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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

腹痛

2013-11-12 12:08:08 | 詩集・空の切り絵

腹痛は
良心の呵責よりも
人間の奥にある鈍痛だ

こなしきれない馬鹿がある時
人間は心より
腹が痛む

その石の中には
忘れ去りたいどす黒い記憶が
餡のようにつまっている



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自画像

2013-11-12 04:35:45 | 虹のコレクション・本館

No,7
ベルト・モリゾ、「自画像」、19世紀フランス、印象派。

これは、女性は着飾らずとも美しいことを証明する絵である。夫と子供に恵まれ、仕事にも充実していた。その自信が画家を美しくしている。人間の女性の本来の美しさである。

フリーダは、愛する男から冷たい仕打ちを受けて深く傷ついたがゆえに、人間を超える美を持ってしまった。あまりに悲しい女性である。それに比べれば、19世紀に生きていたモリゾはまだ、幸せだった。
この時代ではまだ、男が誇り高かったからだ。

エドゥアール・マネは印象派の巨頭だった。印象派の画家の中で、彼を超えられたものはいない。19世紀はまだ、こういう男が、生きていくことができたのである。
だが20世紀に入ると、民主主義の広がりと定着の中で、より高い才能を持つものが嫉妬され、潰されるようになった。マネのような男は、成長段階でつぶされるのだ。

フリーダの愛したディエゴ・リベラは、それなりの画家だったが、マネほどの力はない。はっきり言って、表現者としては、フリーダのほうが上だ。

モリゾが輝いていたのは、マネのほうが実力的に上だったからだ。だからモリゾは許されたのである。だが、リベラを超えたフリーダは、許されなかった。男は、才能あるフリーダに嫉妬し、冷たい仕打ちをした。
ゆえに、フリーダの絵は、愛が生きて行けない世界の中で、断末魔の長い叫びのような、軋る命を激しく美しく表現しているのである。

20世紀は、女が男を超えた時代だった。




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