我が家の地球防衛艦隊

ヤマトマガジンで連載された宇宙戦艦ヤマト復活篇 第0部「アクエリアス・アルゴリズム」設定考証チームに参加しました。

宇宙戦艦ヤマト2199 艦艇精密機械画集の発売が決定!!

2015-05-16 20:12:07 | 1/700 宇宙戦艦ヤマト(バンダイ)


『宇宙戦艦ヤマト2199 艦艇精密機械画集 HYPER MECHNICAL DETAIL ARTWORKS(タイトル長っ!)』が7月31日に発売されることが決定しました!!ヽ(^◇^*)/ ワーイ
全記録集とは違って、Amazon等を含め一般書店でも取り扱いがあるみたいですね。

宇宙戦艦ヤマト2199 艦艇精密機械画集 HYPER MECHNICAL DETAIL ARTWORKS
マッグガーデン
マッグガーデン


以下、Amazonさんからの内容の引用です。

内容
イラスト作画工程徹底解説
 「宇宙戦艦ヤマト2199」の美麗且つ細密なメカイラストが描き上がる工程を公開!
「宇宙戦艦ヤマト2199」メカニックディテール
 ヤマトをはじめとする艦艇・艦載機群。
 その細部と質感をお伝えするために、この本のためだけに用意し、調整重ねたディテール素材を総数200点近く収録いたします。
 アニメーションの画面からは読み取りきれない、描き込まれたディテールと重厚さをお楽しみ下さい。
 解説テキストはすべて西井正典が書き下ろし。
 「宇宙戦艦ヤマト2199」のチーフメカニカルディレクター自ら筆を執り、駆使 された技術とメカ達に込められた想いを語り尽くします。
 [収録予定メカニック]
 宇宙戦艦ヤマト/コスモゼロ/キリシマ/ユキカゼ/ドメラーズⅢ世/バルグレイ/ランベア/シュデルグ/ダロルド/各艦載機/ほか
スタッフインタビュー
カバーイラストは新規描き下ろし。西井正典入魂&拘りの一枚です!


う~ん♪2199もいよいよ打ち止めか・・・・・・と寂しくなっていた時だけに、このニュースは本当に嬉しいですね(^o^)
基本的には作画工程を丹念に説明いただく為のもののようですが、素材数は200点近くあるそうなので、表紙画みたいな美麗画が(それもメカオンリーで!)見られるのは楽しみです~♪
サンプルとして以下の画像がアップされていまして、クリックいただけるとお分りいただけると思いますが、いずれもすごいディテールですねヽ(^◇^*)/




話は変わりますが、今週末の静岡のホビーショーでヤマトプラモの新作を期待していたのですが、既に発表済みのメカコレ以外、特に発表はなかったみたいですね。
個人的には1/1000のガトランティス艦を期待していたのですが、これはもう期待薄ですかねぇ・・・・・・(-_-)ウーム
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ランティス
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主役さん(宇宙戦艦ヤマト)の設定妄想を改訂しました(^_^)

2012-08-11 12:58:56 | 1/700 宇宙戦艦ヤマト(バンダイ)


以前から気になっていた肝心の主役さん(宇宙戦艦ヤマト/ヤマト級宇宙戦艦)の妄想を、この度改訂しましたw
このブログを始めた時に書いた最も古い妄想で、最近のものに比べると、内容が乏しかったり、理解や解釈がおかしかったり、より新しい妄想との矛盾などが気になってはいたのですよ。
そのモヤモヤが先日の『護衛戦艦』妄想を書いたことで頂点に達しまして、今回の改訂に至った次第です。

具体的には、『アンドロメダ』『護衛艦』『パト艦』『護衛戦艦(アリゾナ・POW)』と妄想を続けてきた中で新たに思いついたネタの加筆や、明らかな勘違い、矛盾の修正・訂正などをできるだけ行っています。
また、従来三つに分かれていた記事を二つに分け直しました。従来の①②が統合されて『新①』に、従来の③が『新②』になった感じですね。

個人的には、第一から第三世代と勝手に命名している各時代(各作品)の波動エンジンの説明が多少すっきりできたこと(技術的妥当性はともかくw)、改定前はサラリと流していたガトランティス戦役前の第一次改装をしっかり書き直せたことに満足しています。
あ、それと非常に重要(?)なことは、今回の改定版も含めてこのブログの設定妄想は、現在リアルタイムで進行中の『宇宙戦艦ヤマト2199』の世界観や設定に則ったものではありません。
あくまで二十世紀に公開された旧作世界に基づくものですので、念のためw

ではでは、宜しければ改定版を以下リンクからでもお楽しみください。


 1/700ヤマト級宇宙戦艦①

 1/700ヤマト級宇宙戦艦②


以下、私事ですが、長かった入院生活も、当初の予定より前倒しできることになり、来週火曜日までとなりました(本日、治療経過が良好である旨、先生からお話がありました)。
御心配下さった皆様、本当にありがとうございますm(__)m
しっかし、この一ヶ月ほどの入院生活の中で、普段の何か月分の文章を書いたんだろう?w 楽に半年分くらいは書いているよーな・・・・・・(ヲ)
で、実はもう一本、完成直前の妄想がありまして、『続・地球防衛艦隊2199』とでも名付けるつもりです。
ヤマト発進後から帰還(太陽系外縁会戦)までの間の地球防衛艦隊の苦闘を、いつもよりも戦術局面にまで踏み込んで描きたいなぁ~~~とか(^_^)
ま、小説的センスは皆無なので、相変わらずの味気ない説明文章で、ですが(^_^;)
ただ、先日EF12さんからも有難く御了解いただけましたので、“あんな方”や“こんな方”もチラッと(?)登場されるかもしれません、てか、していただきますw
いやー、やっぱり燃えるんですよ。魅力的な登場人物って、チラッと描かしてもらえるだけで、むちゃくちゃテンションが上がります。
ささ、退院までに頑張って書こーーーっとw

