数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

糖タンパク質とは何か、アミノ酸記号の他に糖鎖記号による情報コードがある!

2023-05-09 15:26:38 | タンパク質
1.「糖タンパク質」とは何か
 タンパク質に「の鎖(糖鎖)」が結合しているものががあります。
 タンパク質を形成するアミノ酸記号の他に、糖鎖も記号化されて重要な情報コードになっているようです。なお細胞表面の「情報の受容体」や細胞外(血液中など)のタンパク質にはほとんどに糖鎖が付いている(糖鎖記号がある)ということらしいです。細胞への情報伝達では、この糖鎖記号によるコードが利用されて、細胞にシグナルを与える端緒を与えているようです。そしてそれに続く生化学的作用により、細胞の活動が影響受けているようです。
 この糖鎖記号の研究はまだ始まったばかりらしく、詳しい機能は分かっていないようですが、この糖鎖構造及びその機能の究明は医療等の向上にに大きく役立つと見られています。悪用されれば最悪の〇器になりますか?

「生化学および薬理学において、受容体(じゅようたい、英: receptor、レセプター、リセプター)は、生命システムに組み込まれる可能性のあるシグナル(信号)を受信し伝達する、タンパク質からなる化学構造体である。これらのシグナルは通常は化学伝達物質であり、受容体に結合して、何らかの形の細胞/組織応答(例: 細胞の電気的活性の変化など)を引き起こす。受容体の働きは、シグナルの中継、増幅、統合の3つに大きく分類される。シグナルを先方に中継し増幅することで、一つのリガンドの効果を増大させ統合することにより、シグナルを別の生化学的経路に組み込み、その経路もまた高度に専門化することを可能とする。
 受容体タンパク質は、その位置によって分類することができる。膜貫通型受容体(transmembrane receptors)には、リガンド依存性イオンチャネル受容体(イオンチャネル型受容体)、Gタンパク質共役ホルモン受容体(代謝型受容体)、酵素結合型ホルモン受容体(英語版)などがある。(引用終わり)」

「糖タンパク質(とうたんぱくしつ、英: glycoprotein)とは、タンパク質を構成するアミノ酸の一部に糖鎖が結合したものである。動物においては、細胞表面や細胞外に分泌されているタンパク質のほとんどが糖タンパク質であるといわれている。
 タンパク質のアミノ酸の修飾では、アスパラギンに結合したもの(N結合型)とセリンやスレオニンに結合したもの(O結合型、ムチン型)の2種類が頻繁に観察される。
 糖タンパク質に結合している糖鎖を成す糖の種類はそれほど多くなく、よく見られるものはグルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルノイラミン酸、キシロースなど7~8種程度である。構造様式もある程度限られており、その中のわずかな構造の違いが識別され、精密に認識されて様々な生命現象が制御されている。(引用終わり)
『たんぱく質入門』武村政春著 講談社ブルーバックスより
「…私たちの血液中に存在するたんぱく質のうち、血清アルブミンを除くほぼすべてのたんぱく質は糖たんぱく質である。また、細胞表面にあるたんぱく質にはたいてい外側に向かって糖鎖が突き出ており、この糖鎖が細胞の外からのシグナルを受け取るのに重要な役割を果たす。」
「糖たんぱく質の糖を形作る単糖の種類は、たんぱく質を形作るアミノ酸が二〇種類と決まっているように、やはりある程度決まっているようで、現在九種類ほどがある(引用終わり)」
 

「…細胞表面の糖鎖は、他の細胞(白血球、癌細胞など)、細菌、ウイルス、 毒素などが、細胞に接着する際の結合する部位(リガンド)となる。細菌 は、宿主の糖鎖と結合するためのレクチンを持つ 。」
「糖鎖は、蛋白や脂質と結合して、糖蛋白質や糖脂質となり、安定化させ、 水分含ませ組織を保護したり、細胞表面に発現して細胞間の情報伝達 に重要な役割を果たす。そのほとんどの機能は解明されておらず、糖鎖 は無限の可能性を秘めている。」
「生体内の糖鎖の多くはタンパク質や脂質と 結合した複合分子として存在する
  • 大きく3つに分類される 
 1. 糖タンパク質
  2. プロテオグライカン
  3. 糖脂質 」
「 •タンパク質に比較的短い糖鎖がついたものを糖タンパク質 という。鎖の数は数本から秀十本までさまざま。
  • 多くのタンパク質は糖鎖を付加されその特異的な性質を発 揮する。細胞外に分泌されるタンパク質や細胞膜上にある タンパク質は、そのほとんどが糖タンパク質である。
  • 糖タンパク質の糖成分は、タンパク質選別、免疫・受容体 認識、炎症、病原性、癌転移などの細胞内プロセスにおい て極めて重要な生物学的機能を果たす。   (引用終わり)」


