むじな@金沢よろず批評ブログ

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韓国ネオリベ政権支持率ついに16.9%まで下落!進歩勢力10日から断続的に大規模デモ予定

2008-06-10 01:19:10 | 韓国・北朝鮮
韓国李明博大統領の支持率下落が止まらない。ハンギョレ新聞(ネットニュース)が7日報道したリアルミーター4日実施の調査によると、ついにこれまでの最低値の16.9%まで下がった(ハンギョレ6月7日 李大統領支持率16.9%「翼のない墜落」
http://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/292017.html)。聯合通信などが実施して2日報道された数値では17.1%だったが、さらに下がった。もちろん盧武鉉大統領の後期の2006年12月の12.6%、あるいは金泳三大統領末期1997年末の8.7%に比べるとまだマージンがあるがw、盧武鉉も金泳三も最低値はいずれも政権末期に近い時期だ。政権発足から3ヶ月ちょっとでそれと肩を並べる?くらいに下落するというのは、異常で異例である。
今回の16.9%は、与党支持層や保守的な50代でも支持が離れたことが大きく響いた。

そもそもこの不人気は、李明博および内閣が学者や経営者などからなる素人集団で、エリートや富裕層特有の独善的思考から国政を壟断し、国民の声に耳を傾けなかったことにある。もともと独裁政権の後継政党であるネオリベ化した保守・ハンナラ党が本質的に持っている独善・閉鎖・官僚体質がそれに輪をかけている面もあろう。しかも、大統領府はそのハンナラ党とくに朴槿恵系統とすらしっくりいっておらず、同じ与党ながら大統領府が国会+党本部と対立しているというお粗末ぶりである。
そうした運営に対する不満が、米国産牛肉解禁決定を導火線に爆発しただけで、本来は李明博・ハンナラ党そのものの体質と思想に問題があるのだ。
しかも、李明博しかりハンナラ党しかり、「盧武鉉と逆のことをやる」ことに汲々として、盧武鉉を「経済失政」だと攻撃してきて、経済成長ばかり強調してきただけに、経済公約747はすぐに撤回、景況感悪化、所得減少、二極化増大、物価高騰と経済的に盧武鉉時代どころの騒ぎではないくらい悪化しているだけに、国民の怒りと失望がすぐに爆発したのである。
だから、いまさら謝罪したり、更迭人事を行ったところで無意味。牛肉はあくまでも表象に過ぎないのだから。
実際、米国産牛肉の解禁を延期し米国も了承を発表しても、抗議行動はやまず、さらにエスカレートするばかり。

しかも李明博にとって運が悪いことに、6月10日は1987年に民主化勢力が街頭運動で軍事政権を追い詰めた「6月民主抗争」開始記念日、さらに13日は反米感情に火をつけた米軍による女子中学生轢死事件の6周年記念日である。15日は金大中政権時代に南北共同宣言記念日でもある。つまり、韓国の進歩勢力にとって重要な記念日が連続して訪れる時期にあたっているのである。
進歩勢力は、李明博政権への国民の不満爆発を好機として、今後攻勢を強める予定だ。

10日には狂牛病対策国民会議が主催する「100万民衆大会」をソウル市庁前広場や全国で展開する。同時に1987年の6月抗争の導火線となった、機動隊の催涙弾にあたって死亡した李韓烈氏の追悼式も行うようだ。民主化運動の初心と熱気をもう一度、というわけだ。13日、15日にも大規模集会が予定され。いずれも最大野党の統合民主党も「あまり積極的ではない」という批判を受けて積極的に参加する見込み。
さらに、これを契機に非正規労働者の問題もあって、労働団体が「夏闘」を展開する可能性もある。