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1/700 ヤマト級宇宙戦艦(宇宙戦艦ヤマト)②

2011-12-10 22:20:54 | 1/700 宇宙戦艦ヤマト(バンダイ)


 良く知られているとおり、現役の“宇宙戦艦”としてのヤマトの生涯は一〇年にも満たなかった。しかし、その戦歴は非常に多彩であり、参戦したいずれの戦役・事変・危機においても常に決定的な役割を果たしてきた。
 そうした活動、いや活躍が可能だった要因として、就役以来の古参乗組員たちの奮闘や、経験豊富な指揮官に恵まれた結果があったことはもちろんだが、就役から戦没まで彼女が常に最新技術でアップデートされ続けていたことも忘れてはならない。
 特にガトランティス戦役以降の彼女には、次世代艦艇用装備のテストベッドとして様々な新技術が惜しげもなく投入されていた。その背景には、どのみち維持管理費が莫大となるワンオフ艦(地球脱出船として建造された為、2200年以降の艦艇とは規格からして異なる)である以上、徹底的に“特殊艦”“実験艦”として運用した方がむしろ費用対効果に見合うという地球防衛軍首脳部の判断があった。
 もっとも、ガトランティス戦役以降、地球防衛艦隊は深刻な主力艦不足にも悩まされ続けており、有力な第一線艦であるヤマトを戦力外として扱う余裕などなかったという身も蓋もない事情もあったが。


 ヤマトへの第一次改装はガトランティス戦役勃発直前、後の改装に比べればやや小規模なものが急ぎ実施された。その改装の要項には、以下の三つが挙げられていた。

  ①自動化改造による所要人員数の削減
  ②『地球防衛軍艦艇標準規格』の適用
  ③新型『波動現象増幅装置』への換装

 ①の背景については特に説明の必要は無いだろう。当時、再建と拡大を急ぐ地球防衛艦隊において人員不足が深刻化しており、各艦の自動化・省力化は何物にも勝る最優先課題だった。
 特に、ヤマトは運用において多数の人員を実際的に要する、言い換えると、多数の人員を確保しなければ実動させることができない艦であった為、『先進省力技術艦』であるアンドロメダ級戦略指揮戦艦を参考に、徹底した自動化・省力化改造が行われる予定だった。
 しかし、改装工事責任者であった元ヤマト技術科長(技師長)は、この方針に強い不満と不安を抱いており、『地球防衛艦隊“丁”事件』として知られる後の不祥事の混乱に乗じて、自動化改造“だけ”を改装工事からオミットしてしまった。
 結果の是非はともかく、その行為は軍組織として決して許されるものではなく、ガトランティス戦役におけるヤマトの活躍によって『丁事件』そのものは(政治的意図もあって)不問に付されたものの、改装工事内容の独断変更はその対象外だった。
 その結果、件の技術科長は戦役後に一階級の降格処分を受けただけでなく、確実視されていた将来のヤマト艦長候補としての立場まで失うことになる。しかし、これほど明白な命令違反にも係らず、強制除隊も軍刑務所への収監も行われなかったのは、ヤマト乗員はもちろん、その類い稀な才能を惜しむ階級を問わない関係者からの執拗な嘆願故と言われている。

 ②については、2200年末に初めて制定された『地球防衛軍艦艇標準規格』に基づいた決定だった。
 従来、地球防衛艦隊を構成していたのは、その殆どが旧各国宇宙軍時代に建造された艦であり、各艦の仕様規格も建造国や旧所属国によってまちまちなのが実情だった。当然、戦役の長期化と共に、可能な限りの規格統一が進められていたが、戦役終結まで完全解決には至らず、補給品の供給や整備作業には常に多大な困難が伴っていた。
 『地球防衛軍艦艇標準規格』は、早くも開始されていた建艦ラッシュにおいて、少なくとも新造艦についての完全規格統一と、既存艦についても限定的な規格統合を図ることを最大の目的としていた。当然、ヤマトも後者の対象とされていたが、“規格外品の塊”とまで称された艦であるだけに、一般消耗部品の標準規格品への切り替えなどについては、他の既存艦と比べても更に限られた範囲に留まった。
 しかし換装が指定された、各重要部の最新規格素材品への更新については、非常に大きな結果が得られた。
 換装された主砲砲身は、冶金技術の向上と各種資源の入手状況回復によって、従来よりも素材純度が大幅に向上、更に製造・加工精度もガミラス戦役末期の粗製乱造状態とは比較にならないほど改善していた。また、設計そのものにも一部改善が加えられており、アンドロメダ級戦略指揮戦艦の二〇インチショックカノン開発技術がフィードバックされている。その結果、後述する“波動現象増幅装置”更新の効果もあって、ショックカノンの威力・射程の大幅な向上が達成された。
 波動エンジンも、指定主用部材を現行規格品に換装するだけで、機関内圧を従来よりも約五%程度向上させることに成功。更に、機関周辺設備(補機類)が技術水準の底上げによって省略化・コンパクト化したことで、浮いたリソースを用いて艦載機格納スペースを拡大している。
 また、主要部外装及びヴァイタルパートの一部も換装対象とされていた為、極めて部分的ながら防御力の向上をも達成していた。
 ガミラス戦役末期に、地球に残された資源を結集して建造されたヤマトであったが、地球外でしか採掘できないコスモナイトなどのレアメタルは絶望的に不足していた時期であり、たとえ『地球最後の戦艦』であっても、各部に純度や精度の低い素材を使用せざるを得なかった。地球帰還後も、ガミラスによる復讐への懸念から、大規模な緊急修理が為されていたが、それも未だ地球が復興の途につく以前のことであり、修理に使用された部材も決して万全な品質のものばかりではなかったのである。
 それを最新規格に基づく高品質素材に更新することで飛躍的な能力向上に繋がったのだから、ある意味では本来のヤマトのスペックがこの第一次改装によってようやく達成されたと言えるのかもしれない。

