我が家の地球防衛艦隊

ヤマトマガジンで連載された宇宙戦艦ヤマト復活篇 第0部「アクエリアス・アルゴリズム」設定考証チームに参加しました。

宇宙戦艦ヤマト2199 メカ情報まとめてみました(その①)

2012-02-27 21:22:32 | 宇宙戦艦ヤマト2199
完全に大隈さんに先を越されちゃったなぁ。。。(;^_^A アセアセ・・・
今日公開するつもりで昨日から書いていましたので、何卒勘弁してやって下さいませ。。。m(__)m

この週末、家人が寝込んでしまったので、家でゴロゴロしながら漁った2199メカ情報を以下まとめました。
まずは地球艦です。

大和型宇宙戦艦(?)ヤマト
 全長333m [新1/500キット:530㎜(1/630)]
 武装:次元波動爆縮放射機(200サンチ口径 通称:波動砲)
    四八サンチ陽電子衝撃砲 3×3
    二〇サンチ陽電子衝撃砲 3×2
    他、魚雷発射管・ミサイル発射管等多数

金剛型宇宙戦艦キリシマ
 全長205m [FMキット:185㎜(1/1100)]
 武装:三六サンチ陽電子衝撃砲 ×1
    三六サンチ高圧増幅光線砲 3×4
    魚雷発射管×8
    ミサイル発射管×16
    対宙機銃多数

村雨型宇宙巡洋艦ムラサメ
 全長152m
 武装:二〇サンチ陽電子衝撃砲 ×1
    二〇サンチ高圧増幅光線砲 2×3
    魚雷発射管×4

磯風型宇宙突撃駆逐艦ユキカゼ
 全長80m [FMキット:138㎜(1/580),メカコレ:113㎜(1/710)]
 武装:十二・七サンチ高圧増幅光線砲 3×2
    十二・七サンチ対艦砲 ×2
    魚雷発射管×3
    ミサイル発射管×8

『大和型宇宙戦艦』という呼称は金剛型や村雨型の呼称パターンからの想像、『全長333m』は一次ソースを確認していないため、どちらにもなので(?)をつけています。
また、模型製作やコレクションの参考に、既存キットとのスケール換算を行いました。

てっきり、新1/500は『2199版1/700』としてパッケージ変更されて発売されるものとばかり思っていましたが、微妙に数字が合いませんでした。
そういえば、超合金魂って1/625だったけ・・・う・・・ん・・・何かものすごく嫌な予感がするぞ(爆)
ミョーな独自スケール展開は某EXモ〇ルで懲りていてくれればいいのですが(ごにょごにょ)

公開されている情報からは、かなり旧海軍/海自色が意識されている印象がありますね。
『サンチ』とか『型』とか。
特に『型』は、旧海軍から海自に至るまで一貫して使用されている分類呼称なので、とてもいいと思います。
一時の架空戦記ブーム以降は『級(クラス)』が人気で、旧海軍の大和も『大和級』と呼ぶ人が多いのですが、徹底するならやっぱり『型(タイプ)』だな、と(笑)
え?ウチの艦隊?もちろん独自基準で使い分けていますよ、『型』と『級』。

2199では新たな艦種として『巡洋艦』が増えていますね。
艦名の『ムラサメ』は旧海軍では駆逐艦の名前で、巡洋艦名は山か川の名前が使用されていました。
もしかすると、新たに開発・植民した月や火星に『村雨』という名の川か山があるのかもしれません。
二〇サンチ連装×3基だから、シンプルに『古鷹型』でも良かった気もしますがw

ところで、艦名がカタカナ表記なのは『ヤマト』に統一したとして、艦型はなぜ漢字なんでしょうね?

金剛型と村雨型の武装には『陽電子衝撃砲』というものがありました。
門数(1門)からすると、艦首の↓ですね。

旧作ではただの逆噴射口だったような気もしますが、2199では正式に兵器として扱われるようです。
直訳すると、ポジトロン・・・ショックカノン?
wikiによると波動エンジンが『次元波動エンジン』、波動砲が『次元波動爆縮放射機』と呼ぶらしいので、ショックカノンも『陽電子衝撃砲』というのが正式名称になるのかもしれませんの模様です(公式HPより)。
もしくは、ヤマトには同じ原理を使用した波動兵器『次元衝撃砲』が搭載されるとかどうでしょう?おっ、意外とゴロも良いような(笑)

次はガミラス艦ですね。
地球艦のように詳細スペックはありませんで、名称ばかりですね。
一部は新PVの記事にも書いています。

クリピテラ級航宙駆逐艦(ミサイル艦)
ケルカピア級高速航宙巡洋艦(クルーザー艦)
デストリア級航宙重巡洋艦(デストロイヤー艦)
ハイゼラード級航宙戦艦
ガイペロン級多層式航宙母艦(三段空母)
名称不明:シュルツ艦(PVより),ドメラーズⅢ(小林さんブログより)

こちらは地球艦とは別に『級』で類別されています。
そうした差別化は良いですねぇ~♪

※2012年3月10日:公式HP『メカニック』の記載に基き、修正・追記を行いました(^_^)
主砲が48サンチ、副砲が20サンチ、、、なんかショック、、、(´・ω・`)
やっぱりヤマトの主砲と副砲は・・・(以下略)
あと、細かいところですがハイゼラード級航宙戦艦の主砲がガミラスには珍しいバレル式のように見えるのですが・・・・・・手持ち資料の写真が小さすぎて良く分かりません(^^;)

コメント (2)
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1/700 ハント級護衛艦/ハント型フリゲート①

2012-02-24 22:42:50 | 1/700 護衛艦(SOY-YA!!)


