我が家の地球防衛艦隊

ヤマトマガジンで連載された宇宙戦艦ヤマト復活篇 第0部「アクエリアス・アルゴリズム」設定考証チームに参加しました。

アキヅキ級宇宙駆逐艦/ユウバリ級護衛巡洋艦 後編

2013-12-21 22:26:24 | 1/1000 完結編駆逐艦(岡山のプラ板使い)
――本設定妄想には、本ブログでは珍しく中編がありますので、ご注意ください。



 2205年頃までの地球は、外交と言えば“滅ぼすか・滅ぼされるか”式の全面戦争しか考慮することができなかった。いや、それ以外の可能性を模索したくても、国力の乏しさと勢力の小ささ故に、他国から現実的な外交相手として全く見做されなかったというのが現実だった。
 しかし地球は、ガミラス・ガトランティス・デザリアム・ディンギルと続いた四つの大規模紛争の全てに勝利し、ボラー連邦との限定戦争と現在まで続く冷戦を戦い、更にはガルマン・ガミラス帝国との軍事同盟を締結するにまで至った。
 それら数々の外交事案を経た結果、地球連邦という新興の一星系国家は、当人らも意識しない内に、軍事力に依らない一般的外交が展開可能な中堅国家へと脱却を果たしていたのである。
 事実、ディンギル戦役の前後より、ボラー連邦やガルマン・ガミラス帝国に保護国化・属国化されている幾つかの星系国家から、非公式な外交アプローチを受けていた。それらの国家群にしてみれば、新興の単一星系国家でありながら、独立勢力として確固たる地位を確立しつつある地球連邦はある種の理想を体現した存在だった。故に彼らは、地球連邦に対して星系国家の独立独歩を担う旗頭としての役割を期待していたのである。
 しかし、これらの外交接触に対する地球連邦政府の対応は非常に慎重、特定の思想の持ち主からすれば非常に冷淡なものだった。
 地球には既にガルマン・ガミラス帝国と結んだ軍事同盟があり、その関係性を失うことは、地球連邦の安全保障を根底から覆すことに直結するからだ。その為、ガルマン・ガミラス帝国領域内星系からのアプローチについては、外交儀礼的な返答のみが返され、実質的には黙殺された。
 また、ボラー連邦領域からの接触にしても、具体的なアクションはやはり難しかった。
 “赤色銀河交差事件”以降、域内が大混乱に陥ったボラー連邦と地球連邦は、ボラーで著しく不足している民生品の輸出を目的とした協商条約を締結しており(もちろんガルマン・ガミラスの黙認下で)、二国間の外交関係は太陽危機の頃と比べると大きく改善していた。そうした情勢下で、地球連邦がボラー領域内星系国家の独立運動を支援した場合、せっかく改善した外交関係が水泡に帰すばかりか、再度の戦争勃発のリスクすら覚悟しなければならなかったからである。
 事実、赤色銀河交差事件から数年間、ボラー連邦は自国領域内の独立運動に神経を尖らせていた。銀河交差による混乱と損害で、各星系に対する支配力が大きく減退しているボラー連邦において、一たび構成国家の離反や独立が始まってしまえば、それを押し止めるだけの外交力・軍事力は既に無いと考えられていたからだ。
 それ故に、ボラー連邦外縁部サジタリウス腕に位置する星系『トゥグル』の独立運動は、ボラー連邦・地球連邦の双方において大きな事件となった。

 地理的用件が示す通り、ボラー連邦におけるトゥグルは紛れもない辺境地であった。
 赤色銀河交差事件発生後、ボラー連邦内で最も危機的な状況に陥ったのは、実際に“交差”が発生した核恒星系周辺部であったが、それに次ぐ危機は、意外にも“交差”から遠く離れた辺境部で発生していた。連邦内での生産と物流が大混乱に陥った結果、辺境部への物資供給・物流が殆ど途絶してしまうという事態が発生していたからである。
 深刻な物資不足に端を発した社会不安により、ボラー連邦辺境星系の一つ、“トゥグル”では治安が急速に悪化。かねてからのボラー連邦への不信と反感も重なり、それが独立運動の大きなうねりとなって燃え上がるのに時間はかからなかった。
 独立運動において中心的役割を果たしたのは『トゥグル独立準備委員会』と称する一派だった。彼らは、ボラー連邦正規軍から派遣されていた政治将校を排除(殺害ではなく主に拘禁)することでトゥグル星系軍の取り込みに成功、少数の連邦駐留軍を撃破することで、叛乱のイニシアティブを握った。そしてその後僅か一週間でトゥグルよりボラー勢力は完全に駆逐され、遂には星系の独立を宣言するに至る。
 これに対し、ボラー連邦の反応は当初非常に鈍かった。いや、鈍くならざるを得なかった。この時期、“交差”による物理的損害と被災星系への救援作業に総動員されていたボラー連邦軍は、物的にも人的にも消耗と疲労の極みに達しており、能動的な作戦展開能力を完全に喪失していた。つまり、本来ならば急を要するトゥグルへの兵力展開が現実的に不可能な状況だったのである。



 この事件は、地球連邦においては、いよいよボラー連邦の崩壊が始まるのかと外交・防衛関係者からは大いに注目されていたものの、大半の地球連邦市民にとっては所詮対岸の火事に過ぎなかった。サジタリウス腕のトゥグルとオリオン腕の太陽系とでは直線距離でも一〇万光年以上の距離を隔てており、かの地での混乱が地球にまで飛び火するとは到底考えられなかったからだ。
 しかし、ボラー連邦領域内に張り巡らされた超空間情報ネットワークを不法ジャックして行われたトゥグル独立宣言において、地球連邦を名指した独立支援要請が発せられたことで事態は急変する。ボラー連邦内の内政問題にすぎなかった一星系の独立運動が一気に国際問題として火を噴いたからである。
 当然、いきなり事件当事者へと祭り上げられた地球連邦は大きな混乱に見舞われた。現状を表層的に捉える限り、今回の独立運動は全て地球連邦の謀略であると指摘されても全く違和感を覚えないからだ。
 事実、独立宣言直後にボラー連邦から発せられた声明も『トゥグルへのいかなる干渉も、ボラー連邦に対する侵略行為とみなす』という極めて強硬なものであり、それが誰に向けて発せられたかは疑問の余地が無かった。
 これに対し、ガルマン・ガミラス帝国は早々に本件への不干渉と中立を宣言、事態からの離脱を図った。しかし、ガルマン・ガミラスに比べて、名指しまでされた地球連邦政府の対応は煮え切らないものだった。
 政府声明において事態への不干渉を明言しつつも、トゥグルへの武力行使は控え、平和的に事態を解決するようボラー連邦へ“要請”したのである。これだけであれば、外交上の優等生的発言に過ぎず、それほど大きな問題になることはなかったかもしれない。しかし、時を同じくして地球防衛軍からガルマン・ガミラス帝国領域への“練習艦隊”派遣が公表されたことで、事態は致命的に悪化してしまう。練習艦隊の派遣予定宙域はガルマン・ガミラス帝国領域外縁部であったが――同時にトゥグル星系にも程近い宙域だったからだ。
 たった二隻のアキヅキ級宇宙駆逐艦から成る練習艦隊とはいえ、この派遣は地球連邦によるパワー・プロジェクションと受け取られかねず、実際にボラー連邦は激高していた。また、地球連邦市民の間でも、今回の政府決定に対し不安を覚える者は多かった。その急先鋒となったのがマスコミであり、今回の練習艦隊派遣を『時代錯誤で危険な砲艦外交』だとして強く政府を非難していた。
 しかし、そうした反対の声など聞こえていないかのように、地球連邦政府と地球防衛艦隊は着々と派遣準備を進め、反対派市民のシュプレーヒコールが響く中、練習艦隊は粛々と出港していった。
 ボラー連邦もこの地球連邦の行動に呼応、苦しい台所事情の中から完全編成の二個打撃艦隊を捻出し、トゥグル星系近傍への急派に至る。その規模は、仮にトゥグル星系軍改めトゥグル国防軍と地球練習艦隊が合同したとしても、両者をまとめて殲滅するに十分な戦力であった。それ故に、ボラー艦隊の集結が完了次第、トゥグルへの全面侵攻が開始されるものと誰もが予想していた。
 しかし――トゥグル星系近傍に集結を完了した後も、ボラー艦隊は動こうとはしなかった。事前の予想を裏切り、ボラー艦隊・トゥグル国防軍・地球練習艦隊による奇妙な睨み合いは一ヶ月以上に渡って継続することになる。

 そしてボラー艦隊の集結完了から地球時間で三七日後、遂にトゥグル星系への全面侵攻が開始された。
 しかし、それに立ち塞がるべきトゥグル国防軍はボラー艦隊の前進を確認すると、自らの降伏と武装解除を一方的に宣言。一戦も交えないままボラー艦隊に投降していった。当然、ボラー艦隊によるトゥグル各地への侵攻、いや進駐はスムーズに行われ、僅か三日間でボラー連邦はトゥグルの“回復”を宣言するに至った。
 ボラー連邦軍による要地の制圧や各地への進駐は、過去の彼らの治安維持活動からすると、奇妙さを覚えるほど穏当なものだった。国防軍や市民の抵抗が殆どなかったこともあって、一部の不幸な事故を除き、ほぼ無血での“回復”を成し遂げている。
 しかし、奇妙なのはそれだけではなかった。トゥグルの回復と混乱の終息宣言が出された後も、今回の“叛乱”を主導したトゥグル側主要メンバーについて、ボラー連邦から逮捕や拘禁の発表が行われることはなかった。そしてボラー艦隊の侵攻前日、地球の練習艦隊が宙域から撤退したことも、奪還後のボラー側の声明において一度として触れられることはなかったのである。



 本事件の詳細については、ボラー・地球・トゥグルのいずれにおいても未だ機密解除に至っておらず、結末に至った経緯は想像するしかない。しかし、少なくともボラー連邦と地球連邦、更に言えばトゥグル独立政府も含めた三者間の交渉によって、事態の終息が図られたと考えるのが妥当だろう。

 その証拠に、上に挙げた三者はこの事件を一つの契機として、それぞれ得たものがあった。
 ボラー連邦は、従来の強権による中央集権体制をこの時期以降、事実上放棄し、各星系自治権の大幅な拡大と、辺境部においては部分的独立すら認めるという国家体制の刷新を行った。
 第一次銀河大戦による疲弊、そして銀河交差による損害と混乱は、嘗ては天の川銀河の2/3を支配下に置いていた超大国ボラーの国力を、破綻寸前にまで追い詰めていた。最早従来の体制では、連邦の分裂どころか崩壊すら予見可能な状態であり、それが彼らに大きな決断を促したのである。
 当時のボラー連邦首脳部が官僚上がりの実務派で占められていたことも、この時には幸いした。“現実”を知る彼らは、現在の体制の限界と同時に、容易には現体制を刷新できないこともよく理解していたからだ。それ故に、『構成星系(トゥグル)の独立』という内政的衝撃と『他勢力(地球連邦)からの干渉』いう外圧を組み合わせることで、体制変革の起爆剤として利用したと考えられる。
 “トゥグル動乱”終結後、僅か二年でボラー連邦法が大きく修正された結果、ボラー連邦は『ボラー共和国』を筆頭とする四七の共和国に事実上解体された。しかし同時に、これら四七の共和国は新たな連合憲章に調印することで、共和国共同体『ボラー共和国連合』として再スタートすることになる。
 これにより、連合の中核たるボラー共和国は旧連邦時代の六五パーセントにまで領域が減少した。しかしそれでも、ボラー共和国が天の川銀河でも屈指の領域と人口(及びそれに裏付けられた経済力と軍事力)を誇っているという事実に変わりはなかった。
 また、独立を認められた各共和国にしても、元から独立機運が強かったり、辺境部故の運営・維持コストの問題から、寧ろ“厄介払い”としての独立容認であったとされる。しかし理由はどうあれ、“自由”を手に入れたという喜びは各共和国で非常に大きく、その後の独自発展と経済的躍進の原動力となった。
 更に、従来からの連邦の枠組みが基本的に維持されているボラー共和国にしても、共和国を構成する各恒星系の自治権は従来よりも大幅に拡大された。これにより共和国内の星系間経済も大きく活性化、独立した他共和国の経済発展もあって、共和国連邦全体の財政収支は大きく改善した。当然、域内全体の良好な経済発展は民心の安定を招き、旧連邦当時には財政面で大きな負担(最盛期には連邦軍事費の約四〇パーセントを占めた)だった治安維持関連費も大幅に削減されている。