 ③の波動現象増幅装置とは、ヤマトに続いて建造された初の波動機関搭載量産艦艇『ハント型フリゲート』計画過程において開発された機関内補機である。
 波動機関内で濃縮されたタキオン粒子から、より効率的に波動現象(空間歪曲現象)を発生させる装置で、就役時(第一次改装前)のヤマトにも同目的の補機が設置されていた。しかし、地球に波動機関技術を供与したイスカンダル王室の外交姿勢や技術思想(詳細は『ハント型フリゲート』の項を参照)から、スターシャ・メッセージに記されていた増幅装置は非常に効果が限られたものであった。
 これを、火星に墜落したサーシャ・シップ搭載品の模造という形で具体化した、より高効率の増幅装置への更新換装が実施された。艦の心臓とも言うべき部分を直接的に強化する内容だけに、更新の効果は極めて大きく、攻撃・防御・機動、いずれの性能においても、ほぼ直接的な性能向上が見られた。


ヤマトに搭載された代表的な艦載機。奥から
 ・九九式宇宙艦上戦闘機三四型:ブラック・タイガー
 ・一式宇宙艦上戦闘攻撃機一二型:コスモ・タイガーⅡ
 ・零式宇宙艦上戦闘機五二型丙:コスモ・ゼロ
時代により搭載機種・形式・機数は異なる。
戦艦でありながら戦術的に有意な機数(二〇機程度)を
搭載できたことで、局所的制空権下での戦闘が可能となった。



 第二次改装はイスカンダル事変からデザリアム戦役の間、偽装小惑星基地『イカルスⅡ』において実施された。改装場所が地球や月ではなくアステロイドベルトであったことは異例であったが、改装内容が当時の地球防衛艦隊における最新技術であったことから、防諜上の配慮があったものと考えられる。
 防諜の対象であり、改装の目玉となったのは、新開発の“第三世代”波動エンジン――そのプロトタイプの搭載であった。
 建造時のヤマトに搭載された波動エンジンが“第一世代”と呼ばれるのに対し、ボロディノ級主力戦艦やアンドロメダ級に搭載されている高効率型波動エンジンは“第二世代”と呼称される。
 第一世代から第二世代への進化は、前述した『波動現象増幅装置』によって達成されていた。本装置の実用化によって、機関容積あたりの発揮可能出力が大幅に向上しただけでなく、効率的な小型も初めて可能になったからである。
 これに対し、第三世代波動エンジンは、別名『スーパーチャージャー(強制過給装置)搭載波動エンジン』と呼ばれる。従来からの機関部中枢(波動炉心)に、一種の小型予備炉心である“過給室”を付属させ、状況に応じて高濃縮タキオンを強制供給(スーパーチャージ)するというものであった。
 ワープ開始直前にこの操作を行えば、機関が一種のオーバーブースト状態に達し、ワープ距離を飛躍的に延伸することが可能であった。また、ワープ終了直後の過給操作であれば、タキオン濃縮度の低下によって機能低下した機関を即座に常態復帰させるどころか、更なるワープ――連続ワープ――すら可能となった。
 そのメリットは計り知れず、超長距離・連続ワープが可能になったことで、以後の地球艦艇の戦略的機動性を劇的に向上させた。
 従来よりも遠方に、より迅速に到着できるということは、一隻の艦艇でカバー可能なエリアが大幅に拡大するということを意味する。つまり、従来は複数の艦艇を用いなければカバーできなかった領域が、第三世代波動エンジン搭載艦であれば僅か一隻でカバー可能になるのである。
 当時の地球連邦は、ようやくケンタウルス座やシリウス恒星系等の近傍他恒星系に進出を開始したばかりの時期であった。それらの恒星系までの距離は精々一〇光年内外に過ぎず、防衛や保安、航路護衛を想定したとしても、従来艦のワープ性能でも充分、寧ろ過剰なくらいの距離にすぎなかった(第一次改装後のヤマトでも、最大ワープ距離は二〇〇〇光年あった)。
 しかし、地球人類の実質的進出距離は、今後僅かな時間の内に一〇〇光年、一〇〇〇光年単位で飛躍的に拡大していくことが確実と見られており、仮にそうした状況に至った場合の空間護衛戦力確保は、開隊以来、常に戦力不足に悩まされ続けてきた地球防衛艦隊にとって非常に頭の痛い問題であった。
 特に、ガトランティス戦役以後、地球防衛艦隊は太陽系内の防衛ですら無人自動艦隊の編成によって辛うじて維持しているような状況であったから、他恒星系に有人艦隊を貼り付ける余裕などどこにも無いのが実情だった。
 第三世代波動エンジンの実用化は、この問題をある程度解決するものだった。遠方の他恒星系や星系間で有事が発生した場合、太陽系根拠地から艦隊を連続ワープで急行させるという芸当が現実的に可能となったからである。
 この為、第十一番惑星や冥王星基地に配備された太陽系外周艦隊所属艦は最優先で波動エンジンへのスーパーチャージャー増設改装を実施しており、実際に2205年に発生した “太陽危機”においては、地球から一万五千光年内で人類可住惑星を捜索していた調査船の緊急救援任務等に活躍することになる。


