中止されている。



 こうして追加建造された二隻のゼルグート級は、先行して建造された三隻と区別する際は「後期型」とも称されるが、前期型三隻との間に仕様的・性能的な差異はない。三番艦「ドメラーズⅢ」に七色星団海戦前に急遽仮設された物質転送機の設置も見合されている。
 物質転送機の使用にはゲシュタム機関の過負荷稼働が必要であり、転送機を連続使用することで機関出力が大きく低下してしまうことが七色星団海戦の戦訓として明らかになっていたからである。機関出力の低下はゲシュタム機関搭載艦艇にとって攻防走性能の低下そのものを意味し、七色星団海戦の最終局面における砲雷撃戦の結果にも重大な影響を及ぼしたとされている。
 純技術的な問題から物質転送機の設置こそ断念されたものの、それでも本級の攻防性能は折り紙つきであり、五番艦「バンクレイブⅣ」は“滅びの方舟”を押し立てたガトランティス帝国本国軍のテロン襲来の際、在テロン・ガミラス軍旗艦として参戦。テロン近傍にて繰り広げられた一連の戦闘で、「バンクレイブⅣ」は自爆兵器「イーターⅠ」を含む多数の被弾を被りつつも終戦まで戦い抜き、座上していたローレン・バレル全権特命大使も無事生還を果たしている。
 また、四番艦「デルツムントⅧ」もディッツ提督と共に解放直後のガルマン星防備の任に就き、その後、三次に渡ったボラー連邦艦隊による反攻作戦を全て頓挫に追い込んでいる。
 いずれの戦いも、侵攻してきたボラー艦隊の規模はガミラス守備艦隊の数倍であったが、ガミラス艦隊はアベルト・デスラー統治下で連綿と磨き上げられた艦隊機動戦術を駆使して数に勝るボラー艦隊を徹底的に翻弄、撤退時のボラー艦隊の損耗率は実に70%に達したとされる。
 この戦果は、ゼルグート級の個艦戦闘能力というよりも、ディッツ提督とその部下たちの非凡な戦術能力に負うところが大であったが、その実現にあたり旗艦である「デルツムントⅧ」の指揮統制能力が大きな効果を発揮したことは言うまでもない。
 第一次アベルト・デスラー治世から第二次治世に至るまでの間、ゼルグート級は僅か二隻だけの存在ながら十分な働きと存在感を示し、本級のポテンシャルの高さを改めて証明した。



 しかしその一方で、ゼルグート級には全く異なる印象を放つ“亜種”が存在する。テロンの時間断層内で大量建造された「準ゼルグート級航宙突入艦」である。
 この艦の実現には、ガトランティス帝国と先述したテロンとの同盟締結が大きく関わっている。
 シャンブロウ沖海戦及びそれに先立つマゼラン外縁部での遭遇戦においてガトランティス軍が使用した「火焔直撃砲」はガミラス帝国軍に大きすぎる衝撃をもたらした。戦力規模はともかく、科学力では遥かに劣る“蛮族”と捉えていたガトランティス軍から完全なアウトレンジ攻撃を決められ、実質二個艦隊が壊滅した――しかも壊滅した艦隊にはゼルグート級一番艦も含まれていた――という事実はガミラス軍にとってそれほどの重みがあったのである。
 しかし、火焔直撃砲の技術的核心はガミラス人科学奴隷がもたらしたガ式物質転送機であると早期に判明した為、対抗策は比較的に容易に編み出された。物質転送機の発する転送波により形成されるワームホール(ゲシュタムの穴)に対し、強力な逆位相波を指向放出することでワームホールを中和・消失させるという対抗兵器である。
 この逆位相発振器を火焔直撃砲のゼロ距離射撃にも抗堪し得る重装甲の防御壁に組み込んだ新兵器は「ガミラス臣民の壁」と命名され、火焔直撃砲に対するガミラス軍の切り札として大いに期待された。
 しかし、開発と実戦投入が急がれた兵器だけに問題もあった。
 一つは、火焔直撃砲の直撃に耐える重装甲の入手性。火焔直撃砲はゼルグート級の正面装甲すら射貫可能な熱エネルギー兵器であり、テロン艦自慢のゲシュタム・ウォールですら直撃には耐えられないとされていた。当初、短期間での装甲材あるいは防御構造の開発は不可能と考えられたが、意外にも解決策は安保条約を締結したばかりのテロンからもたらされた。
 ゾル星系第六惑星ゼダンの衛星で産出する希少鉱物を用いることで、極めて耐熱・耐衝撃効果の高い特殊合金を得ることができるという技術提案であった(テロンでは、本合金を自国産ゲシュタム機関の一部に使用していた)。
 この合金を用いた「壁」は強度的には申し分のない性能を有したものの、問題はやはりその入手性であった。唯一の原料産出地が天の川銀河辺境のゾル星系とあっては(しかも産出量も限られた)、帝国各地の工廠で同時に大量生産するのは現実的に不可能であったからだ。
 それだけでも、帝国各地でガトランティス軍との交戦が相次いでいるガミラス軍にとって大問題であったが、更に大きな問題があった。
 一先ず完成とされた「壁」であったが、その起動に必要なエネルギー量は計画値よりも遥かに大きく、「壁」内に設置可能なジェネレーターに加えて外部からのエネルギー供給――それも、ゼルグート・クラスの大型ゲシュタム機関からのエネルギー供給――と座標保持のための慣性制御が不可欠だったのである。
 時にガミラス歴1002年。当時は後期型ゼルグート級二隻のいずれもが建造中という状況であり、追加建造の予定も皆無であったから、せっかくの対抗兵器も「実際には使えない兵器」という烙印を押されてしまう。もちろん、より小出力で使用可能な「壁」の開発・改良も引き続き進められてはいたが、短期間で画期的成果を出すことも現実的に難しかった。
 だが、ガトランティス帝国軍との交戦も、メダルーサ級による損害も拡大の一途を辿っている状況から、帝国政府と帝国軍は一つの大きな決断を下す。
 テロンから権利譲渡を受けた時間断層工廠ガミラス管理区画での、ガミラス臣民の壁及び「簡易構造型ゼルグート級」の急速量産建造である。
 本級は外観や全長、搭載機関の出力こそゼルグート級と同一であったが、艦内構造はもちろん、用いられている装甲や船殻構造材、艤装品は量産性を優先したダウングレードと簡易化が徹底的に行われており、建造コスト・工数はオリジナルの実に30%にまで低減されている。
 この簡易型ゼルグート級は「準ゼルグート級航宙突入艦」と新たに命名され、ガトランティス戦争末期にガミラス臣民の壁と共にテロン戦線に大量投入された。
 当初は対・火焔直撃砲兵器としての配備であったが、そのワームホール中和能力が出力強化により艦艇のゲシュタムジャンプすら阻害可能であることが注目され、結果的に白色彗星やガトランティス遊動艦隊のジャンプ封じに多数が用いられた。その点、準ゼルグート級とガミラス臣民の盾は、ガミラス/テロン連合軍の遅滞防御戦術の成立に決定的な役割を果たしたと言えるだろう。
 だが、そうした役割故に、準ゼルグート級は「壁」と共にガトランティス帝国軍からは最優先攻撃目標とされ、多くの喪失艦を出している。
 本級については簡易構造故の直接防御力の低下や乗員数低減によるダメージコントロール能力の不足といったマイナスの側面が指摘されることが多いが、700メートルを超える巨躯そのものと、簡易化によって生じた余剰空間を一種のスペースドアーマーとすることで、実戦における本級は意外なほどの打たれ強さを発揮した。しかしそれでも尚、ガトランティス帝国軍の圧倒的物量と狂信的なまでの攻撃密度には抗し切れず、時間断層工廠ガミラス管理区画で建造された準ゼルグート級の実に九割がガトランティス戦役中に喪われている。
 尚、配備当初は様々な問題点があったガミラス臣民の壁も、その後の改良作業を時間断層内に設置された開発AIに引き継いだことで短期間の内に性能が大幅に向上した。エネルギー効率が改善された改良型の“壁”は、ケルカピア級二隻程度からのエネルギー供給でも十分に稼働可能であり、機関出力に余裕のあるゼルグート級であれば、最大十枚を同時稼働させることすら可能となった。
 だが、ガトランティス戦役後のテロン政府による時間断層の放棄決定と、戦役によってゾル星系第六惑星ゼダンが大きなダメージを受け、衛星での鉱物資源採掘が事実上不可能となってしまったために、現在「壁」の建造は完全に停止している。

