日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の能登を行く - はくたか578号

2019-11-04 20:48:49 | 北陸
明言をしていたわけではありませんが、賢明な読者の方は途中から予想できたかもしれません。高岡駅に再び車を置いて帰ります。活動再開から393km, 北海道編から通算2927kmを走って能登編は完結です。最終の「はくたか」で三度目となる一時帰京の途につきます。
沖縄へ行くのを延ばし、代わりに能登へ行くと決断した時点では、今日を最後に自走で帰るつもりでいました。さらに延長する案がいつ頃頭をもたげてきたのか、自身の中でも定かでなくなりつつありますが、少なくとも名古屋に寄ろうと決める前からその方針を立てていました。仮に自走で帰るとすれば、輪島を起点にすること自体が冒険であり、前日のうちに富山まで戻っておいた方が無難でした。しかし、高岡にもう一度車を置いて帰るとすれば、輪島から高岡まで戻るだけでよく、能登に滞在できる時間が実質一日延長されます。道内の滞在を一日延長したければ、夜行のフェリーと新幹線を乗り継いで朝帰りをした上に、駐車料まで必要となりますが、こちらは朝帰りも駐車料も要りません。ならば一週延ばすしかなかろうというわけです。

次回でいよいよ完結かというとさにあらず。この構想には続きがあります。再開後は新潟へと戻っていき、もう一度だけ車を置いて帰京。翌週会津の紅葉を眺めて終わりにしようという算段です。一見すると唐突なことを企てたのは、故障に見舞われ頓挫した先々月の活動で、北海道へ渡るに先立ち行こうとしたのが会津だったからに他なりません。稲穂の実る時期に行くという宿願は、今年も結局果たせないまま終わったものの、せめてもの埋め合わせに紅葉を見ていこうという寸法です。実現すれば、今年も一月以上にわたる長旅となります。さらなる続きも楽しみです。

★高岡2019/359D/2022新高岡2031/はくたか578(578E)/2324東京
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晩秋の能登を行く - デリー

2019-11-04 19:30:52 | B級グルメ
無謀とも思える寄り道を繰り返したのは、富山に泊まり翌朝の始発列車で帰るという奥の手が残っていたからでもあります。しかし幸いその必要はなくなりました。穴水を六時過ぎに出ることができ、のと里山海道と能越道の流れもよく、想定より短い時間で走りきり高岡に戻れたからです。一杯やる時間まではないものの、腹ごしらえする時間はあります。脇目も振らずに駆け込んだのは「デリー」です。
昨日の今日というのも芸のない話です。駅周辺にはかねがね行ってみたいと思っていた店もあります。しかし、あくまで最小限の時間が残ったにすぎません。営業しているかどうかが不確かな連休最終日の夜、行ったにもかかわらず閉まっていれば万事休すです。それ以前に、営業時間と定休日を調べる時間も惜しまれました。その点ここなら無休で営業しているのが分かっています。店へ寄って駅へ向かう道順は頭に入っており、おおよその時間についても見当がつきます。何を選ぶか迷うこともありません。席に着くなり注文したのは、昨日から揚げセットと二者択一の状況で見送ったデリーセットのSです。
カレー一種と小さめのタンドリチキンを主役に据え、ご飯かナン、ラッシーかチャイを選べるというのがその内容です。カレーと同様、タンドリチキンも本家のそれとは微妙に違い、骨付きの腿肉を使うところと汁っぽさに当店の特徴があります。それに加えて気付いたのは、セットのカレーに鶏肉が入らないことです。しかし昨日は全く気付きませんでした。セットが非常に充実していて、カレーに肉が入らなくとも物足りなさを全く感じないからでしょう。これでSかと思うほど大きいチキンは食べ応え十分で、カリーに肉がない分を埋め合わせても余りあります。昼夜問わずにいただけて1200円はお値打ち品です。
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晩秋の能登を行く - 九十九湾園地

