数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

原発公害(9)ホールボディカウンターのカラクリ?

2013-12-01 20:01:14 | 原発公害

 福島での放射性物質による健康被害は、いったいどのようになるのでしょうか?

 日常生活(お金のための経済活動)を送っていると、福島のことを実感できなくなってしまいます。本当にホロコーストのようなことが起きるのか、単なる杞憂に過ぎないのか?マスコミ報道からは、まったく問題ないようなことばかりですから、だんだん洗脳されてしまうような気にもなります。

 『小中学生は検出限界以下に抑えられている』(坪倉正治氏)から引用してみます。

「今年の5月から8月にかけて南相馬市で行われた、学校検診としてのホールボディーカウンター(WBC)検査の結果が公表されました。第61回で紹介したものです。
南相馬市内の小中学校に通う全ての生徒約3000人を対象に行われました。
計測の方法は今まで通りの2分間。小学生は南相馬市立病院で、中学生は渡辺病院で検査を行いました。検出限界はセシウム134で220Bq/body、セシウム137で250Bq/bodyで設定されています。
 
 結果としては、全員が検出限界以下であることが分かりました。そりゃそうだと思うかもしれませんが、現状の日常生活での慢性的な内部被曝が非常に低く抑えられており、かつそれが維持されている。現状、スーパーで食品を購入して生活する分において、大きな内部被曝をすることが無い。これを強く裏付ける結果です。(引用終わり)」

 3000人全員が検出限界以下だとのことです。これが本当に内部被曝がないということの証ならば、これほど喜ばしいことはありません。
 また皆さんお子さんの食材には相当気を使っているようです。日本では食材をグローバルに手に入れることができるので、チェルノブイリに比べると恵まれているということでしょうか。

 しかし、どうもこの調査方法には問題があるようです。

放射能から命を守る宮城県南部の会のサイトで『ホールボディーカウンター調査での被曝切り捨て(矢ヶ崎克馬氏論文)』という記事がありました(引用します)。

「1-2 全方位を検出器がカバーしていない測定器特有の問題
用いたCANBERRA社製のFASTSCANは、カタログによると、原発内の漏れた核種もはっきりしているような状況での測定を念頭に置いてあり、いわば、高線量用の短時間検出器として使われている模様である。検出器は7.6 x 12.7 x 40.6cmと大型検出器が2枚で、検出下限が1分間計測で150Bq(4nCi Co-60 )とされる。平田中央病院の検出限界は2分測定で300Bq/全身(Cs-137、Cs-134)とされている。
この対応は正しいのであろうか?
 
 2枚の検出器のど真ん中に 4nCi(Co-60)の点線源を置き、全立体角の6分の1が検出器で覆われると略算して検出器の1分間に受ける放射線数を略略算すると3000発の放射線数となる。これが検出下限ということだから、検出器に3000発ほどの放射線が入らないとこの4nCi(Co-60)点線源から発射される全放射線数(150×2x60=18000)が推定できない(検出下限)ということである。
 
 Co-60(正確にはNi-60)の1崩壊でガンマ線が2本出る。150Bqならば、ガンマ線が1秒間に300本出るのである。Cs137等はBaの崩壊でガンマ線1本放出される。150Bqならば、1秒間に150本のガンマ線が放出される。検出限界設定をCo-60で測定時間1分間と同じ放射線数とするならば、Cs -137等の場合は、300Bqで1分間とするか、あるいは150Bq2分間とするかの対応方法がある。

 平田中央病院の場合は2分間の測定であるので、上記の場合の検出限界の値は、212Bq(300/√2)か、あるいは(2分を1ユニットと考えるならば)150Bqとなる。いずれにせよ2分測定で検出限界が300Bqとするのは高すぎる値である。検出限界値を高くして切り捨てを多くすることを目的とした数値操作の疑いがある。

 ところが、身体全体に放射性物質が分布している場合にはそうはいかない。例えば、1崩壊1放射線として、1放射性微粒子が10Bqで、身体中に15個分布しているとしよう(計150Bq)。この時、1個1個の放射性微粒子から出る全放射線数をキャッチするにはどんな計測条件で達成できるだろうか?検出器の立体角が最大となる上記の条件の場所に放射性微粒子がいたとして検出器に3000発(このWBCの検出下限)の放射線が届くまでにどれほどの時間がかかるだろうか?30分継続測定をしないといけない。