 多数が建造された準ゼルグート級は、ガトランティス戦役末期の混乱の影響もあり、ガミラス帝国内の叛乱勢力に強奪された艦や、当時は非合法化していたアベルト・デスラー派に横流しに近い形で譲渡された艦も複数存在する。しかし、そのサイズと各部の簡易化故に維持運用に多くの労力とコストを要する上に、本級の最大の存在理由であった「ガミラス臣民の壁」が改良によってケルカピア級二隻程度からのエネルギー供給でも稼働可能になった事、「壁」自体の残存数が極めて少なく、今後の補充も目処が立たないことから、ガトランティス戦役後、準ゼルグート級の戦力価値は大きく低下した。
 このため、デスラー派が合流した後のガミラス軍においても遠くない将来全艦が退役すると予想されているが、本級をベースとした改装艦や発展型艦艇の計画が存在するとも一部では噂されている。




皆さま、お久しぶりです。
何やら急に思い立ちまして、ゼルグート級についての小咄を書いてしまいました。
あくまで宇宙戦艦ヤマト2199、2202、2205を観終えた上での自分なりの解釈でして、内容の妥当性についての確信は皆無です(笑)
ただ、2202第一章公開当時から抱えていたゼルグート級に対するモヤモヤした気持ちをようやく整理できた想いです。

2199では最新鋭艦であり僅か3隻だけの存在と説明されていたゼルグート級が、2202では冒頭から多数登場し、「旧式」とかバックネット裏から「初期型」とか説明されたことにとても残念な気持ちを覚えました。
大好きな艦だっただけに、「乱用」とか「雑に扱われた」みたいな感情的反発もあったと思います。
今回の小咄においては、ゼルグート級の中でサブタイプを作ることで、2199に登場したゼルグートと2202以降のゼルグートを差別化しています――が、2202登場艦を極端に卑下するようなこともしていないと思います(笑)
あくまで、当時の星間情勢上、ゼルグートの形をした艦がワラワラと登場するとすれば、それがどのような艦になるのかを突き詰めた結果です(さすがに文中に書いたくらいのコストダウンは難しいと思いますが、逆に短期間に大量建造された量産効果で実現できた――と大目に見てやって下さい)

私の中の「ゼルグート級は特別」「ガミラス最強艦の一角」という想いが強すぎる文章となりましたが、生易しく見守っていただければと思います。
尚、ゼルグート級については2199完結直後にも設定妄想を書いています。
2205どころか2202の公開前のものであり、今読み返すと笑ってしまうところも多いですが、この機会に目を通していただけましたらありがたいです。

では、またいつかどこかでお会いしましょう。
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ゼルグート級設定妄想を『星巡る方舟』対応版に改定しました。

2014-12-07 15:09:47 | 1/1000 ドメラーズⅢ世(バンダイ)
『星巡る方舟』劇場公開前にネット公開された冒頭部分で、ゼルグートⅡ世がボカ沈を食らってしまいました!!Σ( ̄ロ ̄lll) ガビーン
先日アップしたばかりのゼルグート級の設定妄想では、ゼルグートⅡ世は生き残るとしていましたが、その点について変更しなければならなくなった訳です(ノ△・。)
とはいえ、せっかくの修正ですので、ついでに後継艦についても少し書き足しています。

『ゼルグート級/ドメラーズ3世の設定を妄想してみる(“星巡る方舟”対応版)』

修正・加筆部分は文章の最後の方です。
宜しければご覧下さいませm(__)m

また、今回の『星巡る方舟』に対応した加筆修正によって、文字数が記事の最大規定数を超えてしまいましたので、『あとがき』を別記事化しています。

『ゼルグート級設定妄想のあとがき』

いやー、リアルタイムで進行している作品のネタを書くと、こういう事態が起こり得るということが今回良く分かりましたよ(^o^;)
コメント (6)
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ゼルグート級/ドメラーズ3世の設定を妄想してみる。

2014-11-22 23:12:44 | 1/1000 ドメラーズⅢ世(バンダイ)
『ゼルグート級一等航宙戦闘艦』


 大ガミラス帝国 中央軍総監ヘルム・ゼーリック国家元帥の主導により建造された超大型戦闘艦。
 国家元帥の信奉する大艦巨砲主義を色濃く反映した仕様・装備が700メートルを超える巨躯に施されており、建造時点における個艦戦闘能力は名実共にガミラス帝国最強であった。
 但し、本級は国家元帥の指示により新規設計された艦ではない。ベースとなったのはデスラー紀元97年、小マゼラン銀河外縁におけるガトランティス帝国との交戦後に提案された『航宙戦闘艦』試案である。