 一方、最終的に鎮圧される立場となったトゥグルも、大きなものを得ていた。共和国連合制へと衣替えしたボラーにおいて、最初に独立を許された共和国がトゥグルだったからである。
 そして、独立後初の総選挙を経て、トゥグル共和国首班や主要閣僚として指名されたのは、嘗ての“トゥグル独立準備委員会”メンバーたちだった。二年間の亡命を経て帰還した彼らをトゥグル国民は歓呼をもって迎え入れ、ボラー共和国もこれを黙認した。
 独立後のトゥグル共和国は、即座に共和国連合から離脱するのではないかとボラー共和国保守派層を中心に強く懸念されていたが、それも結果的には杞憂に終わった。ガルマン・ガミラス帝国への接近は勿論、トゥグル動乱時に直接支援を呼びかけた地球連邦に対しても、トゥグルは一般的な協商条約以上の外交関係を築こうとはしなかった。
 そうした動きは同時期に独立した他の共和国もほぼ同様だった。未だ単独では国力・軍事力共に大きな不安のあるこれら新生共和国にとって、緩やかな国家連合体制は安全保障上も非常に都合が良かった。各共和国にしてみれば、血みどろの独立戦争などを行わなくても平和的に独立できる上に、外敵に対しては未だ圧倒的軍事力を誇るボラー共和国の庇護すら(少なくとも当面は)受けられるからだ。
 もちろん、こうした連合制は新たに独立した共和国群のみに利のあるものではなく、連合盟主であるボラー共和国にとっても大きなメリットがあった。新たな独立国家群の成立によって、ボラー共和国はガルマン・ガミラス帝国と直接国境を接することがなくなったからだ。
 歴史を紐解く必要もなく、敵対する二つの国家間に緩衝国家が存在すれば、紛争リスクを大幅に低減することができる。ボラーにしてもガルマン・ガミラスにしても宇宙規模の天変地異である銀河交差により甚大なダメージを受けており、少なくとも今後一〇年間は大規模紛争などどちらも望んでいなかった。
 また、たとえ一〇年が経過し、両国が傷を癒した後であっても、緩衝国家の重要性は変わらないという予測もあった。
 第一次銀河大戦末期にボラー連邦はワープミサイルの実用化に成功し、ガルマン・ガミラス帝国も瞬間物質移送機を搭載した戦略型次元潜航艦の実戦配備を開始していた。どちらも、当時の戦略兵器である惑星破壊ミサイルを敵国へと確実に到達させる為に満を持して投入された新兵器と新技術であり、その阻止は非常に困難、いや殆ど不可能だった。
 つまり両国は、互いに阻止不可能な戦略攻撃手段をほぼ同時期に確立してしまったことになる。そしてそれは、銀河規模での“相互確証破壊”の成立に他ならなかった。
 第一次銀河大戦が休戦に至った理由として、ボラー連邦首相の死去や銀河交差事件の影響が挙げられることも多い。しかし最大の要因は、両軍において阻止不可能な戦略攻撃手段が確立されたこと――相互確証破壊の成立――に尽きる。



 事実、次回の大規模紛争――第二次銀河大戦――の勃発イコール天の川銀河の破滅であると両陣営の政府・軍事関係者でも充分に理解されていた。もちろん、守るべきものを多数抱えた“大国”である両国に、そのような破滅願望・自殺願望がある訳もなく、現実的に紛争が発生する確率は限りなく低くなっていた。しかし、どのような時代であれ、偶発的な紛争発生リスクは常に存在している以上、そのリスクを最小化できる緩衝国家の存在はボラーとガルマン・ガミラス双方にとって非常に有益と考えられた。
 結果は歴史が証明している。
 2230年現在、ボラー連邦から分離独立した新生共和国群は、その多くが健在である。トゥグル共和国も先進技術開発に力を注ぐという建国時以来の国策が功を奏し、この時期には一星系国家としてはかなり大きな国力を有するようになっていた。
 もちろん、全ての共和国が成功と繁栄を手にした訳ではなく、国家運営の失敗による極度の財政悪化から、他共和国に吸収・併合されるようなケースもあった。しかし、半数以上の共和国はほぼ自存自衛を達成しており、“緩衝国家”としての役割も(当人らは決して認めたがらないが)未だ果たし続けている。
 しかし、共和国連合制のスタートから二〇年以上が経過し、各共和国が独自の国力・外交力・軍事力を発展させたことで、連合内部にも新たな潮流が生まれる気配がある。
 利害の一致する有力な共和国間での新たな連合化の動きがここ数年活発化しており、連合盟主であるボラー共和国がこれに強く反発していた。中でも有力共和国の一つ、セヴェロ・ウルップ共和国を中心とした複数の共和国が『“大ウルップ星間国家連合”構想』を共同発表したことで、ボラー共和国との関係悪化は決定的になったとされる。
 セヴェロ・ウルップは、かねてより国家運営に失敗した共和国の取り込みや吸収に積極的であり、既に国家領域はボラー共和国に次ぐ規模(といってもボラー共和国の1/3にも満たないが)にまで拡大していた。また、国力の充実に伴う軍事力・科学技術力の増強・向上も著しく、未確認情報ながら、未だガルマン・ガミラス帝国以外実用化に成功していない次元潜行技術すら既に確立、実戦配備を開始しているとも噂されている。

 そして最後の当事者たる地球連邦もまた、大いなる外交的成果を勝ち得ていた。
 トゥグル動乱鎮圧前夜、ボラー連邦から“動乱首謀者”とされたトゥグル独立準備委員会の亡命を担ったのは、前後の状況からして地球から派遣された練習艦隊であったと考えられる(無論、地球連邦政府は一度としてそれを公式に認めたことはないが)。
 本来ならばそうした行為は、動乱を裏で操っていたのはやはり地球連邦政府であったと糾弾されてしまう可能性をはらんだ危険な行為であった。しかし、動乱鎮圧後のボラー連邦が地球連邦とトゥグル独立準備委員会に対して一切の公式コメントを発しなかったことからすると、そこに何らかの政治的取引(それも最高度の)があったと考えるのが妥当だろう。そしてそれは、国際政治を多少なりとも知る者であれば容易に想像可能であり、事実、動乱の推移を注意深く見守っていた各国も事態を概ねそう捉えていた。
 それらの国々からすれば、地球連邦がガルマン・ガミラスとは異なる政治決断を行い、最後までそれを完遂したことは特筆すべきことであった。いくら対等の同盟関係だと唱えてみても、ガルマン・ガミラスと地球とでは国力が懸絶し過ぎており、物理的に対等足り得ないのは誰の目にも明らかだったからだ。
 しかしトゥグル動乱において、地球連邦は事態解決の為の独自外交を能動的且つ積極的に推進し、動乱当初に主張していた『事態を穏当に終結させる』ことにも成功した(少なくとも諸外国はそう判断していた)。しかもその過程において、直接的な武力行使を一切行わなかったことは、他には代えがたい大きな外交得点だった。
 その結果、従来からの地球連邦に対する諸外国からの偏った評価(『実質的にはガルマン・ガミラスの傀儡国家』『戦争にだけは異様に強い狂戦士国家』等)もトゥグル動乱を経て徐々に改まっていくことになる。
 また、こうした地球連邦に対する評価の変化は、友邦たるガルマン・ガミラス帝国にとっても決して悪い話ではなかった。寧ろ、同盟国である地球連邦が“穏健な星系国家”として独自外交を展開してくれた方が、外交チャンネルの多様さという点で都合が良かった。建国以降のガルマン・ガミラスの凄まじい勢力伸長は“侵略”“侵攻”の成果に他ならず、いくら“解放”という美名で飾ってみても、諸外国からの同国に対する一般評は『侵略性の極めて高い危険な覇権国家』であったからだ。
 勿論これもかなり偏った評価であり、加えて第一次銀河大戦終結後のガルマン・ガミラスは外征行為の一切を停止し、内政・外交共に宥和政策へと大きく舵を切っていた。しかし、銀河大戦時に超大国ボラーを一方的に押しまくった圧倒的軍事力のインパクトは良くも悪くも絶大で、諸外国からの国家評を改めるのは容易なことではなかった。
 そうした中で新たに持ち上がった外交方針案が、外交における“硬・軟”の使い分けの内、“軟”の部分を同盟国たる地球連邦に担わせてはどうかというものであった。そして、この方針案を誰よりも強く支持したのが他ならぬ帝国元首デスラー総統であり、同国の基本的な外交方針として永く採用され続けることになる。
 そしてそれは、地球連邦とガルマン・ガミラスの同盟関係が単なる“総統の気まぐれ”から、それ以上の存在へと昇華した瞬間でもあった。そのことは地球連邦側でも十分以上に承知しており、以降の連邦外交は穏健ながらも俄に独自色を増していくことになる。
 銀河交錯事件以降、天の川銀河は空間自然環境が激変し、ボラー連邦とガルマン・ガミラス帝国という二大国の疲弊による影響力低下も加わって、領域内星系の統制や治安維持には大きな綻びが生じていた。その結果、宇宙災害によって入手が困難になった希少資源や、空間的により安定した宙域をめぐる中小国家同士の星間紛争が頻発していた(ディンギル戦役もそうした紛争の一つと言える)。また、宙賊行為やテロに代表される大規模犯罪も増加の一途を辿っており、空間航路の治安も著しく悪化していた。
 銀河大戦のような大規模紛争とは対照的な低強度紛争に対し、大軍運用に特化し過ぎた旧ボラー連邦軍、ガルマン・ガミラス帝国軍共に的確な対応を取るのは難しかった。また、とにかく規模の大きい両軍による軍事行動は、当該宙域において無意味な軍事的緊張を生じかねず、両軍の活動を一層制約の大きいものにさせていた。
 もちろん、両国共に自らの軍事力(ドクトリンを含む)が現在情勢に合致していないことは充分に理解しており、中規模以下の紛争に対応した軍事組織への改革を進めていた。しかし、ここでも国力低下による予算不足が祟り、組織改編は思うようには進行していないのが実情だった。



 そうした状況下で、“お鉢が回ってきた”のが地球連邦と地球防衛軍だった。
 2200年代後半の地球連邦は、ガルマン・ガミラス帝国寄りではあるものの、独自性の強い中立勢力として銀河規模で認められており、またその軍事力も規模は小さいながら非常に強力(生半可な星間国家や軍事組織では抵抗不可能)であると認識されていた。このような存在は天の川銀河広しといえど極めて稀有であり、各国から(それこそボラー連合まで含めて)重宝されていくことになる。
 2209年以降、地球連邦政府は関係国からの依頼に基づき、紛争宙域に限定的な軍事力を展開、停戦業務や停戦後の維持・監視活動を開始した。こうした任務は『平和維持活動』と呼称され、地球連邦市民も実施に対して概ね好意的だった。もちろん、地球連邦の国力・軍事展開能力の限界から、活動は概ね天の川銀河東部宙域に限定されたが、地球連邦のプレゼンス上昇に大きく寄与したことは間違いない。
 また地球連邦への『平和維持活動』依頼は、ガルマン・ガミラスはもちろんボラー連合やその構成共和国から公式に行われることも多かった。そうした国家間交渉の増加は当事者間での新たな相互依存関係を生み、結果として地球連邦の安全保障をより多重的且つ強固なものとした。