太陽系外周第二艦隊所属宇宙巡洋艦『ウィチタ』(第一次改装後)
戦艦に比べ、巡洋艦クラスの艦艇は艦内余剰容積に乏しかった。
その為、スーパーチャージャー増設改装時に機関部ブロックを
延長・追加している。[朱色で示した個所が追加ブロック]
また、本改装による戦略機動性向上に鑑み、遠距離・長期間航海
に対応した居住性改善も合せて実施された。



 また、飛躍的向上を遂げたワープ機能と比べれば地味ながら、スーパーチャージャー増設によるメリットとして、従来は補助エンジンが果たしてきた機関始動時の波動エネルギー初期充填が、過給室によって代替可能となったことが挙げられる。
 プロトタイプの試験運用を担ったヤマトや、最初期の第三世代波動エンジン搭載艦であるアリゾナ級護衛戦艦等は、念のため補助エンジンが維持されていたが、技術的にも十分な信頼性が確保されたと判断された2205年以降、新造の主力戦艦(ローマ級主力戦艦)から補助エンジンが廃止されている。建造費としてはもちろん、中長期的に見た場合の維持管理の点でも、補助エンジン廃止によるコスト低減効果は意外に大きかった。
 更に、スーパーチャージャー増備によるメリットは航海面だけでなく攻撃力の向上にも及んでいた。過給操作(スーパーチャージ)による従来以上の波動砲出力達成(改装完了当時は『新・波動砲』という名称で改装前と差別化が為されていた)、同じくエネルギー充填時間の短縮、発射後の無動力状態の部分的解消など、枚挙にいとまがない。

 また、第二次改装はスーパーチャージャー増設以外にも変更改良点が多彩だった。
 ショックカノン各砲塔へのエネルギー伝達は、従来の伝導管方式からカートリッジ方式へと変更された。この変更により、『波動カートリッジ弾』や『コスモ三式弾』などの特殊弾頭(カートリッジ)が使用可能となり、単なる砲威力向上にとどまらない運用柔軟性を手に入れている。
 これらの特殊弾頭は、波動物理学の研究進展に伴って新たに考案されたもので、内面に空間磁力メッキを施した弾頭部に圧縮した波動エネルギーを充填・封入しているのが特徴である。大まかなところでは、充填する波動エネルギーに“収束特性”を持たせたものが波動カートリッジ弾、“拡散特性”を持たせたものがコスモ三式弾と類別できる。波動カートリッジ弾は主に艦船や宇宙要塞等の硬目標撃破を、コスモ三式弾は航宙機や宙雷艇、要塞トーチカ等の軟目標に対する面制圧を目的としていた。
 また、これら主砲用特殊弾頭開発時の副産物である『波動爆雷』も改装後のヤマトには装備されていた。
 主砲弾開発が発射時の超高Gに耐久可能な弾頭開発に手間取っている間に考案されたもので、射出時のGが比較的低い短距離ミサイル弾頭として先行生産されたものである(先行しての採用は、この時点で既に大幅に超過していた主砲弾頭開発予算の増額を狙ってのことだったと言われている)。
 波動爆雷は当初、単に大威力の防空ミサイルシステムとして用兵側に認知されていたが、後に他次元(亜空間)潜航艦用の近接攻撃兵器として極めて有効であることが立証され、地球防衛艦隊の中型艦以下の主戦兵器の一つとして整備されていくことになる。
 その他、従来型のタキオンレーダーに加えて、艦体各部にフェイズドアレイ式タキオンレーダーを増備したことで全天球レーダーシステムの運用が可能になり、更にレーダーシステムに対応した大型電算機を搭載する等、各部に徹底的な改装が施されていた。
 この結果、第二次改装後のヤマトは戦略指揮戦艦であるアンドロメダ級や当時設計作業が進んでいた次期主力戦艦(後のローマ級主力戦艦)にも劣らない攻撃力と防御力、指揮統制能力を手に入れることとなった。
 寧ろ、テストベッドとして次世代艦艇に搭載予定の先進装備を優先供給されているだけに、古参乗組員の高い技量も相まって、その総合的な戦闘能力はいかなる現役艦よりも高いと評価されていた。そしてその評価が過大評価ではなかったことは、その後の彼女の活躍と戦果が証明している。
 第二次改装以降、ヤマトへの改装が各種探査装置や特設砲の増備程度であったことを考えると、宇宙戦艦ヤマトはこの第二次改装を以って一つの完成形に達したと判断できるかもしれない。


