数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

アベノミクス、結局今まで通りの経済(量的GDP拡大)政策?

2013-10-16 19:30:50 | 経済金融
さて都内では、福島原発事故は「汚染水」のことで少しは話題になるぐらいで、もはや過去のことのようです。景気が少し回復してきたので、早く利益にあずかろうと各会社とも目を血眼にして営業開拓しているようです。後ろ向きの話などに関わっていられないということでしょうか?(世間では当たり前のことかもしれません)

 野村総研のリチャード・クーさんは、バランスシート不況との主張をしており、企業・家計とも貯蓄に回っているので、超金融緩和(異次元の貨幣供給)と国の巨額の財投が必要だとおっしゃっています。

 企業部門はバブルの後遺症で、お金を借りて投資するのにひどく臆病になっている。10年ほど前に企業の借金はなくなっているのに、貯蓄(自己資本の増強)ばかりしていて、投資にまったくお金が行っていないとのことです。「借金返済型」から「精神萎縮型」のバランスシート不況(貯蓄過多→継続的な需要減)に移行したということでしょうか?
 
〔私は今から20~30年ほど前に、多少経済学を勉強していました。思い出しましたが、バブルがはじけて、確かバランスシート不況という考え方が言われ始めました。家計も火の車で借金返済〔消費縮小〕、企業も首が回らず債務の返済〔投資縮小〕ばかりしているため、経済のデフレスパイラルに陥ってしまう。〕

 このように金利がゼロ(のような低水準)でもお金を借りて投資を行わないというのは、本来会社の経営者としては失格だということです。なぜなら経営者なら、少なくとも金利ゼロで借りたら利潤を出せる投資を行う能力がなければならいからです。

 リチャード・クーさんは、このような長期の超低金利状態とデフレ継続については、どの経済の教科書にも載っていなかったとおっしゃっていましが…。しかし、よーく考えれると、ある意味「ケインズの流動性の罠」そのものだと思います。
 
 
 〔そういえば、LM曲線とIS曲線で説明されて、あーそうかと思ったこともありました。30年前頃はケインズ経済学全盛で、適正な財政投資と金融政策でマクロ経済を完全にコントロールできるものと思われていました。その当時、フリードマンのマネタリズムなどは「迷信」のようなものだと言われていました。日本の官僚にとってはこの財投は「打ち出での小槌」のように思えたのではないでしょうか。〕

 そして「アベノミクス」はこのデフレ状況を脱出する正しい政策だと言っています。

 第一の矢、超金融緩和、異次元のマネーサプライ(お金の量)供給

 これは企業の目を覚ます爆竹のようなものとのことです。私もこんなにマネーサプライを供給したら物凄いインフレになるだろうと思いましたが、確かに現在は何にも起こっていません。米国の投資ファンドが当初猛烈に株を買い、株価は上がってムードが良くなった。これは成功したとのこと。債券市場(国債)の金利が多少動揺しましたが、政府がどんどん買上げるということで収まったようです(もう何でもありですね)。

〔日本で異次元のマネーサプライを行う数年も前に、米国ではもう行っていたようです。何か普通の麻薬では飽き足らず、もっと刺激のある強力な麻薬を与えたような感じもしますが…。確かに経済は人間の投資・消費行為⇒マインドにも重点があるとは思いますが…〕

 第二の矢、巨額の財政投資

 失われた10年と言われた1990年代に巨額の財政投資を繰り返してきました。世間では、巨額債務の元凶などと批判されていますが、あの政府部門の投資がなかったら(企業も家計も債務返済だけになり)、日本経済は米国の大恐慌のような極端な経済縮小が起こり、大量失業者を出していたとのことです。だからあの財投は正解であり、今もまだ巨額財投が必要だとのことです。

 第三の矢、規制緩和・イノベーション促進政策

 経済活性化のための大幅な規制緩和、新たな科学技術・産業の創出によりさらなる経済拡大を目指す。

 第四の矢、世紀のイベント→東京オリンピック


 以上のお話しには違和感があります。

1.結局従来の経済政策の継続なのではないのか?

 「流動性の罠」・「バランスシート不況」を回避するためにケインズの乗数理論(財政投資が呼び水になり、その需要が需要を呼ぶ)を基に、巨額な財政投資を繰り返してきました。
 そして巨額な財政赤字となり、にっちもさっちも首が回らなくなってしまいました。景気が回復しても税収から借金返済できず、つまり官僚・族議員・企業などの巨大利権構造ができ上がってしまい、巨額な財投を止めることができなくなった(麻薬中毒に似ていると思います)。

 (余計なものでも)造れば造るほど儲かる仕組⇒公共事業に赤字はない、費用はすべては税金・電気料や保険料などで賄うから誰も責任を負うことがない。道路、ダム、空港、様々な箱物、そして原発を造り続けた(余計なサービスも創出した)。

