ここは
幻想のステーション
青い角の生えた
小さなあばたーたちが暮らしている
心臓の奥に
忘れ去りたい
黒い小人を隠し
妖精のように
透き通った青い翅をつけて
愚か者に似た
天使の笑顔を
仮面にはりつける
幻想のあばたーが住む
幻のステーション
遠く地平線に
巨大な芋虫のような
青い山岳が見える
見ようによっては
たくさんの翡翠のピラミッドが
空気遠近法の壁のはるか向こうに
並んでいるように見える
あばたーたちはいつも
そのピラミッドが歌う
特急の地下鉄がうなるような
轟音に耳をさいなまれている
真実を見よ
虚偽の空気の中で
酸素をあざむき
真空の中を泳ぐことができる
清らかな魚の魂だと
自分をあざむいている
おろかな自分を殺し
真実の自分を見よ
翡翠のピラミッドは
轟音のオルゴールのように
繰り返す
だが
あばたーたちは
それは瀕死のかたつむりの
かすれたうめきよりも
軽いものだと
相手にもしないのだ
ここは 幻想のステーション
白い病院の中に住んでいる
聖者のごとき老医師が
蝋人形に与えた
芝居の設定だと言うことを
知っていて知らぬ
青いあばたーたちの住む国