 2199年は地球人類にとってターニングポイントとなる年であった。
 この年の末、大ガミラス帝国の太陽系におけるストロングポイント、冥王星基地が遂に壊滅したのである。ここから射出される遊星爆弾と、ここを根城に活動するガミラス宇宙艦隊により滅亡の瀬戸際まで追い詰められていた地球人類にとって、永らく見失っていた“希望”を思い出させるに充分な快挙であった。
 それを為したのは、地球初のタキオン式波動機関搭載宇宙戦艦『ヤマト』であった。ヤマトは、冥王星基地を壊滅するだけでなく、駐留していたガミラス軍太陽系派遣艦隊の殆どを殲滅するという、過去の地球の常識からすれば俄かに信じ難いほどの大戦果を挙げ、そのまま太陽系外へ――大マゼラン雲サンザー太陽系イスカンダルへと旅立っていった。
 その後ヤマトは一年にも及ぶ苦難と困難に満ちた旅路の末に、地球へ帰還することになるが、残された地球人類も決して安穏としていられた訳ではなかった。


 遊星爆弾による戦略爆撃は冥王星基地壊滅と共に停止したが、それまでの被害だけでも地球と地球人類はとっくに破断界を超えていた。辛うじて地下都市に逃れていた生き残りの人類も、刻一刻と地下浸透してくる高濃度放射能に追い詰められ、深刻な食料・資材・エネルギー窮乏がその困難に拍車をかけていた。冥王星基地の壊滅で、これ以上の事態の悪化こそ回避の目処が立ったものの、地球人類に残された時間が僅かであるという冷厳な事実に変わりはなかった。
 加えて、ガミラスの太陽系派遣艦隊は事実上壊滅したが、完全消滅した訳ではなかった。ガミラス艦隊主力とヤマトとの交戦時、冥王星基地から太陽系内外に様々な任務で派遣されていたガミラス艦船の幾らかが難を逃れていたからである。
 少数の敗残部隊といえども、未だ懸絶というレヴェルの彼我の科学技術力格差を考えれば、“ヤマトのいない地球”にとっては強敵以外の何物でもなかった。何しろ、ヤマト以外にガミラス軍を正面から打ち破った事例は存在しないのだ。
 もちろん、地球側にも希望が無いわけではなかった。彼らには波動機関という名の新たな翼と、ショックカノンをはじめとする新たな牙があった。そして何よりの希望は、それら新たな翼と牙を駆使すれば、ヤマトが旅立った現状であってもガミラス艦隊と互角以上に渡り合えるという確固たる自信が地球防衛艦隊に芽生え始めていたことだった。
 そんな思いに後押しされるように、地球防衛艦隊司令部は極めて限定的ながらも艦隊再建計画をスタートさせた。計画は以下の三段階に分かれていた。


 Phase1:残存艦艇の速やかなる復旧と再配備
 Phase2:波動機関を搭載した新型艦艇の急速建造
 Phase3:既存艦艇の波動機関搭載を含む大規模改装


 2199年10月の時点で、ヤマトの進宙を成功させるために地球防衛艦隊は手持ちの人的・物的リソースの大半を使い切っており、能動的な活動はまったく不可能な状態にあった。機動戦力たる宇宙艦隊も、冥王星会戦を含む大規模擾乱作戦(詳細は『地球防衛艦隊2199』を参照)による損失と消耗で壊滅しており、数少ない残存艦の修理すら満足に行えない状態だった。宇宙艦隊再建へ向けての第一歩はこれら損傷艦の修理であったが、再建の本命は Phase2の新型艦艇建造だった。
 新型艦建造に向けての予備検討はヤマトへの波動機関搭載改装と同時期に開始されていた。しかし、当時はヤマトに全ての開発資源を集中する方針であった為、検討は概念研究程度に留まっていた(加えて、イスカンダルから技術供与された波動機関が“どの程度”使えるものなのか、確信が持てなかったという側面もあった)。
 だが、ヤマトによるガミラス軍冥王星基地及び太陽系派遣艦隊の殲滅という戦果、いや大戦果により、新型艦建造計画は俄然加速することになる。
冥王星基地殲滅の報から日を置かずして、地球防衛艦隊から艦政本部に対し新型艦の要求性能が正式に提示された。ヤマトが示した実績があるだけに、その内容は非常に野心的なものだった。



 『仮称“新・多目的宇宙戦闘艦”』という名称で提示された新型艦は、太陽系内周圏の制宙権確保と維持を目的とし、ガミラス軍クルーザー級戦闘艦を単独で撃破可能な戦闘力と、工業生産能力が激減した現在の地球でも量産可能な生産性が求められた。
 艦形状は過去に十分な建造実績があり、量産性も良好な紡錘形(葉巻型)が指定され、艦体規模は、残存する宇宙艦艇ドックで建造可能なサイズから110メートル級とされた。
 主要武装として要求されたのは波動砲、ショックカノン、宇宙魚雷、パルスレーザー、各種小型誘導弾だ。艦載機こそ搭載していないものの、武装の豊富さはヤマトのそれを完全に受け継いでいた。
 要求速度もヤマトと同等の二七宇宙ノット。艦サイズが従来型の突撃駆逐艦をやや大きくした程度である為、『突撃駆逐艦的』な艦として理解されることが多い本型だが、実態は異なる。快速と機動力を活かした宙雷撃戦よりも、砲装備でガミラス艦と正面から撃ち合い、撃ち勝つことを第一義に考えられた艦であった。
 つまり、本型のコンセプトは最小化されたヤマト――ミニマム・ヤマトだったのだ。


