ワクチンの開発が長期的には効果的で費用も安価であるが、解決されなければならない課題も多く残されている
[Lancet 2011, USA focuses on Ebola vaccine but research gaps remain]
人に感染することが知られている最も強毒性のウイルス性疾患
CDCはエボラウイルスをカテゴリーAのバイオテロリズム病原体に分類している
エボラウイルスは生物学兵器としての脅威もある
治療方法の研究に対して多額の資金が投入されてきた
米国陸軍感染症研究所(US Army Medical Research Institute for Infectious Diseases: USAMRIID)ではエボラウイルスと類似したマールブルグウイルスの治療薬の開発のため2910億ドルが投資
有望な治療方法に関しても、プラセボコントロール試験ができない等の問題もある
ザイール株は致死率90%
自然宿主としてはコウモリ
感染はゴリラやチンパンジー等の霊長類に報告がある
感染経路を明確にするには大規模な生態学的調査が必要→お金がかかる
実際の流行地域では診断方法の確立が急務(診断までに10日以上かかる場所で流行が起きる)
→実際に大きな問題にならないと大きな動きにならないし、データも取りにくいかもしれない
性交渉での感染が疑われる事例の報告(MMWR, 2015)
Possible Sexual Transmission of Ebola Virus — Liberia, 2015
性交渉での感染予防に関する暫定的な推奨(WHO, 2015)
Interim advice on the sexual transmission of the Ebola virus disease
- 精液でのウイルス検出は発症から82日目、RNA断片の検出は199日目。
- 膣分泌液では、発症から33日目にRNA断片が検出されているが、ウイルス自体は検出されていない。
- エボラと同じくフィロウイルスに属するマールブルクウイルスでは、1967年に男→女感染が確認。
- エボラ生存者とパートナーは精液が核酸検査で2回陰性になるまで安全な性交のカウンセリングを受け、コンドームを給付されるべき。
- 男性の生存者は発症から3ヶ月目に精液の検査を受けるべき。陰転するまで毎月検査を行う。陰転は一週間の間隔を開けた2回の検査陰性で確認する。
- エボラ生存者とパートナーは、精液の陰転まですべての性交を避けるか、コンドームを使用した安全な性交を行うべき。陰転後はエボラを恐れることなく通常の性交を安全に継続できる。
- 精液の検査ができない環境では、少なくとも6ヶ月間は性交を避けるべき。
- 陰性確認を行うまで、精液に触れた場合には速やかに洗浄。コンドームも安全に捨てること。
- 生存者や家族への人道的な尊厳を保つこと。
2014年の大規模な流行の発端が流行が確認された時期の3か月前まで遡れる
Ground zero in Guinea: the outbreak smoulders – undetected – for more than 3 months
2014年3月にギニアの保健省は3月22日までのエボラ出血熱の流行をIHRに基づきWHOに報告(49名の症例中29名が死亡)
シエラレオネでの最初のエボラ出血熱患者の確認は、2014年3月24日に入院検査された医療従事者(3月15日に陽性確認)。
シエラレオネでの感染のうち、365名の死亡者のリンクは有名な伝統的治療師の葬儀と関連する。
Sierra Leone: a traditional healer and a funeral More than 300 Ebola cases link back to one funeral
7月20日リベリアからの輸入症例(5日後死亡)を発端に19名(7名死亡)の感染拡大、10月20日に収束宣言。
WHO declares end of Ebola outbreak in Nigeria
WHOは IHR Emergency Committeeを2014年8月6-7日に開催、PHEICであるとし、WHOが8月8日にPHEICを宣言した。
Statement on the 1st meeting of the IHR Emergency Committee on the 2014 Ebola outbreak in West Africa
10月6日にスペインでアフリカ以外でのエボラ出血熱患者を確認、感染拡大を認めず12月2日に収束宣言。
WHO congratulates Spain on ending Ebola transmission