数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

脂質ナノ粒子、PEG抗体? 女性と医療従事者にアナフィラキシーが多い理由?

2023-05-23 08:32:08 | mRNA・DNA型コロナワクチン公害(戦争)
 今回のmRNA型ワクチンでは、そのmRNAを体内に運ぶ器(ドラックデリバリーシステム)に「脂質ナノ粒子(LNP)」が使われており、その中にPEGが含まれているとのことです。
 このmRNA型ワクチンのLNPは、細胞内でmRNAを的確に放出したり、血管内等ですぐに分解されないようにしたり、アジュバントとして免疫を活性化させたりするのに役立っているようです。
 しかし、マイナス面も指摘されています。
 化粧品などですでに使用されているPEGに対して抗体が出来ている(潜在的な抗PEG抗体がある)、またコロナワクチン接種によりPEGに対して抗体ができている場合には、新たに大量にPEGが接種されたことにより過剰な免疫作用(アナフィラキシー)などが起こる危険性が指摘されています。またPEGとPEG抗体の複合体による補体活性化による悪影響もあるようです。

「アナフィラキシー(英: anaphylaxis)とは、原因物質(抗原)により感作される準備期間の後、その原因物質が再び生体に接触することで引き起こされる免疫学的機序による全身的なアレルギー反応。
…アナフィラキシーで見られる症状には多尿、呼吸困難(呼吸促迫)、低血圧、脳炎、失神、意識不明、蕁麻疹、紅潮、流涙(血管性浮腫やストレスによる)、嘔吐、掻痒、下痢、腹痛、不安、血管性の浮腫(口唇、顔面、首、咽喉の腫脹などがある。悪寒や戦慄などはアナフィラキシーショックの前駆症状である場合がある。
致死的反応となる呼吸停止・心停止までの中央値は、薬物 - 5分、ハチ - 15分、食物 - 30分 との報告がある。(引用終わり)」 

 私は花粉症で毎春悩まされていますが、それより酷い症状を引き起こすこともあるようです。スズメバチなどに刺されても亡くなるケースがありますから、PEGが抗原になるケースでも重篤な症状になる可能性もあるようです。
 
「ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、略称 PEG, マクロゴールとも)は、エチレングリコールが重合した構造をもつ高分子化合物(ポリエーテル)である。
 …PEG を他の疎水性分子に結合すれば、非イオン界面活性剤(PEG部分はポリオキシエチレン[POE]鎖と呼ばれる)が得られ、化粧品の乳化剤などに用いられている。(引用終わり)」

