日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

幕引き

2019-11-15 22:46:20 | 旅日記
先月の北海道を振り出しにして、中断を挟みながら続けてきた長旅に、いかなる幕引きがふさわしいかと考えたとき、出てきた答えは金沢でした。明日から北陸へ戻ります。
他の候補として高山がありました。去年の早春以来長らく無沙汰してきたのに加え、経路上無駄なく寄れるという点でも理想的だったからです。最大の壁となる宿の手配に関しても、今週末についてはどうにかなりそうでした。しかし、北海道からの帰り道に北陸へ行ってみたいとは思っても、さらに飛騨にも行ってみたいとは思われず、むしろ蛇足になりそうな気がしたとでも申しましょうか。北陸で完結させた方がよかろうという漠然とした考えが残り、決断に踏み切るまでには至りませんでした。
漠然とした考えにとどまっていたのは、どこも決め手を欠いたからです。終日雨という明日の予報を考えると、もう一度能登へ行っても仕方なく、仮に行っても帰りの移動が厳しくなります。代わりに富山へ行ったとしても、地鉄電車に乗る以外の使い道が浮かびません。もちろん悪くはないものの、雪の積もる時期に何度か乗ってきたこともあり、雨の日に改めて乗りたいと思うほどの意欲が湧きませんでした。そのような中、金沢へ行くという妙案が浮かんだのは一昨日になってからです。それまで候補にすら挙げていなかったのは、九月に行ったばかりなのに加えて、宿泊事情の厳しさによるところもあります。しかし、単なる焼き直しではない、雨の日ならではの使い道を思いついたのが決め手となりました。明日はそれを実行に移します。
結果としては、家庭の事情で先週末を泊まりがけにできなかったのが痛かったともいえます。というのも、日曜に雨晴のお立ち台で出会った通りすがりの青年によると、前日は立山連峰を見渡せる快晴だったそうなのです。仮に泊まりがけを選択できる状況なら、東北と北陸へそれぞれ日帰りするなどという苦肉の策を採る必要もなく、土曜に立山連峰を眺めて有終の美を飾り、翌日自走で帰るという手はあったでしょう。そうすれば、今週末は好天の太平洋側で活動できました。天候と自身の都合以外の理由で妥協をすると、それが禍根になることは多いものですが、今回もご多分に漏れずというべき結果です。
とはいえ、同様に禍根となった正月のときとは違い、惜しまれて仕方ないというほどでもありません。むしろ、いよいよ冬らしくなってきた北陸に、もう一度行けるという高揚感が勝っています。明日の雨をやり過ごすと、翌日は午後から晴れる可能性もあるようです。日本海に沈む夕日で締めくくり、有終の美を飾れれば最高でしょう。
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