2.ウイルスのスパイタンパク質と糖鎖
 どうも今回パンデミックになった「新型コロナウイルス」でも、スパイクタンパク質という糖タンパク質の機能に注目されているようで、その中で糖鎖記号の働きも重要視されているようです。
 この糖鎖は「受容体に結合する」とか「赤血球凝集活性をもつ」とかということですが、もし大量のスパイクたんぱく質(糖タンパク質)が体中に蔓延した場合には、強い副作用もでるのではないでしょうか。
 それにしても分子生物学(生命現象を分子を使って説明(理解)することを目的とする学問) の研究の進歩は凄じいようです。今回改めて、もはや「生物学」は構造記号学になっているのだと痛感しました。もう情報工学と分子生物学の垣根はないも同然になりつつあり、そのうち融合した学問領域になるのではないか(いやもうなっている)と思います。
  

 これからの構造生物学は科学者よりゲーマーの方が 適しているかもしれません?

「ウイルス学において、スパイクタンパク質(すぱいくタンパクしつ、英: spike protein)またはペプロマータンパク質(英: peplomer protein)は、エンベロープウイルスの表面から突出したスパイクまたはペプロマーとして知られる大きな構造体を形成するタンパク質である。このタンパク質は通常、二量体または三量体を形成する糖タンパク質である。」
「一般的に、スパイクはウイルスの侵入に関与する。それらは、宿主細胞上に存在する細胞表面受容体と相互作用し、その結果として赤血球凝集活性をもつ場合もあれば、酵素である場合もある。たとえばインフルエンザウイルスには、これらの2つの機能を持つ表面タンパク質としてヘマグルチニンとノイラミニダーゼがある。この細胞表面受容体との結合部位は通常、スパイクの先端にある。スパイクタンパク質の多くは膜融合タンパク質である。スパイクタンパク質は、ビリオンの表面に露出しているため、抗原となる場合がある。」
「コロナウイルスは、その表面にコロナウイルススパイクタンパク質(Sタンパク質と略される)を持つ。Sタンパク質はクラスI融合タンパク質であり、ウイルス感染の最初のステップであるウイルス侵入を媒介する役割を果たす。それは、点突然変異および相同組換えによって急速に進化する(そのゲノム領域が組換えホットスポットである)。それは非常に抗原性が高く、感染に反応して免疫系によって産生される抗体のほとんどを占める。このため、ウイルスSARS-CoV-2によるCOVID-19パンデミックに対して、スパイクタンパク質はCOVID-19ワクチン開発の焦点となっている。(引用終わり)」   

「…このコロナウイルスは、豪奢な糖の衣をまとっている。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のトレードマークであるスパイクタンパク質の1つをコンピューター・シミュレーションで見たRommie Amaroは、目を見張った。ウイルスの表面から突き出すスパイクタンパク質には、糖鎖がびっしりと巻き付いていたのである。 」
「…テキサス大学オースティン校(米国)の構造生物学者Jason McLellanが、糖鎖に覆われていないループは「受容体結合ドメイン(receptor binding domain;RBD)」だと教えてくれた。RBDは、ウイルスのスパイクタンパク質がヒト細胞上の受容体に結合する際に用いる3つのセクションのうちの1つである。」
「 …Amaroはシミュレーションで、RBDを持ち上げて糖鎖の雲の上に出してみた。すると、2本の糖鎖がさっと近づいてきて、自転車のキックスタンドのようにRBDをあるべき位置に固定した。また、コンピューターモデル上でこれらの糖鎖を変異させると、RBDは崩壊した。McLellanのチームは同じ実験を実際に行う方法を編み出し、両チームは2020年6月には、この2本の糖鎖を変異させるとスパイクタンパク質がヒト細胞の受容体に結合する能力が低下することを報告した1。McLellanによると、コロナウイルスの糖鎖にこのような役割があることはそれまで知られていなかったという。Amaroは、この2本の糖鎖を切り取ることでウイルスの感染力を弱められるかもしれないが、切り取る方法はまだないと語る。(引用終わり)」

 薬は今では分子生物学の成果を取り入れて、情報工学的な分子構造の解析により、有用と思われる分子構造物(=薬)を作って、それをリアルな生物的な実験で確かめるようになっているようです。

 
 
 残念ながら私達一般人もこの分子生物学に無関心でいられないと思います。なぜなら一歩間違えば「変な注射」を打たれて実験動物並みにされてしまう恐れが(それが現実化した?)あるからです。
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