日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の能登を行く 完結編 - 源八

2019-11-16 23:28:21 | B級グルメ
体力的に限界なのは自覚しています。それにもかかわらず、時間が残っている限り、次を目指したくなるのが悪い癖です。再び繁華街へと歩いてきました。しかし、富山ほどではないものの、金沢の店仕舞いも街の規模を考えるとやや早めです。赤玉は本店、支店ともに早仕舞いし、三幸の明かりも消えていました。これにより、もう一杯という選択肢は事実上消滅。その代わり、お誂え向きの一軒が現れたため飛び込みました。源八の暖簾をくぐります。
金劇パシオンの赤玉の向かいにある、いかにも酔客御用達と思しきそば屋です。客席は15席ほどあろうかというコの字の長いカウンターと、壁際に並んだ正方形のテーブルが五つ。機能的な厨房を熟練した三人組が仕切ります。頭上に並んだ短冊の品書きに加えて、カウンターには揚げ物と惣菜の大皿が並んでおり、一杯やってからそばをするという使い方もできるようです。想像通りの雰囲気は、こちらの好むところでもあります。
注文したのは当店の名物というおろしそば800円也。北陸らしくて一石二鳥ですが、せんなそば、カレーそばも気になります。今回同様酒はもういい、別腹に入るものだけという気分になったときは、再び暖簾をくぐってみるのも一興でしょう。

源八
金沢市片町1-6-10
076-263-0553
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晩秋の能登を行く 完結編 - あぐり

2019-11-16 21:47:07 | 居酒屋
雨はひとまず止んだかと思いきや、「わり勘」を出るや否や雨音が聞こえるほどの本降りになりました。それからさほどの間も置かずに稲光が走り、一呼吸置いてから雷鳴が。北陸は俄に冬の様相を呈しています。野町駅の待合室でやり過ごした後、犀川を渡って繁華街を通り抜け、せせらぎ通りを歩いてきました。続いて訪ねるのは「あぐり」です。
野町から繁華街までならともかく、ここまで歩くとかなりの距離です。バスに乗ってもよいところではありました。しかるに延々歩いてきたのは、止むに止まれぬ事情によります。早い話、真打となるはずの「浜長」に早仕舞いで振られたのです。九時半に訪ねたところ、明かりはついていたものの、店主直々のお断りを受けてしまうという顛末です。
ただし、自分でも意外なほどに落胆はしませんでした。そもそも万全な状態とは言い難かったからです。経験上、九時半では早仕舞いの可能性があるのを承知しつつも、間髪入れずに飛び込むのは到底無理で、腹ごなしをしてから行くしかありませんでした。そのようにして訪ねた先々月でさえ、実をいうとやや息切れ気味だったのです。年々食が細ってきた現状を考えると、はしご酒の二軒目以降に訪ねるという発想自体、現実味がなくなっているともいえます。その限界が露呈したという点では、ある意味想定の範囲内だったというわけです。改めて余力を考えても、軽く一杯やるのがせいぜいという状態に鑑み、そのような向きに好適なこちらの店へ流れ着いたという経緯があります。
この店の世話になるというと日曜が多いような気がします。お客の引けたカウンターで、接客の青年、お姉さん相手に一杯やるというのが、最も多く繰り返された場面です。しかし今夜は賑わっており、青年もお姉さんも忙しそうです。それでも慌しさを感じないのは、古い町屋が醸し出す唯一無二の空間のおかげでしょうか。かねて絶賛している一枚板のカウンターもさることながら、今回印象に残ったのは音響です。自分自身、TVあるいは音楽を大音量で流されると耳障りに感じる部類の人種ですが、こちらの音響はむしろ心地よく感じられます。音量ではなく音響と表現するのは、ほどよい音量で、なおかつ心地よく聞こえてくるからです。ジャズバーの類ほど高尚なものではないにしても、それなりの機材を使っているのでしょう。その機材から流れる調べが木造家屋の空間で響くことにより、独特な居心地を生み出しているのかもしれません。どこへ行っても大音量の自動放送が流される世知辛いご時世にあって、しばしの癒しを与えてくれたことに感謝します。

町屋ダイニング あぐり
金沢市長町1-6-11
076-255-0770
1700PM-2300PM(LO)
月曜定休

天狗舞
突き出し二品(たこ梅肉和え・なめこおろし)
加賀蓮根の海老真丈挟み揚げ
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晩秋の能登を行く 完結編 - わり勘