 ガトランティス帝国との遭遇は、アベルト・デスラー総統就任後のガミラス帝国の膨張戦略(イスカンダル主義の浸透・拡大)にとって大きな試練となった。
 デスラー治世末期における親衛隊の蛮行から、一般的にガミラスの膨張戦略は諸惑星を片端から武力で侵略したかのように思われがちだが、決してそうではない。特に初期においては、直接的な武力行使を回避する方針が徹底されており、未だ各惑星国家に“伝説”として根強い影響力を有するイスカンダルの名を騙った懐柔や取り込みが多用されていた。だが、そうした穏当な外交戦略下での勢力拡大には自ずと限界があり、やがて親衛隊を中心とした謀略を用いての傀儡政権樹立、圧倒的科学力・軍事力を前面に押し立てた恫喝による領土割譲や併合といったダーティーな手段が用いられるケースも徐々に増加していったのである。
 それでも、実際に大規模な武力行使に至るような事態は非常に稀であり、そうした僅かな大規模紛争にしても、それはガミラスが質・量共に圧倒的な軍事上の優位を有する場合に限られた。当然、紛争は短期間の内にガミラスの勝利で終わるのが常であり、周辺国にはガミラスの圧倒的強大さのみが強く印象付けられたことで、後の外交関係にも無視できない影響を及ぼした。
 これは決して偶然ではなく、仮に紛争に到った場合、紛争の長期化が予想されるような強国に対しては、強硬な外交アプローチが慎重に避けられていたことが原因だった。
 アベルト・デスラーがその治世の当初、『非戦の天才』として国民から絶賛された所以はここにある。
 彼は、軍事力の行使よりも威嚇効果を何よりも重視し、更には“勝ち易きに勝つ”という戦略を徹底することで、ほぼ無傷のまま巨大な帝国版図を着々と築き上げていったのである。
 そうして帝国に取り込まれた各国・諸勢力は、産業や経済等、幾つかの分野で強引なまでの“ガミラス化”が図られた。勿論、軍事力もその例外ではなく(寧ろ、最も力が注がれた分野だった)、各国軍の“ガミラス軍化”は急速に進むことになる。
 ガミラス式に再編された各国軍は、ガミラス人の指導下で自国民が自国工業力を用いて建造したガミラス艦艇に乗り込み、最大でも旅団規模の比較的小さな部隊編成に細分化された上で、各地のガミラス正規軍へと次々に組み込まれていった。こうした編成や配置は各国軍の離反や叛乱を防ぐと共に、領域の拡大に伴い数的不足が深刻化していたガミラス軍を補完する上で非常に効果的であった。再編された各国軍を大量に取り込んだこともあって、ガミラス軍の規模は僅かな期間で一挙に十数倍にも拡大し、大小マゼラン銀河全域を掌握するに足る戦力の捻出がようやく可能となったのである(ガミラス軍の規模拡大においては、汎用ドロイド――ガミロイド――の大量配備も大きな効果を発揮している)。
 こうして軍事力における最重要ファクターである“数”を満たしたガミラス軍であったが、士気や技量の点で不安の残る各国軍や戦術判断の柔軟性に難のあるガミロイドを大量に組み込んだ代償として、単位規模あたりの平均戦闘能力は大幅な低下を余儀なくされた。だが、ガミラス(デスラー)の基本戦略は戦わずして勝つ(屈服させる)ことであり、問題が顕在化することは殆どなかった。
 更に、数少ない軍事力の行使においては、ほぼガミラス人のみで構成された精鋭の機動戦略予備(空間機甲師団)が投入され、空洞化が進みつつあったガミラス軍の実情を覆い隠すだけでなく、周辺諸国には“精強ガミラス軍”のイメージを植え付ける上で格好の軍事デモンストレーションとされた。
 また実働面においても、長年に渡ってガミラスが掌握してきた超空間ネットワーク網が再整備・再編成の上で活用され、限られた戦力を迅速に集中させることで紛争時のコストを最小化していた。



 ガミラス帝国の版図は、有力国家との衝突を意図的に回避したが故に当初こそ斑模様であったものの、帝国の国力・軍事力の急激な伸長に伴い、それも確実に塗り潰されていく運命にあった。
 仮に当初から全てに戦争を吹っかけるような侵略行為を銀河規模で行っていた場合、国力的には大マゼラン銀河の中規模星間国家に過ぎなかったガミラスでは、いかにイスカンダル譲りの優れた科学軍事力を有していようとも、その統一には数世代・数世紀に渡る年月を要したであろうことは想像に難くない。その点、軍事力を“振るう”ことよりも“見せる”ことで諸勢力を次々に併呑していったデスラーの戦略は、彼一流の政治・外交・軍事のバランス感覚に依存したものではあったが、その感覚が治世当初は文字通り“天才的”であっただけに、効果は絶大だった。その証拠に、僅か十数年間の内にガミラスの勢力圏は大・小マゼラン銀河の大半にまで達した。

 しかし、あまりに急激な勢力圏の拡大は、幾つもの無視できない“歪み”をガミラスに生みつけており、それは軍事面においても顕著であった。
 前述した、各国軍やガミロイドによる戦力の“水増し”はその最たるものであったが、ガミラスが攻勢側として投入戦力・投入時期・投入場所に選択権を有する(イニシアティブを有する)限りにおいては問題は生じず、少なくとも大規模化を完了して以降のガミラス軍に正面から全面戦争を挑んでくるような勢力は大・小マゼランには皆無だった。
 その結果、ガミラスにおける『戦争』とは自らが圧倒的優位にある場合にのみ、能動的に実行する政治・外交手段であるという認識が極端に強まり、その必然として軍事ドクトリンも自軍の圧倒的優勢下を前提として組み上げられるようになっていった。
 それ故に、デスラー紀元97年の外宇宙勢力――ガトランティス帝国軍――による小マゼラン銀河侵攻は、ガミラス帝国軍にとって青天の霹靂となった。
 ほぼ同程度の科学軍事力を有し、数的戦力においても自らに遜色のない敵手との大規模な正面対決、それも相手から殴りかかられる格好での戦争突入は、ガミラスにとってもほぼ初めての経験だったからである。

 数ヶ月にも及ぶ激しい戦闘の末、ガミラス軍は辛うじてガトランティス軍の撃退に成功したものの、奇襲を受けて壊滅した現地軍を筆頭に、自らもまた甚大な損害を被った。損害は速やかに各地からの増援によって補填されたが、皮肉にもガミラス軍内部の混乱は終息するどころか、寧ろ戦闘後において拡大する結果となった。
 原因は戦闘後に行われた戦訓調査の結果にあった。調査レポートは、従来のガミラス軍の基本戦術である長距離雷撃と肉薄砲雷撃の連係戦の効果が非常に乏しいことを指摘していたからだ。



 当時のガミラス軍の戦術ドクトリンでは、大型艦(主力であるガイデロール級及びデストリア級)が遠距離から大量の宇宙魚雷を投射することで先制攻撃を加え、その混乱に乗じて急迫した快速小型艦(ケルカピア級とクリピテラ級)が肉迫砲雷撃を成功させるというものであった。
 本戦術は“二重飽和攻撃”とも呼ばれ、自らよりも戦力に劣る敵手に対しては絶大な効果を発揮するが、自らと同等以上の戦闘能力を有する敵手には決定力が不足していた。また、ガトランティス艦艇の有する主力火砲――回転速射砲――が中・近距離における速射性に優れていたことも、この傾向に拍車をかけていた。
 乾坤一擲の遠距離雷撃を濃密な阻止火網によって封殺されている以上、未だ十分に統制を維持した大艦隊に対する中小艦艇による正面突撃は最早自殺強要と同意であった。本来であれば、遠距離雷撃が阻止された時点で腰を据えた中・遠距離砲撃戦に戦術を切り替えるべきであったが、ガミラス艦艇は雷撃戦に特化し過ぎているが故に砲火力の点ではガトランティス艦艇に対し明らかに劣勢であり、戦術の転換も容易ではなかった。