 この場合、一つ一つ放射性微粒子から出される放射ガンマ線を最低30分間の測定をしないと計量できない。高線量の場合や検出器が全方位を覆う場合を除き、低線量で検出器が一部の空間しかカバーしない場合に出現する特殊問題である。結論は、2分間というような短時間の測定では、ずいぶんの過小評価をしている可能性があるということである。もっと長時間測定すればもっと高い値になるのに短時間では低い値にとどまる。要するに早野氏らの計測では低レベルがシステム的に過小評価している可能性が高い。短かすぎる測定時間は、科学的に見れば「仕組まれた切り捨て手段」なのである。(引用終わり)」

 検出限界値や計測時間が不十分のようです。それにホールボディカウンターはガンマ線核種しか計測できません。

 もみの木医院さんでは、『ホールボディカウンター検査は、受ける必要はない』とおっしゃっています(引用します)。

「セシウム137の場合は、物理学的半減期30年>生物学的半減期70~100日であって、一気にはベータ崩壊とガンマ崩壊が起こりませんが、体から排泄されるまで連続して放射線被曝を生じて発ガン性が高まります。ホールボディカウンターで検出されるものは、この核種です。
 プルトニウムとストロンチウムは、いずれも物理学的半減期、生物学的半減期ともに、2万4千年と数十年(プルトニウム239)、29年と数十年(ストロンチウム90)と半減期の長い放射性物質です。いずれも人体に入ると長期間にわたり細胞を傷害して、しかも近くの細胞を執拗に障害するので、発ガンの危険の特に高い放射性物質です。ホールボディカウンターでは全く検出できない核種です。

 いよいよ、本題のホールボディカウンターですが、NaI(TI)シンチレーション検出機を使って全身を検査するものです。基本的にはガンマ線を放出する核種、セシウム134、137、カリウム40、ヨウ素131などのγ線を放出する核種を検出するものです。ベータ核種のストロンチウム90やアルファ核種のプルトニウム239などの最も危険な核種は検出できません。また、正確に測るには、30分以上かけて、データの分析に熟練した技師が行う必要があり、とても2~3分の流れ作業的検査では正確な被曝の証拠は出ません。ECRR(ヨーロッパ放射線防護委員会)のバズビー博士は「そもそもセシウムしか重要視していないホールボディカウンター検査は意味がない。こんなものにお金を使うより、食の安全にお金をかけるべきだ。」と言っておられます。

 福島県では、昨年から住民のホールボディカウンター検査が始まりましたが、被曝の検出率は数%と低いようです。栃木県でも、18歳以下の住民を対象に検査を行うように予算が付けられるようですが、どうでしょうか。おそらく内部被ばくが証明できるのは、検査人数の1%以下でしょう。
 事故から1年が経とうとしておりますこれからの時期にホールボディカウンター検査をしても、ヨウ素131は全く検出できませんし、もともとプルトニウム、ストロンチウムは全く検出できません。したがって、ほとんどの人が内部被ばくは無かったとされてしまいます。実際は、ヨウ素131の大量被ばく、プルトニウムとストロンチウムもかなりの量を内部被ばく、セシウムもそれなりに大量に被曝しているのに。

 もし、あなたの子供がホールボディ検査を受けたとすると、おそらく内部被ばくはないと判定されるでしょう。そして、数年後あるいは10数年後に原発事故の放射線の影響でガンを発症しても、それは原発事故のせいではないといわれるでしょう。担当者は、きっとこう言うはずです。「だって、ホールボディカウンター検査で内部被ばくがないと言われたんでしょう?だったら、お子さんがガンになったって、それは原発事故のせいではないですよ。日ごろの健康管理が悪かったんじゃないですか?」と。(引用終わり)」

 どうもホールボディカウンター調査(検出限界値や計測時間を不十分にして)により、健康被害の隠蔽のみならずその後の賠償請求もできなくさせる魂胆のようです。もしこれが事実なら、言葉で表せないぐらい悲しいことです。日本人が日本人になぜこれまでに非道なことができるのか?