 そうした外交環境においても、アキヅキ級宇宙駆逐艦は非常に使い出のある艦であった。
 良好な外宇宙航行能力や調達・運用コストは勿論だが、地球艦としては極めて稀な“波動砲非搭載”が、無用の軍事的緊張や摩擦を回避するのに役立っていたからである。事実、トゥグル動乱時にも二隻のアキヅキ級が練習艦隊として派遣されたが、これが波動砲搭載艦艇であったなら、ボラー連邦のリアクションはより強硬なものになっていたと主張する研究者は多い。嘗てヤマトとアリゾナによって大損害を受けたボラー連邦にとって、地球防衛艦隊の保有する波動砲搭載艦(特に戦艦クラス)はそれほどの脅威として認識されていたのだ。
 ある意味では、他の波動砲搭載艦と比べて脅威度は低いと評価・認識されていたアキヅキ級であるが、任務上の実際において支障は殆どなかった。アキヅキ級の戦闘能力は、通常の空間打撃戦闘においては諸外国の標準的な戦艦クラスにも匹敵するほどであり、調停・監視活動において万一の事態が発生した場合でも、後れを取る恐れは低かったからだ。唯一の難点は停戦や休戦を強制する上での示威・威圧効果くらいだったが、そうした危険度の高い任務には極論、波動砲を搭載したアムステルダム級戦闘巡洋艦を派遣すれば事足りた。

 アキヅキ級宇宙駆逐艦に対する高い評価は、ハードウェア単体としての評価はもちろんだが、当時の地球連邦と地球防衛艦隊が置かれた戦略環境によって決定づけられたという側面が強い。
 既に時代は、ガトランティス戦役時のようなピーキーな戦闘能力を誇る単能艦よりも、いかなる戦術状況にも必要十分に対応可能な汎用艦が求められる時代へと移っていた。そして、そのニーズを最小のコストパフォーマンスで達成した艦がアキヅキ級宇宙駆逐艦であった。
 それ故、第四世代波動エンジン――多重炉心型波動機関――実用化後、同世代艦艇であるローマ級主力戦艦とアムステルダム級戦闘巡洋艦が、それぞれスーパー・アンドロメダ級指揮戦艦、ドレッドノート級主力戦艦へと代替されていく中、アキヅキ級だけは改善バッチを重ねつつ建造が継続されている。これは、波動砲非搭載艦においては多重炉心型波動機関最大のメリットである“波動砲連続発射”が活用できず、費用対効果的に従来型(第三世代波動エンジン/スーパーチャージャー搭載型波動機関)で十分という判断が下されたことが大きい。
 その結果、アキヅキ級は同世代の二艦種よりも遥かに長期間建造・運用され、その必然として多数のサブタイプや派生型が建造された。
 中でも、ディンギル戦役直後の戦訓検討会で俎上に載せられた八インチ砲搭載型は、最大建造隻数を達成したバリエーションタイプとして知られる。本タイプは便宜上“防空型”と呼称され、武装面の運用柔軟性の高さから、前述した平和維持活動や単艦任務を主に担当する部隊に配備が進められた(これに対し、隊単位で集中運用されることの多い艦隊配備艦にはオリジナルタイプが主として充当されている)。
 その他にも、基本設計の面でさすがに陳腐化が隠せなくなったオマハ級哨戒巡洋艦の後継艦として“哨戒型”が建造された。哨戒型では各種レーダー・センサーが他タイプよりも著しく増強され、情報評価・分析システムのグレードもより高度なものが装備されている。但し、増強された哨戒用システムが非常に高価であった為、オマハ級の代替配備は無人哨戒艦である“ベル級自動通報艦”とのハイ・ロー・ミックスで進められた。建造総数は決して多くはないが、それでも地球防衛艦隊と空間護衛艦隊を含めて三〇隻以上の“哨戒型”が配備されている。
 更に変わり種として、航空兵装と機動性能を一部犠牲にすることで一六インチショックカノンを連装三基搭載した“砲艦型”、逆に“防空型”からショックカノン二基を削除することで、臨検チームたる空間騎兵隊の装備・乗艦スペースと空間犯罪者の拘禁スペースを確保した“警備型”も建造されている。




さてさて、一時はどうなることかと思いましたが、年内になんとか間に合いました(笑)
“後編はとにかく長くなる”というmyジンクスそのままに、際限なく文章が伸びていきまして、今回の中編と合せて後編のボリュームは前編の2.5倍にまで達してしまいました(;´Д`A ```
後編を書くにあたり、完結編を何度も見直しましたが、今まで気付いていなかったり、意識していなかった描写が以外に沢山ありまして、新鮮でした。
特に冥王星会戦の各シーンに無理やり理屈付けしていく作業は楽しかったです。
できれば皆さまにも、久しぶりに完結編を見直していただきたいですねw

今回の主な舞台は“完結編”ということで、その前後の作品であるⅢや復活篇のテイストも一部加えてあります。
ただ、復活篇の世界観・設定は過去作の設定から突飛過ぎて好みではないので、特徴的なワードを引用しただけで、原作とは異なる自分好みの世界にしてしまいました(笑)。
この世界では、ガルマン・ガミラスはもちろん、ボラー連邦も名前を変えて健在です。
SUSをはじめとする大ウルップ星間国家連合は新興勢力としてボラー内で伸長を開始し、この後の世界で紛争の火種になっていくことでしょう。
その点、衰退著しいボラーと地球が協力して大ウルップ星間国家連合と戦うなんてシチュエーションがあっても良いかもしれませんね。
でもやっぱり、ヤマトがあの姿のまま復活する、新造されるってことは流石にないよなぁw
画期的な新技術を採用した最新鋭艦に“ヤマト”の名前が引き継がれるってのが自然な流れだと思います。
完結編以降の“我が家”世界についても、また機会を作って書いてみたいですね。

さて、次回ですが中断している“宇宙空母”の後編を仕上げたいと思います。
既に半分くらいは書けているのですが、土星圏での戦闘シーンに行き詰ってしまいまして(^_^;)
年明けの新鮮な気持ちと勢いで何とか打破したいところです。

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アキヅキ級宇宙駆逐艦/ユウバリ級護衛巡洋艦 中編

2013-12-21 22:21:17 | 1/1000 完結編駆逐艦(岡山のプラ板使い)


 太陽沖会戦の結果を受け、各国向けに大量建造されたユウバリ級護衛巡洋艦であったが、その結果が同級に更なる運命を供することになる。それは、ユウバリ級を次世代新型艦艇のタイプシップとして採用したいという地球防衛軍からのオファーであった。
 元々、ユウバリ級建造の契機となった『星系間護衛艦艇調達助成制度』は地球防衛艦隊の次世代外宇宙用艦艇のテストベッドという目的があった。当初の計画では、地球防衛軍は各国建造艦の設計・建造・運用データを全て吸い上げた上で、決定版ともいうべき艦を新規設計することを予定していた。
 しかし、ユウバリ級の完成度の高さ、戦場での実績、既に三〇隻を超える建造隻数や調達・運用コストがその目論見に大きな修正を加えさせることになる。新規設計による建造を断念し、ユウバリ級に小改良を加えた艦をそのまま地球防衛軍正式艦艇として採用する計画が俄に持ち上がったからである。
 この時点でユウバリ級の輸出価格は、護衛戦艦中、最も安価とされた英国POW級の輸出価格の1/2、在来の中型艦艇では比較的高価とされたオマハ級哨戒巡洋艦の調達価格の約2倍であったとされる(運用コストはオマハ級を下回ってすらいた)。
 地球防衛艦隊から艦政本部へと提示された新型艦艇の要求性能には、当初から各種装備・仕様の詳細と共に、目標とする建造予算が具体的に明示されおり、その額はユウバリ級最新バッチの輸出価格に他ならなかった。
 しかし、この防衛艦隊からの提示に対し、艦政本部は要求仕様を満たす新規艦艇の設計を期日までに完成させることは不可能であると回答。しかし、代案として既存艦艇の改設計案を提示してきた――俗に“改ユウバリ級”と呼ばれる設計試案である。
 だが、本試案を地球防衛艦隊は過去の例からすれば俄に信じ難いほどの短期間で了承していることから、事前に防衛艦隊と艦政本部の間で何らかの取り決めが為されていたと推測される(現在に至るも、決定経緯の詳細は明らかにされていない)。
 当時、艦政本部では後の“ローマ級主力戦艦”及び“アムステルダム級戦闘巡洋艦”の設計作業が大詰めを迎えており、新たな艦艇を設計する人員的余地に乏しかった。また、防衛艦隊も太陽沖会戦の戦訓から波動砲非搭載艦に対する評価を大きく改めていたことから、図らずも両者の思惑が一致し、改ユウバリ級の採用に至ったと思われる。
 オリジナルのユウバリ級からの小改良は日本国ではなく防衛軍艦政本部が行い、建造についても世界各国で行われるが、建造毎に多額のロイヤリティが支払われることが日本国へと告げられた。



 この通達に日本国は大きな喜びに包まれた。更に、ユウバリ級に対するオファーが“巡洋艦”としてではなく“駆逐艦”としてであったことも、その喜びを一層大きなものとしていた。既に公表されている地球防衛艦隊の次世代計画艦艇は“主力戦艦”“戦闘巡洋艦”“汎用駆逐艦”の三艦種であり、当然のことながら、その中でも最も多く建造されるのが駆逐艦であったからだ。
 だが、建造計画が実動し、地球防衛軍から小改良後の最終決定図面が日本国に配布されると、ユウバリ級設計チームのメンバーは驚愕した。中でも、チームを率いた設計主務者は決定図面を目にした瞬間、『これではまるで――モニター(砲艦)だ』と呻いたとされる。
 彼にそう呻かせたのは、艦の前部甲板に鎮座した巨大な主砲塔の存在だった。その主砲は新開発の一六インチショックカノン連装砲――ローマ級主力戦艦やアムステルダム級戦闘巡洋艦に搭載されたものと同一口径の巨砲であった。
 エネルギー供給や艦バランスの限界から、搭載された砲塔は一基のみであったが(実際には、若干の機動性低下や航空艤装を削減すれば、もう一~二基程度の主砲塔の増備は可能だった)、それが逆にこの艦の異形さを際立たせる結果となっていた。
 だが、この思いもよらない地球防衛軍による設計変更も、理由を辿ればユウバリ級を普及させるに至った“太陽沖会戦”へと行き着くことができる。
 太陽沖会戦において、ボラー本国艦隊の巧みな艦隊運動によって波動砲を戦術的に封じられた地球防衛艦隊は、ショックカノンの射程と威力を活かしたアウトレンジ射撃を徹底していた。いや、徹底せざるを得なかった。
 彼我の戦力比は一対五以上――真正面からがっぷり組んで撃ち合えば、数に劣る地球防衛艦隊の敗北は必至であり、それ故に地球艦は可能な限り遠距離で敵の数を撃ち減らすことに全力を傾けた。
 しかし、ボラー艦艇はガルマン・ガミラス程ではないにせよ艦の規模が大きく、防衛艦隊の中小艦の主力火砲、五~八インチショックカノンでは戦闘不能(撃沈ではない)に至らしめるまでの所要弾数量は膨大なものとなった。確かにそれらの砲でも中型以下(といっても地球戦艦並みのサイズを誇る)のボラー艦艇に対して射程でも威力でも優越していたが、アウトレンジで撃破するまでに艦サイズ相応の耐久力を発揮するボラー艦艇の射程内にまで踏み込まれ、逆に地球艦艇が撃破されてしまうケースも少なくなかったからだ。
 同会戦にて大きな戦果を上げたユウバリ級にしても、ボラー艦の射程内で激しく殴り合っており、もし同級が従来艦よりも数段進歩したエネルギーシールドを装備していなければ、確実に撃沈されていたとも指摘されている。
 それらの戦訓に対する地球防衛軍艦政本部の回答が改ユウバリ級への大口径ショックカノンの搭載であった。その点でいえば、本級は次世代外宇宙用艦艇であると同時に、数で勝るボラー連邦艦隊との大規模会戦を強く意識した艦であったと言える。
 会戦においては、本級は駆逐隊(三~四隻)毎に統制射撃を実施することを基本戦術としていた。“駆逐隊”という戦術単位で見た場合の砲撃力(一六インチショックカノン六~八門)は主力戦艦クラスと比べても遜色なく、地球防衛艦隊は本級を単艦運用する平時は汎用艦として、大規模会戦時には駆逐隊単位で用いる決戦艦として認識していたことが読み取れる。それは、従来の地球防衛艦隊が駆逐艦に強く求めた“突撃艦”とは対極に位置する思想であり、僅か数年の内に地球防衛艦隊のドクトリンが大きく変貌したことを証明している(ガミラス戦役以来、地球防衛艦隊が愛した突撃艦の系譜は、一度ここで途切れることになる。その復権は2020年代の“カイリュウ級突撃ミサイル艇”の登場を待たねばならない)。
 しかし、あまりに巨大なアキヅキ級の主砲は、平時任務においては威力の点で、戦時においては発射速度の点で運用上の問題が生じる可能性が実戦部隊から指摘されていた。事実、その懸念は実戦部隊――地球防衛艦隊の中小型艦々長や艦長経験者――から多数寄せられており、その中に、第三次冥王星会戦において本級の“フユヅキ”を率いることになる水谷二佐の名があったことは、歴史の皮肉として後世にもよく知られている。
 艦政本部が行ったユウバリ級護衛巡洋艦から改ユウバリ級への改良は、主砲の変更を除けばコスト低減を目的とした補助エンジンの削除以外、驚くほど少なかった。ある意味、それはオリジナルであるユウバリ級の完成度がそれほどまでに高かったことの証左と言えるだろう。