 そして世界的にこのケインズ政策は行き詰まりました。巨大な利権構造(非効率な組織)が癌細胞のように増殖し、健康的な民間経済(効率的な組織)を壊滅させてしまいました。
 それでは不味いということで、こんどはハイエク型の新自由主義的な経済思想が広まり(先祖が返りして)、様々な大胆な規制緩和を断行しました。ところが、それが暴走してしまい、最後にはリーマンショックにより大恐慌寸前になってしまいました。

  そして再度、巨額な財政投資をするようです。

 これは、要するに「拡大生産経済」が破綻したということではないでしょうか。GDPが量的に拡大しなくても、やっていける経済システムというものがあるのではないでしょうか。
 需要と供給は限りなく増大できるものなのでしょうか。この大量商品生産による、生活・生産様式というのは、どこかで行き詰る運命にあるのではないでしょうか?科学技術の進歩による、永遠の価値(利便性)増大という「夢」は、その裏側の「公害」という価値減少で相殺されてしまう。「夢」を追えば、「公害」が隠蔽されるが、そのうち隠蔽できなくなり、一挙に価値縮小の事実を思い知らされる。

 政治経済システムを大きく変革すべき時期ではないでしょうか?別に共産化とか社会主義化ということではないです。北欧的な秩序ある共生的なシステムの選択肢もあるのではないでしょうか。

 (余計なものでも)造れば造るほど儲かる、費用は税金で、というようなカラクリはもうおかしいです。

 現在、科学技術は急速に進歩し、その利便性の増大も物凄いですが、その裏側の公害などの外部不経済も急拡大しています。
 
 福島原発事故の「外部不経済」は無限大になる可能性さえあると思います。
 早急に「外部不経済の内部化」のシステムを完備するようにしなければならないと思います。危険性を金額に換算し、その費用を「目に見える化」して、誰がそれを負担するのか決めないといけません。

 「外部不経済の内部化」をするためには、厳格な科学・会計基準が必要かと思います。そのリスクを金額に換算するためには、多様な分野の科学者と会計士などが真理のみを基本にして算定しないといけません。
 原発のリスクの場合には、その通常発電時の放射能漏れ、事故・災害時の放射能汚染に対する健康・財産被害の想定、放射性廃棄物の管理、その事故・災害時の被害の想定を詳細に検討しないといけないのではないでしょうか。恐らく原発の外部不経済の被害想定は物凄い金額になるので、これを負担できる企業・自治体・国家はないと思いますが…

2.福島原発事故のことは本当に問題ないと思っているのでしょうか?

 メルトアウトに3号機使用済み核燃料の爆発など、「フクシマ」は人類史上最悪の人工物の災害になっていると思います。それに1、2、4号機、共用プールの使用済み核燃料も取り出し保管しないといけません。はっきり言って国家総力を挙げて取り組む問題かと思われます。

 至急、国家は(すべての費用を負担して)児童の避難を行う責務があると思います。あの太平洋戦争の時も「学童疎開」しました。危機はもうはっきりしていると思いますが…。

 南相馬の医師のお話では、壮年男子の脳卒中の死亡が3倍に増えているとのことです。まだ2年半です、これからあと2年半、事故から5年経ったらどういうことになるのか、本当に民族の危機になるのではないでしょうか。

 それに風に乗って放射性物質は拡散します。太平洋戦争の時に風船爆弾を飛ばしましたが、偏西風に乗ってアメリカ西海岸まで結構届いていました。詳しい風の流れは分かりませんが、アメリカや他の国にも放射能汚染をもたらしていると思います。そのうち世界的な環境問題に発展すると思われます。米ソ、中国などの核実験もありましたが、それをはるかに超える汚染になるかもしれません。米国も健康被害が目に見えるうになったら、国民が黙っていないでしょう。

3.原発、もんじゅ、再処理施設は止めましょう。

 1の「拡大生産経済」を止めれば、エネルギー消費量も減ると思います。もう手遅れかもしれませんが、とりあえず新規の設置は止めましょう。研究施設(安全保障・科学研究上)としていくつか残すくらいにしたらどうでしょうか。それにしても巨額の除却損になりますよね。それに止めても管理して行かないいけません(放射化しているので)。

4.とにかく国家非常事態の時だと思います

 これほど危機感がなくても良いのでしょうか。知らない方が良いといこともあるのでしょうか。メルトアウトは人類の経験したことがない未曾有の災厄です。
 
5.異次元の科学技術投資

 科学技術投資は、利権を排除して超大胆(異次元)に行ったほうが良いのではないでしょうか。電源特別勘定の大部分は新規テクノロジーの開拓に振り替えてみてはどうでしょう。除染も利権にするのは止めましょう。除染より避難した方が良いと思います。セシウムは反応し易く、コンクリートや瓦などに化合してしまったら、取り除くことはできないようです。

 新しい防災都市を汚染されていない、地盤特性の良いところに建設したらどうでしょうか?そこに福島など汚染地域から国の費用(無償)で移住させる。新防災都市は、地震や放射能など様々なリスクに対処できるような科学都市になると思います。

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