「脂質ナノ粒子(lipid nanoparticle:LNP)は、脂質を主成分とする直径10nmから1000nm程度のナノ粒子。非ウイルス性の薬物送達システム(DDS)として、核酸医薬の送達に利用されている。 
 DNAやmRNAといった核酸は、生体内で分解されやすく、医薬品化するためには送達技術が欠かせない。2001年、DNAの送達媒体として、4種類の脂質から成るLNPが開発され、LNPの開発が本格化した。4種類の脂質とは、核酸を保護するとともにエンドソームからの脱出を促す「イオン化脂質(pH感受性脂質)」、LNPを安定化させる「リン脂質」と「コレステロール」、血漿中の蛋白質との相互作用を抑制し、血中半減期を延長させる「PEG化脂質」である。
 2000年代半ばには、Pieter Cullis博士ら、カナダUniversity of British Columbiaの研究チームが、LNPを構成するイオン化脂質として、「親水基に第三級アミンを有する脂質」を報告した。具体的には、親水基に第三級アミンを有する脂質を用いて、エタノール希釈法によって核酸を内包するLNPを形成できるという製剤の原理が開発された。親水基に第三級アミンを有する脂質などから構成されたLNPは、環境(pH)に応じてLNPの電荷が変わり、血中など中性に近い環境では電気的に中性だが、エンドソーム内の酸性環境では正に帯電する。そのため、エンドソーム内で正に帯電したLNPは、エンドソーム膜と相互作用してエンドソームから脱し、その後細胞質内では核酸を解離しやすくなった。
 さらに、2010年ごろからは、マイクロ流路で核酸をLNPに内包する製造技術が確立された。こうした技術開発の結果、LNPはsiRNA医薬やmRNA医薬といった核酸医薬の送達技術として、広く使われるようになった。
 核酸医薬の送達技術としてLNPが初めて実用化されたのは、2018年、米食品医薬品局(FDA)からトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療薬として承認された、米Alnylam Pharmaceuticals社の「オンパットロ」(パチシランナトリウム)だ。オンパットロは、二本鎖のsiRNAを、4種類の脂質から成るLNPに封入したsiRNA医薬。Alnylam社は、Cullis博士が創業に関わったカナダArbutus Biopharma社と提携し、三級アミンの構造を有するイオン化脂質を含むLNPを送達技術として採用した。
 2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対しては、2020年12月、ドイツBioNTech社と米Pfizer社が開発した「コミナティ」(コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)、米Moderna社が開発した「スパイクバックス」(コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン)が英国や米国などで緊急使用許可(EUA)を取得した。いずれも、スパイク蛋白質の全長をコードした長鎖のmRNAを、4種類の脂質から成るLNPに内包したmRNAワクチンであり、世界中でこれまでに数十億ドーズが接種されたとみられている。コミナティやスパイクバックスに使われたLNPは、どちらもアジュバント活性を発揮して、ワクチンの効果増強にも寄与していたとみられている。 
(引用終わり)」

「基本的に LNP の作成には 4種類の脂質が必要です (括弧内の値はおおよその比率です)。
  • イオン化脂質:これは LNP の重要な要素(35~50%)であり、2つの主要な役割があります。RNAを結合することと、細胞内でRNAを放出できるようにすることです。脂質の pKa は、LNPが毒性を示さず、中性pHでは電荷を持たず、低pHでは正に荷電する必要があるので重要な因子です。何百もの脂質が合成され、多くの研究グループによってスクリーニングされ、望ましい特性と効果を持つ脂質が特定されました。 成功した例には、ALC-0315、cKK-E12、SM-102、および Dlin-MC3-DMA が含まれます。
  • PEG化脂質:体内の循環半減期を延ばすために、少量のPEG誘導体化脂質(0.5~3%)が組み込まれています。 PEG-脂質は、いわゆる「ステルス」リポソームを作成するリポソームドラッグデリバリーシステムでも長年使用されてきました。 さらに、PEG-脂質のパーセンテージは LNP のサイズに影響を与えます。例としては、ALC-0159、DSPE-mPEG、DMG-mPEG などがあります。
  • コレステロール:コレステロールは構造的な「ヘルパー」脂質であり、LNPの重要な部分(40~50%)を構成し、おそらく膜融合を促進し、エンドソーム脱出を促進することによって有効性を改善します。
  • 中性リン脂質:DSPC、DPPC、DOPE(~10%)などの合成リン脂質も、細胞結合を促進するLNP製剤の構造「ヘルパー」脂質として一般的に使用されます。
 RNA を含む LNP を製造するには、エタノール中の脂質と低pHバッファー中のRNAをマイクロ流体ミキサーで急速に混合します。イオン化脂質はプロトン化され、RNAに結合してカプセル化し始めます。pHを徐々に 7.4 に上げ、エタノールを除去して、LNPを形成します (引用終わり)」


「アジュバント (Adjuvant) とは、広義には主剤に対する補助剤を意味するが、一般的には主剤の有効成分がもつ本来の作用を補助したり増強したり改良する目的で併用される物質をいう。ラテン語の adjuvare(助ける)に由来する。免疫学の分野ではアジュバントは抗原性補強剤とも呼ばれ、抗原と一緒に注射され、その抗原性を増強するために用いる物質である。予防医学の分野では、ワクチンと併用することにより、その効果を増強するために使用される。免疫学の分野ではアジュバントとは、抗原と抗原性を共有することのないままに、免疫を強化する物質の総称である。