 そして2206年4月、改ユウバリ級は“アキヅキ級宇宙駆逐艦”として正式採用に至る。アキヅキ級の全長はユウバリ級と同様の220メートル。そのサイズはガミラス戦役時の主力戦艦『カイザー型指揮戦艦』の205メートルを上回っており、就役当時は『戦艦よりも巨大な駆逐艦』としてマスコミに取り上げられることも多かった。
 アキヅキ級の建造は2206年以降急ピッチで進められ、2207年のディンギル戦役勃発時、既に一六隻が就役済みであった――。


〇第三次冥王星会戦
 アキヅキ級就役開始直後に勃発したディンギル戦役は、同級にとってはいきなりの試練となった。
 母星の滅亡に伴い、地球への移住を目指す閉鎖的軍事国家――ディンギル帝国は、全地球人類の抹殺を目的とした大規模攻撃を開始。この攻撃は完全な戦略的奇襲となり、地球防衛艦隊は各地で窮地に立たされた。特に土星圏での大規模会戦では、人類の一時避難先となっていた軌道コロニーと避難船団を救出すべく内惑星艦隊主力が急行したものの、ディンギル機動艦隊の伏撃を受けて壊滅的損害を受けてしまった。
 その後、ディンギル機動艦隊は地球と月への大規模攻撃を敢行。都合一週間にも及んだ連続攻勢では、各地の航宙関連設備が集中的に狙われ、一時的にではあったが地球・月の稼働宇宙戦闘艦戦力はほぼゼロという状況にまで追い詰められてしまう。
 その間、地球防衛艦隊も残存する太陽系外周艦隊を中心に反撃を図ったが、奇襲に伴う命令系統の混乱から攻撃は統制の取れない散発的なものとなり、逆に数で勝るディンギル帝国軍に各個撃破の好機を与えてしまう結果となった。
 純軍事技術的にみれば地球に劣る部分すら多数抱えたディンギル帝国軍であったが、その投入物量は圧倒的の一言に尽きた。彼らに守るべき母星は既に無く、地球への奇襲攻撃には彼らの保有する全機動戦力の実に90%以上が叩き込まれていたからである。
 宗教的背景に起因する強固な閉鎖性故、単一星系国家から遂に脱皮することのなかったディンギル帝国であるが、その閉鎖性は他星系国家に対する極端なまでの攻撃性と表裏一体でもあった。その結果、彼らの軍事力は単一星系国家としては破格の規模であり、この時期、既に多星系国家(星間国家)へと歩みだしていた地球連邦と比較しても、特に規模の面で圧倒していた。
 圧倒的物量、そして戦略的奇襲の成功も相まって、ディンギル帝国軍は緒戦において地球軍事力の封殺にほぼ成功する。数少ない例外は、戦役勃発に先立つ偶発的遭遇戦によって大破し、地下ドックで修理中だった宇宙戦艦ヤマト、そして月の大深度工廠で精密点検中だった新鋭の一個宙雷戦隊のみであった。
 これらの僅かな戦力が臨時混成部隊“第一遊撃部隊”として再編され、緊急出動を果たしたのは、ディンギル機動艦隊の地球圏撤退から僅か一週間後のことであった。彼らの任務は、地球人類の封じ込めを図るディンギル帝国軍の太陽系封鎖線を突破、ワープによって人為的な急接近を続けている水惑星“アクエリアス”の地球接近阻止であった。



 しかし、ヤマトの修理が未了(波動砲使用不可)であることを筆頭に、部隊としてのコンディションは最悪だった。各艦共に修理中や点検中の状態から強引に動員された為、人員・弾薬・物資共に最低限の水準をようやく満たしているに過ぎず、特に乗員が定数を大きく下回っていることは、被弾時のダメージコントロールを考えると大きな不安があった。
 しかし、今度は迎え撃つ立場となったディンギル機動部隊も万全には程遠い状態だった。その最大の原因は、地球宇宙戦力の封殺という戦略目的達成にあたって強いられた、あまりにも膨大な損害にあった。
 完全喪失四割・損傷二割という損害は、軍事的には“全滅”を通り越して“壊滅”にも近く、通常の軍隊であればとっくに機能不全に陥っているところだ。
 その結果が示す事実は二つ。
 これほどの損害を受けても尚、未だ軍としての組織と機能を維持しているという点で、ディンギル帝国軍の組織・命令系統が非常に強固であること(“硬直”の裏返しでもあったが)。
 そしてもう一つは、地球軍事力の予想を超えた“強靭さ”“獰猛さ”であった。
 圧倒的多数から奇襲を受けた地球防衛軍は、各部隊・各艦が孤立した状態にあっても非常に頑強であり、ディンギル帝国軍に大量の出血を要求した。事実、戦役後の調査で判明した地球とディンギルの中型艦以上の損害比率は、地球側の圧倒的劣勢下という状況の中でも、地球『1』に対してディンギル『3』にまで達していたとされる。
 この結果、太陽系を一時離脱した時点で、ディンギル機動艦隊の稼働戦力は開戦時の四割にまで低下していた。しかも、その内の更に1/3をディンギル軍本隊である『都市衛星ウルク』の直衛に充てることになり、機動艦隊の戦力低下は一層深刻化していた。
 しかし、当の機動艦隊指揮官“ルガール・ド・ザール”はこの時点で地球艦隊の壊滅を確信しており、自軍戦力が危険なまでに低下していることについても、殆ど不安を覚えていなかったとされる。それは、ヤマトを主力とする第一遊撃部隊の存在を探知した後も変化はなく、寧ろたった一〇隻に過ぎない艦隊編成から、新たな各個撃破の好機として麾下部隊の補給と出撃を急がせた。

 冥王星宙域で激突した両軍の戦略目標は非常に明確だった。地球艦隊はディンギル機動艦隊の突破(ディンギル艦隊撃破は副次的な目標に過ぎない)であり、対するディンギル機動艦隊の目標は地球艦隊の殲滅、ただ一点であった。
 ディンギル機動艦隊の戦力が激減している現状(開戦時の三割以下)にあっても、未だ物量という点で圧倒的に劣勢な第一遊撃部隊であったが、自らディンギル艦隊へ突撃するような航宙軌道を採っていた。
 第一遊撃部隊としては、仮に太陽系外縁に遊弋しているディンギル機動艦隊を避けてアクエリアスへ直接アプローチした場合、アクエリアスを直衛しているディンギル軍と追撃してくる機動艦隊に挟撃されてしまうことを強く懸念していた。それならば、機動艦隊を一撃することで混乱(無力化ではない)を惹起、その隙にアクエリアスへの到達と直衛戦力の各個撃破を狙ったのである。
 これに対しディンギル軍は、当初は地球艦隊の接近軌道を訝しんだものの、彼らの本来のドクトリンが“伏撃”であったことから、ある意味嬉々として迎撃準備を進めた。その主力は、彼らの唯一無二の対艦決戦兵器“ハイパー放射ミサイル”と、それを各二発搭載した“グティ級重宙雷艇”五〇〇余隻であった。
 宗教的背景から長年に渡り鎖国を続けていたディンギル帝国にとって、自らのテリトリーへの侵入者は絶対悪であり、問答無用で殲滅すべしとされていた。その為に開発された兵器が、大威力の対艦誘導弾であるハイパー放射ミサイルと、そのキャリアーであるグティ級重宙雷艇である。
 その開発コンセプトは、侵入者に通信という名の悲鳴を上げる暇すら与えず一撃で撃沈可能な大威力と弾頭起爆時に撒き散らされる放射性物質による高い殺傷性、そして命中直前まで攻撃を気取らせない高度なステルス性にあった。
 ディンギル星系でヤマトが受けた奇襲や、土星圏での戦闘で内惑星艦隊主力が受けた伏撃も、地球艦艇はミサイルの命中直前までその存在を探知することができず、その有効性を証明している。更に、戦役後の調査で、過去にディンギル星系へ偶然侵入してしまったボラー連邦やガルマン・ガミラス帝国、更にはデザリアム艦艇が一切気取られることなく撃沈されていたことも判明した。それらの艦は、攻撃を受けたという至急報すら発信できないまま悉く撃沈されており、各国で“事故”として処理されていた。

 しかし、ディンギル帝国におけるステルス技術の研究は、ミサイルや艦艇といった兵器単体レヴェルに止まらなかった。彼らは、暗黒物質にも似たガス状の欺瞞物質を開発、それを星系内に大量散布することで、自星系そのものをほぼ完全にステルス化していたのである。この物質は、無差別ワープによって偶然ディンギルが存在する星系(アンファ星系)内に飛び込んでしまったヤマトによって赤色ガスとして初めて観測され、戦役後の調査で星系ステルス化技術の存在と効果が初めて確認された。
 ディンギル星を含むアンファ星系は太陽系から僅か三千光年という比較的近傍に位置するにも係らず、太陽危機における『第二の地球探し』においても、その存在を一切気取られていなかった。それは、この近傍宙域の支配権を争っていたボラー連邦やガルマン・ガミラス帝国も同様であり(バース星が存在したバジウド星系はアンファ星系より僅か二千光年の距離にあった)、その事実からもディンギル帝国の欺瞞技術の有効性は証明されている。

 一方のグティ級重宙雷艇も、ハイパー放射ミサイルを隠密裏に運搬・投射することに性能・仕様を特化させており、伏撃に使用するには最適な兵器であった。しかし、言い換えればステルス性以外の性能――防御力や機動力といった生存性――は極限まで切り詰められており、ある意味ではディンギルという名の帝国の実態を最も如実に示す兵器とも言える。



