数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

原発と安全保障(5) 原発震災、石橋克彦教授の警告

2013-12-08 20:00:24 | 原発と安全保障
「原発震災」という言葉があるそうです。


「原発震災(げんぱつしんさい、英語: Genpatsu-shinsai)とは、原子力発電所(原発)が地震で大事故を起こし、通常の震災と放射能災害とが複合・増幅しあう破局的災害のことである。」

「地震学者・石橋克彦による造語。石橋は、『科学』1997年10月号の論文「原発震災--破滅を避けるために」にて、以下の危険性を警告した。

地震が街に被害を及ぼすと同時に原発にも事故を発生させ、通常の震災に加えて放射性物質による被曝でも多くの人が死傷する。原発から大量の放射性物質が漏れ出すと、被曝を恐れ、地震被災地に救援物資や応援部隊を送り込むことができなくなる。交通網の寸断で避難も難しくなる。

1999年の東海村JCO臨界事故発生や、東海地震による浜岡原子力発電所の大事故の危険性の指摘などにより、原発震災についての議論が深められていった。

2007年7月16日の新潟県中越沖地震では、柏崎刈羽原子力発電所が想定を超える揺れにより損傷し、火災が発生。放射性物質漏洩も確認されるなど、警告が現実のものとなった。

イギリスの「タイムズ」は、 Genpatsu-shinsai: the language of disaster that is stalking Japan (原発震災:日本に忍びよる大惨事の言葉)の見出しで、<日本語には世界的に有名な、死を意味するツナミ、カミカゼ、ヒロシマなど恐ろしい言葉があるが、ゲンパツシンサイもその一つに加わるのかもしれない。石橋克彦教授ら学者たちは原発の建設について政府に対し、強く警告してきた>[1]との記事を掲載[2]。欧米でも、この語が用いられるようになった。(引用終わり)」

 すでに石橋教授が今回の福島原発事故のような災害を正確に予測して、警告していました。しかしこの警告は活かされませんでした。


 
 
1.活断層は発見されているもの以外に、表面からは分からない無数の活断層がある可能性がある。現在の活断層だけからは判断できない、そのため原発近辺での直下型地震は起こりえる。特に日本海沿岸地域(日本海の岩板と東北日本岩板が衝突している地帯である)では直下型地震が起こる可能性は高い。またマグニチュード8級の東海地震では、連動してM7.5級の直下地震が複数起こる可能性がある。これらに対して現在の原発の耐震強度では対応するこはできない。
 また東南海・南海と連動すれば巨大な大津波も予想される。
 
2.配管・弁・ポンプ類・原子炉そのものなども耐震性に問題がある。大津波などによる全電源喪失などとも相まって、メルトダウンの危険性もある。そうなれば広範囲に放射性汚染にまみれる(浜岡であれば首都圏も直撃する)。

3.地震防災論や震災対策は、原発震災抜きでは考えられない。防災基本計画から地域防災計画や民間対策まで、全国規模で原発震災を具体的の想定したものに改める必要がある。

 どうしてこの警告は活かされなかったのか?これほど正確に危険性を指摘されていたのに、どうして実施できなかったのか?

 安全保障というと、強面の方が、核兵器が必要だ!憲法改正・再軍備!などと警告・主張されていますが、自国の原発の危険性は考えてこなかったのでしょうか?

 とにかく「自由な選挙で選ばれた国会議員さんたち」が政策を決めてきた訳ですから(実質は官僚さんでも)、「国策原発」は良くも悪くも国民が選択してきたということでしょう。確かにメリットもありました。エネルギー供給が安定し、また潜在的核保有国として安全保障にも寄与していたと思います(とにかく米国・旧ソ連(ロシア)・中国と核武装国に囲まれている訳ですので)。

 しかし、その原発の安全規制・災害対策について合理的な検討をしてこなかったということは、なぜでしょうか?

 原発の安全保障(テロ対策・安全規制・災害対策)は右も左もなく行なわなければならない最重要な問題のはずです(国家滅亡につながります、それも永遠の放射能汚染で二度と再興できません)。なぜ手抜きになってしまったのか?なぜそれほどまでに安易に済ませてしまったのか?

 科学技術とどうしてまともに向き合えなかったのか?その真実の姿をどうして見ようとしなかったのか?基本的に日本人すべてが「科学技術」を真に消化できていないのだと思います。「科学技術」とは何なのか?どこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか?その真実の姿を見るべきです。そしてそれは宗教的な実存哲学の問題に繋がります。

 石橋教授の警告は福島原発事故以後も継続しています。次はどの原発が大災害に襲われるか分かりません。至急「原発震災」を想定した具体的な防災対策を立てるべきかと思います。もう手遅れですが、さらなる惨事にならないために。


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