 主戦兵器であるショックカノンは、当初はヤマトで実績のある六インチ砲六門以上の装備が要求されたが、指定された艦の規模では物理的に搭載困難であった。しかし、ヤマトの実戦データーをフィードバックした各種シミュレーションより、ガミラスのクルーザー級であれば五インチクラスのショックカノンでも十分撃破可能という結果が得られた為、主砲として五インチ砲六門の搭載が決定された。また同時に、副砲として三インチショックカノン八門の搭載も決定されている。この三インチ砲はいわゆる両用砲的な位置づけで、速射性と大型の高動力砲塔の採用による目標追随性を重視して設計されていた。対艦攻撃のみならず、パルスレーザーより長射程の中距離防空火器としての効果が期待されていた。
 また、設計コンセプト的には主戦装備ではないとはいえ、宇宙魚雷も大型発射管二門、中型三連装発射管四基を搭載し、いざという場合は突撃駆逐艦的な運用も可能であった。
 そして本艦最大の決戦兵器とされた波動砲については、艦体の基本設計と機関能力が確定次第、改めて詳細仕様を決定するものとされた。
 搭載機関はもちろん、ヤマトで実用化されたばかりのタキオン式波動機関だ。艦の規模に合せたダウンサイジングと、ワープドライブ用デバイスをはじめとする遠距離航行用補機類のオミットで簡略化が図られる予定だった。


 以上のようなスペックは、過去の地球艦艇の能力と比較すれば破格のものであったが、性能提示を行った地球防衛艦隊はその実現に自信を持っていたと言われている。とはいえ、その自信の根拠は多分に気分的な(それも高揚した)ものであり、現実は厳しかった。つまり、根本的に要求性能が高すぎたのだ。
 要求を完全に満たした艦の規模と武装を両立した場合、予定サイズの波動機関では出力が不足することが明らかになったのである。具体的には、最大戦闘速度で全力射撃を行った場合、最悪十数分で機関内圧力が稼働最低圧を下回ってしまう(つまりはエンストする)という検討結果が報告されていた。
 搭載が予定されていた波動機関はワープデバイスをはじめとする本型には不要と判断された周辺補機を悉く撤去し、ヤマト程の長期間・遠距離航行は考慮の要なしとして設計・製造マージンを削れるだけ削ることで限界まで機関容量を稼いでいたが、それでも尚、必要出力には及ばなかった。
 この事態に、設計部門である艦政本部のみならず防衛艦隊までが頭を抱えた。引き続き機関の改良検討は行われていたものの、根本的な解決には時間を要するどころか、解決の目処すら全く立っていなかったからである。
 驚くほど短期間でタキオン式波動機関の実用化に成功した人類であったが、イスカンダルからの提供資料に基づいて何とか完成させたというのが実情であり、基礎理論面での理解は、イスカンダル人やガミラス人から見れば赤子も同然であった。つまり、“小型化”という応用検討は当時の地球人類には未だハードルが高すぎたのだ。
 艦政本部は当面の対応として、機関負荷の大きい砲兵装の削減や艦体規模の拡大を逆提案した。しかし、防衛艦隊がそれらを悉く拒否した結果、防衛艦隊と艦政本部が対立状態にまで陥ってしまう。
 艦政本部に一通の報告書が上げられたのは、そんな折だった。防諜を配慮し敢えて素気なく書かれた報告書の表題は『漂着物“乙”調査結果』だった。この報告書が、一度は暗礁に乗り上げた新型艦計画を再び離礁させることになる。




 『漂着物“乙”』
 それは、火星に墜落したイスカンダル王室船――通称:サーシア・シップを指す秘匿名称であった。
 サーシア・シップとは、イスカンダル女王スターシアの命を受けた王妹サーシアが、単身地球へと来航した恒星間宇宙船である。
 不幸にも太陽系到着直前、ガミラス軍による攻撃(現在では誤射であったことが判明している)を受けて船が損傷、火星へと墜落した。
 唯一の搭乗者であった王妹サーシアは救命艇で脱出したものの、脱出時の事故で帰らぬ人となってしまう。スターシアが託した波動機関技術が地球を救う原動力になったことを思えば、通信カプセルを握りしめたまま絶命していたと伝えられる彼女は、まさに全ての地球人にとっての恩人であった。
 王妹サーシアの遺体は、墜落地点の調査に訪れた地球防衛艦隊士官によって発見され、可能な限りの丁重さを以って墜落地点近郊に仮埋葬された。遺体すら持ち帰れない状況では救命艇や墜落したサーシア・シップの回収は望むべくも無く、この時点ではそのまま放置するしかなかった。
 サーシアの遺体回収とサーシア・シップの本格調査がようやく実現したのは、ヤマトが発進し、地球―火星間の航路の安全がある程度確保された後のことであった。既に最初の発見から一ヶ月以上が経過していた。
 意外なことに、サーシア・シップは完全に発見時の状態を保っていた。調査前の予想では、かなりの確立でガミラスに破壊されていると考えられていたからだ。もちろんそれは幸運などではなく、ガミラスは意図して手を付けなかったのだが、その理由は当時の地球人の想像の埒外にあった(ガミラスとイスカンダルの“奇妙な関係”はヤマト帰還後にようやく判明することになる)。
 そして調査開始後すぐに、サーシア・シップが紛れもない“宝の船”であることが判明した。
 火星に墜落したサーシア・シップは、船首部分こそ地表との激突で大破していたものの、船尾部はほぼ原形を保っていた(そのこと自体、王族専用船としての並外れた堅牢性を示していた)。最大の驚きは、ほぼ無傷の状態で発見された波動機関であった。
 調査に訪れた艦政本部の研究員たちが一目見た瞬間、一様に感嘆の吐息を漏らしたと伝えられるほど、サーシア・シップに搭載されていた波動機関は先進的且つ洗練された構造をしていた。
 研究員の一人が「こいつに比べれば、俺らが作ったのは学生の卒業制作みたいなもんだ」と自嘲気味に呟いた言葉が後世に伝えられたことで、イスカンダルは地球人に劣化コピー品(モンキーモデル)しか許す気はなかったと主張する研究者もいるが、事実は異なる。
 イスカンダル人、というよりもイスカンダル女王スターシアが為そうとしたことは、自らよりも数世紀は遅れた異星種族に自らの優れた科学技術の結晶を理解させ、短時間で実用化させるというものだった。多少の想像力を働かせれば、それがどれほど困難な命題であるか理解できるだろう(例えて言うなら、布張りの複葉飛行機を作れるようになったばかりの時代の人々に、超音速ジェット機を作らせようとするようなものだ)。
 当然、イスカンダルから提供しなければならないのは、波動機関の設計図面といった資料はもちろん、各種理論方程式や製造に不可欠な素材の精錬加工技術といった周辺・基礎技術にまで及ぶことになる。