2019-11-04 17:09:05 | 北陸
能登半島の先まで行ける機会は滅多にありません。時間が押すのを承知でなおも攻めます。続いて立ち寄るのは九十九湾園地です。
半島の東側を走って帰る関係上、夕景には多くを期待しないと申しました。しかし地図をよく見ると、九十九湾の周辺だけ海岸が東西方向に延びています。海岸線が入り組んでいることも考えると、夕景の絵になる場所がどこかにあろうと考えたのです。こうして車を走らせると、少しだけ突き出た岬がカーナビの画面に映りました。それが九十九湾園地でした。
周囲の状況もよく分からないまま、駐車場から夕焼けが広がっている方角へ向かうと、遊覧船の乗り場に着きました。その先の波打ち際に何本も打ち込まれた六角形の柱を、飛び石のように伝って歩くと、岬の先端に回り込めるという仕掛けです。そのまま歩いていったところ、波に洗われ丸くなった岩礁が影絵になり、凪いだ入江が茜色の空を映していました。能登の夕景といえば、思い出すのは昨秋訪ねた機具岩です。あれほどの絶景というわけではないものの、ささやかなこちらの眺めも悪くありません。粘った甲斐はありました。
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晩秋の能登を行く - 見附島

2019-11-04 16:28:58 | 北陸
後は野となれ山となれ、続いて訪ねるのは見附島です。先ほど訪ねた大崎島と同様、島というより巨岩ですが、こちらの特徴は垂直に切り立った白い岩肌にあります。高さはおそらく大崎島より上でしょう。その岩肌に夕日で陰影ができており、彼方に漂う雲との重なり具合も絶妙です。半島の東側を走って戻ることからして、夕景には多くを期待していませんでしたが、思わぬ収穫ができました。
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晩秋の能登を行く - 珠洲駅

2019-11-04 16:04:25 | 北陸
続いて訪ねるのは珠洲駅です。駅舎こそないものの、輪島と同様バスの発着所を兼ねた道の駅に転用され、片隅にはホームの一部と信号機が残ります。構内の外れだったと思しき場所には、枕木で造った柵と側線も。駅の跡地に限っても見所が多すぎ、時間がますます押してきました。
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晩秋の能登を行く - 正院駅

2019-11-04 15:42:14 | 北陸
早々と悪魔のささやきに負けてしまいました。一つ隣の正院駅を訪ねます。日が陰るまで、どのみちわずかな時間しかありません。ならばそれまで、駅の跡だけでも見ておこうと思い直した次第です。
こうして訪ねた正院駅、蛸島の駅舎を鏡に映したようなコンクリート製の駅舎が残るだけではなく、隣に立つ小屋には「正院駅付近案内図」と書かれた絵入りの看板が残ります。廃止から十数年も経ちながら、これだけのものが残っている路線はなかなかありません。やはりいずれは一日かけて巡るしかなさそうです。
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晩秋の能登を行く - 蛸島駅

2019-11-04 15:20:42 | 北陸
禄剛崎からは車窓が若干変わりました。地図の上ではどちらも海沿いの道ですが、左手に日本海を眺めつつ行く快走路は、両側に建て込んだ幅の狭い道となり、右に左に弧を描きながら南下していきました。久々に現れた信号が珠洲市街の入口です。その市街の外れに旧蛸島駅があります。
かつての能登線が、国鉄改革の一環として廃止され、のと鉄道として再出発するも、時代の波に抗えず廃止となったのが14年前でした。昭和30年代の開通だけに規格が高く、橋、築堤、トンネルなどの遺構が随所に残っており、終点だったこの駅でも駅舎とホームが健在です。ただし、旧北陸本線の遺構と違うのは、保存、転用ではなく単なる放置に近いことです。屋根の上にはススキの穂が茂っており、14年という時の流れを物語ります。しかし、駅の向かいの民宿兼食堂は盛業中です。もう少し早ければ、ここでお昼をいただくにもやぶさかでないところでした。
新車の頃から16年働いてきたカーナビには、当然ながら駅と線路が描かれています。その気になれば延々辿って行けるわけです。しかし、残りの持ち時間では当然ながら足りません。仮にやるなら、それだけのために一日かけるしかないと思っていました。気になるものはありながらも、今日のところは粛々と走って行くしかありません。
それは想定通りですが、今更ながら確かめて驚いたのは、起点だった穴水まで60km以上もあるという事実です。単純に考えれば一時間半ほどで着き、日が暮れるまでに穴水へ戻るという、今朝出発した時点の目標を一応達成できます。しかし、そこから自動車専用道を走っても、高岡までは二時間ほどの道のりです。つまり、楽観的に考えても、高岡に戻れるのは七時頃ということになります。これ以上寄り道を繰り返せば、最後に相当慌てる可能性が出てきました。心して走りたいと思います…
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晩秋の能登を行く - ドライブイン狼煙