 冥王星域へと侵入した第一遊撃部隊は直ちに艦載機隊を発艦、部隊前面へ防空バリアーを展開した。艦載機隊はヤマト固有の航空隊に加えて、宙雷戦隊が月面の航空隊(の生き残り)から根こそぎ掻き集めて満載したコスモ・タイガーⅡ約六〇機であった。
 これに対し、ディンギル機動艦隊は展開が遅れ気味だった。主力たる重宙雷艇こそ発艦と布陣を完了していたものの、これを支援するはずの空母艦載機隊(戦闘機と戦闘攻撃機が主力)の進撃が遅れていたのだ。
 その結果、会戦序盤において単独で強引に突破を図った重宙雷艇集団は地球側防空隊にまともに捕捉され、大きな損害を被ってしまう。その損害数が百を超える頃、遅れていたディンギル軍制空隊がようやく戦場に到着。その圧倒的機数で地球艦隊の防空バリアーを突き崩すことに成功する。
 制空隊が切り開いた血路から奔流のように突撃してくる宙雷艇は未だ三百隻を遥かに上回っており、僅か一〇隻に過ぎない地球艦隊に“数”の暴力を叩きつけようとしていた。
 この頃から、地球艦隊も主砲・副砲による防空射撃を開始していたが、その戦果は決して芳しいものではなかった。確かにヤマトであれアキヅキ級であれ、その主砲射撃が命中すれば一撃で宙雷艇を撃沈、いや掠めただけで轟沈することができた。命中精度にしても、従来よりも著しく進化したFCSの精度に宙雷艇の機動力の乏しさも加わって、ほぼ百発百中という状況だった。しかし――多方位に分散した宙雷艇の数に対して圧倒的に手数が乏し過ぎた。
 本来ならば、こうした状況は波動カートリッジ――その中でも、拡散特性を持たせた波動エネルギーを充填した“コスモ三式弾”――の想定する戦術状況そのものであったが、この時、第一遊撃部隊各艦は殆ど波動カートリッジを搭載していなかった。僅かな例外はヤマトが搭載した主砲用の新型波動カートリッジ弾が僅か二斉発分のみであり、アムステルダム級とアキヅキ級に到っては、主砲用は元より宇宙魚雷用まで含めて搭載皆無という状況だった。
 ヤマト以外の艦は、直前まで就役後初の精密点検の為に月の大深度地下ドックに入渠しており、搭載弾薬の大半を陸揚げしていた。不運にも、ディンギル機動部隊による地球・月への大規模攻撃によって月の宇宙艦艇用弾薬庫が喪われた為、波動カートリッジ用弾頭を再搭載することができなかったのである。
 その不運を、第一遊撃部隊は己が身を以って味わうことになった。未だ二〇〇隻以上の重宙雷艇の群れが必殺の長槍――ハイパー放射ミサイルの投射を次々に開始したからだ。
 その投射は、射程に達した宙雷艇から各個に行うというもので、地球防衛艦隊のお家芸の一つ、“統制宙雷戦術”と比べれば稚拙極まりないものであった。しかし、ディンギル帝国側は全く気にしなかった。彼らは、自身のドクトリン――多方位からの飽和攻撃――に絶対的な自信を持っていた。
 波状的に放たれたハイパー放射ミサイルの総量は最終的に四八四発。結果的に第一遊撃部隊は対陣した重宙雷艇の凡そ半数の発射阻止に成功したが、絶対量で言えば未だ“焼け石に水”に過ぎず、これ以降は阻止対象を宙雷艇からミサイルへと変更することになる。
 しかし、敵艦深くに食い込んで二重弾頭を起爆させるハイパー放射ミサイルは非常に強靭な外殻を備えており、通常の防空ミサイルやパルスレーザーは明らかに威力不足だった。その結果、迎撃はソフトキルと手数の限られるショックカノンに頼らざるを得なかった。
 砲やミサイルによる直接迎撃に比べ、一見地味にも思えるソフトキル(各種の誘導攪乱)だが、ディンギル帝国の電子技術が地球に対し相対的に劣っていたことから、結果的には最も大きな効果を発揮した。本会戦の記録映像を見ても、“ミサイル(誘導弾)”である筈のハイパー放射ミサイルが、まるで無誘導のロケット弾のように直線的に飛び去っていくシーンを多数確認することができる。戦後の調査でも、ソフトキルによって実質的に無力化されたミサイルは三〇〇発以上にも及んだと結論付けられている。
 ――しかし、それらの努力を以ってしても、五〇〇発近い対艦ミサイルの群れを完全に押し止めることはできなかった。
 十重二十重の迎撃を潜り抜け、命中を果たしたハイパー放射ミサイルは一一発。命中率はディンギルが本会戦に投入したミサイル総数(約一千発)から逆算すれば、僅か一パーセントに過ぎない。ある意味、ガミラス戦役後に再建された地球防衛艦隊がこの七年間で重ねてきた技術的・技量的研鑽を物語る数字といえる。
 だが、それを達成した第一遊撃部隊にとっては何の慰めにもならなかった。命中を果たした一一発の超大型対艦ミサイルは部隊に情け容赦のない破壊と殺戮をまき散らしたからである。
 最新鋭のローマ級主力戦艦ですら僅か二発で戦闘能力喪失、四発以上の被弾で撃沈確実と言われるハイパー放射ミサイルの威力は圧倒的だった。被弾は宙雷戦隊に集中し、戦隊旗艦として部隊先頭に位置したアムステルダム級戦闘巡洋艦“ヤハギ”には実に四発のミサイルが命中、一瞬で爆沈した。その他にも四隻のアキヅキ級が一発乃至二発を被弾し、最終的に全艦が喪われている。



 命中弾が一どきに集中したアムステルダム級はともかく、アキヅキ級は対エネルギー兵器防御を重視した設計思想が完全に裏目に出た格好だった。またそれ以上に、ヒューマン・ファクターに起因する要素も大きかった。本会戦に参加したアキヅキ級はいずれも、整備点検中から急遽動員された為、乗員数が定数を大きく割り込んでおり、ダメージコントロールを十分に機能させることができなかったのである。
 会戦後のシミュレーション検証においても、放射能防御を徹底した乗員を定数揃え、適切なダメコンが実施されれば、少なくともたった一発の被弾では(大損害は免れないにせよ)完全に戦闘能力を失うことはなかったと結論されている。

 尚、本会戦におけるアキヅキ級の被害は、部隊主力であるヤマトを守る為に、その長大な艦体を自らミサイルに晒した結果でもあった。そうした献身的犠牲もあり、第一遊撃部隊の戦力は激減こそしたものの、部隊としての戦闘航行能力と指揮統制は辛うじて維持されていた。

 一方、ディンギル帝国軍にとってこの戦果は、同軍の軍事ドクトリンと飽和攻撃の正しさを証明するものであった。しかし、ディンギル機動艦隊指揮官“ルガール・ド・ザール”は戦果に満足するどころか、寧ろ強い不満と怒りすら覚えていた。
 投入した重宙雷艇は約五〇〇隻、それらが搭載したハイパー放射ミサイルは実に一千発にも及ぶ。それだけの戦力ならば、僅かな数の地球艦隊など鎧袖一触、一隻残らず撃沈できて当然と確信していたからである。
 しかし、実際の戦果は彼の確信を大きく裏切った。沈めた地球艦艇は半数に過ぎず、何よりも自軍の損害が甚大であった。帰還した重宙雷艇は半数以下の二百隻強。その中で再出撃に耐えられるのは一五〇隻程度に過ぎなかった。
 その結果を受け、ルガール・ド・ザールは重宙雷艇部隊と空母艦載機隊に第二次攻撃の準備を指示すると共に、後方の移動要塞母艦に随伴していた空間打撃戦部隊(艦隊)には即座の前進を命じた。また、自らの乗艦を要塞母艦からドウズ級大型戦艦へと移し、後詰として進発することも決定されている。
 ある意味、その命令は現ディンギル帝国元首嫡男という立場を持つ彼の政治性の表出であったとされている。
 ディンギル帝国軍内部には“艦隊閥”“航空閥”“宙雷閥”の三大派閥が存在し、長年に渡り勢力争いを繰り広げてきた。そして、ディンギル帝国の時の権力者(大神官大総統)は、この派閥争いをコントロールすることで、軍政面において自らの権力を盤石なものとしてきた。
 だが、母星の水没と消滅によって発生した対地球戦争において、歴代の大総統が絶妙なバランスでコントロールしてきた派閥間のパワーバランスが大きく崩れてしまう。より具体的には“宙雷閥”の権勢が大きく伸長し、対照的に“艦隊閥”が著しく力を失ってしまった。
 その原因は勿論、地球防衛軍との戦闘によって生じた戦果と損害にあった。
 艦艇性能において著しく劣勢だったディンギル艦隊は、多勢であったにも係らず地球防衛艦隊の反撃によって戦果希少のまま大損害を被っていた(キルレシオは一対三以上)。これに対し、宙雷艇部隊は地球艦隊の目がディンギル艦隊に引きつけられている間に伏撃や奇襲を成功させ、大きな戦果を得ていた。
 また、“航空閥”にしても地球と月の防衛軍根拠地への攻撃において一定以上の戦果を挙げていたが、“宙雷閥”の挙げた地球機動戦力の殲滅という派手な戦果の前では、その存在はどうしても霞みがちであった(第一次攻撃時、空母艦載機隊による宙雷艇隊への支援が遅れたのも、“航空閥”によるサボタージュであった可能性が指摘されている)。
 それら軍内の“空気”を、絶対権力者の子息特有の鋭い嗅覚で察知した彼は、大きく崩れてしまったパワーバランスの復元が必要だと感じていた。戦後の――地球への移住完了後の――彼と一族の安泰の為には、軍内部が常に三竦みの状態であることが望ましかったからだ。そして、戦場で失われたバランスは戦場でしか取り戻すことができず、彼の視点では既に戦争が終幕へと向かっており、そのチャンスは残り僅かと考えられた。

 ――地球の小艦隊は未だ半数が健在とはいえ、その戦力は第一次攻撃に対する迎撃によって著しく消耗している――。
 ――ならば、(性能的に劣勢な)空間打撃戦部隊(艦隊)でも十分殲滅が可能であり、そしてその戦果の偉大さは、直前の宙雷艇部隊の苦戦と損害が一層強固なものとしてくれる――。

 後に地球防衛軍の捕虜となったディンギル機動部隊司令部要員の供述によると、その際に司令部内で交わされた会話は以上の様なものであったらしい。
 つまり、ディンギル帝国軍は派閥間の力関係を考慮した結果、圧倒的威力を誇る宙雷艇部隊ではなく、空間打撃戦部隊でもって地球艦隊の最終的な殲滅を行う決定を下したのである。軍事作戦にこうした“政治”を持ち込むことの危険さについてルガール・ド・ザールが考慮したかは不明であるが――結果的に彼とその司令部の検討・考慮は全て徒労となった。
 なぜなら、この時すでに彼らの頭上には“死告鳥”たる存在が悠然と旋回を続けていたからだ。その名は零式宇宙艦上戦闘機六四型――“コスモ・ゼロ”として知られるヤマト艦載機であった。



 地球防衛軍にとっての反撃の狼煙、そしてディンギル帝国にとっての“終わりの始まり”である第三次冥王星会戦の顛末は、後の世にも良く知られている通りである。
 ディンギル機動艦隊の実質的旗艦である移動要塞母艦は、後方での空母と宙雷艇母艦への補給作業中に、ヤマトの波動カートリッジ弾による超遠距離精密砲撃によって撃沈。補給作業中だった各種母艦群も搭載機(艇)を抱えたまま悉く喪われている。

 この砲撃に用いられた波動カートリッジ弾は、新たに開発された“タキオン波誘導型射程延伸砲弾”であった。以前より指摘されていた波動カートリッジ弾の射程不足に対する回答として地球防衛軍技術本部が試作中の兵器であり、この時ヤマトが搭載していたのも未だ数少ない増加試作品だった。
 その最大の特長は、砲弾に封入された波動エネルギーの一部を推進エネルギーに転用している点で、従来よりも砲弾長を延長することで誘導装置と簡易な噴射装置(通称:波動ブースター)を設置するスペースを確保している。噴射装置は大幅な射程の延伸のみならず砲弾の軌道修正が可能であり、指向性の強いタキオン波を誘導波としたスマート砲弾化に成功している。