 結果的に初のガトランティス帝国との戦闘はガミラスの辛勝に終わったが、それは装備面の優位によるものではなく、戦場が自軍勢力圏であったことによる地の利と物量、決戦兵力として投入された空間機甲軍団(複数の空間機甲師団と直轄支援部隊によって編成)の高い戦術戦闘能力、そして何より各級指揮官の臨機応変な戦闘指揮によって得られたものだった。事実、効果に乏しいとされた二重飽和攻撃にしても、奇襲に成功した場合等は絶大な効果を発揮した。
 だが、今後もガトランティス帝国軍との戦闘が高い確度で予想される以上、装備と戦術ドクトリンの改善もまた愁眉の急であり、その結果、各種の装備計画が次々に立案された(これら一連のガミラス軍内の混乱と対抗計画の乱発は後に『ガトランティス・ショック』と呼ばれることになる)。



 立案された計画は大きく以下の三つに分類することが可能であった。

 (1)既存艦艇の砲戦能力強化
 (2)既存艦艇をベースに砲戦能力を強化した新型艦の建造
 (3)新たに構築した戦術ドクトリンに基づく新型艦の建造

 上記(1)は、ペイロードに比較的余裕があり、建造隻数も多いデストリア級を対象とした改装計画が早々に実行に移された。雷装の大部分を撤去する代わりに、両舷に長砲身陽電子ビーム砲(陽電子カノン砲)を新設したもので、改装ながらもその完成度は意外に高かった。
 (2)は、既に存在していたガイデロール級及びデストリア級の後継艦計画を改正する形で、陽電子カノン砲への換装・増備により砲戦能力強化が図られた。後にそれぞれ“ハイゼラード級”と“メルトリア級”として具体化を果たした両級であったが、ドクトリンの刷新が未だ徹底されていないことを示すように、既存艦と同程度の雷装も維持されている。
 同じ新型艦でも、(2)が既存の戦術・造艦思想の延長線上に位置する存在であったのに対し、(3)は全く新しい思想に基づき提案された新規設計艦であり、従来にない大規模艦隊戦闘を迫られた航宙艦隊の繰り出した真打ちであった。それを裏付けるように、建造承認以前に『航宙戦闘艦』という新たな艦種類別が新設されており、航宙艦隊の本艦に対する期待の高さを窺い知ることができる。

 『航宙戦闘艦』は既存艦艇とは異なり大規模艦隊戦闘における中核艦たることを第一義としている。それは全長500m近い艦容にも如実に表れており、艦橋構造物は艦尾に設置され、それより前方の広大なスペースはほぼ全面的に火砲スペースに充てられていた。
 この特徴的なスタイルが意味するのは、正面から敵と向かい合った姿勢――相対姿勢――における戦闘の絶対的重視であり、防御面でも正面装甲が極端に強化されている。これに対し、側面や底部の装甲は比較的薄いとされたが、それも程度問題に過ぎず、総合的に見て、従来艦とは別次元の防御力を有しているという評価に揺るぎはない。また、本艦の想定する戦術環境は艦隊戦闘が基本であり、装甲が減ぜられている部分も他艦がフォローすれば良いとして問題視されることはなかった。
 搭載火砲は、既存の最大口径砲(330mm)を大きく上回る420mm陽電子カノン砲が予定され、正面戦闘における長距離砲撃戦能力は、(シミュレーション上ではあるが)同じく新鋭のハイゼラード級航宙戦艦の四倍にも達した。
 本艦は、艦隊戦における破城槌や重戦車としての役割を期待された存在であり、計画されたスペックはその期待にも充分に応え得るものであった。しかし、機能特化の代償として汎用性は既存艦に比べて低下している。
 航宙艦隊では、本『航宙戦闘艦』を四隻程度で構成される師団長直轄戦隊として空間機甲師団に配備する計画で、もしそれが実現すれば、各師団の大規模会戦戦力が飛躍的に向上するのは確実だった。
 しかし、航宙艦隊が非常に有効と期待した本計画は、実働寸前で大きな変更――凍結――を余儀なくされてしまう。
 凍結の理由は、総統府が突如として発表した『第二バレラス建設計画』であった。
 その目的として、ガトランティス帝国の直接侵攻に備えた“帝都防衛用機動要塞”と説明されていたが(計画発表当初、“大統合”や“遷都”といった本計画の真の目的は厳重に秘匿されていた)、全長数十キロメートルにも及ぶ空間構造物の建設には、膨大な資材と予算が必要であった。そして、本計画がデスラー総統の肝煎りで立案された以上、その実現は他のいかなる計画にも優先されるのは必然であり、結果として艦隊整備予算にも大きな制約と圧迫が加えられることになってしまったのである。
 代艦・後継艦としての価値を認められたハイゼラード級及びメルトリア級は隻数を減じつつも辛うじて建造承認されたが、全くの新規艦艇である『航宙戦闘艦』の建造は無期延期(実質的には中止)という決定が下された。
 この際、中止措置が採られたのは『航宙戦闘艦』計画のみならず、既に試験艦での実証テストを完了していた『次元潜航艦』の量産配備計画や、建造コスト高騰が取りざたされていた大型多目的艦(ゲルバデス級航宙戦闘母艦)の増備など、多岐に及ぶ。
 但し、中止された計画の代替措置としてデストリア級の改装には大幅な予算増額が認められたことから(中止された他計画に比べれば僅かな額であったが)、殆どの現役艦が数年の内に改装を完了することができた。