2019-11-16 19:06:30 | 居酒屋
風呂から上がると橋場町のバス停はすぐそこです。野町へ向かうバスも頻発しています。二軒目は必然的に決まりました。「わり勘」の暖簾をくぐります。
端から見れば馬鹿の一つ覚えに映るかもしれません。自ら開拓したことからくる愛着により、依怙贔屓の域に達しているともいえます。しかしこれは実を取った選択でもあります。ひがし茶屋街には相当数の観光客が出ていました。繁華街の呑み屋が混むのは必至でしょう。この時間帯なら、有名店は取り付く島もなさそうです。そのようなときであっても、こなら気兼ねがありません。新幹線の開業を機に観光客が一段と増え、有名店の客層にもあからさまな変質を感じる場面が散見されるようになりました。そのような中、いつ行っても地元客で賑わっており、それでいながら何だかんだで入れてしまうこの店が、自分にとってはお誂え向きなのです。
カウンターに残っていた最後の空席に滑り込むと、そこがガラスケースと黒板を目の当たりにできる好位置でした。ガラスケースには見るからにうまそうなかぶら寿司があり、黒板には鰤と子付けの文字もあります。牡蠣、白子、なまこも冬らしくはあるものの、それだけではどこの冬かが分かりません。しかしこれらの品々が加わると、俄然北陸らしくなります。秋の風物詩はもうどこにもなく、すっかり冬の趣です。一足早く味わえたことを幸いに思います。

わり勘
金沢市野町4-3-6
076-244-2280
平日 1600PM-2300PM
日祝日 1600PM-2200PM
月曜定休

一番搾り
常きげん
牛すじ
刺身五種盛
かぶら寿し
あさりみそ汁
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晩秋の能登を行く 完結編 - くわな湯

2019-11-16 18:32:46 | 温泉
今回の長旅は北陸の銭湯に開眼した旅でもありました。今夜も一風呂浴びていきます。立ち寄るのは「くわな湯」です。
木津屋旅館に泊まると、浅野川の対岸に銭湯の明かりが見えます。宿泊すれば当然ながら宿の風呂に入るため、銭湯の出番は一度もなかったものの、正方形の行灯に一文字ずつ屋号を描き、深夜まで明かりを灯すこの銭湯が、常々気になってはいたのです。今回ようやく訪ねる機会が巡ってきました。
箱型をした鉄筋コンクリートの不愛想な建物は、先週末に訪ねた伏木温泉にも通ずるものです。しかし建屋は一回り大きく、賑わいでも上を行きます。新湊、輪島、伏木のいずれでもそこそこ賑わっていた以上、金沢でこうなるのも宜なるかなではあります。
北陸の銭湯を何軒か訪ね歩いて気付いたのは、京都の銭湯のような古びた味わいが希薄だということです。しかし、それはこまめに手を入れているということに他ならず、こまめに手を入れるということは、取りも直さず繁盛しているということでもあります。京都の古い銭湯を矍鑠と形容するなら、新陳代謝が盛んとでもいえばよいでしょうか。北陸の銭湯の特徴を、次第に掴めてきたような気がします。

★くわな湯
金沢市東山3-1-5
076-252-2659
1300PM-2330PM
月曜定休
入浴料440円
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晩秋の能登を行く 完結編 - 日本酒真琴

2019-11-16 16:36:57 | 居酒屋
嬉々として昼から呑んでいた頃もあります。しかし近年、昼酒というものにほどんど興味がなくなりました。根本的な理由は、昼に魚介をいただくことがなくなったのと共通しているともいえます。呑み屋には夜に行ければ十分で、魚介もそこでいただけばよく、昼には昼ならではの店を優先したいという考えが、年々強くなってきたのです。ところが今日は珍しく、明るいうちから一杯やることにしました。「真琴」の暖簾をくぐります。