 観測機の役割を担ったコスモ・ゼロから伝えられた概略座標へ発射された誘導砲弾は、ヤマトと目標座標との間に存在した小惑星群を波動ブースターの作動により回避しつつ更に飛翔。最終段階ではコスモ・ゼロが照射したタキオン波に導かれ、照射対象である超大型母艦へと次々に突入した。
 砲撃はヤマトが搭載していた二斉発分(一八発)全てを用いて行われ、作動不良を起こした二発を除く実に一六発全てが命中した。それは、初めて実戦投入された新兵器としては驚異的な作動率と命中率であり、地球防衛艦隊でも最高を謳われるヤマト技術班と戦闘班の能力を見せつける結果であった。
 尚、この時発射された誘導型波動カートリッジ弾は、あたかも重力下で大遠距離射撃を行った時のような山なりにも見える軌跡を描いていたとされている。
 そして、地球艦隊殲滅に燃えるディンギル帝国軍空間打撃戦部隊の末路も悲惨なものだった。五〇〇メートル級の大型戦艦六隻を中心とする三〇隻のディンギル艦隊の前に立ち塞がったのは、見事な単横陣を組んだアキヅキ級宇宙駆逐艦四隻だった。
 彼女たちはディンギル帝国艦艇の有効射程の倍の距離から一斉に砲撃を開始。その砲撃は、四隻から全く同じタイミングで放たれるばかりか、全て同一目標を捉えており、完全な統制射撃だった。その命中率は六〇パーセントを超え、ディンギル艦隊がアキヅキ級を射程内に捉えるまで、一方的な砲撃戦を展開することになる。それは、苦戦の続いた本会戦において、初めてアキヅキ級の真価が発揮された瞬間だった。
 もちろん、数と規模で圧倒するディンギル艦隊をアウトレンジ砲撃だけで殲滅することはできず、ディンギル艦隊が地球艦隊を射程に捉えて以降は激しい乱打戦となった。しかしその後、移動要塞母艦を葬ったヤマトが戦闘に加わったことで、ディンギル艦隊の指揮統制は遂に崩壊、本宙域において一隻残らず殲滅されている。
 とはいえ、それは決して一方的な勝利ではなかった。ディンギル帝国特有の“熱狂的な”攻撃は最後まで健在であり、激しい砲雷撃戦の末にアキヅキ級三隻が失われている(内一隻は、最後に残ったディンギル中型戦艦の体当たりによるもの)。

 ――勝敗は決した。

 会戦終了時、地球艦隊は未だヤマトとフユヅキが健在であり、フユヅキは撃沈艦乗員の救助の為に戦闘宙域に残留したものの、ヤマトは当初の予定通りアクエリアスに向けて急進。一方のディンギル機動部隊は辛うじて離脱に成功したドウズ級大型戦艦(ルガール座乗艦)一隻のみが、孤独な退却行を続けていた。
 戦略的にも戦術的にも明らかに地球防衛艦隊の勝利であり、結果的にこの会戦の結末がディンギル戦役における地球連邦の逆転勝利のきっかけとなる。
 しかし、その勝利は手放しで喜べるようなものではなかった。

 艦艇損耗率:八〇パーセント
 航空隊損耗率:四五パーセント
 人員損失率――六〇パーセント

 いかに、ある程度の損害を前提に組織化された軍隊といえども、たとえそれが母星を死守する為の尊い犠牲であったとしても、許容できるような損害レヴェルでは到底なかった。
 故に、戦役終了直後から、本会戦は様々な角度から分析と検証が行われることになる。
 中でも、第一遊撃部隊において数的主力を担ったアキヅキ級に対しては、徹底的な検証が行われた。本級は、今後最低でも一〇年間は建造が継続し、その運用は四半世紀程度続くものと各部門で理解されおり、ここでの評価によっては以後の建造中止や代艦の建造も十分に考えられたからだ。
 幸い、第三次冥王星会戦において示した数々の戦果から、本級は今後も建造を継続するに足ると結論付けられたが、それでも幾つかの装備においては変更と改善が加えられることになった。その最大のものは主砲装備であり、オリジナルのユウバリ級が装備していた八インチ三連装砲三基を装備したサブタイプが一定数建造されることが決定した。
 この決定は、会戦の序盤と終盤で本級に対する評価が正反対であったが故の妥協の産物であったとされている。
 会戦序盤において、アキヅキ級は手数の乏しさという欠点を曝け出したものの、終盤には規模と数で勝る敵大型戦艦に対し、長射程と大威力を活かして優位に砲戦を展開していた。
 この結果に現仕様肯定派は、本級が会戦時に主砲用若しくは宇宙魚雷用波動カートリッジを定数搭載していれば、序盤における苦戦は回避できたと主張。複数回実施された戦術状況の再現シミュレーションにおいてもその主張の正しさは証明された。
 これに対し、仕様改善派は肯定派の主張に賛同を示しつつも、賛同派とは異なるアプローチからの意見を述べていた。
 彼らは、波動砲に比べれば遥かに使い勝手が良いとされてきた波動カートリッジですら、今後の地球を取り巻く戦略環境・戦術状況によっては使用を制限されてしまう可能性を指摘していた。それをより具体的に示せば、“平時下”での不正規戦や低強度紛争において安易に波動カートリッジを使用した場合、過剰な武力行使――直截的表現を使えば“虐殺”――を自国世論や周辺国家から指摘されてしまう可能性に対する懸念であった。
 特に、過去の戦役で地球連邦が滅亡させてしまったデザリアムやディンギルの残党が地球連邦に対する大規模な不正規戦――ゲリラ戦やテロ行為に及んだ場合、彼らが主戦兵器とするのは安価で建造・調達も容易な魚雷艇などの小艦艇になると考えられた。当然、誰よりも地球防衛艦隊の実力を知る彼らは、小艦艇を少数投入したところで戦果を挙げられるとは考えないだろうから、本気で殴り掛かる(地球側に損害を与える)気であれば、かなりの数を揃えてということになる。
 もしそのような状況が、戦時ではなく『平時において』『奇襲的に』実施された場合、大威力兵器である波動カートリッジを躊躇なく使用できるのか?もしそれが人類居住構造物(コロニーや惑星・衛星都市等)や民間船舶の近傍であったら?更にそれが他星系国家の目がある宙域であったら?
 軍事的に正しく、法制上は許容されたとしても、現実的観点で言えば、れっきとした大威力兵器である波動カートリッジの使用が今後高度な政治性を帯びてしまうのは避けられそうになかった。故に、彼らはより運用柔軟性の高いオリジナル兵装(八インチショックカノン)の復活を提言していた。
 この指摘は、“駆逐艦”という本来は最も汎用性を求められる艦に“決戦艦”としての側面を強く求め過ぎた故の弊害であった。しかし同時に、地球連邦という取るに足らない新興星系国家が、大きな質点変化を起し始めた一つの証左でもあった。

――後編へ続く


文字数制限に達してしまいましたので、更に後編に続きます、、、
いやー、驚いた(;´▽`A``

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アキヅキ級宇宙駆逐艦/ユウバリ級護衛巡洋艦 前編

2013-10-05 22:11:44 | 1/1000 完結編駆逐艦(岡山のプラ板使い)
 2200年代後半から2210年代にかけて汎用標準艦艇として大量に建造された“アキヅキ級宇宙駆逐艦”とその眷属達には、直接的始祖が存在する。
 地球艦艇に長期・長距離航宙性能を備えさせる契機となった『星系間護衛艦艇調達助成制度(詳細は“護衛戦艦小論”を参照)』に基づき日本国が建造した“ユウバリ級護衛巡洋艦”である。
 現在では良く知られている通り、本助成制度の目的は大きく二つ存在した。
 一つは、今後確実に需要が増大するであろう星系間航路の保護任務を連邦加盟各国に分担させること。そしてもう一つの目的は、外宇宙活動を主任務とする次世代型地球防衛軍艦艇の建造データ収集にあった。
 立案者自身もあまりのあざとさに上申を躊躇したと伝えられるほどの制度であったが、各国の“自国の宇宙艦艇”保有に対する願望は意外なほどに強く、その結果、『二三世紀の建艦競争』とまで揶揄される――各国が競って制度適用艦艇を建造する――状況に至った。



 各国が計画・建造した艦艇のコンセプトは様々であったが、日本国のコンセプトはその中でも異色だった。
 まず特筆すべきは、日本国が計画した艦が第一種艦『護衛戦艦』ではなく、より小型の第二種艦『護衛巡洋艦』であったことだ。
 他国の建造艦は、米国のアリゾナ級護衛戦艦に代表されるように“自国のフラッグシップとなる、より大きくより強力な戦闘艦艇”という向きが非常に強く、大国若しくは嘗て大国と呼ばれた国家はこぞって第一種艦である『護衛戦艦』建造に邁進していた。
 言い換えれば、各国で建造された護衛戦艦群は、助成制度の根幹である長距離・長期間航宙性能こそ満たしているものの、その実態はまぎれもない“決戦艦”であった。
 これに対し、日本国建造艦はコンセプトからして大きく異なっていた。彼らが目指したのは、長距離・長期間の星系間通商路の保護任務に特化した“汎用護衛艦”であり、決してそれ以上の存在ではなかった。当然、建造艦は最低限度の“質”を満たしつつ、最大の“量”を重視する方針が徹底されており、その点で言えば、高価な“戦艦”ではなく比較的安価な“巡洋艦”が選択されたのも当然のことだった。
 とはいえ、ヤマトを筆頭に宇宙艦艇の建造と運用に関して経験豊富な日本国であったから、その努力は単なるマスプロダクションやコストダウンに留まらなかった。

 彼らは、ガミラス戦役頃からの(波動エンジン実用化後の)宇宙艦艇建造費・運用費の極端な上昇カーヴから、これまでのような年間一〇〇隻単位での大量建造が、早晩予算的に不可能になると考えていた。また、過去数年の大量建造は、実質的に宇宙艦隊をゼロから作り上げる為のラッシュ(特需)に過ぎなかったから、艦隊整備計画の進展に伴い、そのペースが今後漸減、いや急速に低下していくであろうことも想像に難くなかった。
 とはいえ、それは決して新造艦艇需要の消滅を意味するものではない。人類領域の拡大に伴って、今後も人類と地球連邦にとって必要とされる艦艇数は確実に増大していくことは確実だったからだ。
 しかし、そこで要求される艦艇は、従来艦艇のような機能を役割別に特化させた急造の“専用艦”ではなく、外宇宙活動能力のみならず多種多様な任務に対応する汎用性を持ち、更に長期に渡って運用可能な拡張性を有することが必須と考えられた。
 そうした見解を踏まえ、ユウバリ級の開発・建造にあたっては単なる建造コストの低減ではなく、建造開始から就役、そして退役に至るまでのライフサイクルコストが非常に重視されていた。
 言い換えれば、現時点では高価であっても、将来的に調達コストの低減が見込める装備、また改造やヴァージョンアップなどの拡張性を有する技術が積極的に採用された。
 尚、本級の開発にあたっては、今後四半世紀はFRAMやSLEPを重ねながら現役を務められる艦を目指すことが基本コンセプトの一つとして挙げられていたとされる。



