数理論理教(科学教)の研究

数理論理(科学)はどこから来て、どのような影響を与え、どこに行こうとしているのか、少しでも考えてみたいと思います。人文系

ウイルスとは何か(1) ウイルスはどのくらいるのか?生物と共生している?ネオウイルス学

2023-06-13 09:44:07 | ウイルス
 巷で騒がれている騒動(戦争?)から何か怖いイメージのある「ウイルス」ですが、その実態を見てみると、単なる「病原体」という姿だけでなく、生物にとてつもなく(良い・悪いの両面で)影響を及ぼしている物質(生物の基礎的要素)だと思えてきました。
 
1.ウイルスはどのくらいいるのか?
 ウイルスはどのくらいの数いるのでしょうか。
「1989年、ノルウェーのベルゲン大学のブラッドバクらが科学誌『ネイチャー』に発表した論文には、…なんと天然の水の中に、1ミリリットルあたりおよそ「2億5000万個!」のウイルスがいる場合がある、というのである。…この数字がはじき出されたのは、ドイツにあるプルスゼー湖という湖の水の中だった。
…一方、海水サンプルからは、1ミリリットルあたり500万~1500万個のウイルスが検出された。
…海水に存在するウイルスは、たいていの場合、海水中に豊富に存在するバクテリアに感染するファージであったり、やはり海水中にいる原生生物や藻類に感染するウイルスであったりするわけで、私たちヒトに感染して病気を引き起こすようなものではないから、海水浴をしてもマッタク問題ない、というわけである。(『新しいウイルス入門』より引用)」

 
 
 「…現時点で生物学者たちは380兆個のウイルスがあなたの体の表面や内部で生息していると見積もっている。この数は体内の細菌数の10倍にのぼる。病気を引き起こすウイルスもいるが,多くは単にあなたと共存しているだけだ。例えばペンシルベニア大学の研究者たちは2019年後半,気道でレドンドウイルスに分類される19種類のウイルスを発見した。いくつかは歯周病や肺疾患に関連していたが,他のウイルスはむしろ呼吸器疾患を抑えているようだった。」
 
 ウイルスは、とんでもない数(ヒト一人当たり380兆個?、地球全体では?細菌にも寄生しているらしいですから)いるようで、どうも生物とは共生しているらしいです。そう言えば、ウイルスが宿主をすべて殺してしまったら、元も子もないですからね(ウイルスだけでは自己複製できないですからね)。
 その物凄い種類と数のうちのごく一部がわれわれ人間に重篤な疾病を引き起こすウイルス種(病原体)になるようです。

2.ウイルスは宿主の環境適合を促進する?
 なおウイルスの病原体としての研究だけではなく、生物の共生や進化を探る研究を「ネオウイルス学」というらしいです。

「…英国のグループからは、ウイルスが感染した植物にはミツバチが多く集まり、受粉率が高まるという報告がありました。植物ウイルスは病気を起こすだけではなく、植物に有益な働きもしていうのです。
 といっても、ウイルス自体が植物に利益を与えようと考えているわけでなく、自己を増やすことがウイルスの唯一の目的です。乾燥耐性を報告した米国のグループの研究では、ウイルスに感染した植物はよくアブラムシを引きつけることも確かめられています。アブラムシはウイルスを運ぶ役目をしますが、アブラムシがたくさんウイルスを運んでくると、ウイルスとしては仲間を増やすという意味で優位になるわけです。(『ネオウイルス学』より引用)」

 
 このように見てくると、ウイルスというのは生物間を自由に行き来できて、宿主の力も借りて(共生して)、自ら(遺伝論理性)をひたすら増殖させるというとんでもなく効率の良い物資(生物と論理の融合?)なのかもしれません。
 どうも「利己的遺伝子」という本を思い出します。

 
「利己的遺伝子論(りこてきいでんしろん)とは、進化学における比喩表現および理論の一つで、自然選択や生物進化を遺伝子中心の視点で理解すること。遺伝子選択説もほぼ同じものを指す。1970年代の血縁選択説、社会生物学の発展を受けてジョージ・ウィリアムズ、E・O・ウィルソンらによって提唱された。イギリスの動物行動学者リチャード・ドーキンスが1976年に、『The Selfish Gene』(邦題『利己的な遺伝子』)で一般向けに解説したことが広く受け入れられるきっかけとなったため、ドーキンスは代表的な論者と見なされるようになった。 」

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