金沢で昼酒というと、駅なら黒百合、繁華街なら赤玉本店です。特に赤玉本店なら、宿からもさほど歩かず行けました。しかるに延々歩いてきたのは、これもある意味昼ならではといえるからです。
この店の存在を知ったのは一昨年の秋でした。そのときは既に看板だったものの、翌年の正月に初めて訪ね、それ以来の再訪です。観光客が闊歩するひがし茶屋街の中でも、比較的人通りの少ない路地裏にあって、能登産のヒバだという白木を生かした店内の設えも好ましく、女性店主ならではの細やかな気配りが感じられるよい店でした。それにもかかわらず二年近くも無沙汰したのは、繁華街から大分離れたひがし茶屋街という立地と、中途半端な営業時間が壁となってきたからでした。行くとすれば、事実上主計町の木津屋旅館に泊まったときしかありません。それも、はしご酒の最初か最後のいずれかということになります。ところが、昼の部は正午から、夜の部は七時から、それぞれ四時間ずつの営業だったのです。前述の通り、昼酒には近年興味がなくなっており、行くとすれば夜の部ですが、11時の閉店はバーとして考えるとやや早めです。さりとて開店が七時では、肩慣らしに軽く一杯という使い方にも向きません。そのような事情もあって、正月に泊まったときは機会を逃しました。
事情が変わったのは最近になってからです。昼と夜に分かれていた営業時間が、昼からの通し営業に変わったと風の便りに聞きました。それなら話は違ってきます。遅めのお昼を兼ねて立ち寄り、明るいうちの雰囲気を味わってみるのも一興と思い立った次第です。

昼の部と夜の部が分かれていたことからして、日中は酒の呑める定食屋、あるいは喫茶のような業態なのだろうと思っていました。しかしそれは勝手な思い込みに過ぎませんでした。以前訪ねたときとほぼ同じ品書きだったからです。定食が四種ほどあるものの、その他については酒肴が多く、惣菜の類は全くありません。ただし、夕方六時までという飲み放題があります。一杯につき七酌ほどという酒も、昼の部では一律500円でいただけるようです。飲み放題が1800円という条件から単純に考えると、三合弱呑まない限り元は取れないということになりますが、何銘柄もいただける価値を含めて考えれば、量だけで決まるというものでもありません。店主の勧めもあって飲み放題を選びました。
安い酒だけ飲み放題にするありがちなものではなく、冷蔵庫にある地酒を自ら注いでよいというものです。お猪口とほぼ同じ量のグラスに注ぐ形になるため、一杯あたりの分量は五酌のさらに半分といったところでしょうか。とはいえ、片っ端から試していくと結構な分量になるものです。はしりの新酒も出回る中、ひやおろしがまだ相当数残っており、それらを中心にいただきました。
そこまではよかったのですが、最後に些細な失敗がありました。時間切れまであと15分ほどとなったところで肴が尽き、最後は汁物でもいただければと考えて選んだのは、前回もいただいたスープカレーでした。ところが、記憶が大分あやふやになっていたと後々知ることになります。汁物をいただくつもりが、出てきたのは一人前のカレーライスだったからです。もちろん米粒一つ残さずいただきましたが、二軒目以降に温存するつもりだった余力の少なからぬ部分を使ってしまいました。次なる機会があったとすれば、ご飯抜きでカレーだけお願いするのも一案でしょう。

そのようなわけで、最後の詰めを誤ったものの、今後は肩慣らしに一杯という使い方もできることになります。このような芸当が可能となったのは、従業員が増えたためでもあるようです。店主は五時に一旦上がっていき、その代わりにもう一人のお姉さんがカウンターに立ちました。二人組での接客を基本としつつも、何人かで交代しながら回していく仕組みにしたのでしょう。それだけでなく、近日中に駅前にも支店を出すとの告知があります。どの飲食店も人不足に悩んでいるご時世、繁盛しているようなのは天晴れです。

日本酒真琴
金沢市東山1-5-3
076-205-3800
1130AM-2230PM(水曜 -1600PM)
木曜及び第二・第四水曜定休

竹葉
遊穂
常きげん
能登路
百石酒屋のおやじの手造り
ほまれ
天狗舞
地物珍味盛り合わせ
生姜入りスープカレー
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晩秋の能登を行く 完結編 - 浅野川

2019-11-16 16:22:59 | 北陸
主計町の茶屋街を通り抜け、浅野川大橋の袂まで歩くと、西日が早くも家々の陰に隠れようとするところでした。しかも、こちらの記憶より大分左へ沈んでいきます。日の入りがそれだけ早まったということです。今日の時点で金沢の日の入りは16時45分、月末までにさらに7分早まって、そのまま半月ほど推移した後、来月の今頃から少しずつ延びていくことになります。北海道にいた頃は、日の入りが半月で30分近くも繰り上がっていましたが、そのような時期は既に過ぎ去り、日の入りが最も早い時期に入ったということです。桜並木は紅葉して冬枯れに近付きつつあり、灌木の雪吊りも済んでいます。もはや晩秋の趣さえほとんどありません。冬到来を実感する一幕です。
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晩秋の能登を行く 完結編 - 町民文化館