 殆どの大国が“決戦艦”建造へと突き進む中、日本国がオーソドックスな(しかし元々の制度目的に適った)“汎用艦”を目指した背景を知る上では、やはり“宇宙戦艦ヤマト”の存在を欠かすことはできない。一部からは『日本はヤマトの存在があったが故に、これ以上の戦艦の建造を断念した』とも評されているが、その評価は部分的には正しくとも、完全な正解ではない。いや、寧ろ誤りをも多く含んでいた。
 まず正の部分だが、日本国政府は建造当初からヤマトの建造と運用に深く係っていたが故に(ガミラス戦役後、ヤマトの所管は日本国から地球防衛軍に移っていたが)、そのあまりに高額な運用コストを知り尽くしていた。
 一般で認識されている程ではないにせよ、ヤマトは少なからず日本国政府の影響力を受ける形で運用されており、それが結果的には連邦内における日本の発言力の強化に繋がっていた。しかしその代償として、日本国は通常の連邦負担金とは別枠でヤマトの維持管理費や装備開発費の多くを拠出しており、そのあまりに膨大な額から、日本国財務省主計局は政府に対し、ヤマト退役を地球防衛軍に勧告すべきであると何度となく意見していた程だった。
 つまり、日本政府は至極単純に、安価に外宇宙運用が可能な汎用艦を欲していたのである。それは、各国がヤマトの存在を羨望し、ヤマトを超える戦艦建造に血道を上げている状況を考えれば、あまりに皮肉な現実であった。
 唯一、英国のプリンス・オブ・ウェールズ級(以後POW級)護衛戦艦だけは、艦の規模や直接戦闘能力よりも“護衛任務用の戦艦”としての費用対効果を追及した艦としてユウバリ級の建艦思想に通じるところがあった。しかし、彼女を建造した英国人たちですら“戦艦”というカテゴリーから脱するところにまでは至らなかったのだから、費用対効果に対する徹底では日本人たちに軍配が上がるだろう。
 そうした徹底は装備面にも如実に表れていた。POW級では波動砲口の位置を機関部へと近づけるという特異な艦形状によって高価な伝導管の使用量を最小化し、コスト削減を図っていたが、ユウバリ級は更にその上を行き、そもそも波動砲を“搭載していなかった”。

『通商路護衛艦艇に、決戦兵器(波動砲)が必要か?』

 各国があえて無視している(この表現こそ最も妥当だろう)この根本的命題に対しても、日本国は明快な回答を用意していた――否である、と。
 現代に生きる我々の視点からは、当時の地球連邦全体を覆っていた“波動砲至上主義”“波動砲絶対主義”にこそ異常さを覚えるかもしれない。しかし、周辺列強(ガルマン・ガミラス帝国やボラー連邦)に比べて著しく国力に劣る当時の地球連邦においては、圧倒的戦力差を覆す可能性を秘めた(と信じられている)波動砲は神話的色彩すら帯びた究極兵器であった。



 だが、波動砲の装備そのものが指揮官の戦術判断を狭めてしまう(経験の乏しい指揮官の場合、戦術状況に関係なく盲目的に波動砲を使用してしまい、その後の戦闘行動に支障をきたしてしまう)、同規模の艦艇で比較した場合、波動砲搭載艦と非搭載艦では建造コストと長期的な運用・維持コストは倍半分ほどにまで開いてしまう――等のデメリットも、この時期には地球防衛艦隊内部においてさえ、一部から指摘されるようになっていた。
 そして日本国は、豊富な波動砲使用実績を持つヤマトの戦闘データを有していたことで、波動砲という兵器の持つ可能性と限界に最も早く気づいていた。それ故に、当時の常識では十分、大型艦のカテゴリーに含まれる本級(乾重量二万二千トン)に波動砲を“搭載しない”という決断を下すことができたのである。
 また、ユウバリ級への波動砲非搭載が決定された要因として、弾頭に波動エネルギーを封入する“波動カートリッジ”技術の実用化も無視できない。
 当初、主砲用実体弾頭として開発がスタートした波動カートリッジであったが、主砲発射時の高Gに耐久可能な弾頭の開発に手こずり、最初の実用兵器は近接防空兵器である“波動爆雷”であった。そして、主砲弾程の高Gに晒されないという点では宇宙魚雷(直径二〇インチ以上の大型ステルス誘導弾)も同様であり、波動カートリッジ技術が適用されるのに時間はかからなかった。そして、各種シミュレーションでの検証の結果、波動カートリッジ弾頭装着型宇宙魚雷(通称:波動魚雷)は単体での威力こそ波動砲に劣るものの、運用柔軟性においては圧倒するという結論が得られた。
 この検討結果は、波動砲という兵器に対する費用対効果に強い疑念を抱いていた日本国にとっては何よりの朗報であり、ユウバリ級の仕様・性能決定に少なくない影響を与えたと言われている。事実、ユウバリ級の艦首ブロックには波動砲の代わりに新開発の超大型宇宙魚雷発射管が四門装備されており、強装状態の波動魚雷を一斉投射した際の威力は、着弾点において従来型巡洋艦(アルジェリー級やオマハ級)の中口径波動砲のエネルギー係数を上回っていた。



 また、波動カートリッジは、波動エネルギーの最低臨界量さえ満たしていれば、エネルギー充填量の変更が可能であり、波動砲運用においては常に問題視されるオーバー・キルとコラテラル・ダメージを比較的容易に回避可能という点も大きな魅力だった。

 戦艦ではなく巡洋艦、しかも波動砲非搭載艦ということもあり、より大型で強力な護衛戦艦・護衛巡洋艦建造に狂奔している各国からユウバリ級が注目されることは殆どなかった。しかし、仔細に観察すれば、同級に採用されている各種技術の先進性と拡張性、その総体としての完成度が非常に高いことが分る。
 搭載された波動エンジンは、ヤマトにプロトタイプが搭載された第三世代波動機関――スーパーチャージャー搭載波動エンジンであり、大幅な小型化に成功した実用型であった。この新型機関が生み出す潤沢で高濃度のタキオンエネルギーは、本級の性能を走・攻・守いずれの面においても著しく底上げしている。
 まず機動性だが、超長距離・連続ワープが可能となったことで、本級の戦略機動性は第二世代以前の波動機関を搭載する艦艇とは比較にならないほどにまで向上した。
 また、スーパーチャージャー搭載によって純技術的には不要となった補助エンジンを(コスト増になるにも係らず)あえて搭載することで、低速時の運動性を確保していた。これは、本級の想定している一般船舶の護衛任務においては、護衛対象の経済速力に合せた低速航宙が不可欠であり、大容量の波動エンジン(主機関)のみでは低出力時の微妙な出力調整が困難であった為だ。
 兵装面では前述した宇宙魚雷(波動魚雷)に加えて、八インチ口径のショックカノンが三連装三基装備された。本砲(三式八吋衝撃波砲)は自動艦隊用乙種艦――ウェポン級自動重駆逐艦に採用されたものと同型であり、既に大量生産されている同砲を流用することで、開発・調達コストの低減を図っている。



 二万トン級艦艇に八インチ砲九門の装備はやや貧弱にも感じるが、その発射速度は大出力波動機関の恩恵を受けて各門四〇発/分(ウェポン級は三〇発/分)にまで達しており、八インチ砲及び六インチ砲を各六門備えたアルジェリー級と比較しても、単位時間あたりの投射エネルギー総量は軽く二倍を超える。
 尚、本級の搭載火砲が比較的少数に抑えられた大きな要因として、後部区画の多くを航空艤装に充てていることが大きい。
 艦艇運用における柔軟性を考えた場合、航空機の搭載有無は非常に大きなファクターとなり得ることを、ヤマトの運用データを持つ日本国は知悉していた。投入可能な戦術局面イコールその艦の汎用性であると考えれば、たとえ火力を多少減じてでも(更に言えば建造コストを上昇させることになっても)、航空機搭載能力を付与することで、本級の費用対効果を飛躍的に向上させ得ると日本人たちは考えたのである。
 しかし、こうした発想は、これまでの地球艦艇、特に中・小型艦の設計思想とは対極に位置するのも事実であった。
 従来型の地球艦艇は太陽系内での決戦に特化し過ぎており、リソースの大半を直接的な攻撃力(砲雷撃戦能力)に振り向ける向きが非常に強かった。その為、攻撃力を減少させることになる航空艤装は等閑に付されることが多く、特にリソースそのものが限られる中・小型艦においては、固定翼機を搭載可能な艦艇はほぼ皆無という有様だった(比較的規模の大きいアルジェリー級宇宙巡洋艦ですら、搭載機は内火艇等の小型作業艇に限られた)。また、こうした状況が許容されてきた背景として、太陽系内であれば、比較的容易に基地航空隊の支援が受けられるという事情もあった。
 しかし、ユウバリ級の想定する活動域が、近傍数千光年内に友軍根拠地は一切存在しない茫漠たる外宇宙である以上、独力で固定翼機を運用・展開し得るか否かは、汎用護衛艦としての本級の戦力価値を大きく左右するのは確実だった。
 もし本級がより小型艦であったり、従来型の波動機関を搭載していたならば、典型的に“二兎を追う”結果となって、性能的に中途半端な艦となった可能性が高い。しかし幸いにも、本級は外宇宙用艦艇として計画されたが故に艦サイズに余裕があり、より高出力且つ機能性に優れる新型波動機関を搭載できたことで、極めて高い次元で性能バランスを確保することに成功している。



 最終的に決定した本級の航空艤装は、コスモ・タイガーⅡクラスの固定翼機を常用ベースで六機、最大一〇機まで運用可能というものであった。平時編成では一式宇宙艦上戦闘攻撃機『コスモ・タイガーⅡ』四機と同機の戦術偵察型である二式宇宙艦上偵察機『タイガー・アイ』二機を搭載する。また、これに伴い、本級用の艦載機隊として第四五二航空隊が新設されている。

 巡洋艦クラスとしては過去に例を見ない程、大幅に強化された航空艤装とは対照的に、本級の防御思想は在来艦のものを手堅く受け継いでいた。より具体的には、装甲強度よりもエネルギーシールドに依った防御が重視されており、これを更に言い換えると、実体弾兵器よりも熱エネルギー兵器に対する抗堪性が重視されていると表現できるだろう。
 ガトランティス・デザリアムの両戦役において、敵性勢力はミサイルや宇宙魚雷よりも即応性と射程に優れた熱エネルギー兵器を主兵装としていることが多かった。また、実体弾は各種阻止防御(ソフトキル/ハードキル)が可能であることもあり、実体弾防御に多くのコストとリソースを割くことは実際的ではないという判断に至ったのである。
 また、この時期にはデザリアム帝国より入手(簒奪)した技術の一部が実用段階に至っていたことも、本級の防御コンセプト決定に少なくない影響を与えていた。デザリアム艦艇の防御思想は地球以上にエネルギーシールド重視であり、事実、戦艦級艦艇や機動要塞ともなれば、そのシールドは二〇インチクラスのショックカノンにすら平然と耐える性能を与えられていた。
 デザリアム戦役後、地球はこれらのエネルギーシールド技術の解析と習熟に努めた。完全な模倣ではなく換骨奪胎――既存技術への応用というアプローチで実用化に取り組んだ結果、比較的早期に既存シールドシステムの防御力向上という大きな成果が得られている。
 その結果、本級は“巡洋艦”でありながら、ことエネルギー兵器に対する限り、ボロディノ級主力戦艦の一六インチショックカノンにすら耐久可能な防御性能を得た。もちろんそれは、エネルギーシールドが最大出力で維持されている限りという極めて限定的なものであったが、従来型の巡洋艦とは次元の違う防御力であったことは間違いない。――しかし、こうした本級の防御思想は、後のディンギル戦役において大きな犠牲を払う一因となってしまう。

 ユウバリ級は日本各地のドックで四隻同時に起工され、いずれの艦も2205年中に就役している。全艦、同年に発生した太陽危機においては、居住可能惑星の探索任務に従事しており、中でもネームシップの『ユウバリ』と二番艦『ナバリ』は、危機末期に発生したボラー連邦本国艦隊による太陽系侵犯の際、臨時の迎撃艦隊に組み込まれ、実戦を経験している。