 ヤマトの塗装色には、就役から戦没まで一貫してダークグレーと赤茶色からなるツートンカラーが施されていた。
 このカラーパターンは、ヤマト建造時の地球防衛艦隊・艦艇規定色(2196年制定)である。
 2201年の地球復興宣言に合わせる形で、地球防衛艦隊規定色もライトグレーを基調としたものに一新されたが、ヤマトだけが唯一例外とされた。もちろんそれは、ガミラス戦役において彼女が示した活躍が評価されていたからに他ならない。
 現役艦でありながら一種の記念艦として、彼女は栄光に満ちた旧・防衛艦隊カラーを生涯尽きるその瞬間まで、まとい続けたのである。



地球軌道第八艦隊所属突撃駆逐艦『カゲロウ』
ヤマトと同様の2196年式塗装が施されている。
圧倒的劣勢下においてガミラス宇宙軍艦艇二隻の
撃沈記録を誇る殊勲艦だが、2197年の『“静かの海”直上会戦』
にて奮戦及ばず撃沈されている。



――終わり。

(2012年8月11日:A改定)

【A改定以前の後書き】
さて、三回に及びました1/700ヤマト設定妄想はこれにて一旦終了としたいと思います(何かネタを思いついたら、また書くかもしれませんがw)。
今後もアンドロメダ、主力戦艦、巡洋艦etc…と模型写真と一緒に妄想設定を続けていきたいと思いますが、果たして、上手く妄想が紡げるものやら。。。ヽ(~~~ )ノ
ちなみに、写真のキットは宇宙戦艦ヤマトTV DVD-BOX初回版限定付属の1/700キットです。
ヤマトのプラキットといえば、昨今バンダイから発売された1/500キットがありますが、あちらは復活編ヤマトのデザインなんですよね(新作の宇宙戦艦ヤマト2199でも、この1/500のデザインが使われるようですが)。
DVD-BOX付属の1/700キットは、1/500と比べて艦橋の形状がよりスレンダーで、昭和からのヤマトファンにはより馴染みの深いデザインになっていると思います(言うなれば、『旧世紀版?)。
ちなみにこのヤマトは、各部に凸モールドやアンテナが追加されています。
あ、もちろん追加モールドがフェイズドアレイレーダーである云々は私の勝手な妄想ですので、ご注意下さいませ、、、って何を?w

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1/700 ヤマト級宇宙戦艦(宇宙戦艦ヤマト)①

2011-12-10 22:09:28 | 1/700 宇宙戦艦ヤマト(バンダイ)


 地球防衛艦隊史上に燦然と輝く“伝説の宇宙戦艦”。
 単一の艦船が人類史(やはりこの表現が最も適切と思われる)にこれほど多大な影響を及ぼした例は皆無であり、今後もこれに比肩し得る存在は決して現れないだろうと言われている。

 本来、彼女はガミラス戦役末期の地球脱出船建造計画(箱舟計画、アーク・シップ計画などと呼ばれた)で建造が進行していた多数の宇宙艦船の中の一隻にすぎなかった。だが、西暦2199年八月二一日、遥か一四万八千光年彼方の大マゼラン星雲からもたらされた異星人からのメッセージ、所謂“スターシャ・メッセージ”が彼女の運命を激変させることになる。
 メッセージには、地球人類を刻一刻と破滅の淵へと導きつつあった高濃度放射能を除去可能な装置――コスモクリーナーD――の存在と共に、それを一四万八千光年先から往復回収可能な超々長距離宇宙航行機関の設計図面が含まれていたからである。




 後にタキオン式波動機関とも単に波動エンジンとも呼ばれることになる、この画期的動力機関について、意外にもこの時点の地球人類もある程度の知識を有していた。他ならぬ、彼らを絶滅させつつあったガミラス人がそれを用いていたからだ。
 既にこの時期には、ガミラス軍の捕獲艦から複製品の製造(模造)すら試みられ、オリジナルの出力には到底及ばないものの、一応の成果物が完成していた。複製、いや、明らかなデッドコピーとはいえ、人類がこの機関にどれほどの期待をかけていたかは、自らの種を永らえさせる為の艦船の機関として採用を予定していたことからも窺い知ることができるだろう。
 だが、この複製機関ですら未だ問題が山積みだった。再三の死亡事故すら乗り越え、懸命に継続された研究と実用化努力の甲斐あって、航宙機関として一応の安定性は得られていた。しかし、オリジナルに比べると未だ発揮可能な機関出力は低く、ようやく実用化に成功した機関にしても、規模としては小型・小容量のものに限られた。
 その為、地球脱出船クラスの大型艦船への搭載にあたっては、多発化の上、クラスター方式での設置が予定されていた。より大型・大容量の機関搭載が効率の点では望ましいことは誰の目にも明らかだったが、当時の人類の科学技術水準では夢物語に過ぎなかった。
 しかし、それほどの努力を以ってしても、シミュレーション上予想された通常空間での戦術速力は二〇宇宙ノット弱の発揮が精々であり、現在ではワープ航法として知られる空間歪曲航法は全く不可能であった(とはいえ、当時最速を誇った地球防衛艦隊突撃駆逐艦でさえ最大戦術速力は一五宇宙ノットであったから、それでも大幅な進化であったが)。
 だがこの程度の能力では、三〇宇宙ノット以上の快速で憎らしいほど絶妙な艦隊運動を見せつける、大ガミラス帝国宇宙艦隊を振り切って太陽系を脱することなど到底不可能と思われた。しかし、刻一刻と絶滅への坂道を転がり落ちる人類に他の選択肢は無かった――件のスターシャ・メッセージが届けられるまでは。




