数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

原発公害(8)チェルノブイリ、福島、健康被害の真実?

2013-10-22 21:00:29 | 原発公害

 さてチェルノブイリや福島原発災害の健康被害については、公的な機関からはまったく問題ない、影響が少ないと発表されています。

 WHOのチェルノブイリの報告書でも、死亡数予測は4000人とされています。

 あの過酷なチェルノブイリ事故でも4000人、それよりはるかに放射性物質の少ない福島ではまったく問題ないとのことらしい〔福島の実際の放射性物質の放出・漏出量は、チェルノブイリと等しいかそれ以上かもしれない〕。

 福島についてもWHOが健康影響の評価を発表しているようです。 

 また高田純さんは、アパグループの懸賞論文で次のように書いています。
 『福島は広島にもチェルノブイリにもならなかった』高田 純より引用

 「今回の三・一一東日本大震災後の福島核事象も、現地調査を、四月上旬を皮切りに、六、七、八月と行った。チェルノブイリ原子炉事故とは全く比べものにならない低線量で、しかも福島県民にさえ健康被害はないとの結論を早々に引き出している※2。それは、日本の軽水炉の高い耐震性能、強い格納容器と、火災の原因となる黒鉛がなかったことにある。東京電力の場合、津波対策に不備があった模様だが、日本の技術陣ならば、大津波の防護対策技術を今後必ず開発できるはずだ。そのヒントは、より震源に近かった東北電力女川原子力発電所の生き残りの検証から得られる。」

 女川もあと1歩で危なかった訳ですし、地震で配管はズタズタになることも判明しました。それに圧力容器(特に沸騰水型の下から制御棒を入れるタイプ)及び格納容器はメルトダウンしてしまえば、何等の防御にもならないことも分かりました。
 高田さんが言われる、福島はチェルノブイリに比べるとはるかに低線量(外部被曝)なので、まったく健康被害が出ないという論理は政府(WHOやIAEAの)見解そのものです。
 しかし放射性廃棄物の管理については、どのように考えているのでしょうか?

「私は大学院博士課程時代の広島黒い雨の調査を原点に、チェルノブイリ原子炉核分裂暴走災害、カザフスタン・ビキニ・楼蘭での核爆発災害を調査した※4。そのなかで世界最悪の核災害は、NHKが長年古代ロマンのみを報じてきた楼蘭周辺のシルクロードである。

 広島の核の千三百七十五発分に相当する二十二メガトンを炸裂させ、兵士も含むウイグル人たちが殺されている※5。地表核爆発で環境に飛び散った放射能の総量は、チェルノブイリの八百万倍。少なく見積もっても十九万人が死亡、漏えいした機密文書によれば、七十五万人が殺されている。天山山脈の北側に位置するカザフスタン国境の街は爆発地点から千kmも離れていたが、少なくとも二回、中国からの核の砂によって百ミリシーベルト以上の線量を受けている。これは、カザフスタンと筆者の一致した調査結果である。」

 高田さんは広島、ビキニ、楼蘭の核爆発災害を調査されてきたようです。このような専門家が福島ではまったく問題がないと言い切っています(本当にそう思っているのか〔従来の放射線防護学の理論に忠実〕、事実を隠蔽しているのかのどちかでしょう)。 それより中国の楼蘭近辺での核実験による健康被害(虐殺的な死亡者数)の方がはるかに問題だと警告していています。確かに楼蘭での核実験による健康被害は目を覆う悲惨さのようです。
 楼蘭での健康被害が日本で取り上げられていないことは事実だと思います。また中国の核兵器(中距離弾道ミサイル・巡航ミサイル)が日本の安全保障にとって最大の脅威なのも事実だと思います。中国の核実験

「福島の場合、県民の甲状腺線量は、チェルノブイリに比べ、一千分の一から一万分の一以下と低い。私が検査した六十六人の最大が八ミリシーベルト。線量から判断すると、福島県民の甲状腺がんリスクは年間一千万人あたり一人以下となる。しかし福島県の人口は二百万人なので、だれも、この低線量で甲状腺がんにならない。素人知識で福島県民や国民を脅すのもいい加減にせよ。

全身の外部被曝では、チェルノブイリ三十km圏内からの避難者の最大線量は、七日間で七百五十ミリシーベルトの高線量を受けていた※9。それに対して、福島二十km圏内からの緊急避難者たちの線量は、当時の屋外空間線量率の推移から想像して、ミリシーベルト程度とチェルノブイリの百分の一以下だ。だから、チェルノブイリの健康被害を持って、福島県民やそれ以外の日本国民の健康影響を脅すことは犯罪に近い。」