 結果的に、スターシアはこの困難な命題に成功した。もちろんそこには、波動機関実用化に向けて血の滲むような努力を重ねた地球人類の存在があった。しかし同時に、スターシアが“地球人類でも実用化可能なレヴェルの波動機関”を正しく選定していなければ、技術供与が失敗に終わった可能性は極めて高いのである。
 言い換えれば、スターシアが提供した波動機関技術は、彼女らにとってみれば非常に基本的な、ある意味では原始的なものだった。精緻さで得られる効率性能よりも、とにかく大容量・大型の機関で性能を稼ぎ、各部機構の簡易さや安定性を最重視したものであった(それでも尚、宇宙レヴェルで見れば非常に高性能なのだが)。
 これに対し、サーシア・シップはイスカンダル王室専用の銀河間航行可能な宇宙船であったから、そこに用いられている技術はイスカンダルでも最高レヴェルのものであり、波動機関を実用化したばかりの地球人にとってはまさに『宝の船』だったのだ。
 もちろん、使用されている技術が高度過ぎ、その分析と解析は容易なことではなかった(完全解析に最低五〇年、技術応用には一〇〇年が必要と考えられた)。しかし地球人とて、捕獲ガミラス艦を元にした独自研究とイスカンダルからの体系的な技術供与によって、非常に初歩的ではあるが波動機関と波動物理学を身に着けつつあった。それら知識と技術を総動員すれば、コンセプト的な模倣や、簡易なハードの模造程度ならば、すぐにでも実用可能な技術が幾つか発見された。
 その中でも最大の発見とされたのが『波動現象増幅装置』である(普及した現在では、単に『増幅装置』と呼ばれることも多い)。
 この装置は、波動機関内で高濃縮されたタキオン粒子から、より効率的に波動現象(空間歪曲現象)を発生させる機関内補機であった。これにより、サーシア・シップは船体・機関共に非常に小型でありながら、超長距離・連続ワープが可能なほどの高い航宙性能を有していた。
 もちろん、同目的の補機はヤマトにも装備されていた。しかし、ヤマトは機関容量だけで十分な波動現象を得られるよう(そして構造が少しでも簡略化できるよう)大容量の大型機関が選定されていた為、イスカンダルの資料に記されていた増幅装置の性能は極めて限定的なものだった。
 イスカンダルでは、この装置は容量に制限のある小型機関を高効率化させる為には必要不可欠だが、容量に余裕のある大型機関には性能過剰なものとして捉えられていた。こうした考えは、原則平和主義を唱えるが故に民用用途しか存在しないイスカンダルには相応しいものであったが、軍事用途での使用を考えれば、おのずと答えは異なってくる。小型機関は言うに及ばず、大型の波動機関でも『波動現象増幅装置』を装備するだけで、飛躍的な機関性能向上を達成することができるからだ。特に、この時代以降の地球艦艇は波動砲やショックカノン、エネルギーシールドなど、波動現象と機関出力に拠った兵器を多用していたから、機関性能の向上は戦闘能力や防御能力の向上と全く同義であった。

 『波動現象増幅装置』の報告に、新型艦計画関係者は最初は半信半疑であったものの、詳細を知ることでそれは大きな期待へと変わった。上申された報告書には、念の入ったことに増幅装置の簡易複製品の計画図と、それを用いた場合の性能予想曲線まで添付されていたからだ。そして、その性能曲線を信じるならば、現状の新型艦用波動機関でも十分に要求出力を達成可能であった。もちろん、報告書を作成した研究員たちもそれを十分に理解しており、その点でも彼らの強い自信と高い意気込みが感じられた。
 この波動現象増幅装置の開発と実用化こそが、ハント型フリゲートの成功のみならず、後の“第二世代”波動エンジン――高効率型波動エンジン――誕生の嚆矢となるのである。


ハント級護衛艦とオマハ級哨戒巡洋艦の比較。
艦サイズを極限まで切り詰めながら波動機関容量は最大化するという相反する命題を達成する為に、ハント級の機関部(朱色部)は艦中央部より大直径化しており、開発に携わった造船官たちの苦労がうかがえる。
一方、ハント級の拡大改良版とも言われるオマハ級だが、艦のシルエットは大きく異なる。艦サイズの制約が緩和されただけでなく、波動現象増幅装置の実用化により機関効率が大きく向上したことで、これ以降の艦艇は一挙に艦体がスリム化した印象がある(画像はスパーチャージャー増設改装後の姿)。