 嘗ては複数の銀河を支配するほどの興隆を誇っていたものの、現在は永世非干渉中立国として一切の国際関係を絶っていたシャルバート王国。探査任務中の宇宙戦艦ヤマトが偶然にも接触に成功、人道支援の一環として恒星核融合制御装置である“ハイドロコスモジェン砲”の無償供与を受けることができた。
 急ぎ太陽系へと帰還したヤマト(この時のヤマトの航宙速度記録は2215年の第四世代波動エンジン実用化まで遂に破られることはなかった)を中心に工作船団が慌ただしく編成されると、既に視直径が通常の3.5倍にまで膨張していた太陽の制御へと向かった。
 しかし、太陽へと急ぐ船団の背後至近に、五百隻にも及ぶ大艦隊――ボラー連邦本国艦隊とボラー連邦ベムラーゼ首相が座乗する機動要塞がワープアウトしてきたことで、船団のみならず太陽系全体が大混乱に陥ってしまう。
 この時、ヤマトと非武装の各種支援船を護衛していた地球防衛艦隊所属艦艇は僅か二〇余隻。しかし数的には1/20にも満たない護衛艦隊は果敢な防戦を展開しつつ(本来は護衛対象である筈のヤマトも艦長の独自判断で防戦に加わっていた)、ひたすら友軍の救援を待った。もっとも、ボラー連邦軍、いやボラー連邦首相ベムラーゼの目的は工作船団の殲滅ではなく、地球を一種の人質として、ガルマン・ガミラス帝国総統デスラーを誘引することであったから、工作船団への攻撃はあえて牽制程度に留められたという事情もあった(本会戦の背景については別章を参照されたい)。
 一方、超・長距離からの恒星直近へのワープアウトというボラー艦隊の極めて危険な行為に、地球防衛軍並びに地球防衛艦隊司令部は驚愕したものの、藤堂兵九郎地球防衛軍長官の判断は素早かった。
 本国艦隊と内惑星艦隊の稼働艦艇を根こそぎ動員し(この時期、太陽系外周艦隊の殆どは探査任務にとその支援に充てられていた)、至急救援へと向かわせると共に、各国宇宙軍へも救援艦隊への参加を要請したのである(戦時ではない為、地球防衛軍に各国宇宙軍への直接命令権は無い)。
 この要請に応え、地球周辺に存在していた各国の護衛戦艦・護衛巡洋艦一七隻が艦隊に加わり、その中には探査任務から補給・整備の為に帰還していたユウバリ級護衛巡洋艦二隻の姿もあった。
 各国護衛艦艇を加えても六〇隻にも満たない地球防衛艦隊がその五倍以上の規模を誇るボラー連邦本国艦隊に殴りかかったことで、後に“太陽沖会戦”と命名されることになる戦闘は第二ラウンドへと突入した。



 この戦闘において、ユウバリ級二隻から成る戦隊は、内惑星艦隊所属の宙雷戦隊への支援を担当した。“支援”とはいえ、その実態は突撃する宙雷戦隊の露払いであり、突撃の先頭に立った二隻は、ボラー連邦軍主力を直衛している中小艦艇群の掃討にあたった。
 ここで、『ユウバリ』と『ナバリ』はアルジェリー級四隻分を超える砲火力を存分に発揮して、立ち塞がるボラー連邦軍中小艦艇群を終始圧倒、後続する宙雷戦隊の安全を確保すると共に統制雷撃を成功に導いた。また、自らも戦闘の最終局面において“波動魚雷”の戦隊統制雷撃を行っており、少なくとも大型戦艦級艦艇三隻撃沈のスコアを計上している。
 戦闘中は一貫して宙雷戦隊の“盾”としての役割を果たしていただけに、両艦の被弾数も少なくはなかった。しかし、本級の強化されたエネルギーシールドはボラー艦艇の大型フェーザー砲に対しても非常に有効であり、最後まで戦闘能力を失うことはなく、人的被害も最小に留まっている。
 会戦最終段階でのガルマン・ガミラス帝国親衛艦隊の支援(介入)もあって、地球防衛艦隊と各国宇宙軍は遂にボラー連邦艦隊を退けることに成功した。また、太陽の異常核融合反応も、幾多の尊い犠牲の末にではあったが、ハイドロコスモジェン砲による砲撃によって沈静化している。
 “太陽危機”と呼ばれた一年にも及ぶ混乱の終息であった。

 太陽沖会戦後、会戦に係る各種の戦術データ・戦訓詳報が会戦に参加した各国宇宙軍のみならず、地球連邦加盟各国にまで公開されたことで、これまで殆ど注目を浴びることのなかったユウバリ級に、俄に各国からの注目が集まることになった。
 その要因はやはり太陽沖会戦の経過であった。圧倒的多数のボラー連邦本国艦隊に対して、地球艦艇は個艦性能の優位で辛うじて戦闘を五分に持ち込むことができた。しかし、それを達成したのは会戦に参加した地球艦艇の大半が搭載していた決戦兵器――波動砲によるものではなく、各艦の通常砲雷撃戦能力だったからだ。
 既に波動砲の存在を熟知していたボラー連邦は、太陽至近という地形特性を最大限に利用し、常に太陽を背にした戦術運動を行っていた。また、地球艦隊への攻撃にあたっては、戦隊単位に戦力を分散、多方位から一気に押し潰すような物量戦を展開した。
 ガルマン・ガミラス帝国軍に比べ、戦術能力で劣ると評されることの多いボラー連邦軍だが、太陽系を奇襲したのは首相直属の最精鋭艦隊であり、装備・戦術・士気共にガルマン・ガミラス帝国親衛艦隊にも何ら劣るところは無かった。
 地球艦隊は必死に波動砲発射のタイミングを計ったが、波状的に襲撃してくる圧倒的多数のボラー艦への対応に忙殺され、エネルギー充填の隙すら遂に見出すことができなかった。
 こうした状況においても、ユウバリ級は波動魚雷を用いることで、見事大型戦艦三隻を屠っていた。もちろん、ユウバリ級以外にも艦隊に波動魚雷搭載艦は存在したが、それらはいずれも波動砲装備艦でもあり、波動砲砲撃に拘った結果、遂に波動魚雷を有効に活用することができなかったのである。
 この事実は、自国の予算規模とインフラでは波動砲を搭載した大型戦艦を建造できないが故に、外宇宙用艦艇建造を断念していた小国には朗報となった。ヤマトのような“戦艦”は欲しいが予算的に導入できず、辛うじて導入可能な“巡洋艦”は規模でも性能でも劣る為(あまり役に立ちそうにない為)、外宇宙用艦艇の建造や購入を諦めた国は意外に多かったのだ。
 また、既に波動砲搭載艦を有していた国家群、更には地球防衛艦隊の受けた衝撃も大きかった。彼らの思考は“波動砲を搭載していない艦は、戦闘艦にあらず”という考えで凝り固まっていたからだ。
 しかし、ユウバリ級の示した活躍が、そうした思考を根底から覆した。戦艦でなくても、なかんずく波動砲を搭載していなくても、十分に強力な戦闘艦艇が(しかも波動砲搭載艦に比べれば格安で)実現可能である――その事実をユウバリ級の活躍が証明したからである。



 その影響は、地球連邦内部で二つの潮流を引き起こした。一つは、地球防衛艦隊において実用性・経済性の観点から波動砲搭載の是非について見直しが開始されたこと。そしてもう一つは諸外国から日本国に対してユウバリ級の発注が急増したことであった。
 発注は旧ASEANをはじめとする東アジア・東南アジア諸国からが中心で、それらの国々の宇宙軍士官の多くが日本国の宇宙戦士訓練学校に留学経験を有しており、それも日本艦艇採用を後押ししたであろうことは想像に難くない。
 ユウバリ級の輸出価格は、護衛戦艦では最も安価とされたPOW級の更に1/2であり、順調に受注数を伸ばしていくことになる(但し、輸出艦の波動機関は各国の技術レヴェルを考慮し、第二世代波動エンジンにダウングレードされている)。その数は最終的に三〇隻を超え、アジア各国の宇宙港に行けば、必ず目にすることができる『アジアの標準艦』とまで評された。事実、アジア圏において、ある程度の経済力を持ちながら本級を採用しなかったのは大韓民国くらいだった。
 同国は助成制度公表直後に一〇万トン規模の超大型戦艦の建造を発表したものの、基礎技術力の乏しさに加えて複数の収賄事件(大統領ファミリー企業への不正発注等)発覚の混乱から、開発計画は完全に頓挫してしまった。その後、米国にアリゾナ級護衛戦艦購入を打診するも、米国提示金額と韓国側予算が全く折り合わず、再び自国建造へと方針を変更している。
 こうした状況を受け、宇宙軍の一部では安価且つ早期の外宇宙用艦艇取得を目指すべく、ユウバリ級採用の検討を極秘裏に開始した。しかし、その情報がリークされた結果、軍の検討グループはマスコミとそれに扇動された議員・国民から売国奴を指す“親日”のレッテルを張られる等の袋叩きに遭い、計画はあえなく消滅している。
 これらの混乱が最後まで尾を引き、大韓民国が自国の外宇宙用艦艇を手にすることができたのは、アジア諸国でも最も遅い2212年のことであった。
 しかし、ようやく完成した大型戦艦“イ・スンシン”にしても、武装にリソースを集中し過ぎた結果、居住性能や航宙性能等のトータルバランスに難があり、既に地球防衛艦隊や各国宇宙軍が“決戦艦”思想から脱却した2210年代においては完全に時代遅れの代物だった。更には、そのあまりにアリゾナに似た外観から、諸外国から“ウリゾナ”と揶揄される有様で、その開発計画は壮大な時間と予算の無駄遣いであったと内外から酷評されることが多い。

――中編へつづく。


さて、2199のテレビ放送も終了しまして、久しぶりの艦艇設定妄想ですw
本当は宇宙空母の続きを書かないといけなかったのですが、色々とあって(笑)こちらが先になりました(^_^;)
既に皆さまお気づきの通り、この艦は『宇宙戦艦ヤマト 完結編』に登場した“駆逐艦”です。
劇中では、ヤマトから退艦した乗組員たちを回収する冬月と水谷艦長が印象的でしたよね。
今回、設定を妄想するにあたり、この駆逐艦は元々、日本の護衛巡洋艦だったという設定をでっち上げました。
“護衛巡洋艦”というのは、ヤマトⅢに登場したアリゾナやPOW、ビスマルク等の“護衛戦艦”の小型版だと思っていただければ結構です。
費用対効果に優れていたことから、その後改設計を受けた上で、地球防衛艦隊の“アキヅキ級宇宙駆逐艦”として採用されることになります。
このあたりの事情については、次回の後編で書いていきますのでお楽しみに(^o^)
実はこのネタを思いついたのは去年入院していた時に“護衛戦艦”ネタを書いていた時でした。
あれから丸々一年かかりましたが、それがようやく具体化できて嬉しいです(^_^;)

さて、写真のキットは、岡山のプラ板使いさんの1/1000スケールガレージキットです。
全長は22センチ(換算サイズ220メートル)もありまして、2199のキリシマ(205メートル)よりもでかいです。
オリジナル版ではヤマトにしても全長は266メートルしかなく、サイズ的にはあまり変わらなかったのですが、全長が333メートルに達した2199ヤマトと並べると、やっと『戦艦』と『巡洋艦』『駆逐艦』っぽくなって良いですね(^o^)
こんな艦を“駆逐艦”として量産するんですから、完結編の頃の地球の国力はたいしたものです(弱さは相変わらずですがw)
キットを製作いただくにあたり、カラーリングは毎度(笑)のオリジナルカラーに変更いただきました。
また、装備面でもかなり弄っていただいてまして、オリジナルでは連装の大型主砲塔一基であるのを、2199ヤマト副砲を三基搭載しています(二基が上甲板、一基が下部甲板)。
また、舷側部のモールドを落して、連装パルスレーザー砲塔を片舷四基設置いただきました。
他にも艦底部に補助エンジンを仕込んでいただいたり、艦橋部のレーダーの角度を変えていただいたりと、あちこに手を加えていただいたので、非常に満足度は高いのです♪ヽ(^◇^*)/ ワーイ

さてさて、忘れないように最後に一言。
この艦設定の殆どは公式設定ではなく、またその設定も『宇宙戦艦ヤマト2199』に基づくものではなく、オリジナル版『宇宙戦艦ヤマト』シリーズに基づくものですw
では、続きも頑張ります(^o^)

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