2019-11-16 15:35:15 | 北陸
日が射したり、雨が降ったり上がったりする、冬の北陸らしい空模様です。傘を差さずに東の方へ歩いてきました。続いて訪ねるのは町民文化館です。
屋内施設で雨をやり過ごそうと思い立って調べた結果、芋蔓式に出てきた中の一つがここです。武蔵ヶ辻から橋場町へ向かう大通り沿いとのことでした。何度も通った一帯にもかかわらず、知らずにいたという点で、先ほど訪ねた石川四高記念館のようなものともいえます。しかし不思議だったのは、写真で見る外観が全く記憶にないことです。その謎が解けたのは現地に乗り込んでからでした。よくよく考えると、近くを通り抜ける時は表通りに並行する路地を歩いていました。その結果、今の今まで気付かないまま通り過ぎていたようです。
そのような結論に至ったのは、目の前を通りがかれば気付かないはずがないほどの、写真だけでは伝わらないただならぬ存在感があるからです。石積みの上に墨色とでも形容したい漆喰壁が立ち上がり、幅一杯に広がる黒い瓦屋根が手前へ斜めに下りていて、その屋根の上には重厚な入母屋の瓦屋根が鎮座します。つまり、遠目には切妻の建物の上に入母屋の屋根を乗せたような外観ということですが、側面に回ると一層見応えが出てきます。間口もさることながら奥行きもあり、巨大な壁が蔵の扉になっているのです。裏手は意表を突く半切妻となっており、軒下の扉によって、こちらも蔵だと分かります。つまり、建物全体が店舗であると同時に、巨大な蔵でもあったということです。かつての銀行と聞かされて、さもありなんと納得しました。
館内も外観同様見応え十分です。巨大な入母屋の下が吹き抜けの空間になっており、天井、柱の意匠についても凝っています。純和風の外観に洋風の館内という和洋の折衷が独特です。存在自体は認識していた四高記念館と違い、こちらは完全な盲点でした。
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晩秋の能登を行く 完結編 - 石川四高記念館

2019-11-16 13:56:07 | 北陸
雨の日をやり過ごす方法として、まず思いつくのが屋内の施設です。まずは石川四高文化記念交流館を訪ねます。
長い名前になじみはなくとも、香林坊からまっすぐ延びる広い通りの左側にある煉瓦造の建物といえば、あれかと合点のいく方も多いのではないでしょうか。金沢の象徴といってもよい建物の一つです。ところが、我ながら不思議なことに、今の今まで中に入ったことがありませんでした。威風堂々たる外観だけで満足し、入ってみようという発想が起こらなかったということでしょうか。無料で入れる区画もあると今更知り、初めて敷居を跨いだ次第です。
正確には、無料で入れる西半分を石川四高記念館、残りの区画を石川近代文学館というらしく、前者は読んで字のごとく旧第四高等中学校に関する資料を展示した施設です。ただし、有り体にいうとこちらの目当ては展示物より建物にあります。無料で入れる記念館だけ見学できれば十分です。縦長の窓の向こうに林立する、紅葉した街路樹が絵になっています。雨模様でもこれなら、晴れればなおさらだろうと思わせる眺めです。
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晩秋の能登を行く 完結編 - 元の鞘

2019-11-16 12:59:05 | 北陸
名古屋では雲一つなかった空に、関ヶ原を越えた頃から少しずつ雲が出始め、敦賀で日本海側へ出ると曇りました。福井では時折晴れ間がのぞいたものの、小松が近付いた頃には本降りとなり、金沢へ着いた頃には止むという経過です。バスで市街へ移動して、今夜の宿に荷物を預け、ひとまず身軽になりました。これは元の鞘に収まったということでもあります。