2019-11-04 14:20:43 | B級グルメ
朝から飲まず食わずで空腹感が限界です。一区切りついたところで遅い遅い朝食兼昼食をいただきます。
ここまで引き延ばしてきたのは、早めに距離を稼いでおきたかったのもさることながら、珠洲まで走れば8番らーめんがあると分かっていたからでもあります。珠洲まで相当かかることは、比較的早い段階で悟ったものの、月並みな店で済ませるのも面白くありません。そのような理由で素通りした店が、ここまで来る途中にもありました。禄剛崎まできたところ、ようやく頃合いの店が現れ、すぐにでも飛び込みたいのはやまやまのところ、岬へ行くのを優先し、しかる後にようやくありつけたという顛末です。
何が頃合いかといえば、ドライブインの切抜き文字を掲げた、古びた看板建築です。店内も外観同様古びており、印刷済の食券、三角形に折られた紙ナプキンなど細かなところに至るまで、昭和の頃の雰囲気が色濃く漂います。大女将、若女将、娘さんらしき三世代で仕切るところもこちらの好むところです。店先にあるガラスケースの見本から選んだのはカツカレー880円也。味だけで考えれば、ここまで素通りしてきた店と比べても、決定的な違いはないのかもしれません。しかし、この店内でいただけることに価値があります。渡りに船の一軒でした。

ドライブイン狼煙
珠洲市狼煙町ヘ-69-70
0768-86-2355
1030AM-1500PM
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晩秋の能登を行く - 禄剛崎

2019-11-04 13:34:45 | 北陸
三度目の挑戦でついに宿願達成です。能登半島最北端の禄剛崎に着きました。
車では手前までしか行くことができず、岬の先端には歩いて行くしかないという状況はよくあるものです。こちらも御多分に洩れずでした。時間が押している状況に鑑み、端折ってしまおうかともました。しかし、ここまで来ておきながら素通りというのも画竜点睛を欠きます。毒を食らわば皿までもの心境で遊歩道を登りました。幸い急坂は思ったほど長くなく、その先にある広場の奥に灯台が鎮座していました。その灯台に塗装のための足場が組まれているという、何とも拍子抜けする結果ではありましたが、意外なほどに落胆はしていません。灯台自体に興味はなく、地の果てまで行ってみたいというのが第一だったからです。そのことを実感するにふさわしい場所ではあります。広場から見渡せば、これまで眺めてきた車窓をはるかに超える、日本海の大海原が広がっており、半島の先端なのが一目瞭然です。彼方には佐渡らしき島影も見えています。大きな雲が漂う空と、海の青さも申し分ありません。もう一花と言い聞かせ、高岡から延々走ってきましたが、その甲斐はあったと言い切りましょう。
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晩秋の能登を行く - 椿展望台

2019-11-04 12:38:39 | 北陸
輪島を出てからというもの、大半の区間で海沿いを走ってきましたが、車窓の変化はありました。輪島から続いてきた起伏のある道が、珠洲市との境を越えると平坦になり、県道に入ってからは再び起伏が出てきました。やがてかなりの急坂が始まり、登り切ったところで視界が開けました。続いて立ち寄るのは椿展望台です。
ありがたいことに、日の射す時間が次第に長くなってきました。その一方で次第に短くなっていくのが持ち時間です。国道から分かれた地点を基準にすると、禄剛崎へ至る道の半分ほどを走ったにすぎません。仮にそこまで行ったとしても、さらに同じかそれ以上走らなければ珠洲の市街に至りません。無闇に先を急ぎたくはないものの、さりとて悠長にもしていられなくなってきました。
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晩秋の能登を行く - 大崎島

2019-11-04 12:01:05 | 北陸
やはりというか、ゴジラ岩より絵になると先ほど評した巨岩には、大崎島なるれっきとした名がありました。島とまで言っては大げさのような気がするものの、たしかに岩と呼ぶにも役不足に思える偉容です。
遠目にはなだらかな三角形のように見えた全貌は、間近で見るとヒグマの背のようでもあります。ゴジラ岩の地点では洗濯板のように見えた岩礁も、ここから振り返るとかなり険しい岩場なのが一目瞭然です。刻一刻と眺めが変わり、わずかな区間で小一時間を消費してしまいました。後半は時間との戦いになりそうです…
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晩秋の能登を行く - ゴジラ岩