 メッセージと共に、基本概念と設計データが記されていたのは、星系間どころか星雲間航行すら可能な超・長距離航宙用機関であった。空間より取り込んだタキオン粒子を機関内炉心において極限まで濃縮することで高出力を発揮することから、後に『高濃縮型』波動機関と呼称されることになる実質永久機関だ(便宜上、イスカンダル式波動機関と表記)。
 これに対し、捕獲したガミラス艦艇のそれは、タキオン濃度は低いまま触媒接触によって高出力を得る『低濃縮型』波動機関(同様にガミラス式波動機関と表記)であり、二つの機関には構造と特性に明らかな相違があった。
 ガミラス式は、機関内タキオン圧力が低く済むが故に、構造が簡易で小型化も容易、機関始動に至る時間が短い等、数々のメリットがあったが、同時に地球人類にとっては致命的な問題も抱えていた――高出力発揮に不可欠な触媒の特殊性という問題が。
 後に『ガミラシウム』という名称が判明するこの特殊触媒は、ガミラス大帝星でのみ採掘される希少物質というだけでなく、当時の地球人類の技術水準では制御も遮断も不可能な、強放射性物質だったからだ。
 その点で言えば、ガミラス式波動機関のデッドコピーの機関出力が低いのも無理はなかった。人類は、ガミラシウムに代る安全且つ入手容易な触媒を用意することができず、触媒のないまま(つまりは低出力のまま)ガミラス式波動機関を使用せざるを得なかったのである。
 これに対し、イスカンダル式の優位は明らかだった。危険な触媒は一切必要とせず、機関始動にこそ時間を要するものの、一度立ち上がってしまえば強力無比な出力を安定して発揮する、正に夢のような無限機関だ。
 本来であれば大きな問題になったであろう、ガミラス式に比べて圧倒的に劣るコストパフォーマンス(機関内タキオン圧力の高さから非常に堅牢な構造が必要で、構成補機も多数に上ることから小型化も難しい)も、当時の人類には全く気にならなかった。何しろ、自らの種としての存亡がかかっているのだ。滅亡を回避できる可能性がコンマ数パーセントでも上昇するのであれば、金と労力に糸目はつけていられなかった。




 かねてからのガミラス式波動機関の事前研究により、イスカンダル式波動機関は極めて短期間の内に実用化された。そしてその存在が、当時は完全に海水が干上がっていた九州坊ケ崎沖の地下秘密ドックで建造中だった一隻のフネの運命を決した。
 スターシャ・メッセージ到着時、各地で建造中の同種艦船の中で、最も建造が進捗していたのが彼女だったからだ。また、直前まで彼女以上に工程が進んでいたアメリカ合衆国建造船(完成の暁には“アリゾナ”と命名される予定だった)がガミラス軍に発見・攻撃され、修復不可能な損傷を被ったことも彼女にとっては(人類にとってはともかく)幸運に働いた。
 幾つかの対立や齟齬があったものの、各国政府間の調整の結果、並行建造されていた他のアーク・シップは全て建造がストップされ、資材・マンパワー・エネルギーの全てが九州島沖の地下ドックに集中されることになった(この際の各国政府の協調関係が、後の地球連邦政府樹立への第一歩だったとも言われている)。
 こうして、文字通り世界全人類(この時点で二〇億人程度にまで激減していた)の期待と希望、そして残された“パワー”を一身に集めて完成した彼女は『ヤマト』と銘打たれた。少なくとも日本人の中に、その名の由来を疑うものは一人としてなかった。
 後に『宇宙戦艦ヤマト』として銀河系のみならず他銀河にまで武名を轟かす存在が誕生した瞬間だった。




 完成したヤマトの主機関には、当然のようにイスカンダル式波動機関(高濃縮型波動機関)が搭載されていた。数少ない欠点と言われた、機関始動時の立ち上がりの遅さについては、スターシャ・メッセージ到着以前に完成していたガミラス式波動機関の複製品二基を補助機関として採用することで一応の解決をみた。また、複製機関そのものも、イスカンダル式技術をフィードバックすることで若干ながら出力向上に成功していた。
 進宙当初こそ、基礎技術力の未熟さや各種物資不足に起因する初期トラブル(エネルギー伝導管の破断等)に再三悩まされたが、艦内技術陣の不断の改良努力と、機関部員の絶妙な運用によって、ヤマトは凡そ三〇万光年にも及ぶ地球―イスカンダル間の往復航行を無事に終えることになる。そしてこの旅路こそが、地球人類にタキオン式波動機関の運用ノウハウを確立させる上での嚆矢となった。