 福島での健康被害を声高に叫ぶのは、犯罪に近いとまで言っています。内部被曝の最近の研究成果を軽視し過ぎているのだと思いますが…

 wikipediaの『チェルノブイリ原発事故の影響』から引用します(最近の内部被曝の健康被害の研究のことも書かれています)。

 「1986年8月のウィーンでプレスとオブザーバーなしで行われたIAEA非公開会議で、ソ連側の事故処理責任者ヴァレリー・レガソフは、当時放射線医学の根拠とされていた唯一のサンプル調査であった広島原爆での結果から、4万人が癌で死亡するという推計を発表した。しかし、広島での原爆から試算した理論上の数字に過ぎないとして会議では4,000人と結論され、この数字がIAEAの公式見解となった。ミハイル・ゴルバチョフはレガソフにIAEAに全てを報告するように命じていたが、彼が会場で行った説明は非常に細部まで踏み込んでおり、会場の全員にショックを与えたと回想している。結果的に、西側諸国は当事国による原発事故の評価を受け入れなかった。2005年9月にウィーンのIAEA本部でチェルノブイリ・フォーラムの主催で開催された国際会議においても4,000人という数字が踏襲され公式発表された[86]。報告書はベラルーシやウクライナの専門家、ベラルーシ政府などからの抗議を受けたが、修正版は表現を変える程度に留まった[87]。」

 IAIEは、事故当事国(旧ソ連)の原発事故の評価を受け入れなかったようです。
こんなことが許されるのでしょうか?しかし会場の全員を凍りつかせたようです。

 「事故から20年後の2006年を迎え、世界保健機関 (WHO) はリクビダートルと最汚染汚染地域および避難住民を対象にした4,000件に、その他の汚染地域住民を対象にした5,000件を加えた9,000件との推計を発表した[88]。これはウクライナ、ロシア、ベラルーシの3カ国のみによる値で[89]、WHOのM. Repacholiによれば、前回4000件としたのは低汚染地域を含めてまで推定するのは科学的ではないと判断したためとしており、事実上の閾値を設けていたことが分かった[90]。WHOの国際がん研究機関 (IARC) は、ヨーロッパ諸国全体(40ヶ国)の住民も含めて、1万6,000件との推計を示し[91][92]、米国科学アカデミー傘下の米国学術研究会議(National Research Council)による「電離放射線の生物学的影響」第7次報告書(BEIR-VII)[93]に基づき全体の致死リスク係数を10%/Svから5.1%/Svに引き下げられたが、対象範囲を広げたために死亡予測数の増加となった[94]。WHOは、1959年に、IAEAと世界保健総会決議(World Health Assembly:WHA)においてWHA_12-40という協定に署名しており、IAEAの合意なしには核の健康被害についての研究結果等を発表できないとする批判もあり、核戦争防止国際医師会議のドイツ支部がまとめた報告書には、WHOの独立性と信頼性に対する疑問が呈示されている[95]。

 欧州緑の党による要請を受けて報告されたTORCH reportによると、事故による全世界の集団線量は約60万[人・Sv]、過剰癌死亡数を約3万から6万件と推定している[96]。環境団体グリーンピースは9万3,000件を推計し、さらに将来的には追加で14万件が加算されると予測している[97]。ロシア医科学アカデミーでは、21万2,000件という値を推計している[98]。2007年にはロシア科学アカデミーのAlexey V. Yablokovらが英語およびロシア語などのスラブ系の諸言語の文献を中心にまとめた総説の中で1986年から2004年の間で98万5000件を推計、2009年にはロシア語から英訳されてChernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environmentというタイトルで出版された[99]。ウクライナのチェルノブイリ連合(NGO)は、現在までの事故による死亡者数を約73万4,000件と見積もっている[100]。京都大学原子炉実験所の今中哲二によれば、チェルノブイリ事故の被曝の影響による全世界の癌死者数の見積りとして2万件から6万件が妥当なところとの見解を示しているが、たとえ直接の被曝を受けなくとも避難などに伴う心理面・物理面での間接的な健康被害への影響に対する責任が免責されるわけではないと指摘している[101]。

 ウクライナ国立科学アカデミー(National Academy of Sciences of Ukraine)のIvan Godlevskyらの調査によると、チェルノブイリ事故前のウクライナにおけるLugyny地区の平均寿命は75歳であったが、事故後、65歳にまで減少しており。[102]。、特に高齢者の死亡率が高まっていることが分かった[要出典]。これは放射線およびストレスのかかる状況が長期化したことが大きな要因と見られる[103]。1991年に独立した当時のウクライナの人口は約5200万人だったが、2010年には約4500万人にまで減少している[104]。