 政治的要因により一旦は闇に葬られた『航宙戦闘艦』計画はしかし、数年と経たずして思わぬところで再び日の目を見ることになる。
 ゼーリック国家元帥がかねてから建造を希望していた『大ガミラスを象徴するような“圧倒的”巨艦』の建造がデスラー総統に了承され、その原型艦として『航宙戦闘艦』に白羽の矢が立てられたのである(一説ではデスラー総統の建造承認は、未だ帝国全土に隠然たる影響力を有する旧貴族階級の首魁であった国家元帥の『第二バレラス計画』への全面賛同を条件とした政治取引であったとされている)。
 あえて新設計ではなく、設計流用という手法が採られたのも、建造を主導した元帥自身が一日も早い艦の完成を求めたからだった。しかし、全艦にわたって国家元帥の嗜好を反映した改設計を行った為、結果的には新設計と変らないくらいの時間と設計マンパワーを要した。
 最大の改設計は“艦尾”の追加だった。オリジナルの、汎用性を犠牲にしてまで艦橋を艦尾に設置した独特の構造は、相対姿勢での戦闘を最重視する『航宙戦闘艦』のタクティカル・ドクトリンが最も色濃く表出した部分であったが、『醜い』という国家元帥の一言で変更を余儀なくされた。その結果、新設計の艦尾が既存の主艦体に増設され、全長はほぼ五〇パーセント増し(730メートル)となった。
 但し、本変更によって艦内容積が大幅に増加したことで、大きな余剰空間が得られたことも事実であり、オリジナルでは乏しいと評されていた汎用性や冗長性を補うことが可能になった。
 国家元帥座乗艦(一番艦/ゼルグートⅡ世)及び総統御座艦(二番艦/デウスーラⅠ世)では、この余剰空間は巨大で豪奢な居住スペースや外交用貴賓スペース、ガミラス全軍の指揮すら可能な統合指揮設備に充てられた。これに対し、エルク・ドメル中将(当時)に与えられた三番艦『ドメラーズⅢ世』では指揮設備が戦術指揮用にダウングレードされると共に、巨大過ぎる居住スペースや貴賓スペースは大幅に削減されている。その代わりとして、艦隊構成艦とその将兵に対する総合補給機能(給糧・給兵・慰労等)が著しく強化された。
 また、やはり国家元帥の指示により、あえてオリジナルの試案では全廃されていた雷装が復活した。その数は実に三四門にも達し、本来は極端な空間雷撃思想からの脱却を目論んだ本級が、結果的にガミラス軍最多の魚雷発射管装備艦(就役当時)となる皮肉をもたらしている。但し、そうした改設計が可能であったのも、艦尾追加によって艦全体の冗長性が飛躍的に向上した結果でもあった。
 だが、それら際限のない国家元帥の追加要求を悉く取り込んだ結果、性能的なトータルバランスの面でやや歪な艦となってしまったのも事実だった。その歪さは特に防御性能の面で顕著であり、試案では相対姿勢での戦闘を重視した結果、前方(正面)火力・防御力が極端に重視されていたが、改設計では増設された艦尾にも主砲を含む火砲多数が設置され、オーソドックスな全周火力が追求された。本来であれば、防御力も火力に対応した全周防御が求められるべきであったが、国家元帥の追加要求を呑み込み続けた艦のリソースは既に限界に達しており、正面以外の防御力増強は等閑に付されてしまった。
 その結果、ゼルグート級の火力は側面指向時に最大能力を発揮するにもかかわらず、防御の面では前方相対時に能力が最大化するという奇妙なバランスの艦になってしまったのである。
 とはいえ、“やや不安がある”と評された側面や後部、底面の防御力ですら、ハイゼラード級航宙戦艦の主要防御区画を遥かに上回る重装甲を誇っており、バランスはともかく実用上は問題ないとされた。また、仮にこれらの箇所にも正面装甲に匹敵する重防御を施した場合、元々高いと言えなかった速度性能が一層低下すると試算されたことが本仕様を決定する上での決め手となった――だが、後にこのアンバランスな防御性能が同級三番艦の命運に少なくない影響を及ぼすことになる。



 ガミラス全軍すら統率可能な指揮管制設備(一・二番艦のみ)は主艦体ヴァイタルパート内最深部と独立艦橋とも言うべき『独立戦闘指揮艦』内にそれぞれ設置された。
 その名の通り、独立戦闘指揮艦は非常時には主艦体を捨てて単独離脱することが可能であり、艦の主の生存性のみならず、指揮統制機能の維持についても非常に高い強靭性を有している。
 一説では、独立戦闘指揮艦の高い機動性能は、本艦単独で戦場を縦横無尽に機動し、戦術指揮を行うことを想定したとも言われているが、事実は異なる。本艦の防御力はサイズ相応でしかなく、中口径砲程度の流れ弾一発でも致命傷になり得る為、その機動性はあくまで主艦体から脱出後の生存性確保を目的としていた。
 但し、本級の三番艦を預かったエルク・ドメル中将は、巨大で目立つ本艦の主艦体を囮とする戦術を何度か用いたと記録されている。中将の戦術は、主艦体を含む囮艦隊を敵には主力艦隊と誤認させ、自らは独立戦闘指揮艦で別働部隊を率い、奇襲攻撃を敢行するというものであった。
 再三に渡りドメル中将と干戈を交えたガトランティス帝国では、こうした変幻自在な作戦を駆使し、背後や直上・直下といった死角から突如として襲撃してくる中将麾下の第六空間機甲師団を『幽霊師団』と呼んで恐れたという。
 これらの事実が誇大に伝えられたことや、独立戦闘指揮艦の設計が、設計期間を短縮する為に既存の小型快速艦である『シュトルン級航宙観測艦』を大型化したものであったことも、独立戦闘指揮艦に対する誤解を招いた原因だと考えられる。同級は大規模砲雷撃戦時、攻撃対象である敵艦隊へ隠密裏に最接近を行う弾着観測艦であり、膨大な数の味方艦艇への弾着観測結果の連絡のみならず、修正指示まで行う為、巨大な電算装置と通信設備を搭載可能なだけの艦内容積を有していた。また、その生存性を直接的な攻撃力や防御力ではなく、高いステルス性と機動性能によって担保している点も、独立戦闘指揮艦のベースに相応しいと判定される根拠となっていた。



 搭載砲は、国家元帥の強い要望により砲塔数を減少させる代わりに更なる大口径化が目指され、結果的に490mmという破格の巨砲が搭載された。しかし、ガミラスといえどもこれほどの巨砲を艦載砲として製造・運用した実績は過去になく、技術的な安全性と確実性を考慮し、当初予定された陽電子カノン砲ではなく、通常の陽電子ビーム砲が採用されている。
 砲塔はガミラス初の四連装砲塔とされ、最大出力での斉射時には、放たれた各ビームが収束・結合することで飛躍的に威力が向上する。本射撃は『スーパーチャージ射撃』とも呼ばれ、カレル163会戦において、直撃時の衝撃だけでヤマトの次元波動エンジンを強制停止に追い込むほどの威力を誇った。しかし、後日の七色星団会戦では、同艦の機関は本作戦用に新設された『物質転送機』の多用によって出力の著しい低下をきたしており、万全な状態でのスーパーチャージ射撃を実施することが不可能となっていた(それでも、一部の砲撃は収束状態を達成していたことが確認されており、ドメラーズⅢ世砲術部門の高い技量を窺い知ることができる)。
 結果的に、ドメラーズⅢ世は一対一の砲撃戦において、本来なら攻防性能に劣り、しかも既に大破状態にあったヤマトに撃ち負けるという不本意な形でその生涯を終えることになるのである。
 艦隊を形成しての対艦隊戦においてはほぼ無敵と思われたゼルグート級も、他艦の支援を得られない単艦戦闘では決して無敵の存在ではなかった。そしてそれは幾つかの不幸な偶然と、敵将――ヤマト艦長/沖田十三――の手によって形成された二つの必然が重なり合った結果でもあった。
 必然の一つは、ヤマトの巧みな戦術運動により、近在に存在したイオン乱流の影響圏にまで誘い込まれてしまったこと、そしてもう一つは、ヤマトとの砲雷撃戦直前に行われた特殊削岩弾爆破の影響だった。
 ヤマト主砲の“狙撃”により、特殊削岩弾は前動艦であるゲルバデス級“ダロルド”の至近で巨大な爆発を発生させ、同艦を一瞬で轟沈に追い込んだ。後続していたドメラーズⅢ世は辛うじて誘爆回避に成功したものの、その左舷側を灼熱の爆炎で強く焼かれてしまう。
 特殊削岩弾は、質量や構成物質の点で除去が困難な小惑星を爆破・崩壊させることを目的とした鉱業用機材であり、充填されていたのは非常に高い燃焼温度を持つ特殊炸薬だった。その燃焼ガスは、ドメラーズⅢ世の左舷側に施されたミゴウェザー・コーティングを蒸発・剥離させるに十分な温度であり、それどころか、下層の装甲板にまで深刻な強度低下を引き起こしたと考えられる。
 その後のヤマトとの砲撃戦では、元より正面に比べて防御力に劣る上に、高温ガスの影響で更に強度が低下した左舷側が集中的な攻撃を受けて機関推力が低下、遂にはイオン乱流に引きずり込まれてしまうのである。
 カレル163会戦ではショックカノンのゼロ距離射撃にすら平然と耐えた強靭極まりないゼルグート級の防御性能も、操艦の自由を失った中で滅多打ちにされるような状況では自ずと限界があった。それでも、本艦こそガミラス最強と信じる指揮官とクルーたちの執念と矜持が乗り移ったかのように、満身創痍の巨艦は最後まで爆沈や轟沈を許さず、ほぼ原型を留めたままその姿を雲海へと没するのである。
 ――その最期を示す巨大な閃光とガス雲の奔騰が認められたのはその直後のことであった。



