銀白の夜に わたしは彼を抱きしめた
人格の融合とは
セックスよりも貴い
天使の幸福だ
もはやわたしはわたしではない
もはや彼は彼ではない
彼の歩いてきた道に
落としてきた白い真珠の光が
かすかに さくらの花びらのように
薄紅に染まる
ひとつであった時間を
奇跡のように共有することが
はげしく君を愛させる
たまらぬ
魂の叫びだ
(ああ ほんとうに
わたしは
よいことを したいという
きもちの かたまりなのになあ)
愛している
ああ 愛している
泣いているのも
答えているのも
あなたなのか
わたしなのか
どちらでもよい
わたしたちは溶けあい
月に染まる
ひとつの 大きな
詩人の影になる
紺青の頭蓋の空に
ふたつの月をかかげ
ひとつの清い影になる