数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

ヨウ素129?ヨウ素は半減期8日の131だけではない!

2013-12-15 20:23:02 | 原発公害
〔注意、このブログは人文系の個人である私が、自分で考えたことのみを記事にしています。記事をお読みになられた方は、ご自分で十分検証されるようにお願い致します〕 

「文部科学省が2012年1月24日に発表した「福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の分布状況等調査について」という資料に行き着きました。
 そこで私の目を引いたのは、プルトニウム241ではなく、ヨウ素129という核種

 ヨウ素129という核種は耳慣れない核種でしたので、英語Wikiを調べてみました。
半減期1570万年、弱いベータ線、ガンマ線を出し、キセノン129に崩壊する。
天然にも微量存在するが、ほとんどはウラン、プルトニウムの核分裂によって生成される。

 どうもピンと来ません。そこで更に読んでみると、

 冷却された使用済み燃料中のヨウ素の6分の5はヨウ素129である。(残りの6分の1は安定ヨウ素127。)
 え?そこで、Iodine-129、Spent Fuel Poolと検索を掛けてみたら、「ハイレベルの核廃棄物管理(High-level radioactive waste management)」という項目が出てきました。つまり、ヨウ素129(半減期1570万年)はテクネチウム99(半減期22万年)とともに、使用済み燃料が数千年保存されたあとの放射能の大半を占める。

 更に検索を掛けると、米国のInstitute for Energy and Environmental SciencesのArjun Makhijani氏が米国東海岸時間2011年3月13日午後9時の時点で書いた「福島第1原発事故のこれまでに判明した事実、分析と今後に起き得る可能性」という5ページほどの報告書が引っかかりました。

 ヨウ素131など、短命の放射性核種の量は[福島のほうがチェルノブイリより]少ないだろうが、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129などの長命な放射性核種の存在のために長期的には問題がより大きい。これらの放射性核種は、原子炉の中よりも使用済み燃料プールにより多い量で存在する。それを考えると、日本の関係者が使用済み燃料プールの問題についてほとんど触れていない、というのは驚きである。

 文部科学省が今になってヨウ素129の土壌分布状況を調査している、ということは、やはり使用済み燃料プールからの放射性物質の拡散の可能性を考えているのではないでしょうか、と、素人考えで妄想しています。(転載終わり)」


 またこのブログのコメントにこのような書き込みもありました。
「vinceroMarch 26, 2012 at 9:06 PM
こちらの方(ヨウ素129長期的影響説)で少し進展したので、勝手にメモ:

生物濃縮の率がすごいらしい。空気ではなく、土壌からはどうだろうか?

「内部被爆の脅威」(肥田舜太郎・鎌仲ひとみ、筑摩書房、2005.6月)

「ヨウ素131は甲状腺に集まり、甲状腺機能障害、甲状腺癌を引き起こす。このヨウ素に関しては空気中から植物体内に200~1000万倍にも濃縮されることが分かっている。ミルクの中には62万倍に濃縮される。」82ページ(転載終わり)」


 ヨウ素というと半減期8日ですぐなくなってしまうものと思っていましたが、それはヨウ素131で、ヨウ素129というのは半減期が1570万年だとのことです。使用済み核燃料の主要な核種になるようです。3号機の使用済み核燃料は一部核爆発しているということも指摘されていますので、相当な量が放出されているのではないでしょうか?

 「ヨウ素は水に溶けやすいため陸上にはほとんどなく、海中の海草などに多く含まれている。その豊富なヨウ素を使ってチロキシン等の成長ホルモンをつくり発達するメカニズムを、人類のはるか祖先は海の中でつくりあげてきた。ところが、やがてより後の祖先が陸に上がると、そこにはヨウ素がわずかしかない。そのため陸上の動物たちはヨウ素を素早く取り込み、大切に使って体外には容易に出さないというメカニズムをつくりあげてきた。
 
 ヨウ素は主として食物と水から供給されるが、空気中を飛んでくるヨウ素は肺からも皮膚からさえも吸収される。24時間以内に甲状腺に集められてチロキシン他の成長ホルモンの合成に使われる。一般の栄養素は消費された後、尿に入って排泄されるのだが、ヨウ素の場合はチロキシンとなって消費された後、尿細管によってろ過されたヨウ素の97%が再吸収され血中に戻される。すなわち、ヨウ素は実に大切にリサイクルして使われるのである(医学的内容の多くを次ぎの書籍に依拠した:中島博徳・新美仁男共著、「小児甲状腺疾患とその臨床」中外医学社1974)

 チェルノブイリ事故など原発事故では、放射性のヨウ素131がまず害を及ぼす。これは半減期が約8日と短く、短い期間に雨あられと放射線を照射するからだ。その放射線(ベータ線)のエネルギーは、甲状腺という小さな器官にすべて吸収される。甲状腺は大人で約20g、乳児ではわずか5g程度しかない。一般に放射線による害を表す被ばく線量は、細胞が吸収した放射線エネルギーをその細胞重量で割った値、すなわち細胞1g当たりの吸収エネルギーにほぼ比例する。
 すなわち被ばく線量は、放射線エネルギーを吸収する器官の重量にほぼ反比例する。甲状腺のような小さな器官に吸収されるのだから放射性ヨウ素のもたらす被ばく線量はきわめて大きい。まさにヨウ素が小さな甲状腺に集中することそれ自体が、ヨウ素の危険性の根拠となる。さらに、甲状腺が人体にとってきわめて重要な役割をもつことが被害を決定づける。

