日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

お前もか

2019-11-14 23:06:57 | 旅日記
Yahoo!運営会社の経営統合とやらが世間の耳目を集めた一日でしたが、自分にとってはそれ以上に看過しがたい出来事がつい最近ありました。Mapionに見切りをつけて以来、十年来世話になってきたYahoo!マップ改めYahoo!地図に、由々しき改変が加えられたのです。
そもそもMapionを見限ったのは、当時から既に主流となっていたGoogleマップに追従し、起伏と線形を捉えづらい、のっぺらぼうな見た目になってしまったからです。その点、陰影をつけて地形の起伏を表現し、道幅まで精細に描き分けるYahoo!マップは理想的でした。ところが先週、一目見て違和感を覚えるほどの変化がありました。そのとき瞬間的に思ったのは、かの名高い「お前もか」の台詞です。要は、Mapion同様Googleマップに追従し、起伏と線形を捉えづらい平板な見た目に変わったということですが、よくよく比べてみたところ、それどころの話ではないことに気付きました。捉えづらいどころか全く表現されていないのです。
かつてに比べ大幅に見劣りするとはいえ、地形の起伏の表現についてはMapionの方が多少なりとも優れています。小縮尺の地図では色分けと陰影によって、大縮尺の地図では等高線によって、それぞれ起伏が描かれるからです。これに対してGoogleマップの場合、小縮尺での扱いはおおむね同様ながらも、大縮尺では起伏が全く描かれず、蛇行する川、つづら折りの道などによって推測するほかありません。その弊害として引き合いにしてきたのは、いわゆる酷道として名高い大阪、奈良両府県に跨がる暗峠です。少なくとも画面上で見る限り、有料道路に並行して直線的に府県境を跨ぐ道にしか思われず、登坂に難儀するほどの悪路とは気付きません。ただし、Googleマップにはその欠点を補うための配慮もあります。国道ながらも色分けの表示がなされないことにより、事実上使えない経路と察知できるのです。この点については、国道を杓子定規に色分けしているMapionを上回る周到さが感じられます。
このように、MapionにもGoogleマップにも一長一短があるところ、改変後のYahoo!地図は、両者の欠点を集約したかのような代物となってしまいました。いかなる縮尺でも起伏は全く描かれません。国道418号線を始めとして、事実上の廃道と化している道についても、指定が解かれない限りは杓子定規に描かれます。一夜にして全く使えない代物に変わり果てたという点では、新幹線開業後の旧北陸本線を目の当たりにしたときのような衝撃を受けました。
こうなった理由については分からないこともありません。自分自身、Yahoo!地図を専らPCでの閲覧にしか使っておらず、携帯端末では専らGoogleマップの世話になっていたからです。MapionにしてもYahoo!地図にしても、携帯端末での見やすさを追求した結果、Googleマップと似たような見た目に収斂していったということでしょう。しかし、国道であっても使えない道については色分けせず、逆に県道でも交通量の多い道は国道に準じた形で表示するといった配慮が、改変後のYahoo!地図にはありません。見た目だけ取り繕っても中身が全く追いついておらず、あちらを差し置いてまで使う理由を見出せないのが現状です。時代の流れに乗ったつもりが乗り切れず、むしろPCでの使い勝手を大幅に低下させたという点で、「二兎追う者は一兎を得ず」の諺を思い出させる出来事でした。Yahoo!地図の自滅により、Googleの独擅場がこれからますます強まっていくのでしょうか。世知辛い世の中です。
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