…作用機構は様々で不明なものも多いが、以下のように考えられている。
  1. 抗原を不溶化することで組織に長くとどめ、抗原を徐々に長期間遊離させること。
  2. 投与局所に炎症を起こし、マクロファージが集まり抗原が貪食(食作用)されやすくなり、抗原提示が効果的に行われる。
  3. 投与局所や所属するリンパ節の、T細胞やB細胞の活性化を強める。
 純粋なタンパク質単独では免疫応答が弱いときに、微生物やその分解産物を混合することがアジュバントとして機能する原因は、微生物由来の因子で表面の受容体が刺激されて初めて、マクロファージや樹状細胞といった抗原提示細胞表面にB7分子が発現するためと考えられている。(引用終わり)」

ポリエチレングリコール(PEG)は本当に安全か?
「mRNA ワクチンの稿(芳香 SCIENCE 71-6)で述べましたが、標的蛋白質をコードする合成 mRNA は PEG 化脂質を含む脂質誘導体(脂質ナノ粒子、LNP)で包まれています。この PEG 化合物がワ クチンの副反応に関与しているのではないかと一時騒がれましたが、詳しい因果関係は不明のままです。現在、多くの日用品や化粧品などに PEG 化合物が含まれているために既に我々の体の中に PEG に対する抗体(以下、積極的に PEG 化医薬品を投与しなくとも産生されている抗 PEG 抗体を 潜在的抗 PEG 抗体と略します)ができています。それに対して、PEG 化医薬品を投与した際に産 生される抗 PEG 抗体を誘導性抗 PEG 抗体と言うことにします。もし、潜在的抗 PEG 抗体があまりに も大量に産生されていて、それが PEG 化医薬品を投与した時に「悪さ」をすればもう PEG 化医薬品 を開発することが出来なくなる可能性があります。 

…1984 年の調査ではサンプル数 453 名の血液から 9 名(0.2%)に潜在的抗 PEG 抗体がすでに検 出されていますが、2011 年では 350 名中 15 名(4.3%)になり、2016 年には 1310 名中 307 名(23.5%) に増加しています 1)。測定法や感度が異なっているので直接の比較は難しいのですが、上昇傾向 にあるのは確かなようです。2016 年の台湾での調査では、2404 名中 1036 名(43%)に抗 PEG 抗体 が検出され、IgM 型(26.4%)、IgG 型(25%)、両者(8.3%)に分布していました。IgM 型と IgG 型で の男女比はいずれも女性>男性でした。これらの結果から、日常的に PEG 化合物が皮膚から吸収 され、炎症を起こし抗 PEG 抗体が生成していると考えられています 。

…PEG 化医薬品を投与した場合に産生される誘導性抗 PEG 抗体は、1)投与した PEG 化医薬品の 血中からの排泄促進や、2)過敏症(特にアナフィラキシー)を起こすことが知られています。これら について簡単に説明します。1 )血中からのクリアランス促進(ABC 作用、accelerated blood clearance):例えば、肝臓のマクロファージである Kupffer 細胞は、肝臓内の毛細血管内皮細胞上 に存在していますが、その表面には Fc 受容体や補体受容体などが発現しています。PEG 化医薬 品の PEG 部分に結合した抗 PEG 抗体は、これらに結合して免疫複合体になり、Kupffer 細胞に貪 食されることで ABC を起こします。2)アナフィラキシー:アレルゲンを投与後、数分〜数時間以内に 起きる重篤で生命を脅かす過敏反応のことを言い、具体的にはフラッシング、息切れ、顔面腫脹、 頭痛、背部痛、胸部・喉の締め付け感、低体温・低血圧、死亡を起こします。これらの現象は、抗 PEG 抗体が PEG 部分に結合後、補体カスケードを活性化して、アナフィラトキシンである C3a や C5a を遊離し、血小板、マクロファージ、好塩基球、好中球上の Fc 受容体に結合して、ヒスタミン (血管拡張、血管透過性亢進、心拍数増加、心収縮)、セロトニン(大血管収縮、毛細血管拡張、血 管透過性亢進、平滑筋収縮)、血小板活性化因子(PAF、気管支収縮、血圧低下、心拍出量低下) やシステニールロイコトリエン(CysLTs、炎症、気管支収縮、血管漏出)などを遊離するからです。ま た、自然免疫細胞の Fc 受容体を活性化したり、肥満細胞や好塩基球細胞上の Fc 受容体を活性 化してヒスタミンを遊離する場合もあります。(引用終わり)」