金沢に列車が着くまで、福井へ行くかどうかを考え続けました。最後まで迷いがあったということです。いずれにしても「買う」には違いないだけに、「迷ったら買え」の原則では決められません。さりとて、「今しかできない方を選ぶ」という観点でも決めることができませんでした。明日の晴天を生かすという点にだけ着目すれば、福井へ行くのが「今しかできない方」ともいえます。しかし、はるばる行くなら雪景色、残雪、水鏡、稲穂といった絵になるものがあってほしいと思います。それらのいずれもない状況で、高岡から延々走っていくのかと考えたとき、是非行きたいと思うほどの意欲が湧かず、むしろ大変だという心情が頭をもたげました。
能登編の後半に似たような場面がありました。北上を始めたところで曇り、この条件でわざわざ行くかと一時は懐疑的になるも、翌日晴れる可能性に賭けて、行ける場所まで行こうと決め、明くる日に半島の先端まで辿り着くという顛末です。あのときは、まだやれる、もう一花咲かせたいという心情が最終的な決め手となりました。しかし、今度はそう思わせるだけの決め手がありません。むしろ、北海道から新潟を経て富山と能登を渡り歩き、金沢だけ素通りして福井で終わるという流れが、長旅の結末としていささか唐突に思われたとでも申しましょうか。
そのようにして考えを巡らせた結果、遠くへ行きたいという純然たる願望ではなく、あと数年で撮れなくなってしまうという危機感が、自分を福井へ駆り立てていることに気付きました。そこまでして行ったとしても本末顛倒です。金沢駅で降りたとき、素通りするには惜しいという心情を断ち難かったことから、その時点でようやく腹を括った次第です。

そのようなわけで、それなりに納得した上での結論です。とはいえ、一切の迷いが払拭されたわけでもありません。明日になれば、冴えない曇り空を見上げて、福井ならどうだったかと臍を噛むかもしれません。新幹線が敦賀に延伸された暁には、あのとき撮っていればと悔やむかもしれません。しかし、旅に多少の後悔はつきものです。失ったものを取り返して余りある成果があればよいともいえます。そのためには、まず金沢で過ごす時間を充実させることです。
先ほどから再び雨が降ってきました。あいにくの雨模様ではありますが、それなりの使い道があることについては出発前にも申した通りです。今回も満喫できれば幸いに思います。
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晩秋の能登を行く 完結編 - 再考

2019-11-16 09:59:05 | 近畿
米原から北陸本線に入りました。行路の三分の一ほどを終え、金沢まであと二時間です。
北陸新幹線の開業と引き換えに在来線は分断され、死んだに等しい無残な姿に貶められました。生き永らえた金沢以西も、敦賀に延伸されるまでの命です。最後の力走を続ける北陸特急に乗り、あるいは記録することを、あれ以来最重要課題の一つとしてきました。そのような中、正月以来季節を変えつつ四度にわたって「しらさぎ」に乗れたことには満足しています。
その一方で、疎かになってしまったのが撮影です。正月は詰めが甘くて仕損じました。九月に再訪したときは天候が振るわず、再挑戦は叶いませんでした。八月にびわ湖バレイの展望台から「サンダーバード」を撮る機会はあったものの、霞が強くて今一つでした。年間を通じて、実質的な成果は何一つなかったのが実情です。
実は、明日借りを返す余地がないわけではありません。西から天気が回復していき、福井では晴れると予想されているからです。とはいえ、高岡に置いた車を引き取ってからあちらへ向かうということになると、実質的な持ち時間は昼過ぎから日没までのわずかな間に限られます。予報通りに晴れるという保証もありません。そして何より、帰りの移動が大変です。それだけに、富山からなじみの場所に寄りつつ帰りたいという本音があります。
もっとも、残された時間は長くありません。また来年と悠長に構えてはいられないのも事実です。金沢を素通りして高岡へ向かい、車を引き取って今日中に福井へ移動すれば、翌朝から動くという芸当もできないわけではありません。金沢から高岡、富山を経て帰るという考えで凝り固まっていただけに、この期に及んで大転換することにはためらいがあるものの、幸いあちらに着くまでは猶予があります。今日明日の使い道を再考してみるつもりです。
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晩秋の能登を行く 完結編 - しらさぎ3号

2019-11-16 09:00:17 | 東海
きしめんをすする間に「しらさぎ」が隣のホームへ入線し、こちらが上がるのと同時に客扱いが始まりました。幸い十分余裕はあり、狙い通りの位置に着席できたものの、発車までには窓側が全て埋まるという顛末です。先々週の連休ほどではないものの、今週末もそこそこ人は出ています。

★名古屋850/しらさぎ3(3M)/1148金沢
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晩秋の能登を行く 完結編 - いこい