 2009年、「Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment(チェルノブイリ――大惨事が人びとと環境におよぼした影響)」というタイトルで、1986年から2004年までに約100万人が死亡したという報告書[105]がニューヨーク科学アカデミー(英語版)から出版された。2011年5月、この報告書の編集者ジャネット・シャーマン(Dr. Janette D. Sherman)のインタビューがカール・グロスマン(英語版)の司会により紹介され、ニューヨークのTVドキュメンタリー制作会社「エンヴァイロ・ビデオ[106]」から発表された[107]。なお、カール・グロスマンもジャネット・シャーマンも共に、1985年に設立された米国の独立研究機関「放射線と公衆衛生プロジェクト」のメンバーである。」

 最近の研究により、予想死亡者数はどんどん増えて、米国の「独立」研究機関から発表された数字は約100万人になっています。 

 またWHOはIAEAと協定を締結しており、IAEAの合意なしには健康被害の研究発表を行えないとのことです。IAEAの「くびき」とでも言えるのかもしれません。

 当初WHOが公表した数字(死亡数予測の4000人)は、現在ではまったく信頼できるものではないようです。

 高田純さんは、どうも核爆発による外部被爆を主に研究されているのではないでしょうか。内部被爆・被曝の遺伝子への影響を軽視し過ぎているのではないでしょうか。
 
放射線と染色体異常

放射線の遺伝的影響
生殖細胞への影響は、次世代に受け継がれます。

 
「これまで、癌の原因は特定できないとされてきたが、2011年、ヘルムホルツ中央ミュンヘン(Helmholtz Zentrum München)の放射線細胞遺伝学部門の研究チームは、低線量の電離放射線に被曝したことを示す甲状腺乳頭癌の遺伝子変化を発見した[23]。この遺伝子マーカーをいわゆる放射線指紋(radiation fingerprint)として用いることで、自然に発症した癌と放射能汚染に起因する癌を区別することが可能となってきた。これは癌の放射線病因論を示す初めての遺伝子マーカーを立証したものであり、チェルノブイリ細胞バンク(Chernobyl Tissue Bank)によるチェルノブイリ地区の甲状腺癌データの集約(研究目的として凍結細胞などの素材が利用可能)によってもたらされたとされる[24]。『チェルノブイリ原発事故の影響』からの引用です」

 放射線による遺伝子への影響の研究は進んでいるようです。様々な「遺伝子マーカー」が分かるようになると、放射線の遺伝子への影響もはっきりするようになるのではないでしょうか。そのとき内部被曝による賠償訴訟は画期的に変わるでしょう。

 どうもヨーロッパの一部ではIAEAのやり方(言論弾圧)にもう我慢ならないと考えているようです。

 院長の独り言さんでは、内部被曝の最大の脅威は「循環器系の健康被害」だとおっしゃっていました。10年でほぼ全員で何らかの疾患が出る可能性もあるとのことです。

 「3.11」内部被曝問題研究会 会見 2013.3.11 ここでも内部被曝の最近の研究について言及しています。

 ユーリ・バンダジェスキーが見たもの、本当の「不都合の真実」

〔平成26年2月13日追記 内部被曝のセシウムによる心筋異常の仕組みについて、専門的に説明されているサイトがありました。
内部被曝を論ずるブログ
 非常に専門的ですが、大まかな仕組みは分かりました。
 1.従来の放射線エネルギーによる遺伝子の破壊(電離作用も含む)というような単純な思考(ドグマ)では、真の内部被曝の人体への影響(健康被害)を上手く説明できないとのことです(詐欺的な説明になってしまうとのことです)。
 2.セシウムはカリウムチャネルに分子構造的(カリウムより若干大きいため)に嵌まり込んでしまう。そして、長時間滞在(カリウムは即座に通り過ぎる)して、細胞に共鳴的な被害(バッファーの水分子が切れているため)を与えてしまう危険性があるとのことです。
 3.セシウムの放射線(共鳴的な被害)のため、カリウムチャネルの内向きのゲートがオープンのままになってしまうと、心筋の波動が間延びする(QT延長)。
 それにより、心筋の安全余裕度がなくなり、心筋梗塞など重大な疾患にかかる可能性が高まるとのことです。
 4.そしてこれはほんの数ベクレルのセシウムによっても引き起こされる可能性があるとのことです。〕

 「ロシア科学アカデミーの高次神経活動研究所(Institute of Higher Nervous Activity)のグループの研究によれば、事故処理の従事者等の脳波を調べたところ、放射線による脳機能障害を反映している可能性のある信号が観測され、脳の早期老化説を支持する結果が示唆された」

 また神経細胞にも影響するようです。

 内部被曝の健康被害は、これからまだ研究しないと分からないことが多いようです。

 しかし、福島で健康被害が一切ないというのは「偶像崇拝教」レベルの話だと思いますが… 


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