――つづく。

『護衛艦』第一回(前編)をお送りしました(^_^)
書き始める前は一回で終了すると思っていましたが、書いている内にアレコレと妄想が広がりまして、結局は二回に分けることと相成りましたw
恐るべし!この計画性の無さ(^^;)

今回の模型は『SOY-YA!!』さんのガレージキット『1/700護衛艦』です。
実はこの言葉には二つ意味がありまして、『SOY-YA!!』さん製のガレージキットを『SOY-YA!!』さん御本人に作っていただいたという・・・予想外の事態になっていたのです!!(^^;)
SOY-YA!!さんと言えば、ヤマト模型本にも作例を掲載されているような方ですし、これまでに発売された数々の1/700ヤマトガレージキットを思うと、私のような1/700コレクターには雲の上の存在のような方なのです。本当に信じがたい非常事態なんですよ、奥さん!!
詳しくは書きませんが、本作には原型を作られた方ならではの改良・修正も加えていただいていまして、そうしたキット発売秘話的なお話も大変興味深くお聞きすることができました。
カラーリングは、我が家の艦隊ではすっかり定番化(?)しましたヤマトカラーで、細部まで丁寧に仕上げていただいています。
なんでもSOY-YA!!さんでは、このキットの補修や将来のヤマトカラーでの製作依頼に備えて、今回の塗装レシピを残して下さっているそうですので、『俺もこれと同じカラーリングが欲しい!!』という方、いかがでしょう?(笑)

はてさて、徐々に明らかになってきました『2199』には、土方艦長や山崎機関長の登場が予定されていますね。
必然性があれば、後作品の設定も積極的に使っていきますよ、ってことなんだと思います。
であれば、人物のみならずメカでも同じことがありえるんじゃないでしょうか。
その点、『護衛艦』はヤマトがイスカンダルから帰還した折にでも登場してもいいんじゃないか・・・この製作スタッフの方々であれば、そこまでやってくれるんじゃないか・・・と大いに期待しつつ、『護衛艦』後編も頑張りますw

そして、以前公開しましたアンドロメダ①の記事の中に『大隈雑記帳』の大隈さんから御了解をいただいて、しゅんらん画像を転載させていただきました。初見の方は是非是非!!
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宇宙戦艦ヤマト2199 PV2

2012-02-21 20:30:10 | 宇宙戦艦ヤマト2199
2月18日の宇宙戦艦ヤマト2199発進式で公開された新PVが各所で配信されていますね。
皆さんはもうご覧になられました?(^_^)
私は我慢しきれず会社の昼休みに初見したのですが、あの映像と音楽の複合技に、全身に鳥肌が立って、鼻の奥がツーンとして、目頭が熱くなって、、、、、、いやいや、マジで(笑)
部下たちの手前、さすがにそれ以上の醜態は踏みとどまりましたが(^^;)




少しばかり懸念していたCVも全く違和感を覚えず、すんなりと作品世界に入り込めた気がします。
今回の新PVで気になったのは、古代が沖田に言う『ネ号メ号作戦が陽動だったというのは本当ですか』という台詞ですね。
これは、冥王星海戦を指しての台詞である可能性が高いと思います(メ号のメは冥王星のメ?)。
旧作では、圧倒的な戦力・技術力格差があるのに、何故わざわざ冥王星宙域に進出してまで戦闘を挑む必要があったのか疑問でしたが、2199では何らかの理由付けが為されているのかもしれませんね。
以前のブログ記事(地球防衛艦隊2199)で、その辺りの理由付けを妄想したこともありますので、新作でどんな風に描写されているか今から楽しみです♪

あと、18日の発進式で配布された資料には、複数のガミラス艦の名称や姿が描かれていたそうですね。
今のところ聞いていますのは・・・

デストリア級航宙巡洋艦(旧デストロイヤー艦?)
ハイゼラード級航宙戦艦(旧シュルツ艦とは別の存在の模様?)
ガイペロン級多層式航宙母艦(旧三段空母?)

『多層式航宙母艦』って名称から察するに、メカ的にもかなり拘った設定を用意されていそうですね!!
既にamazonでBDの予約を入れていますが、やっぱり劇場に見に行きたくなってきました!!

『護衛艦』記事は今週末に公開予定です(^_^)
あと、大隈さんからありがたくも画像転載の了承をいただきましたので、前回までのアンドロメダの記事に新たな華として添えさせていただく予定です♪
うーーーんっ!!なんだか、激しくみなぎってきましたッ!!ヽ(^◇^*)/


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1/700 アンドロメダ級戦略指揮戦艦②

2012-02-05 13:18:40 | 1/700 戦略指揮戦艦アンドロメダ(バンダイ)


