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原発と安全保障(6)小泉・細川元首相の革新的政治運動、潜在的核武装の行方?

2014-02-02 20:37:06 | 原発と安全保障
東京都知事選挙では、細川・小泉元首相が反原発を掲げて、戦っておられます。両者の演説で話される内容は、まさに今回の原発災害及び原子力政策(国策原発)の核心をついていると思います。
 政治家の演説を聞いて、これほど(涙が出るほど)感動したことはありません。また南相馬の桜井市長の演説は、エネルギーを貪る都会人に対する「檄文」(福島原発公害の責任は日本人一人一人が本当に自覚しないといけない)のような内容です。

 
 しかし、核武装国〔米国・ロシア・中国など(狂っているとしか思えないですが)〕に囲まれている日本は、「潜在的核武装」を「武装解除」した場合、本当にやっていくことができるのでしょうか(外国から侵略を防げるのでしょうか)?

 今回の福島原発災害では、自国に「死の灰(放射性廃棄物)」が大量にばら撒かれてしまいました。さらにメルトアウトや使用済み核燃料による危機(さらなる「死の灰」の放出・漏出)が間近に迫っています。
 それに地震や火山噴火などにより、他の原発でも重大な災害(「死の灰」の放出・漏出)が起こるかもしれません。原発は止まっていても、そこに収用されている使用済み核燃料が冷却できなくなればアウトになります。
 
 もはや本当に滅亡に近づいているかもしれません。

 それでも潜在的核武装(国策原発)は必要でしょうか?

〔反原発による経済的なエネルギーの安全保障問題は、最悪でも生活哲学を変えれば対処できると思います。それなりにエネルギーを使用しない社会システムというのも可能かと思います。何も経済大国であり続ける必要もないと思います。〕

 しかし軍事的な安全保障の問題は別かもしれません。

 戦後の日本の安全保障は、表面的には「日米安全保障条約」によって保たれたきたと思いますが、より根幹的には「潜在的核武装(国策原発)」により担保されてきたと思います〔平和憲法下での実質的な抑止力〕。

 どんなにきれいごとを言っても、軍事的なバックグラウンドがなければ、外交では相手にされないと思います。あの北朝鮮でさえ、核問題でかろうじて外交交渉を行なっているようです。

 有馬哲夫 早稲田大学教授の「原発と安全保障」(WASEDA ONLINE)という記事を見ますと、国策原発は外交交渉上の最大の武器となったようです。

「サンフランシスコ平和条約と同時に結んだ安保条約は、占領を終結させるためのまざるを得なかったもので、幕末の不平等条約にまさるとも劣らない日本にとって不利なものだった。
 この条約では、米軍は日本を防衛する義務を負わないにもかかわらず、日本のどこにでも駐留でき、核兵器の持込に際してもなんら制限されなかった。しかも、この条約は期限がなく、日本の側からは破棄できないものだった。
 岸はこれをより平等なものに改定したかった。つまり、日本は米軍にいくつかの基地を提供するが、地上部隊の大部分は日本から撤退してもらう。日本を核戦争に巻き込む可能性のある核兵器の持ち込みはさせない。改定後の条約の期限は10年とし、10年毎に両国で協議のうえ更新する。
 この岸の改定案の問題点は、米軍の地上軍のかなりの部分が撤退し、ほとんど無防備になった状態で、日本が中国とソ連の脅威にさらされることだ。この両国は50年に同盟を結んでいて、とくにソ連は核兵器を保有していた。
 そこで、岸は現行の憲法でも自衛のための核武装は可能であると主張した。たしかに、そう主張しない限り、岸が考えている改定は現実的とはいえなかった。
 米国側はこの核武装合憲発言に大きな衝撃を受けた。事実、CIAは岸が帰国したあと、日本の核武装能力について本格的に調査した。以下に引用するのは、57年7月26日付のCIAインテリジェンス報告書の要旨だ。

 有能な米国政府当局者は、日本が貯蔵していると最近報告したウランを原子炉の燃料に利用することに成功するなら、日本はどの国の助けも得ずに67年までに核兵器を製造できると考えている。日本はこの邪魔になる条件(貯蔵量を報告する、以下カッコ中は著者注)を免れるためにあらゆる努力をしている。日本政府は米国と英国が核燃料の輸出に関してその副産物(プルトニウムなど)の利用について課している制限を受けずに大規模な原子力プログラムを行うのに十分なウラニウムを確保するための国内外のプログラムを急いで進めている。
(中略)

もし日本が、制限が課されていない核燃料の供給を受け、かつ、自前の原発を製造することに成功するなら、日本は核兵器に使うことができる核物質(プルトニウム)を得ることになるだろう。原子炉が英国製の「コルダーホール型」や天然ウランを使用する型のものだった場合、その供給はきわめて多量になる。(米国第二公文書館所蔵国務省文書から)

 当時岸政権で原子力委員長(兼国家公安委員長)を務めていた正力松太郎は、米国政府の反対にもかかわらず、英国からコルダーホール型の原発の導入を進めていた。したがって、岸の自衛核武装論は机上の空論ではなかった。
 米国政府は安保条約の改定に応じるか、さもなければ日本に核武装を許すかの選択を迫られた。そして、前者を選んだ。その他のさまざまな経緯を経たのち、60年に安保条約は改定された。
 66年に日本初の東海発電所が稼動を始め、1年におよそ50キログラムのプルトニウムを産出するようになると、米国は日本の核武装能力に縛りをかけるためにNPT(核拡散防止条約)への加入を迫った。当時の総理大臣佐藤栄作は、この条約に加盟すべきか、それとも核武装すべきか検討するよう研究者に命じた。(内閣情報調査局の秘密文書「日本の核政策に関する基礎的研究」などがある)。
 その結果、日本は、当分は核武装せず、米国から引き続き核燃料の供給を受け、原子力発電によって急増する電力需要をまかない、経済的繁栄を目指すことにした。70年、日本はNPTに署名したが、米国政府の苛立ちを後目に国会での批准を引き伸ばし、正式に加盟したのは沖縄が返還され、日中国交回復が成し遂げられたあとの74年だった。(引用終わり)」