2019-11-04 11:22:24 | 北陸
千枚田からさらに走り、珠洲市に入った先からは自身未踏の領域です。揚げ浜式の塩田が点在する海沿いの国道をしばらく行き、禄剛崎へと迂回する県道28号線に入りました。ここで再び日が射して、さらには景勝地が現れる流れは願ったり叶ったりです。
案内板にはゴジラ岩とあります。駐車帯の正面にある奇岩がそのゴジラ岩とやらでしょうか。しかしそれより絵になるのは、海岸線に沿って岩礁が露出し、その彼方に巨岩が鎮座している眺めです。ただし、それらだけでは平板にしかなりません。立体感のある雲が漂っているからこその絶景です。日が陰りがちな空模様が、この場面に関する限りは吉と出ました。
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晩秋の能登を行く - 日射しの違い

2019-11-04 10:46:32 | 北陸
千枚田は稲穂が頭を垂れる時期にも訪ねています。全て刈られたこの時期に長居をする必要はありません。手短に切り上げて移動を再開します。
とことん走ろうと決めたのは、終日晴の予報に期待してのことでもあります。しかし、蓋を開けるといささか微妙な空模様です。海上に浮かんでいた大きな雲が頭上にも漂って、日が陰る時間が次第に長くなってきました。ただし昨日と違うのは、晴れるときは晴れ、陰るときは陰るという形で、違いがはっきりしていることです。晴れ間を待っていてはきりがなく、晴れている場所へ走っていくのが一番でしょう。

新高岡の駅で列車を降りたとき、名古屋との気候の違いを感じました。Tシャツ一枚で十分だった名古屋に対して、明らかに肌寒く感じられたからです。しかし、日射しの違いは盲点でした。名古屋では、気温の高さもさることながら日射しが熱く、日陰を選んで歩きました。ところが今日は、日が射せば暖かく、陰れば肌寒く感じます。薄日から曇に変わった昨日は気付かなかった、晴れたり陰ったりを繰り返す今日だからこその発見です。
こちらは北海道との違いですが、山肌の色づきも違います。くすんで見えた釧路の紅葉よりもさらにくすんでいて、錦繍の形容がふさわしかった道北、道央とは全く違う眺めです。やはり植生の違いによるところが大きいのでしょう。そのようなわけで、紅葉には多くを期待できません。それでも晩秋らしさを感じられる場面は訪れるでしょうか。
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晩秋の能登を行く - 千枚田

2019-11-04 10:31:40 | 北陸
本日も「迷ったら買え」の原則に従います。最北端の禄剛崎を目指し、国道249号線を移動中です。まずは白米千枚田を再訪しました。
今日で終わりにすることを考えると、無謀な挑戦ではあるのです。まず穴水へ戻り、能登島に寄りつつ南下していく程度が丁度よいようにも思いました。そうすれば後半になっても余裕を持てます。いずれ輪島に連泊する機会を作り、半島の先端にはそのときに回せばよかろうという寸法です。しかし、今回もそうするつもりでいたはずが、一泊限りに終わりました。いずれなどと言っていてはいつ実現するかも分かりません。ならば今日行ってしまおうと思い至った次第です。
もちろん、行くこと自体を目的化するつもりはありません。海沿いに周回しつつ、眺めのよい場所には寄っていくことになるでしょう。それだけに、どれだけ時間が要るのかは今のところ読めません。ただし、輪島から高岡まで、自動車専用道でも二時間以上かかったという実績があります。少なくとも、日没までには穴水あたりまで戻った方が無難ということです。ひとまずはそれを目安に走ります。
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晩秋の能登を行く - 袖ヶ浜キャンプ場

2019-11-04 08:44:55 | 北陸
一晩世話になった袖ヶ浜キャンプ場を出発します。雨晴のキャンプ場では人出の多さに驚きましたが、こちらもかなりの賑わいでした。車の数こそ若干少なめだったものの、テントの数には大差がないように見えました。二輪車の旅人の割合が多いかどうかという程度の違いでしょう。市街が近く、繁忙期を除いて無料という条件を考えれば、この賑わいも宜なるかなではあります。
前夜のように無風なら、海を見ながら最後に一杯やってみたいところでした。しかし昨夜の荒れ模様ではそれも叶わず、戻るや否や車中に逃げ込み、そのまま休むという結果でした。それなら朝市の駐車場を拝借すればよく、キャンプ場に泊まる必然性はなかったともいえます。とはいえ、失敗したと思っているわけでもありません。真正面に広がる浜辺の潮騒を聞きながら休めただけでも、ここに泊まった甲斐はあったというのが実感です。急変した天候も、やがて来る北陸の冬を予感させるものでした。晩秋の能登らしい一幕を演出してくれたことに感謝します。
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