 ガミラス戦役前、二〇〇億人という規模を誇っていた地球人口は、戦役終結時には二〇億人あまりに激減していた。実に生存率一〇%という破滅的な惨状であった。
 戦役終結後、成立したばかりの地球連邦政府によって数々の多産政策が実行に移されたが、その効果が発揮されるまでには少なくとも一〇年単位の年月が必要で、とにかく今は残存する人口を可能な限り有効活用するほかなかった(あまりの人口学的惨状からヒューマン・クローニングすら検討されたものの、さすがに宗教的禁忌による反対が強く、断念されている)。
 結果、あらゆる分野においてマンパワー投入に対する厳密な査定が行われ、機械化や無人化が可能な分野・職制・職域が徹底された。しかし、イスカンダルからもたらされた究極の環境改善装置『コスモクリーナーD』は予想以上の高性能であり、人類にしてみれば嘘のような短期間で地球環境を完全回復してしまった(むしろ戦役以前よりも“改善”したとまで言われたほどだった)。
 つまり、戦役によって人口の九割方が失われたものの、人類領域は減少するどころか、波動機関という新たな翼を得たことで、今後爆発的に拡大することすら予想された。つまり、どれほど省人化を推し進めたとしても、人口の絶対的不足は明らかだった。
 地球防衛軍もその影響に無縁ではいられなかった。むしろ長期戦役の常として優良人員多数を優先的に与えられていただけに、真っ先に人員削減の対象とされ、大量の動員解除と復員が急速に進められた。但し、人員規模が大幅に縮小・削減されたのは本土決戦に備えて多数整備されていた地上根拠地と陸上兵力(空間騎兵隊を含む)であり、地球防衛艦隊についてはむしろ早急な戦備の回復と大幅な規模拡大が予定されていた。
 しかし、地球人口の不足はあまりにも深刻であり、拡張へと転じた地球防衛艦隊をもその影響の例外とはしなかった。つまり、人員の削減こそ行われなかったものの、艦隊拡張に不可欠な増員は最小限とされてしまったのである。
 その影響は、早くも2200年内に表面化していた。当初は、波動エンジン実用化以前の旧式艦艇を順次から廃棄処分とし、浮いた人員の再配置が行われた。しかし、戦艦級の艦艇が五隻・一〇隻と継続して増強される状況では焼け石に水だった。
 その結果、波動エンジン搭載改装を受けたことで未だ十分な戦闘力を有する艦艇群(アドバンスド・カイザー級やカゲロウ改級)まで、次々に予備艦指定を受けることになってしまう。
 それらの艦艇から取り上げた人員を新造艦に振り分け、更に宇宙戦士訓練学校からの繰り上げ卒業や促成教育を受けた新規志願人員(殆どが大削減された元陸軍軍人)を投入することで、ようやく艦隊人員定数六〇パーセント強を維持しているような有様であった。




 アンドロメダ級戦略指揮戦艦にとって最大の不幸は、そうした極度の人員不足の中で計画と建造が行われたことだった。
 本来、アンドロメダ級の乗員数はヤマト級宇宙戦艦の一・五倍程度が予定されていた。増大した艦の規模、更に戦闘艦としての機能と指揮艦としての機能を合せ持つことを考えれば妥当、むしろ人員削減の努力すら感じられる人員数であった。
 しかしそこに、地球防衛軍において造艦技術を司る艦政本部が異議を唱えたことで事態が混乱し始める。一説には、当初の『艦隊指揮艦』プランを撤回・修正させた艦隊派に対する意趣返しであったとも言われるが、客観的に見て艦政本部の主張にも頷ける部分はあった。
 艦政本部の主張は概ね以下のようなものであった。曰く――人員窮乏の現在、このような多数の人員を要する大規模艦の運用は現実的に不可能であり、抜本的な対策を要する。
 この主張に対し、各部門から意外なほどの賛同者が表れたことで、半ば確定済みと思われていたアンドロメダ級建造計画の混乱は決定的になった。
 地球防衛艦隊内部では主流派の艦隊派であったが、外部では完全に少数派だった。それどころか、地球防衛軍内局の防衛官僚や艦政本部の技術系将校・部員との折り合いが悪かったことが事態を複雑にしていた。
 戦役中であれば、こうした組織内不協和が具体的な衝突にまで至ることはなかったかもしれない。ガミラスという敵手が存在する以上、組織間抗争に明け暮れているような余裕はどこの誰にも無かったからだ。しかしそのような時代であっても、表面化しないだけで軋轢と不満は確かに存在していた。
 技術部門は、いつも無理難題ばかりを押し付けてくるばかりで、僅かな戦果しか上げることができない実戦部隊を心の奥底では呪っていた。それでも、戦役中は実際に血を流している人々に対する敬意と遠慮がそうした感情を押し殺させていた。しかし、戦役が自然休戦に終わった現在でも、実戦部隊は態度を改めるどころか、既に実働していた建造計画まで彼らの頭越しに引っ繰り返してしまった。技術部門の総本山ともいうべき艦政本部にとっては、完全に面目を潰された格好だ。
 同様に官僚部門たる内局も不満を抱いていた。計画変更の発端は地球連邦政府首脳部からの“要請”であったとはいえ、本来ならばそれに対応するのは彼ら文官、官僚部門でなくてはならなかった。彼らにしてみれば――実戦部隊の一派閥風情が――というわけだ。
 ある意味、彼らの衝突の根本原因は、今が“戦時”か“平時”かの認識の違いによるもの(前章でも述べたように艦隊派は未だ戦時が継続していると考えている)だったが、そのような分析は事態解決には全く無意味だった。
 一ヶ月程度の短くも熾烈な協議の結果、アンドロメダ級戦略指揮戦艦の建造計画は幾つかの重大な変更が加えられることになった。その代表格が、艦政本部が進めていた『先進省力技術艦構想』の適用だ。
 艦政本部はガミラス戦役中から、後に“無人艦隊”として結実することになる完全自律戦闘艦(無人戦闘艦)の開発計画を推し進めていた。
 計画は、ガミラス戦役三年目頃から顕在化していた宇宙艦艇乗員不足を解消することを目的としており、2200年になってようやく現実的なハード・ソフトウェアの整備が完了したところであった。既に、数隻のボロディノ級及びアルジェリー級に無人化改造が施され、防衛軍参謀本部直轄戦隊として運用が開始される直前であった。
 一見、順風満帆のように見える無人戦闘艦計画であったが――実際には問題が山積していた。システムだけは、タキオン物理学の進展によって実用化された新型量子コンピューターを用いることで一応の完成をみたものの、まだまだ基礎理論の面で改善の余地があるばかりか、戦術行動を自律的に判断する上での指標となる各種戦術データが決定的に不足していた(とある防衛艦隊提督は無人戦隊の艦隊運動を視察した際『あれでは艦隊というより案山子の行列だ』と述べたと言われている)。
 本来ならば、実艦の建造どころか地道な基礎研究こそ必要な状況であったが、内外からのあまりにも強い省力・省人化要求が現実を押し流していた。理論面の未熟さは時間をかけて解決するしかないとしても、少なくとも戦術データの収集は愁眉の急だった。そのような状況で考案されたのが件の『先進省力技術艦構想』であった。




