日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

汽車旅in北陸 2017 - 木津屋旅館

2017-01-15 21:52:07 | 北陸
金沢城を横切り主計町まで歩き、今夜の宿となる木津屋旅館に入りました。風呂から上がって一息ついたところです。
夕方から湿った雪が降り出し、これで元の木阿弥かと思いきや、その後はさしたる雪もなく、雲間からは丸い月が時折顔を出しています。予報の上では日中も夜間も湿った雪が降り続くとされた中、そこそこ晴れている状況です。明日も晴れ間が出るようなら、いよいよ金沢を去り難くなってくるでしょう。
昨夜三軒はしごし存分に飲み食いしたこともあり、今夜は二軒で早くも限界が近づき、酒はもういいという気分になってきました。もう一軒行くとしても軽く一杯ひっかけるのがせいぜいでしょう。浮いた時間を利用して、深夜の茶屋街を歩いてみるのも一興かと考えています。
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汽車旅in北陸 2017 - 大関

2017-01-15 19:51:37 | 居酒屋
酔い覚ましを兼ねてにし茶屋街を歩き、犀川大橋を渡って呑み屋街にやってきました。二軒目は満を持して「大関」の暖簾をくぐります。
金沢に数多あるおでん屋の中でも、とりわけ愛用してきたのがここです。繰り返し絶賛してきたキャベツ巻を含め、おでんを二、三品いただいた後、黒板の品書きから一品、二品選び、それらを肴に徳利を二本か三本空けるという流れも定着しました。しかし今日は少々勝手が違います。まずおでんを二品いただき、次は黒板から選ぼうかというところ、これはという品が見当たらないのです。
めぼしい品がないということではありません。鰤、平目、蓮蒸し、かぶら寿司などの文字が並んだ品書きは、冬の金沢らしい華やかさに充ち満ちています。それにもかかわらず食指が動かないのは、今回の道中でそれらをことごとくいただいたのに加え、一軒目で腹があらかた満ちてしまったからです。その気になればもう一日滞在できる状況において、早くもめぼしい品を一通り味わったということは、今回の活動が出色の充実ぶりだったことを意味します。さらに欲張り無理に飲み食いする必要もないでしょう。おでんを二品追加して、酒を二本空けたところで席を立ちました。

大関
金沢市木倉町1-5 中泉ビル1F
076-221-9450
1630PM-2200PM
火曜定休

酒二合
すじ
キャベツ巻
焼どうふ
小芋
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汽車旅in北陸 2017 - わり勘

2017-01-15 17:19:56 | 居酒屋
場合によっては昼から一杯やるつもりが、思いがけない好天もあり、飲まず食わずで夕方まで歩き通しました。ならば「大関」へ行くかというとさにあらず。野町という思いもよらない場所で酒場に飛び込みました。
野町というと、遠い昔に乗りつぶしで一度訪ねたことしかありません。これは他の路線に接続しない半端な立地によるところが大です。バスがひっきりなしに行き交う国道から折れ、弧を描く緩い坂を下ったところにある駅は、自身なじみの深いところでいうなら中央弘前をどことなく彷彿とさせます。表通りから外れた低い場所に、小さな電車が発着する雰囲気が、よく似ているとでも申しましょうか。
その駅前に片手で数えられる程度の呑み屋があり、四時過ぎに着いたときには早くも明かりがついていました。いずれも大衆的な、看過できない雰囲気が漂う店です。日曜でも呑み屋には事欠かない金沢だけに、持ち駒だけで十分間に合う状況とはいえ、同じ店の再訪ばかりというのも芸がありません。次に野町を訪ねる機会がいつになるかと考えたとき、ここで軽く一杯やっていくのもよさそうな気がしました。当たるも八卦、当たらぬも八卦の心境で、その中の一軒に飛び込んだというのが真相です。