 ゼルグート級の建造によってガミラスにおける大口径砲の開発・運用能力が大きく進歩したことで、次級においては、ゼルグート級建造時には断念された大口径陽電子カノン砲の実装が可能となった。
 この次級こそ、『第二バレラス建設計画』の中核として極秘裏に建造された『デウスーラ級特一等航宙戦闘艦“デウスーラⅡ世”』である(本級の正式艦級名はデウスーラ級であるが、ゼルグート級二番艦“デウスーラⅠ世”との混同を避ける為に、本稿では便宜上“デウスーラⅡ級”と呼称する)。
 ゼルグート級よりもコンパクトな艦体に480mmと330mmの陽電子カノン砲を各三連装六基有する強武装艦であり、ガミラス艦艇としては初の新理論の超・大口径砲『デスラー砲』及び防御兵器としてのゲシュ=タムフィールドの装備も相まって、ゼルグート級を完全に凌駕する新世代の戦闘艦であった。
 ある意味、ゼルグート級の建造はデウスーラⅡ級に採用が予定されていた新技術の検証を兼ねており、一種のテストベッドとしての役割を担わされていたのである。

 以下表にて、ゼルグート級とデウスーラⅡ級の砲火力を比較した(“デスラー砲”は除く)。

 陽電子カノン砲は同口径の陽電子ビーム砲に対して約20%威力・貫通力に優れるとされており、その点を加味すれば、デウスーラⅡ級の装備する480㎜陽電子カノン砲の威力はゼルグート級の490㎜陽電子ビーム砲よりも10%程度優位にあると判定できる。しかし、主砲門数ではデウスーラⅡ級はゼルグート級に大きく水を開けられており、主砲火力に限ればゼルグート級の圧勝だった。
 しかし、デウスーラⅡ級は副砲である各種330㎜砲をゼルグート級の三倍数装備することで火力を大きく底上げしており、全砲火力における比較ではゼルグート級を凌駕する。

 だが、以上の比較はあくまでカタログスペック上の一般評価であり、より実戦的な戦術戦闘能力の比較としては甚だ不十分である。
 以下の表2は、両級の前方(正面)指向火力を比較したものだ。

 本表から、両級の全く異なる性質が浮かび上がってくる。
 驚くべきは、全火砲を前方へ指向可能というデウスーラⅡ級の極端なまでの前方火力重視だ。しかしこのコンセプトは、オリジナルの“航宙戦闘艦”試案そのものであり、デウスーラⅡ級もまたゼルグート級と同じ試案の系譜に連なる存在であることを示している。
 しかも、最大のコンセプトを“美醜”という極めて主観的な感覚で歪められたゼルグート級とは異なり、デウスーラⅡ級では試案のコンセプトが愚直なまでに保持され、それが全火力の前方指向可能というスペックに結実していた。当然、防御においても前面防御を最重視するコンセプトが堅持されており、ゼルグート級がゼーリックによって強いられた攻防面でのアンバランスさなど微塵も存在しなかった。
 仮にゼルグート級とデウスーラⅡ世が戦場で敵手として対峙した場合、デウスーラⅡ世は火力でも防御力でも最大性能を発揮する艦正面でゼルグート級を捉える戦術機動を実施するのは確実だった。これに対して、ゼルグート級は攻守性能のバランスの悪さから、デウスーラⅡ世に対し防御を重視して艦首を向けるか、攻撃を重視して艦側面を晒すか、指揮官は難しい判断を迫られることになる。
 しかし、ゼルグート級指揮官がどちらの判断を下すにせよ、純粋なスペックではゼルグート級に勝機はなかった。艦首を向けた場合、防御は同等ながら火力で圧倒され、舷側を向けた場合でも火力は辛うじて互角、防御力では明らかに劣勢だからだ。更に、戦術最大速度でもゼルグート級は最新のクラスター・コア式ゲシュ=タム機関を有するデウスーラⅡ世に対して大きく劣っており、戦術的イニシアティブすら相手に握られていては、対抗のしようがなかった。
 しかも、以上の攻防性能比較はデウスーラⅡ世の装備するデスラー砲“ゲシュ=ダールバム”及び波動防壁“ゲシュ=タムフィールド”を考慮しない場合のものであり、これらを加味した場合、比較を成立させることすら最早困難だった(意外に知られていないが、デウスーラⅡ世もヤマトと同様、波動防壁を装備している。亜空間回廊会戦においてデウスーラⅡ世が防壁を展開しなかったのは、デスラー砲へのエネルギー充填を優先したことで、防壁を展開するに足る余剰出力を確保できなかった為だ)



 しかし、これらゼルグート級とデウスーラⅡ級の攻防性能における決定的差異は、搭載されたゲシュ=タム機関の性能に大きく起因していた。デウスーラⅡ級はデスラー砲を実装する為に大型波動コア複数をクラスター式に装備することで、その出力重量比はイスカンダル製波動コア装備の波動エンジンにも迫る程であった(もちろん、多数コア装備故に機関の複雑化は避けられず、効率の点でイスカンダル製コア装備の波動エンジンを凌駕することはない)。
 これに対し、ゼルグート級のゲシュ=タム機関はあくまで従来型(シングル・コア式)機関を大型化しただけのものであり、基本的な発揮出力の点で両級には埋め難い大きな隔たりが存在したのである。

 デウスーラⅡ級の建造は『第二バレラス建設計画』の予算を流用する形で極秘裏に進められており、ゼーリック国家元帥ですらその存在は朧げにしか把握していなかった。しかし、元帥の信奉した軍事理論が多分に権威主義的要素を含んだ大艦巨砲主義であったことを思えば、デウスーラⅡ級のスペックを知らないまま粛清されたことは、本人にとっては寧ろ幸福であったかもしれない。