 艦政本部の認識は、現在の自動化技術は完全自律システムとしては未だ不安を残しているものの、要所を人間が判断・指示する半自動的運用に徹するのであれば十分な実用性を持つというものだった。艦政本部としては、できるだけ自動化した有人艦で運用・戦術データを蓄積し(当然、自動化率が高い艦ほどデータ価値は高い)、完全自律艦開発の一助にしたいという腹積りがあった。
 つまり『先進省力技術艦』とは、単に極限まで自動化を推し進めた有人艦というだけでなく、無人戦闘艦用戦術データの収集を第一義とした艦のことを指す。その為、艦の各部には現時点の技術の限界まで自動化が施されていた。特に、機関部や各砲塔などの重要部に実働員を配置せず、全て艦橋及びCICからの遠隔操作で運用する自動化手法は、アンドロメダ級の乗員定数削減には大きく寄与したものの、旧ヤマト乗組員を筆頭に、実戦経験者ほど強い懸念と不満を表したと言われている。
 アンドロメダ級は直接防御こそ自艦の二〇インチショックカノンにも平然と耐え得るだけのものが与えられていた。しかし、一度主装甲が抜かれ艦内指揮系統に障害が生じてしまえば、それを補うダメージコントロール能力(人員)に乏しく、最悪の場合、一挙に戦闘能力を喪失してしまうことが考えられたからである(不幸にもこの懸念は後に現実のものとなる)。
 自らの艦隊指揮艦が容易に能力喪失しかねない脆弱性を秘めている――この危険性に対し、土方地球防衛艦隊司令長官をはじめとする艦隊派の人々の発言は残されていない。忸怩たる思いがあったことは想像に難くないが、画一的に反対していたと判断するのは早計である。
 当時、地球防衛艦隊将兵の平均技量は、アンドロメダ級に施された危険なまでの自動化を肯定せざるを得ないまでに低下していたと考えられるからだ。拡大する一方の艦隊戦力に対し、いわゆるヴェテラン乗員は僅か一割程度に過ぎず、残りは繰り上げ卒業の新品士官か新規志願者のみ。そうした歪極まりない人員構成に加えて、艦隊乗組員の充足率は七〇パーセントにも満たなかった。次々に艦隊に加わる新たな艨艟達の勇ましい姿とは裏腹に、地球防衛艦隊は人員面で完全に空洞化していたのである。事実、この時期の艦隊内事故率は、物資にも整備にも事欠いたガミラス戦役中と比べても倍以上のハイレートを弾き出している。
 その事実に、実戦部隊の長たる土方長官をはじめとする艦隊派将兵が気付いていなかったとは考えにくい。一般的には、アンドロメダ級に施された度を越した(と評される)自動化は、技術部門たる艦政本部と官僚部門たる内局を中心とした地球防衛軍上層部が実戦部隊である地球防衛艦隊に押し付けたものと考えられがちだが、実態はそこまで単純ではない。
 当時、地球防衛艦隊はハードウェア(各種艦艇や支援設備)のみならずソフトウェア(人員)の面でも再建を迫られていた。ハードとは異なり、人員は工場に命じたからといってすぐに増産されるものではない。新人たちが一人前の防衛艦隊将兵として成長するまで最低三年は必要と考えられたが、その期間も地球防衛と護民という任務は完遂されなければならなかった。その為には、低練度の艦隊将兵を補完する存在として(今は未熟といえども)自動化技術も積極的に推進・投入すべき――現実主義者の集まりと言われた艦隊派の人々がそうした発想を持っていたとしても何ら不思議はないのである。




