ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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「ボヘミアン・ラプソディ」

2017-10-18 22:38:09 | 日記
クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」。

途中のオペラパートもふくめて、最初から最後まで頑張って一人で歌いきる。

以前、デーモン閣下が途中まで一人で歌っているのをテレビで見たことがあります。
オペラパートまで、ちゃんとやっていました。さすがは悪魔です。

プチ独裁ではダメなんだ!

2017-10-18 19:49:28 | 時事
今回は、政治とかそういった方面の話です。

テーマはずばり、「プチ独裁」の是非について。


以前、民進党崩壊についての記事を投稿したとき、私は「政治における一強という状態はきわめて不健康です。きっちりと与党に対抗できる野党が存在しないといけない」と書きました。

しかし巷では、政党政治よりもプチ独裁のほうがいいんだという意見もときおり聞かれます。
本当にそうなんでしょうか。
今回は、この点について考えてみたいと思います。


まずはじめに、プチ独裁がいいという意見はどういうところから出てくるのかを考えてみましょう。

いろんな理由があるのかもしれませんが、とりわけ大きいのは、政党政治、議会制民主主義における政治家の振る舞いがあまりにも醜悪だからということだと思われます。


これは、パスカルの王政支持に通じるところがあるかもしれません。

パスカルという人は、王政を支持していました。

彼によれば、もし王政でなければ、権力の座をめぐって政治闘争が起きる。その闘争で生じる被害はとても大きい。王政による害はもちろんあるけれど、政治闘争によって起きる害のほうが大きい。だから、王政のほうがいい……というわけです。

プチ独裁を望む考え方は、これと通ずるところがあるのではないでしょうか。

政治闘争が、あまりにも醜い。
政治家たちは、国民のことなんか考えずに、権力闘争に明け暮れている。
これだったら、プチ独裁のほうがいいんじゃないか……そういうことでしょう。


政治家の権力闘争が醜悪だというのは、もっともなことです。
そんなふうに思わせてしまう政治家の行動にも問題はあるでしょう。

しかし、だからといってプチ独裁がいいのかというのは考えものです。
なぜなら、そのような考え方は、実際には大きな害悪をもたらしてきたからです。


たとえば、日本の例を考えてみましょう。

戦前の日本でも、「政党政治よりも独裁体制のほうがいい」という考え方が広く浸透していました。

戦前の日本にも大正デモクラシーと呼ばれた時代があり、まがりなりにも政党政治が行われていましたが、そこでの政治家たちの言動があまりにもひどかった。そのために、国民の間には政党政治に対する嫌悪感が醸成されていったのです。

5.15事件という事件があって、時の総理大臣が暗殺されましたが、国民の多くはこの事件に対して同情的な態度をみせました。また、後継首相を決める際には、「政党政治絶対反対」と唱える学生らの行動があったといいます。

この流れに押されるようにして、政党政治は崩壊していきました。
戦前の日本は、政党政治を放棄して実際にプチ独裁という方向に進んだのです。

ではその結果、日本はどうなったか。

無茶苦茶な戦争に突き進んで、破滅的な結果を招きました。

私が、プチ独裁ではだめだというのは、まさにここなんです。
プチ独裁は、政党政治よりもひどい結果を招く。
これは、可能性の話ではなく、もう実績としてわかっていることなんです。


ついでにいうと、これは日本だけの話ではありません。

同じようにプチ独裁、あるいは完全な独裁の道を選んだドイツやイタリアも、やはり戦争で壊滅的な被害を受けています。

これは決して偶然ではありません。また、時の運でたまたま日独伊のほうが負けたわけでもありません。
ドイツは微妙なところかもしれませんが、日本やイタリアは、あきらかに最初から勝てるわけがない戦争をやってしまっています。日本がアメリカと戦争したって勝てるわけがないのに、イタリアは軍事的には弱小国だったのに、戦争に突き進んでいくのを誰も止められませんでした。

これは、プチ独裁であるがゆえだと私には思えるんです。

プチ独裁体制をとっていると、無茶苦茶な人が無茶苦茶なことをやりだしたときにそれを止めることができなくなります。そういう回路が遮断されているから、プチ独裁なのです。
特に日本の場合、政党政治を否定して軍部とそれに連なる勢力が権力を掌握してしまったことが破滅的な戦争につながっているのは明らかでしょう。

以上のことからして、プチ独裁ではダメなんです。
プチ独裁は国民を幸せにしないというのは、もう成績として出ています。どんなにひどくみえても、政党政治のほうがマシなんです。
政党政治であれば、少なくとも、権力の過度な集中を抑制して、一部の無茶苦茶な人が無茶苦茶な行動を起こせないようにすることはできます。

手垢のついた言葉ですが、チャーチルの金言を引用しましょう。

「民主主義は、最悪の政治体制である――ただし、それまでに存在したすべての政治体制をのぞけば」

政治を考える際には、こういうリアリティが必要だと思います。
政治家なんて、醜悪にきまってるんです。国民のことなんか考えずに権力闘争に明け暮れるにきまってるんです。
しかしそれでも、プチ独裁よりはマシです。
プチ独裁は、一時的にうまくいくこともあるかもしれませんが、ひとたび歯車が狂うと破滅的な結果を招きます。
ですから、よくはないが、ワーストではない仕組みとして、きちんと政党政治が機能するような多党制を目指さなければいけないと思う次第です。