 岸さんは最悪「米国と刺し違える覚悟」で交渉に当たっていたようです。このような軍事的な脅かしにより、初めて米国も折れたのではないでしょうか。
 岸さんも正力さんも「CIAのエージェント」と言われることがありますが、米国を利用して、また米国と戦って、自らの利権拡大も行い、核心的には民族的な自立に努力されたのかもしれません。

 しかし、福島原発災害によって、この「潜在的核武装(国策原発)」は諸刃の剣であることがはっきりしました。日本では、プレートの海溝型地震や、活断層による直下型地震が多発します。自国の原発施設が安全保障上の最大の脅威になってしまいました。また今回の地震活動期は平安時代の大地動乱に酷似しているとの指摘もされています。もはやロシアンルーレットのような状況かもしれません。

 田母神さんは都知事選挙で「原発推進」を掲げていますが、反原発陣営からは今更何を言っているのかと呆れられているようです。

 田母神さんは討論では、「原発推進」の理由を経済エネルギーの問題だけとして言及していますが、本当に言いたいことは、「潜在的核武装」を放棄することにより、他国からの侵略を許してしまうということだと思います。
 つまり「国策原発」を止めて丸裸になってしまえば、米国主導の自衛隊など何の抑止力にもならなくなってしまう。中国が核攻撃で脅かしてきた場合、米国は果たして助けてくれるのか?米国の議会は核戦争の危険を犯してまで日本を守る決断をするだろうか?また米国に万が一重大なトラブルがあった場合、その隙を突いて中国が侵攻してきた場合、防衛することができるのか?

 これはこれで論理的な主張かもしれません。中国に制圧されれば、チベットのような状況に陥るかもしれません(これもこれで民族浄化による滅亡に繋がるかもしれません)。

 そういう意味では、疫学的な頻度による放射能汚染の被害などはまったく問題ないと考えているのかもしれません。侵略されて滅亡するより、多少の健康被害など問題ではないという訳かもしれません〔演説では、ICRPの基準を引き合いにして、福島ではまったく健康被害はないと強弁しているようですが…〕。

 しかし原発を攻撃されれば(テロ攻撃でも)、終わりになりますよね。そのため核武装して、攻撃されないように、日中の核のチキンレースを行なおうというつもりでしょうか。地震・火山噴火による原発震災というチキンレースの他に、核兵器のチキンレースもしようというつもりでしょうか。

 小泉元首相や細川元首相がおっしゃっている原発の危険性は真実だと思います。

 小泉元首相が言っていた、「原発なくてもやっていける陣営と原発なければやっていけない陣営の戦いなんだ」「これは話し合ったって解決できない、国民が選択しないといけないんだ」というのは、まったくもって正しい見方だと思います。

 ある意味、「軍事闘争なき内戦」だと思います。小泉元首相は、米国との同盟を維持しながら、基本的な資本主義制度も維持しながら、国家滅亡に繋がる国策原発政策を止め、新たな科学技術によって創造的・共生的なシステムを構築していこうという考えだと思います。そしてそれは世界的なムーブメントになると確信しているように思われます。
 
 小泉・細川元首相は、現実的な反原発の「選択肢」を創出されたのだと思います。都知事選以降も、この対立軸は鮮明になっていくと思われます。福島(首都圏まで含め)での健康被害が露になっていくにつれて、この対立は先鋭すると思います。

 ある政党は、反原発・日米安保反対・自衛隊違憲などと唱えられていますが、これはあまりにも無責任なのではないでしょうか。どうやって安全保障を担保されるのでしょうか?

 今後、原発から先に手を引いた国が生き残るということになるかもしれません。

 また米国も日本の「国策原発」はもう危ない、脅威だと感じ始めているのかもしれません。

 今のところ小泉さんや細川さんに対する検察や税務又はマスコミの謀略的な攻撃はないようです。日本の諜報・謀略組織は表向きは警察公安や公安調査庁ですが、実質的には米国CIAや軍部に直接管理される非公式な組織(官・民含めて)があるとのことです(題名は忘れましたが陸軍中野学校関連の本に書かれてありました)。

 都知事選ですので、それほど干渉しないということも考えられますが、もし米国が反原発運動を安全保障上の障害と見れば、何らかの謀略が行なわれると思います。

 米国は日本の原発災害から直接的に放射能汚染を受けるということが、今回はっきり分かったのだと思います。地震大国の日本の原発はもはや「最大級の脅威」とみなしているのではないでしょうか。

 また米国は核兵器に代わる、重力兵器:CSM(Conventional Strike Missile) 、電磁波応用兵器(高周波活性オーロラ調査プログラムなど)、レーザー兵器、その他最先端科学兵器により安全保障を十分担保できると考えているようです。

 そにため日本には、もはや原発もプルトニウム備蓄も必要ないという考えているのかもしれません。

 米国自身も核関連兵器・施設をどうにか処分したいと思っているかもしれません。

 小泉・細川元首相は、内部被曝の危険性については具体的に言及していないと思います。これは米国との最低限の約束なのかも知れません(左派の政党も内部被曝には言及していないと思いますが…)。

 こうなると「日本の国策原発グループ」と「米国での原子力利権派」は、徐々に包囲されていくということでしょうか?

 私は、小泉・細川元首相の新たな政治哲学に賛同致します。この現実的な政治革新運動が大きくなることを期待致します。 

 


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