「<アナフィラキシーはなぜ圧倒的に女性と医療従事者に多いのか?>
 指針では、国内外で臨床導入されているコミナティ、モデルナ製、アストラゼネカ製のSARS-CoV-2ワクチンのアナフィラキシー発症機序についても言及しています。
 通常、ワクチンによるアナフィラキシーの発症を引き起こす原因として考えられるのが、免疫原である主成分またはアジュバントや保存剤などの添加物に対するIgEを介してのマスト細胞の活性化です。
  しかし、SARS-CoV-2ワクチンにはアジュバントや保存剤は添加されておらず、「ファイザー製とモデルナ製のmRNAワクチンは、有効成分であるmRNAが封入されている脂質ナノ分子を形成する脂質二重膜の水溶性を保持するために使用されているポリエチレングリコール(PEG)が原因」と考察しています。
 また、これまでに報告されたアナフィラキシー発現例は、コミナティの94%、モデルナ製ワクチンの全例が女性でした。このことから、「化粧品による経皮感作の可能性は否定できない。だが、未だPEG特異的IgE抗体の測定系は確立していないため、アナフィラキシー誘発機序や感作の実態解明などは今後の課題」と指摘しました。
 
私見:
 ファイザー社の新型コロナワクチンはmRNAワクチンです。このワクチンにはPEG(ポリエチレングリコール)という成分が含まれており、このPEGがmRNAワクチンのアナフィラキシーの原因の一つと考えられています。しかし、もしそれが原因だとしても、新型コロナのmRNAワクチンに対してアナフィラキシーを起こすのは、これまでのところ圧倒的に女性が多いことが明確に説明できません。それでもその理由としてPEGが界面活性剤、乳化剤、保湿剤などとして化粧品に含まれることが関連しているのではないかという可能性が挙げられています。
 同様に原因はまだ不明ですが、医療従事者はそれ以外の方と比べてアナフィラキシーの頻度が高い可能性があります。
  Mass General BrighamというNPO法人の医療従事者を対象に新型コロナワクチン接種を行った際のアナフィラキシー件数についての米国の報告があります。これによりますと、64 900人の医療従事者が新型コロナワクチンを接種しており、このうち40%の人がファイザー社のワクチンを接種していました。このうち、2%の人が何らかのアレルギー症状が出現し、また0.027%の人にアナフィラキシーがみられたとのことです。
 医療従事者は、さまざまな局面でPEGに接する機会があります。PEGは下剤や整腸剤の有効成分であるほか、錠剤の表面コーティング、潤滑剤、超音波ジェル、軟膏、座薬、デポ剤、骨セメント、臓器保存剤などの安定剤としても使用されています。このような職業上の環境によって、医療従事者ではよりPEGに感作されている人の割合が高くなっている可能性はあるかもしれません。
 世界中で女性の医療従事者のアナフィラキシー症例が報告されている背景の解明のためには、上記のような化粧品、医薬品などと複数の因子との因果関係をたどっていく必要があると思われます。
(引用終わり)」
 

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