「わり勘」なる大衆的な響きの屋号は、「酒場放浪記」にでも出てきそうな地元客御用達の店を連想させます。あの番組に出そうだということは、外す可能性も少なからずあるということです。
若干の懸念を抱いたのは、店先からのぞき込んだ店内の様子が何とも微妙だったからに他なりません。前室の扉をくぐって突き当たり、左を向いたところが入口で、その窓ガラスの上端から辛うじて店内の様子を窺えるのですが、写真付きのメニューが何枚も壁に掲げられているのがそこから見えたのです。その様子から、チェーン店と大差のない呑み屋である可能性が浮上しました。とはいえ、前室に掲げられた子付け、鱈鍋などの品書きには期待させるものがあります。店内には短冊の品書きも見え、てらいのない居酒屋の品々も揃っているのが分かりました。
このように、期待させる面がある一方で未知数な面もあり、野町で呑むという目新しさが最終的な決め手になったというのが実態ではありましたが、結果は吉と出てくれました。

玄関をくぐってまず視界に飛び込んだのが、カウンターの中央に鎮座する、厨房との仕切り壁を兼ねた大きな黒板です。壁にも短冊が所狭しと掲げられ、頭上には先ほど見えた写真付きの品書きが。カウンターの中央ではおでん舟が湯気を立て、客席から見て右に大皿、左にネタケースが配されます。目移りするような充実ぶりが冬の北陸ならではであり、これなら手元の品書きは基本的に必要なさそうです。
しかし、刺身、串焼き、揚物、一品、鍋、定食から麺類、カレーに至るまで、ありとあらゆる品をA4一枚に集約し、なおかつおすすめ品を見やすく示した品書きは、眺めているだけでも楽しいものがあります。もちろん価格は良心的で、頼んだ品は狙い通りの間合いで運ばれてきました。L字のカウンターだけでも10席以上、それに加えて半個室の小上がりが五つあるということは、決して小さい店ではありません。しかるに店主一人で全ての品を調理するという職人芸は天晴れです。「常きげん」が名入りのガラス徳利で供されるのも心憎いものがあります。

その店主と、揃いのトレーナーを着た女将、それに手伝いのお姉さんが店を仕切ります。店主と女将はこちらよりも一回り上といったところでしょうか。それにしては店構えが古いことからすると、今の店主が二代目、三代目なのかもしれません。この時間からカウンターに五人もの先客がおり、皆名前で呼ばれていることからしても、地元で根強い人気を誇る名店なのは一目瞭然でした。
そもそも野町という場所柄、よそ者が滅多なことで訪れるはずもありません。一見客は完全に浮いてしまいかねない状況です。それにもかかわらず、何一つ気兼ねなく酒を酌んでいられるのは、快活な三人組の客あしらいのおかげでしょう。よそ者だからといって無下にはしない、だからといって特別扱いもしないというほどよい間合いがありがたく感じられます。名酒場との思わぬ出会いが酒を進ませ、軽く一杯やるつもりが、腹も心も満たされました。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と実感した次第です。

わり勘
金沢市野町4-3-6
076-244-2280
平日 1600PM-2300PM
日祝日 1600PM-2200PM
月曜定休

常きげん・立山
刺身五種盛
おでん二品
かぶら寿し
出巻玉子
あら汁
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汽車旅in北陸 2017 - 悪魔のささやき

2017-01-15 16:25:41 | 北陸
四時を回ったところで空が暗くなり、再び雪が降ってきました。しかも、先ほどまでとは違う湿った雪です。これが潮時と見て切り上げました。
時間をかけて寺町を歩いたのは実質初めてのようなものでしたが、ひがし茶屋街などとは対照的な、観光客が全くいない静かな雰囲気が秀逸でした。寺町といえば自身なじみが深いのは弘前ですが、中心を片側二車線の直線路が貫くという壮大さが金沢ならではでした。
明日は名古屋に寄って帰ることになりますが、滞在を一日延ばそうという悪魔のささやきが聞こえ始めています。そもそも明日休みをとったのは「大甚本店」に寄るためであり、呑み屋へ行くためだけに一日休むという道楽に走ったわけです。しかし、金沢の雪景色など滅多に見られるものではなく、仮に雪が降っても歩くには難儀するのが常です。ところが今日は時折乾いた雪が降るだけで、街歩きにはお誂え向きの条件でした。この天候が明日も続けば、「大甚」は次の機会に譲り、最後まで金沢に滞在した方がよさそうな気がしてきた次第です。
もっとも、上記の通り再び湿った雪が降ってきており、明日は再び足下が悪くなる可能性も十分にあります。今日のところは夜の部に注力し、後のことは明日の朝の空模様を見て判断します。
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汽車旅in北陸 2017 - 寒紅梅