2019-11-16 08:59:40 | B級グルメ
西日本へ下るときに近年愛用しているのが、始発の一本後を行く臨時の「のぞみ」です。今回もその列車で行けば、「しらさぎ」の始発列車に乗り継ぐことができました。あえてそうしなかったのは、あちらの天候を考えると急いでも仕方なかったという理由によるところが一つ。それに加えてもう一つの理由があります。乗り継ぎの合間にきしめんをすすると、ほどよい間合いで「しらさぎ」が入線してくるという寸法です。
注文はお約束のかき揚げきしめん、増税により10円上がって530円也。揚げたての天麩羅も名古屋駅のきしめんの美点です。先々週いただいたばかりといえども、他の品は眼中にありませんでした。しかし、先客が注文していた海老天を見て、そうか、その手があったかと今更ながら気付きました。券売機を見ると値段も50円しか違いません。同じ値段のイカ天でもよさそうです。
あくまで趣向を変えるのが目的であり、久々ならばかき揚げで一切迷いはありません。ただし、今回同様短い間隔での再訪となれば話は別です。そのときのための教訓としておきましょう。

いこい
名古屋駅5-6番線下り方
700AM-2120PM(LO)
かき揚げきしめん530円
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晩秋の能登を行く 完結編 - 未練

2019-11-16 07:52:32 | 東海
仮にあちらが晴れていれば、立山を眺めるべく新幹線で急行したかもしれません。しかるに期待すべくもなかったことが、北陸本線経由を選んだ理由の一つでもあります。特に急ぎはしない以上、空いた「ひかり」で下るのが今回は最善手でした。小田原で「のぞみ」に道を譲った後、再び西へ下っているところです。
先週末を泊まりがけにできなかったのが痛かったと昨晩申しました。そのことによる損失を、早くも実感させられました。冠雪した富士山を、都内からでも見渡せる快晴となったからです。これなら箱根経由で清水にでも行っていれば最高だったでしょう。富士山、駿河湾の眺望はもちろんのこと、紅葉狩りもできて一石二鳥だったのだろうと想像します。それをむざむざ棒に振ることに対して、未練が募るのは人情というものでしょう。たとえ結果論にすぎないと分かっていてもです。
もう一つ結果論をいうならば、一筆書きの乗車券を買っておく手はあったかもしれません。もちろん今回限りで完結させるつもりではありますが、そもそも長岡から富山へ下っていったときも、その週末で終わりにするつもりだったのです。ところが富山に着いた後、沖縄を延ばす代わりに能登へ行くという着想を得て、さらに三度の延長を繰り返し今に至ります。今回もさらなる妙案が閃いて、帰りを延ばす可能性がわずかとはいえあったわけです。200円少々の払戻手数料と引き換えにして、そのような余地に備えることはできただけに、何故そうしておかなかったかという考えが、今更ながら頭をもたげてきた次第です。
そのように思うのは、積雪の心配が当面必要なさそうな情勢にもよります。帰り道で雪に最も警戒すべきは白馬ですが、あちらでも日中の気温は連日10度を超えており、その予報は下旬になってもほぼ変わりません。ところが、北海道にいた頃は、いつ雪が降り出すかと気を揉みながらの道中でした。あれから一月経っています。やはりあちらは別世界です。
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晩秋の能登を行く 完結編 - ひかり501号

2019-11-16 07:00:15 | 関東
金沢へ直行するかというとさにあらず。名古屋経由で向かいます。始発の「ひかり」で旅立ちました。
新幹線の開業にかこつけて、北陸フリー乗車券が廃止されてからというもの、往復のいずれか一方を北陸本線、もう一方を北陸新幹線経由にする一筆書きの経路を多用してきました。ただし、どこへ行くにもこの経路が有効とは限りません。金沢へ行くのであれば、一筆書きの経路が安上がりとなるのに対して、新高岡では金銭面での差がほぼなくなり、急ぐなら直行直帰、そうでなければ一筆書きという選択が自分にとっての最善手となります。富山の場合、四の五の言わず直行直帰した方が、時間的にも金銭的にも有利です。
そのようなわけで、金沢へ行って戻るつもりなら、東海道新幹線で下るのが自分にとって最善の選択です。ただし、今回は高岡に置いた車で帰るため、一筆書きにはなりません。時間と距離はもちろんのこと、金銭面で考えても、新幹線経由だろうと最初は思っていたのです。ところがよくよく調べたところ、北陸本線経由でもほとんど変わらないという事実に気付きました。運賃では北陸本線経由が二千円以上高い代わりに、料金では北陸新幹線が千五百円以上割高となるため、総額では数百円程度の違いしかないのです。運賃の差を料金の差である程度吸収できるだろうと思ってはいたものの、この程度の違いしかないとは盲点でした。しかし、敦賀を境に分断される数年後には、この裏技も無効化され、新幹線で直行直帰する以外の選択肢はなくなります。それまでは積極的に活用していきたいものです。

★東京626/ひかり501(501A)/818名古屋
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