 胎児は自ら成長ホルモンをつくり出すためにヨウ素を必要とするのであり、その
ヨウ素は母親の胎盤を通して供給される。そのために、妊娠している母親は素早くヨウ素を取り込み、胎盤を通じて胎児にヨウ素を提供する。そのヨウ素が放射性であれば、胎児の甲状腺が破壊されることになり、そのような場合には生まれたこどもに脳障害が起こると言われている。また、人類の祖先が陸に上がったのに対応して最後に発達する重要器官である肺の発達に障害をきたすという説もある。
 さらに、わずか5g程度の重さしかない甲状腺をもつ乳児の場合も深刻である。母親が吸収したヨウ素は素早く母乳に移行し、乳児の成長ホルモンを形成する。それだけ乳児は自らの発達のためにヨウ素を必要としているのである。(引用終わり)」


 とんでもなく危険な核種のようです。六ヶ所村再処理施設からも相当量が放出されるようです。とにかくヨウ素は生物の成長ホルモンに必須であり、猛烈に濃縮してしまうようです。そして食物連鎖の果てに、最後に人間の甲状腺で濃縮するのでしょうか?

 ある英文の記事に以下のようなことが書かれていました。

 その中で次のように書かれていました。
「"1,190,000 Bq/Kg of radioactive iodine detected on leafy vegetables near Fukushima Medical University in March 2011. Being aware of this high radioactive iodine detection, Fukushima Medical University distributed potassium iodide pills to the doctors and nurses. The report points out that potassium iodine pills were not distributed to local men, women, and children. This university is located just south of Fukushima City."」

 その他、癌や放射性物質による健康被害が増大すると、患者数(治療回数)や薬の需要も増加して、医薬品会社にも医者にとっても好都合だとの恐ろしい指摘もありました。「にっこり笑っていれば癌にならない」という台詞は、どうも原子力関連の権力者たちの常套句のようで、世界中の放射能汚染地域で用いられているようです。

 もし上記のようなことが本当であれば、この公害問題の闇はとてつもなく深く大きなものだと思います。「未曾有の原発災害」が、その事故対策や廃炉、廃棄物処理、除染作業などの巨大な利権に化け、また健康被害を隠蔽して治療と薬の需要増大をもたらす良い機会とみなされてしまうようです。放射能より人間の欲望の方がはるかに恐ろしいものなのでしょうか?取り返しの付かない「神(科学)の罰」が下るかもしれません。

〔平成26年3月2日調整 ヨウ素129については、他のブログでも半減期が長いので、影響はないのではにかとの意見が多いようです。
 しかし「院長の独り言」さんで説明されているように、半減期の長い核種(プルトニウムなど)はベクレル換算すると数値が小さくなりますが、絶対的な数量では大きくなることもあります。低線量の超長期内部被曝ということになると思います。
 低線量の外部被曝は「しきい値」があるとかないとか議論されていますが、低線量の内部被曝の影響はどうなるのでしょうか。特にヨウ素は生物濃縮(高濃縮)や臓器(甲状腺)に集積します。成長ホルモンに関与する臓器が長期の低線量内部被曝をした場合にどのような影響が現われるか?バンダジェスキーさんのように、臓器解剖でもしない限り本当のところは分からないのしょうか?
 また、超長期による低線量の内部被曝による影響というのは、単に「人の健康」だけでなく、動物・植物含めた「生態系」の破壊に繋がるのではないでしょうか?〕


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2 コメント

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ヨウ素129は無問題 (mahlergstav)
2013-12-27 15:59:27
ヨウ素129は、有名なヨウ素131と隣接していて、半減期が約1500万年と長いので、非常に危険なイメージを持ちやすい。これがただの素人の書き込みなら無視しますが、「数理論理」という看板が目立ち、これに騙される人もでかねないので、コメントします。結論は、ヨウ素129は何の問題もないということです。

福島原発で生成されたヨウ素129は、10の11乗ベクレル程度で、ヨウ素131の千万分の一、セシウム137の百万分の一程度です。燃料の大部分を占めるウラン238の放射能の10分の1程度にしかすぎません。

10の11乗ベクレルは密封されていれば、第2種放射線取扱主任者でも扱うことができるほどのものです。

福島にまき散らされたヨウ素は全生成量の5%程度ですので、ヨウ素129は10の11乗ベクレルの5%、10の9乗ベクレ程度になります。まき散らされたセシウム137が10の16乗ベクレル程度なので、ヨウ素129はセシウム137の一千万分の一から百万分の一になります。

例えば、1kgあたり100万ベクレルのセシウム137が検出されたら、ヨウ素129は0.1ベクレルから1ベクレル程度なので、何の問題もありません。1ベクレル/kgのヨウ素129は、放射線障害防止法の規制対象にすらなりません。

これが問題になるとすれば、ウラン鉱山がある人形峠では、セシウム129より半減期が長く(40億年)、もっと危険なα放射体であるウラン238のために人間は住めないことになります。ラドン温泉も同じです。

福島原発で生成される、ヨウ素129、ヨウ素131、セシウム137の放射能は、原子炉や放射能について適切な知識があれば暗算でも求めることができます。「数理論理」という看板を掲げるにしては、内容がお粗末すぎます。
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Unknown (schwarz-bach)
2019-09-28 00:48:17
コメントにコメントします。ヨウ素129はヨウ素131の1000万分1と書いてありますが、これは単位時間あたりの崩壊数、すなわちベクレルでの比較です。本来比較すべきは単位時間あたりの崩壊数ではなく、寿命中での崩壊数です。そうするとヨウ素129の寿命は1600万年、一方のヨウ素131の寿命は8日ですから、比は7億倍です。7億を1000万で割ると70となり、つまり総崩壊数はヨウ素129の方が70倍大きいのです。またヨウ素129は寿命が長いので海藻などに生物的凝縮をされるチャンスが大きくなります。ヨウ素129はもっとも厄介な超寿命核の一つであることはまちがいありません。
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