 本級のネームシップであるアンドロメダは就役と同時に地球防衛艦隊旗艦の任に就いた。完成式典で初めて一般に披露された先進的且つ雄大な艦容に、興奮のあまり失神する参列者まで出たと伝えられている。
 就役直後から土方長官直卒の下、猛訓練を開始したアンドロメダであったが、訓練開始早々、地球防衛軍参謀本部から特命を受ける。テレザートへ向けて独断発進したヤマトの追撃命令である。
 『地球防衛艦隊“丁”事件』、非公式には『ヤマト追撃戦』やと呼ばれるこの短くも熱い二日間で、アンドロメダはヤマトを遥かに超える能力と共に、自らの限界まで示してしまう。
 各地からの寄せ集め艦艇で効果的な哨戒線を形成した艦隊指揮管制能力、ヤマトをより遠距離から捕捉した索敵能力、アステロイドベルトに突入することで追撃を振り切ったヤマトを迂回航路で再捕捉した機動力、いずれもアンドロメダ級でなければ不可能な芸当だった(事実、他の追跡艦は機動力の不足からアンドロメダに追随できなかった)。
 しかしそれは同時に、イスカンダル帰りの熟練乗員多数を揃えたヤマトの技量を痛烈に思い知らされる結果でもあった。小惑星帯を最大速力で駆け抜けるアクロバティックな操艦は、低い技量を自動化で底上げしているアンドロメダには絶対に不可能であった(皮肉なことに、より性能で劣る筈のボロディノ級主力戦艦一隻が熟練副長兼航海長の操艦で追跡に成功している)。また、ヤマトと衝突寸前の進路交差時の乗員の恐慌度合いは、同艦の数少ないヴェテランである砲術長をして、不慮の事故を防ぐために火器管制装置のマスターキーを抜くよう土方長官に上申させたほどだった。
 アンドロメダとヤマトの衝突は幸いにも未発に終わったが、地球防衛軍上層部に自軍将兵の技量の低さを改めて思い知らせる契機となった。この事件以降、地球防衛軍は従来以上の熱意で完全自律戦闘艦による艦隊の設立に注力していくことになる。
 その過程でアンドロメダが果たした役割は小さくない。アンドロメダの生涯はヤマト以上に短かったが、その間に『先進省力技術艦』として蓄積された各種運用・戦術データが無ければ、2203年という非常に早いタイミングでの自動艦隊設立は不可能だったと言われているほどだ。
 また、アンドロメダに実装された各種自動システムは運用を重ねながら、地球防衛艦隊と艦政本部の合同部会において慎重に有効性評価が続けられていた。省力効果無、省力リスク大として研究打ち切りとなった自動システムも多数に上ったが、確実な省力効果が得られると評価されるシステムも徐々に数を増やしていった。それらアンドロメダで有効性が実証された自動化技術は以降の有人艦艇に取り入れられ、単位規模当りのマンパワーを確実に低下させていった。
 2201年から2206年にかけて打ち続いた対異星人戦争において、その都度多大な損害を負いながらも、地球防衛艦隊が曲りなりにも機動戦力を絶やすことがなかったのは、自動艦隊による戦力補完と効果的に省力化が図られた有人艦艇を主力としていたことと無関係ではない。
 もちろんそうした艦艇群は、直接防御はともかく間接防御の点での脆弱さは否めず、僅かな損害がダメージコントロールの失敗によって喪失に繋がる場合も少なくなかった。しかし、星間国家として歩み出した地球連邦が自らの勢力圏を維持するには最低限の艦艇数――物量が必要である以上、他に現実的な選択肢がなかったのも事実である。むしろ、物理的に不可能な理想論――十分な人員を配置した有人艦多数を配備する――に拘り続けていた場合、この最も苛烈な戦乱期に戦力の完全消滅を招いていた可能性は極めて高い。そしてその事態は、2199年以来の悪夢――地球人類の絶滅――に直結したであろうことは言うまでもない。


 ヤマト級宇宙戦艦が後の地球艦艇全ての始祖であることに異論は無いだろう。彼女が初めて搭載したハードウェア『波動エンジン』『波動砲』『ショックカノン』が地球艦艇の三種の神器と呼ばれていることからも、それは明らかだ。しかし、ソフトウェアという点での始祖がアンドロメダ級戦略指揮戦艦であることが評価される機会は、残念ながら非常に少ない。
 彼女が無理を押して搭載し、実証した数々の自動化・省力化技術は結果的に彼女自身の寿命を縮めることになったものの、彼女の跡を継いだ後の全ての地球の守護者達の血肉、いや“神経”として昇華することになったからである。


アンドロメダ級戦略指揮戦艦九番艦『アルテミス』とドレッドノート級主力戦艦五八番艦『リナウン』。
アンドロメダ級は改良を加えながら四半世紀以上に渡り運用が続けられた。
ヤマトを超える巨躯は、後の発達・改良を受け入れるだけの余裕を十分に残しており、設計時には予想されていなかったほどの長期運用が可能であった。
そうした見えない点での有用性も、本級が名艦と称される所以である。



――おわり。

第二回『アンドロメダ』編をお送りしました。
何やら地味なお話に終始してしまい、『おい!拡散波動砲はどうした!?』『え~、二〇インチショックカノンには触れないの?」と言われると辛いところですが(^_^;)
最後の復活篇主力戦艦とのツーショットは、DC版公開記念のサービスショットということでw

さて本項では、悪しざまに言われることの多いアンドロメダの自動化技術について言及してみました。
某技師長のセリフ『これはもう戦艦とは言えない、戦闘マシーンだ』『お偉方はヤマトの勝利を機械力の勝利と錯覚しているのだ』や、wikiにまで書かれている『精神性を喪失し退廃する物質文明の象徴』というアンドロメダの描かれ方に、以前から違和感を持っていました。
確かにそうした一面もあるでしょうけど、当時の時代設定から推測するに、現実的な対応はそれしかなかったのではないかと思っていたわけです。
何しろ人口が1/10になってしまった世界なのですから・・・・・・(^^;)
『〇〇とはこうであるべきだ』と現実を無視して理想論を喚き立てるのは簡単ですが、不可能に不満を述べているだけでは思考停止しているのと同じです(いつの時代の話だって?もちろん23世紀初頭の話です!)。

さて、次はセオリーでいけばボロディノ級主力戦艦の番ですが、少し飛ばして『さらば』『2』の護衛艦に行ってみたいと思います。
先日某所で頂戴しましたご質問に、自分なりの回答を出してみたいと思います。
ではでは、また次回~~~♪(* ̄▽ ̄)ノ~~

コメント (10)
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