ネオリベ保守勢力は、進歩政権を「経済失政で無能だ」と攻撃してきたが、何のことはない、それ以上の失政と無能ぶりを見せ付けて、急速に墜落している。

この状況は大統領選が1年前にあったフランスで先行して進んでいるが、韓国より選挙と就任が3ヶ月ばかり遅くなっている台湾も無縁ではない。

台湾のマスコミは、国民党系と見られたテレビも連日のように李明博政権の失墜をこまめに伝え、かつての独裁勢力の後継者で、ネオリベ路線を掲げている点でまったくそっくりな馬英九政権に警告を発している。
しかし、警告は教訓とならないだろう。というのも、ハンナラ党しかり、中国国民党しかり、体質は独善、閉鎖的、官僚的、エリート主義だから、市民の声に耳を傾けるというマインドなど持っていないからだ。
それに、どんな有能だろうが、ネオリベ保守の経済政策は絶対に失敗することは、サルコジと李明博を見れば明らかだ。もともと無能であった台湾の馬英九がサルコジでも回避できなかった失墜と失敗を回避できると思えない。そもそも、フランス、韓国、台湾で、いずれも中道左派が敗退して、ネオリベ保守が選ばれた背景には、国際的な「ネオリベ幻想」連鎖が働いているといってよい。それなら、馬英九がいくら李明博政権の「前車の轍」を回避しようとしても、馬英九が当選した時点で、国際的な連鎖に組み込まれていることを示しているのだから、同じように独善的なネオリベ保守は絶対に失敗し、失墜するのである。台湾が国際的経済システムの影響をより受けやすい小国である以上、なおさらである。

そういえば、李明博も最近訪中して中国に媚を売りまくっていたね。呉伯雄と江丙坤が相次いで訪中している国民党とそういう点でもまったく同じ。

ただ民進党も国民党に対する批判の視点をそろそろ変えたほうがいいとも思う。それは、国民党が媚中姿勢をとると決まって「大中国主義」という批判を展開するんだが、それは実は的ハズレだろうと思う。
選挙によって再執権した国民党には、主観的にはおそらく大中国主義はないだろうし、台湾の主権を簡単に放棄する考えは毛頭にないだろう。
しかし、日本のトヨタ、ユニクロの経営者を見ればわかるとおり、ネオリベ功利主義者は、大企業の利益のためなら、平気で売国行動をとるのが、いまどきのネオリベ共通の問題である。しかも今どきのネオリベは、これを「グローバル化」という一見すると進歩的なオブラートで偽装しているのでタチが悪い。しかしそれは民衆のためのグローバル化ではなく、単なる一企業の短期的な利潤でしかなく、広範な民衆の幸福をもたらすものではない。

確かに、李明博・ハンナラ党に敗れたウリ党・統合民主党の盧武鉉前政権、国民党にやぶれた民進党の陳水扁前政権は、基本的には経済政策はネオリベ志向で、本来の基盤である進歩陣営を裏切ったものであった。
しかし、それでもウリ党といい民進党といい、政権時代には以前の右派独裁政権よりははるかに社会福祉を進め、分配に気を配っていた。
ただし、それが首尾一貫せず、米国などの圧力に抗して民衆の利益を守るという思想を貫けなかったために、さらなる赤裸々なネオリベ保守に政権の座を明け渡してしまったことは遺憾である。この点は多いに反省し、次に政権を奪回する際の糧とすべきだろう。

しかし問題は盧武鉉、陳水扁政権が、福祉も進めながら、ネオリベ政策を進めたという矛盾という過去のことをあげつらうことよりも、目の前で展開されているさらに悪辣かつ赤裸々なネオリベ保守政権である李明博および馬英九政権ををなんとかしないといけないという問題であろう。これは同時に、日本のネオリベ自民党政権を交代させるという問題も突きつけているのである。

P.S.
それにしても解せないのは、一部の旧式左翼ならぬサヨクが、本物のネオリベであるハンナラ党、国民党、自民党および中国共産党をあまり問題にせず、むしろ擁護する姿勢をみせ、なぜか若干でも進歩志向だった盧武鉉や特に陳水扁政権を非難する傾向があることである。なぜそんなにネオリベが嫌いなら、盧武鉉や陳水扁のような「躊躇しながらのネオリベ、しかし社会福祉も進めた中途半端な中道主義」よりも、本物のネオリベを批判しないのか?もっとも、だからこそ日本のサヨクはしょせんは政権を交代させられず、自民党の補完勢力に甘んじてきて、永遠に成長できなかったゆえんだろうが。まあ韓国でも台湾でも口先だけの頭でっかちの「サヨク」は、ハンナラ党や国民党支持に走るばか者が多かったりするが。

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