ロック探偵のMY GENERATION

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鉄腕アトム、二十歳を迎える

2023-04-07 21:28:22 | 日記


鉄腕アトムが二十歳を迎えました。

どういうことかというと、手塚治虫先生の漫画・アニメ『鉄腕アトム』において、設定上アトムは2003年4月7日に生まれたということになっています。つまり、生まれていれば本日で20歳となるわけなのです。

だからといって何がどうということでもないんですが……このブログでは、手塚先生や鉄腕アトムについて何度か書いてきたので、アトムの成人を祝っておこうかと。


アトムを代表作といわれることを手塚先生は好まなかったともいわれます。
「アトム」とか「ウラン」といった主要人物の名が放射性物質からとられていて、原発に象徴される科学技術への楽観的姿勢に対する自省……みたいなことがあるんじゃないかとも指摘されます。
しかし、私はもっと複雑なものがあったんではないかとも思ってます。
鉄腕アトムというものの存在があまりにも大きくなりすぎて、自身の作品世界に制約をもたらすようになっていたということがあるんではないかと。
アトムの後継作品として『ジェッターマルス』というのがあるんですが、この作品はそのあたりのことをよく表しているように思えます。
ジェッターマルスはアトムに続くシリーズ第二作のような位置づけなんですが、第二作といわれても、シリーズ第一作の存在感があまりにも大きすぎるわけです。一作目が大ヒットしたシリーズは二作目以降やりづらくなるというのが一般即としてあると思いますが、そのきわめて極端な例ともいえるでしょう。その二作目を制作するにあたって、主人公のキャラデザを手塚先生自ら手掛けておられ、いくつもデザイン案が残されているんですが……結局、できあがったジェッターマルスは、アトムとまったく同じ顔でした。
参考までに、その動画を載せておきましょう。Youtubeに飛ばないと視聴できないようですが……

【公式】ジェッターマルス 第1話「2015年マルス誕生」 <1970年代アニメ>

しかも、声まで同じ(清水マリ)。このあたりに、アトムというものがある種の呪縛のようになっていたことがうかがえるのです。呪縛というとちょっと言葉が悪いですが、鉄腕アトムというものが手塚治虫の漫画世界の中に巨大な存在としてあって、常にその影を意識しなければならない、手塚先生は、そこにある種の窮屈さを感じていたのではないかと思えるのです。それが、アトムに対する複雑な気持ちにつながっていたのではないでしょうか。

しかしながら、手塚先生の思いがどうであったにせよ、鉄腕アトムが日本の漫画・アニメ史上に燦然と輝く名作であることはたしかでしょう。
2003年にアトムは生まれませんでしたが、昨今のAI技術の発達などを見ていると、あと半世紀内ぐらいにひょっとしたら誕生できるかもしれません。そんな未来を夢見ながら、アトムの二十歳を祝いたいと思います。





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