 ヤマトに装備された武装もまた波動エンジン同様、過去に例をみないものだった。かつての大日本帝国海軍戦艦『大和型』と同様の配置で設置された一八インチ主砲及び六インチ副砲は、『ショックカノン(衝撃砲)』と呼ばれる新型砲だった。
 それまでの地球防衛艦隊主力艦砲であるフェーザー砲(荷粒子砲)とは原理からして異なり、波動機関内で無限に生み出される波動現象(空間歪曲現象)そのものを、艦内伝導管を用いて各砲塔まで運搬、砲身内での電磁加速によって砲口から投射する――まさしく波動現象投射砲であった。
 非投射対象物は、空間ごと問答無用の歪曲(発生する事象でいえば原子レベルでの結合崩壊が最も近い)を強いられる為、物理的な防御は非常に難しく、何らかの高出力エネルギーシールド(コーティング等を含む)でなければ実質的な防御は不可能であった。
 ガミラス艦艇が使用しているのも、地球艦艇と同じ(出力・射程は桁違いに大きいが)フェーザー砲であったから、ヤマトの装備するショックカノンの優位は歴然としていた。同一口径で比較した場合、ショックカノンの射程はガミラス軍フェーザー砲の約二倍であり、威力も二ランクは高かった(二〇インチクラスの超大型フェーザー砲であっても、その威力は標準的な一六インチショックカノンと同程度とされる)。事実、ガミラス戦役におけるヤマトの戦歴において、彼女が備えた一八インチショックカノンが射貫できなかったガミラス艦艇は存在せず、それほどまでに圧倒的な威力を誇る艦砲であった。