 また上記の「もみの木医院さん」の記事でも出ていましたが、3号機はやはり「院長の独り言」さんが解説されたとおり、核爆発だったらしいです
 そして「院長の独り言」さんによれば、原子炉級プルトニウムも核爆発に使えると言っています〔天動説から地動説のような思考転換?〕)。原子力の平和利用っていうのは、いったいなんだったのでしょうか?

もみの木医院さんより

「その中でプルトニウムを燃料として使用している3号機は、水素爆発の直後、即発臨界という現象が起こり、使用済み燃料プールにあった核燃料が、ほぼすべて核爆発を起こして消失しています。これは、ほとんどの日本の研究者は指摘していませんし、政府や東電も認めていませんが、アメリカのスリーマイル島の原発事故の原因調査の最高責任者であったアニーガンダーセン博士が事故直後から指摘しています。水素爆発の温度は約600℃であるのに対し、核爆発は何千℃、何万℃に至ります。プルトニウムの沸点は、約3200℃であり、水素爆発ではプルトニウムは気体にはなりませんが、核爆発では一瞬で気体となり、空高く舞い上がります。3号機の使用済み核燃料プールに入れてあった核燃料がほぼすべて無くなっていること、爆発のビデオ解析から爆発のスピードが音速を超えることが明らかであることから、3号機の核爆発は100%間違いないといえます。先に述べた放出核種の分析と、この現象はよく一致します。(引用終わり)」

 そして「エビデンスに基づく考察」さんが、『福島からの放射性セシウムの大気中放出量はチェルノブイリの3倍とEU機関計算 』という記事を書かれています(原資料はこれのようです)。

 やはり福島原発事故により放出された放射性物質の量はチェルノブイリを上回り、人類史上最悪の災害になっているようです。残念ながら健康被害もチェルノブイリをはるかに超える可能性も有得ると思います。

 正しい検出限界値及び計測時間によるホールボディカウンターによる徹底的な調査、髪の毛や歯などの生体資料を基にした内部被曝調査を至急行う必要があるのではないでしょうか。これを怠るということは、何らかの刑法に抵触すると思います。

 話は変わりますが、「オクロの天然原子炉」をご存知でしょうか?天然原子炉は1956年にアーカンソー大学の助教授だった日本人の黒田和夫さんが予想したものだそうです。

「天然原子炉では、ウランに富んだ鉱床に地下水が染み込んで、水が中性子減速材として機能することで核分裂反応が起こる。核分裂反応による熱で地下水が沸騰して無くなると反応が減速して停止する。鉱床の温度が冷えて、短命の核分裂生成物が崩壊したあと、地下水が染み込むと、また同じサイクルを繰り返す。このような核分裂反応は、連鎖反応ができなくなるまで数十万年にわたって続いた。

 ウランの核分裂では、5種類のキセノンガスの同位体が生成される。ガボンでは5種類すべての同位体が天然原子炉の痕跡から発見されている。鉱床のキセノンガスの同位体比を調べることで、20億年たった現在でも核分裂サイクルの周期を知ることができる。計算ではおよそ30分活動したあと2時間30分休止するサイクルだった。[5]

 天然原子炉が臨界に達することができた理由は、天然原子炉があった当時、天然ウランの核分裂性同位体235Uの濃度が3%と、現在の原子炉とほぼ変わらなかったからである(残りの97%は核分裂性物質ではない238U)。235Uの半減期は238Uより短く、より早く崩壊してしまうので、天然ウランの現在の235Uの比は0.72%に低下していて、地球上ではもはや天然原子炉は存在しえない。(引用終わり)」

 何かピンとくるものがあります。「豊富な地下水と濃度3%のウラン235」、福島原発メルトアウト後の地下で起きていることと関連あるのではないでしょうか?まさかとは思いますが、天然の最終処分場ではなく、天然の原子炉になってしまうなんてことが有得るのでしょうか?

 以下のような記事もありました。

「福島原発—再臨界の可能性」— オクロ天然原子炉の教訓
           小嶋稔1、羽場麻希子2
(1東大院理・地惑、2東大院理)


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