 ゼルグート級航宙戦闘艦は都合三隻が建造され、その全てがガミラス帝国末期の混乱の中で喪われた。一時は、一番艦であるゼルグートⅡ世の残存が確実視されていたが、『シャンブロウ沖会戦』で捕えられたガトランティス軍捕虜の証言により、大マゼラン銀河近傍宙域での戦没が認定されている。
 クーデター未遂事件後、バラン星からバレラスへと急いでいた基幹艦隊残余の大半は、復権したガル・ディッツ航宙艦隊総司令の命もあり、そのままバレラスへと帰還した。だが、一部部隊は帰路を急ぐ艦隊から隠密裏に離脱し、姿をくらましていたのである。
 その内の一隊は、グレムト・ゲール少将率いる、あくまでアベルト・デスラーに忠誠を誓う部隊であり、彼らは後にヤマトを追撃するデウスーラⅡ世とのランデブーに成功している。そしてもう一隊が、ゼルグートⅡ世を擁するバンデベル准将麾下の部隊であった。
 ゼーリック閥に属していた彼らは、デスラー治世下のバレラスに戻ればクーデター未遂の罪を問われるのが確実であった為、本星への帰還を躊躇していた。しかし、結果的にその判断は裏目に出る。大マゼラン銀河近傍で特務任務に就いていたゴラン・ダガーム大都督率いるガトランティス艦隊と遭遇してしまったのである。
 規模的には両軍ほぼ互角であり、これまでの対ガトランティス戦争において無敵の強さを誇ったゼルグート級を擁することを思えば、寧ろ総合戦力ではガミラス軍が優位とすら評することができた。しかし、新兵器『火焔直撃砲』を装備したメダルーサ級殲滅型重戦艦“メガルーダ”を旗艦とするガトランティス特務艦隊は、宙域が自軍勢力圏であると信じるが故に油断していたガミラス艦隊の戦術的奇襲に成功、ガミラス艦隊の射程外から一方的な砲撃によってガミラス軍を完全に殲滅した。ゼルグートⅡ世もその例外ではなく、最も強固な正面装甲を火焔直撃砲で完全に射抜かれてしまうという悲惨な最期を遂げている。

 政変後の混乱が収束したガミラス軍において、ゼルグート級が再建造・再配備されることはなかった。ガミラスの転送技術を盗用した超・長距離砲“火焔直撃砲”がガトランティス軍に普及し始めたことがその原因だった。
 しかし、ゼルグートⅡ世をも屠った本砲も決して無敵の超兵器などではなく、空間波動エコーの観測により発射反応の検知が可能であり、素早い回避機動を取れば対処することは十分に可能であった。だが、重装甲と過剰な艦内設備によって機動性に難のあるゼルグート級では発射反応検知後の回避は著しく困難、現実的には不可能と判定されてしまったのである。
 しかし、今後の大規模艦隊戦闘を考えると、正面戦闘で圧倒的な攻防性能を発揮する“航宙戦闘艦”の存在は不可欠であるという認識はほぼ全軍が一致したものであったことから、新型艦の建造が決定された。
 新型艦は、オリジナルの航宙戦闘艦試案を最新の戦訓に基づき更に発展させたもので、巨艦故の高コストは避けられなかったものの、艦サイズの最適化と共に量産性にも最大限の配慮が行われている。
 性能上、特に強化されたのが、火焔直撃砲を緊急回避可能なだけの機動性と近接戦闘能力であった。
 近接戦闘能力は、ガトランティス軍がガミラス人の高価値捕虜の“収奪”を目的とした接舷移乗攻撃を多用することへの対抗措置で、ガミラス軍事技術史上初めて、地球の兵器が開発の参考とされた。
 艦首に装備された『ボーゲル・ベッテ』と呼ばれる巨大な質量兵器がそれであり、ヤマトの『ロケット・アンカー』をほぼ10倍にまで拡大したような異形の兵器である。
 本兵器開発のきっかけもやはりシャンブロウ沖会戦であった。
 同会戦におけるガミラス軍唯一の生存艦“ランベア”の記録したヤマトとメガルーダの“近接戦闘”の模様は、ガミラス兵器開発局に大きな衝撃を与えたとされる。既に明らかになっていたヤマト主砲の実体弾射撃ですら、ガミラス人からは“卑しき野蛮人の所業”と蔑視されていたが、同会戦でヤマトが行ったロケット・アンカーによる直接攻撃は、そんな言葉すら忘却させるほどのインパクトをガミラス人にもたらしたのである。
 質量兵器の効果と即応性に改めて注目したガミラス人技術者たちが開発したボーゲル・ベッテは、ヤマトのロケット・アンカーを直接的に大型化・獰猛化した兵器であり、その膨大な質量と運動エネルギーを叩きつけることで戦艦級艦艇ですら一撃で撃破(巡洋艦以下なら爆沈)可能であった。錨鎖はトラクター・ビームの技術を応用したチェーン・ビームを用いることで射出後のベッテの回収やコントロール、再使用も可能だ。
 近距離における瞬間的な破壊力は各種ビーム砲やミサイル(宇宙魚雷)を大きく上回り、垂涎の獲物たる大型艦を生け捕ろうと迂闊に接近したガトランティス艦艇多数がこのボーゲル・ベッテにより文字どおり粉砕されている。ガトランティス軍もガミラスらしからぬ豪快さを持つ本装備を“戦斧”と呼んで恐れた。
 本級は後に大量建造が実現し、“対ガトランティス決戦艦”として各空間機甲師団に配備された。そのクラス呼称には、七色星団においてガミラス軍人としての義務と矜持を見事に示しつつ惜しくも散華した名将にちなみ『ドメラーズ級重航宙戦闘艦』という名が冠されている。



――おわり――


注:以上の設定の大半はMJの妄想によるものであり、公式設定ではありません。

【2014年12月7日:改訂版公開】
『星巡る方舟』内容を反映しました。
また、記事文字数が上限に達した為、あとがきを別記事化しました。


1/1000 ゼルグート級一等航宙戦闘艦ドメラーズIII世 (宇宙戦艦ヤマト2199)
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ゼルグート級設定妄想のあとがき

2014-11-22 22:55:44 | 1/1000 ドメラーズⅢ世(バンダイ)
【2014年12月7日:『星巡る方舟』に合せた設定本文改訂と共に、あとがきを別記事化しました】

[改定時のあとがき]
『星巡る方舟』にて恐れていた(?)事態が現実のものとなりましたので、思い切って改訂を行いました。
改訂前の設定では、2199本編では沈まなかったゼルグートⅡ世が紆余曲折を経て、『ドメラーズⅣ世』として再就役を果たすという結末を用意していました。
しかし『星巡る方舟』の冒頭でゼルグートⅡ世が撃沈されてしまった為、この設定が使えなくなってしまったのです。
改定後の設定ではゼルグートⅡ世の末路(結末)を変更すると共に、後継艦についても少し書いています。
改定前のあとがきに書いていた『ガルマンガミラス大型戦闘艦』に限りなく近づいた感じでしょうか。
さすがに2199世界では、ガトランティス式の回転砲塔が採用されることは技術系譜上、考えにくい為、ガミラス軍の標準的な陽電子ビーム砲塔(無砲身)か陽電子カノン砲塔(有砲身)が搭載されている点がオリジナルとは異なっています。
また、オリジナル版ヤマト(ヤマトⅢ)においてすら一種のトンデモ兵器であった「ブーメラン・カッター・ミサイル」も理屈付けの上で搭載しています。