2017-01-15 15:46:51 | 北陸
沿道の公園に雪だるまが。しかしそれ以上に驚いたのは、八重咲きの紅梅が早くも咲いていることです。それも一輪、二輪ではなくかなりの数の花があります。早咲きの梅といえば名高いのは熱海の梅園ですが、あちらも最盛期にはまだ早い頃です。ところが北陸で、しかも雪の降る寒い日に梅が咲いているとは思いませんでした。桜はともかく、梅と雪との取り合わせは初めてかもしれません。
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汽車旅in北陸 2017 - 寺町

2017-01-15 14:55:40 | 北陸
歩くには難儀するかと思いきや、意外とそうでもありませんでした。本日は犀川を渡り寺町を回っています。
富山では湿った雪が降り続く単調な天候でしたが、今日は一転変幻自在な空模様となっています。午前中に降ったり止んだりしていた雪が昼頃に一旦止み、それを境に空気が変わったようで、雪もなければ風もなく、乾いた雪が時折舞って数分で止むという天候になりました。乾いた新雪が積もったため、昨日に比べて格段に歩きやすくなった上に、雪が降っても傘が要らないのは助かります。
昨日の雪が降り続くなら、今日は「赤玉」で昼から一献傾け、あとは北鉄の電車に乗って終わりにするつもりでした。しかしこの天候なら昼から酒など呑んでいる場合ではありません。時間の許す限り寺町を歩き、「大関」が開くのに合わせて呑み屋街へ移ろうかと考えています。
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汽車旅in北陸 2017 - 金沢21世紀美術館

2017-01-15 11:28:33 | 北陸
宿を出ると雪は止んで青空が広がっていました。しかし小雪がちらついたと思った次の瞬間、湿った雪が大量に降ってきました。雨宿り、もとい雪宿りを兼ねて、駆け込んだのは金沢21世紀美術館です。
美術には何の興味もありません。しかしこの建物が名建築です。円筒のような平屋建ての外周は全面ガラス張りになっていて、白壁と金属製の高い天井、コンクリート打ちっ放しの床が作るモノトーンの空間が洗練されています。円形の外周に対し内部は直線状に仕切られており、中庭に面した通路には木製の揺り椅子が。それに腰掛け窓の外を眺めていると、雪はいつしか止んで青空が広がり、その後再び雲って雪が舞い降りてきました。変幻自在な空模様は眺めていて退屈することがありません。
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汽車旅in北陸 2017 - 出発

2017-01-15 09:38:26 | 北陸
朝食をいただき、部屋でしばし寛いでから出発します。昨夜は貸切だったのか、他の宿泊客の姿を最後まで見かけませんでした。大雪との予報を受けて人々が出控えたのでしょうか。雪が積もった中庭を眺めつつ、食堂で悠然といただく朝食は何とも贅沢でした。
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汽車旅in北陸 2017 - 二日目

2017-01-15 08:42:59 | 北陸
おはようございます。金沢の第一夜は「浜長」一軒で打ち止めとなりました。もう一軒はしごするにもやぶさかではなかったものの、頼みの綱の「赤玉」が早仕舞いしており、否応なしに終了という結果です。とはいえ、富山と金沢を股に掛け、三軒の名酒場で存分に飲み食いしてきたこともあり、物足りなさは感じません。去年調子に乗りすぎて、翌日に響いてしまったことを考えると、そうなる前に踏みとどまったのは結果的によかったのかもしれません。
金沢に着いてから、雪は断続的に降ってくる程度になりました。しかし雲行きはむしろ怪しくなっています。この時間でも空は暗く、先ほど雷が鳴って、直後に粒状の雪が音を立てて降ってきました。雪が降るというと、湿った牡丹雪か、あられのような粒状の雪で、それは昨日の富山から一貫して変わりません。これは表を歩きづらいということでもあり、昨夜も凍結した路面を恐々歩いて宿に戻りました。
本日は金沢に終日滞在できる状況ながら、上記のような天候もあり、行動には制約が加わるかもしれません。まずは散歩がてら野町の方まで歩き、そこから北鉄の電車に乗ろうかと考えていますが、天候と路面の状態に応じて臨機応変に動くつもりです。
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