原子力産業はリスクがとてつもなく大きく、誰も手を出さないような状況になっていると思ったが、そうではないようだ。
垂直統合型国営企業の国営公社「ロスアトム (ROSATOM)」はまるでロシア帝国主義の核心のようだ。福島での事故などロシアではまったく意に介さないようだ。
とにかくロシアでは、『放射性廃棄物』ローヌ・ヌアラ著からも分かるように、放射性廃棄物がほとんど露天に近い形で放置されているところがある。そしてもはや付近の住民も避難させない。汚染されていることは、公然の秘密で、力ずくで情報統制している。ロシアの情報統制は血も涙もないほど冷徹だ。
人口の少ない膨大なシベリア平原には、まだまだ放射性廃棄物の受入余地はあるとのことだ。冷戦時代の核関連保管施設も老朽化して朽ち果てようとしているようだが、そんなところにはカネをかけずに、新規の原発建設やインフラ輸出に帝国の存亡をかけているかのようだ。
ロシアのこの「原子力帝国」は、「原子力マフィア」という言葉が霞んでしまうほど強大な存在だ。安全保障・エネルギー・利権の巨大なコンツェルンだ。そして廃棄物の不当な処理とその労働者・近隣住民の健康被害を隠蔽するためにアンダーグラウンドの勢力をどうしても利用せざるを得ない。石渡正佳著の『産廃コネクション』の巨大版だ。
そして米国・フランス・ロシアなどの原子力帝国者・マフィアはこの放射性物質・廃棄物の世界的なネットワークを形成しているようだ。座間宮ガレイさんが『激化する国際原子力商戦』村上朋子著を引用しながら、アメリカの原発の大半はロシアの核兵器解体でできたウランで動いているということを取り上げている。http://blog.livedoor.jp/genpatsumerumaga/archives/28981798.html
フランスの原発労働者も臨時の労働者が多く、「放射線のエサ」と呼ばれているようだ。そして原子力帝国・マフィアの幹部は原発から離れたところで暮らしていることだろう。科学技術の行き着く先、人間の欲望と科学の際限のない利便性と破壊力が凝縮して、暗黒帝国が形成されているようだ。まるでブラックホールのうように、その闇の世界に人々を吸い寄せ、二度と放射能のない世界には戻れないようにする。
「黒い霧」というブログに日航機墜落事故の真相が書かれているが、その世界的な原子力帝国は本当に存在しているのかもしれない、いや実際に存在し、ますます巨大化しているのだろう。
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