それにしましても、現在進行中の作品について設定を書くと、こうした事態が生じ得ることが今回よく分かりました。
ガンダム系の設定を書いてらっしゃる方は、新作が作られる度にこうした事態に見舞われておられるのかと想像すると、ホンと尊敬しちゃいます(^_^;)

[改訂前のあとがき]
『宇宙戦艦ヤマト2199』世界の艦艇設定妄想は、私にとっては『主力戦艦』に続く二作目となります。
一作目は、登場するかも定かではない“未来”の艦でしたが、今回のゼルグート級(ドメラーズⅢ世)は2199本編でも大活躍した艦ですし、人気の面でも2199登場艦艇の中でトップクラスだと思います。
それだけに、皆様からの厳しいツッコミが恐ろしいのですが、今回の妄想はいつも以上に、妥当性よりも書いていて楽しい設定を目指しましたので、何卒ご容赦をお願いしますm(__)m
とはいえ、主力戦艦の時のように“テラジウム・コア”だの“拡散衝撃砲”だの、突飛な独自設定はあまり盛り込みませんでしたので、比較的無難(?)な設定に収まっていると思います。

さて、本級の設定を書く直接的なきっかけになりましたのは、数ヶ月前に書いた記事『ゼルグート級の主砲は何故陽電子カノン砲ではないのか』でした。
この記事を公開した際、沢山の方から色んな御意見を頂戴し、一気に本級に対する設定妄想が組み上がっていった感じがします。
今回の設定妄想は、それら皆さんの御意見をアレもコレもと摘み食いした上で(笑)、自分好みに味付け直したものです。
なので、全体としては元アイデアを下さった方々のイメージとは異なる仕上がりになっている可能性も高いのですが、その点は私の文才と想像力の不足故ですので、何卒ご容赦いただきたいと思いますm(__)m 

せっかくなので、今回の設定妄想のキモを少し御説明します。
妄想のきっかけとなりましたのは、ゼルグート級とオリジナル版のヤマトⅢに登場したガルマン・ガミラス大型戦闘艦の類似性でした。
ガルマン・ガミラス大型戦闘艦(以後GG大型戦闘艦)というのは↓ですね。



この二艦は、形状においても『戦闘艦』という名称においても類似性があります。
その点、『ゼルグート級』→『GG大型戦闘艦』という進化・発展の過程は容易に想像がつくのですが、更にその前段にも、もう一つステップがあってもいいんじゃないか?と考えて、でっち上げたのが本文中に出てくる『航宙戦闘艦』試案です。
つまり『航宙戦闘艦試案』→『ゼルグート級』→『GG大型戦闘艦』という流れですね。
ちなみに試案のビジュアルイメージは、GG大型戦闘艦の艦首からブーメランミサイルを撤去し、主砲を回転砲塔から陽電子カノン砲に変更しただけです。
いかがでしょう?どなたかメカコレのGG大型戦闘艦から改造して、この試案艦を作っていただけませんでしょうか?(笑)

冗談(?)はさておき、あとはこうした艦が必要とされる戦略環境を『ガトランティス』や『第二バレラス』等のネタ要素の強いファクターを織り込んで形にしていきました。

戦略環境といえば、デスラーが大小マゼラン銀河を征服する過程についても自分なりの考えを書いています。
喩えて言うなら、ナチス・ドイツ最初期のハッタリとイケイケドンドンの外交戦略がひたすら好調に続いていった感じでしょうか。
ポーランド侵攻によって英仏から宣戦布告されるまで、ナチス・ドイツは旧領土を含む周辺地域を口八丁手八丁で掠め取っていった訳ですが、それをより大規模且つスマートに、大戦争という破局を徹底的に回避しつつ進めていった感じです。
戦争という手段は、自分が相手よりも圧倒的に強いか、強くなった場合にのみ吹っかけます。

そんな考えに至ったのは、仮にガミラス人の一年(一歳)が地球人と殆ど変わらない場合、32歳相当のデスラーがガミラスを率いるようになってからの年数は、どう長く見ても15年くらいしかないからです。
天の川銀河に比べれば小ぶりとはいえ、二つの銀河を支配下に収めるには、あちこちで大戦争をしている時間も兵力も無いだろうと考えました。
もちろん、そんなに都合よくいく訳ないだろうというツッコミも当然だと思いますが(正直、自分でもそう思います)、そこは、本編ではあまりいい所の無かったアベルト君に華を持たせてあげたいと思います。
何らかの天才性の表出がなければ、血で血を洗う内戦を終結させることも、一代で銀河征服なんてこともできないでしょうし。
ま、本当はガミラス人の一歳(一年)が地球人の数歳(数年)にあたると考えるのが一番無理がないのですが、ガミラス人は若いまんまなのに地球人だけがドンドン歳をとっていくってのもあまり好みではないので、その設定は採用しませんでした(笑)

さて、そんな自己都合満載の妄想に華を添えてくれたのが、バンダイの1/1000ドメラーズⅢ世です(オークションで入手しました完成品です)。
私の下手な写真でも伝わるくらい、非常にカッコ良く仕上げておられまして、正直、この艦を入手していなければ、この設定妄想も最後まで書き切ることはできなかったかもしれません(^_^;)

そして更に!!文中に登場するデウスーラⅡ世はメカコレキットではなく、SOY-YA!!さん作の1/1000フルスクラッチモデルです!!(本モデルは電撃ホビーマガジン刊「宇宙戦艦ヤマト2199モデリングガイド[帰還編]」にも作例として掲載されています)。
今回、ゼルグート級の設定妄想を公開するにあたり、SOY-YA!!さんに御相談したところ、快く画像の提供と公開をご了承いただきました(実は最初御連絡した際、『実物を御貸ししてもいいですよ』とまで仰っていただきました^^;)
改めてお礼申し上げますm(__)m

他にも、ハイゼラード級やメルトリア級、ガイデロール級、デストリア級等、これまで発売された2199の1/1000キットを総動員して画的にも豪華で賑やかなものにしてみました。

正直、プラキットでここまでのラインナップが発売されるとは2199がスタートした時には、夢にも思わなかったですね。
いや、夢は見ていても、所詮は叶わぬ夢と思って諦めていたというべきか・・・・・・。
こうして並べてみると、改めて『夢じゃない』と実感できます(笑)

そして再来週には遂に『星巡る方舟』が満を持しての劇場公開ですね。
今のところ1/1000ガトランティス艦艇はナスカ級“キスカ”のみ発売予定が公開されていますが、未だ艦級名が明らかにされていないメダルーザ・タイプやラスコー級やククルカン級のキットも発売していただきたいです(^o^)
2199は本作で完結と言われてはいますが・・・・・・何年後かに最後の画像みたいな続編展開があればいいのですがw
2199クオリティーでのアンドロメダや新制地球艦隊を是非見てみたいものです(^_^)

長文に最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございましたm(__)m


1/1000 ゼルグート級一等航宙戦闘艦ドメラーズIII世 (宇宙戦艦ヤマト2199)
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コスモフリートスペシャルゼルグート級一等航宙戦闘艦ドメラーズIII世
メガハウス
メガハウス

メカコレクション宇宙戦艦ヤマト2199 ドメラーズIII
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