 このショックカノンを主戦兵器としつつ、更に万が一の決戦兵器として“波動砲”が用意された。基本的な原理はショックカノンと同じ波動現象投射砲だが、あえて別の名称が冠された。
 なぜなら“波動砲”の威力は、後に知られるようになる『惑星破壊ミサイル』と同レベルで語られるべき、宇宙規模の大破壊兵器だったからだ。
 強制充填によって波動エンジン内圧一二〇%過負荷にまで圧縮したタキオンエネルギーを、艦首軸線砲から一気に撃ち放つ究極兵器。エネルギー充填に危険なほどの時間を要するだけでなく、エネルギー充填中と発射直後は全くの無防備になる為、非常に扱いの難しい兵器であったが、ビッグバンにも匹敵すると評された圧倒的破壊力がその存在を肯定した。ヤマトは単艦での任務完遂を求められた艦であり、数十・数百隻規模のガミラス艦隊との戦闘の可能性すら予想されたことから、一部の懸念を押し切ってまで搭載された。
 結果的に、波動砲は懸念されていたとおりの使い勝手の悪さから、ヤマトの全航海中、発射の機会は非常に限られたものであった(もちろん、波動砲が存在しなければ突破不可能な危機も存在したが)。しかし、この究極兵器は皮肉なことにその実威力以上のインパクトを与えてしまうことになる――敵手であったガミラス軍に、そしてヤマトの地球帰還後、戦訓分析を行った地球防衛軍首脳たちに(地球防衛軍首脳に与えた影響については別の機会に詳述する)。
 大ガミラス帝国にとって、ショックカノンも波動砲も、純技術的には決して目新しい兵器ではなかった。それどころか、同軍では過去に同種兵器が複数試作されていたし、実艦に搭載され運用された実例すらあった。
 しかし最終的に、これらの兵器が大ガミラスの主戦兵器として広く採用されることは遂になかった。その原因は――彼らが使用しているガミラス式波動機関にあった。
 ショックカノン、波動砲のいずれも、その威力は搭載する波動機関が達成可能なタキオン濃縮度に強く依存している。より具体的に述べれば、タキオン濃縮度が高ければ高いほど投射される波動現象はより遠くまで届き、到達した波動現象はより大きな威力を発揮する。
 つまり、ガミラス式の低濃縮型波動機関を搭載した艦船では、仮にショックカノンや波動砲を備えたとしても、射程・威力共に満足のいく結果は得られないのだ。
 では何故、ガミラスはイスカンダル式のような高濃縮型波動機関を採用しないのか?その理由は、彼らの国家状況と保有艦船数が説明となる。
 単一星系内、しかも一惑星の国家連合に過ぎなかった当時の地球とは異なり、大ガミラス帝国は大・小マゼラン星雲内に多数の星系を有する巨大な多星系間国家だった。当然、星系間の通商とその保護に莫大な数の艦船を常に必要としていた。加えて、当時の彼らは自らの生存圏をかけた大規模星間戦争の真最中であり、平時以上にどれだけフネがあっても足りない状況だった。
 そんな状況下で必要とされる要件は、どんな時代でも、どんな場所でも(たとえ異星であっても)変わらない。
 『最低限度の性能で最大多数』という要件だ。
 その点、千・万隻単位で艦船を必要とするガミラス人にとって、イスカンダル式の高濃縮型波動機関は必要以上にハイスペックであり、製造コストはあまりにも高額だった。幸い、ガミラス大帝星には非常に効率の高い波動現象触媒であるガミラシウムが豊富に産出され、それを用いればより簡易で安価な波動機関が(十分な性能を保持しつつ)大量生産できる・・・・・・となれば、国家としての判断は違えようがなかった。
 つまり、ガミラス人にとってイスカンダル式波動機関は価値と性能こそ認めるものの、自らのニーズにはそぐわない高性能すぎる機関だったのだ。そしてそれは、後に地球連邦が遭遇することになる幾つもの巨大星系間国家、ガトランティス帝国やボラー連邦、大ガミラス帝国直系の後継国家であるガルマン・ガミラス帝国にとっても同様だった。
 これらの国家はいずれも規模が巨大であり、より安価で大量生産容易な触媒接触式の低濃縮型波動機関を主に使用していた。いずれの国家もイスカンダル式の高濃縮型波動機関を製造するに足る十分な科学技術力を有し、実際に一部では使用もされていた。しかし、それはあくまで一部の特殊な艦船においてのみであり、大多数を占めていたのは、圧倒的にコストパフォーマンスに優れる触媒接触式波動機関搭載艦船であった。
 言い換えれば、純然たる経済原則に基づき、低濃縮型波動機関は高濃縮型波動機関を駆逐していたのである。
 だが、多星系間国家なら経済的に見て当然の判断と評価は、ヤマト出現と共に大きく揺らいでいくことになる。それほどまでに、彼女の波動砲がもたらした衝撃は絶大だった。
 その結果、過去の同種兵器の試作データと運用記録が引っ張り出され、緊急の再開発が行われることになった。その一つの結実が、非常用総統御座艦の改装だ。
 この艦は、ガミラス大帝星が危機を迎えた際の総統専用緊急脱出艦であり、通常の総統御座艦とは全く別の存在であった。改装対象として白羽の矢が立ったのも、本艦が常備配置の艦隊所属艦ではなく、改装スケジュールが比較的に容易に設定可能であったことと、そして何よりデスラー総統自身の強い意向があった故と言われている。
 改装は主機の交換を含む極めて大規模なもので、非常に特徴的なハイブリッド型波動機関と共に設置された軸線砲式の波動現象投射砲には『デスラー砲』という名称が新たに授けられた。
 搭載されたハイブリッド型波動機関は、高濃縮型と低濃縮型を直列に配置し、通常航行やワープドライブには低濃縮型波動機関を、デスラー砲発射には専用機関である高濃縮型を使用する。その為、デスラー砲発射直後の長距離ワープという芸当すら可能で、当時のヤマトには不可能な運用柔軟性を持つ。
 しかし、艦内容積の大半が二基(二種類)の波動機関とデスラー砲関連設備に取られてしまった為、通常戦闘能力や通信・指揮管制能力は乏しく、“御座艦”でありながら“砲艦”としての機能に特化し過ぎているという、一種異様な艦でもあった。その点で言えば、『緊急脱出用』と銘打たれつつも、実際にそのような状況が発生し得るとは全く考えられていなかったことの何よりの証左であったかもしれない。
 とは言え、満を持して搭載されたデスラー砲そのものは、過去の研究と実用結果をフィードバックし、更には専用機関まで有しているだけに、その完成度はヤマトの波動砲を凌駕していた。特に速射性と収束性においては、完全にデスラー砲が上回っていた。
 このデスラー砲は、以降の総統御座艦には必ず実装され、更に後年、より強力な“ハイパー・デスラー砲”へと進化していくことになる。
 また、総統御座艦以外でも、この緊急脱出艦のコンセプトを継承した量産艦が後のガルマン・ガミラス帝国において『デスラー砲艦』として陽の目を見ている。但し、一隻の艦に構造の異なる二種類の波動機関を搭載するのは、コスト的には(建造・運用・保守管理まで含めて)悪夢以外の何物でもなく、親衛艦隊のみの限定配備に留まった。




 敵国元首にすら影響を与えたヤマトの各種武装はあまりにも有名だが、防御についても、『地球最後の戦艦』に相応しい堅牢な(後の目で見れば過剰なほどの)ものが用意された。
 ヴァイタルパート及び主要部外殻には当時最新のエネルギー転換型コスモナイト複合装甲が用いられ、熱エネルギー兵器、実体弾兵器いずれに対しても十二分な抗堪性を持つ。加えて、波動機関が生み出す潤沢なエネルギーを利用した各種エネルギーシールドがそれをアシストしていた。
 また、以上のような直接防御機構のみならず間接防御(ダメージコントロール)においても、後に『真田方式』と称されることになる被害極限・応急システムが徹底され、ヤマトの直接防御力を見かけ以上に堅牢・強固なシステムへと昇華させていた。
 ヤマトの設計要綱では、自身の主戦兵器である一八インチショックカノンに決戦距離で耐え得る防御力が計画され(さすがに波動砲は考慮外とされた)、実際にその要綱に沿った建造が行われていた。しかし、イスカンダル帰還後の地球防衛艦隊内の非公式シミュレーションとその後の検討会で、当時最新鋭の戦略指揮戦艦として建造中だったアンドロメダ級の二〇インチショックカノンにも限定的ながら抗堪し得ると評価される程の防御力を誇ることになる。

――つづく


(2012年8月11日:A改定)
コメント (4)
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