むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

アラビア語レヴァント方言の辞書

2008-05-31 01:51:55 | 中東
久しぶりにアラビア語の話題を。これはいい辞書だ。
J. Elihay. The Olive Tree Dictionary: A Transliterated Dictionary of Conversational Eastern Arabic (Palestinian) . Jerusalem: Minerca Instruction and Consultation.
レバノンのポップス音楽やキリスト教文化を研究するうえで、アラビア語レヴァント方言の理解は必須。しかし、どういうわけか、レバノン、シリア、パレスチナ、ヨルダンを含むレヴァント方言の辞書、特にアラビア語から英語を引けるまともな辞書がないので困っていた。
最近、NHKラジオ講座講師もやったことがある栄谷先生のブログに上記辞書が紹介されていて、米国Amazon.comを見たら、70ドルとそんなに高くなかったので注文してみた。期待していなかったが、実際届いたのを見ると、なかなか良さげ。
英語からアラビア語を引ける詳細なものには、ジョージタウン大学から出ている 
Karl Stowasser & Moukhtar Ani (Eds.). A Dictionary of Syrian Arabic, English-Arabic.
があるが、アラー英があるほうが助かる。見出し単語数は1万近く、単語の異形も見出しになっている。見出しには動詞の派生型や名詞の複数形も併記、用例は2万近く。

しかも印刷字体は、ジョージタウンのアラー英が非常に見難いのに対して、このオリーブツリー辞書は非常に見やすい。用例はジョージタウンほど多くないが、それでもツボを押さえていて、十分だ。しかも巻末に英語から引ける索引もあるのが嬉しい。ただとどいたとき、装丁にJerusalemとあったので「ゲロゲロ、ユダヤかよw」と思ったが、逆にイスラエルのものだけに、細かい気配りがあるのも良い点だろう。アラブ国家だとこうは行かない。
ちなみに、著者はフランス人キリスト教徒で(でも苗字がもろセム系なのは、なぜ?)、最初ベイルート、それからイスラエルでアラビア語を学んだらしい。
また、サイズもA5版よりやや大きめで700ページ以上、重量も2KG近くあるので、携帯には向かないところも玉に瑕か。ただ字体を小さくしてサイズをコンパクトしたら、見難くなるから一長一短というところか。

最新の画像もっと見る