嬉々として昼から呑んでいた頃もあります。しかし近年、昼酒というものにほどんど興味がなくなりました。根本的な理由は、昼に魚介をいただくことがなくなったのと共通しているともいえます。呑み屋には夜に行ければ十分で、魚介もそこでいただけばよく、昼には昼ならではの店を優先したいという考えが、年々強くなってきたのです。ところが今日は珍しく、明るいうちから一杯やることにしました。「真琴」の暖簾をくぐります。
金沢で昼酒というと、駅なら黒百合、繁華街なら赤玉本店です。特に赤玉本店なら、宿からもさほど歩かず行けました。しかるに延々歩いてきたのは、これもある意味昼ならではといえるからです。
この店の存在を知ったのは一昨年の秋でした。そのときは既に看板だったものの、翌年の正月に初めて訪ね、それ以来の再訪です。観光客が闊歩するひがし茶屋街の中でも、比較的人通りの少ない路地裏にあって、能登産のヒバだという白木を生かした店内の設えも好ましく、女性店主ならではの細やかな気配りが感じられるよい店でした。それにもかかわらず二年近くも無沙汰したのは、繁華街から大分離れたひがし茶屋街という立地と、中途半端な営業時間が壁となってきたからでした。行くとすれば、事実上主計町の木津屋旅館に泊まったときしかありません。それも、はしご酒の最初か最後のいずれかということになります。ところが、昼の部は正午から、夜の部は七時から、それぞれ四時間ずつの営業だったのです。前述の通り、昼酒には近年興味がなくなっており、行くとすれば夜の部ですが、11時の閉店はバーとして考えるとやや早めです。さりとて開店が七時では、肩慣らしに軽く一杯という使い方にも向きません。そのような事情もあって、正月に泊まったときは機会を逃しました。
事情が変わったのは最近になってからです。昼と夜に分かれていた営業時間が、昼からの通し営業に変わったと風の便りに聞きました。それなら話は違ってきます。遅めのお昼を兼ねて立ち寄り、明るいうちの雰囲気を味わってみるのも一興と思い立った次第です。
昼の部と夜の部が分かれていたことからして、日中は酒の呑める定食屋、あるいは喫茶のような業態なのだろうと思っていました。しかしそれは勝手な思い込みに過ぎませんでした。以前訪ねたときとほぼ同じ品書きだったからです。定食が四種ほどあるものの、その他については酒肴が多く、惣菜の類は全くありません。ただし、夕方六時までという飲み放題があります。一杯につき七酌ほどという酒も、昼の部では一律500円でいただけるようです。飲み放題が1800円という条件から単純に考えると、三合弱呑まない限り元は取れないということになりますが、何銘柄もいただける価値を含めて考えれば、量だけで決まるというものでもありません。店主の勧めもあって飲み放題を選びました。
安い酒だけ飲み放題にするありがちなものではなく、冷蔵庫にある地酒を自ら注いでよいというものです。お猪口とほぼ同じ量のグラスに注ぐ形になるため、一杯あたりの分量は五酌のさらに半分といったところでしょうか。とはいえ、片っ端から試していくと結構な分量になるものです。はしりの新酒も出回る中、ひやおろしがまだ相当数残っており、それらを中心にいただきました。
そこまではよかったのですが、最後に些細な失敗がありました。時間切れまであと15分ほどとなったところで肴が尽き、最後は汁物でもいただければと考えて選んだのは、前回もいただいたスープカレーでした。ところが、記憶が大分あやふやになっていたと後々知ることになります。汁物をいただくつもりが、出てきたのは一人前のカレーライスだったからです。もちろん米粒一つ残さずいただきましたが、二軒目以降に温存するつもりだった余力の少なからぬ部分を使ってしまいました。次なる機会があったとすれば、ご飯抜きでカレーだけお願いするのも一案でしょう。
そのようなわけで、最後の詰めを誤ったものの、今後は肩慣らしに一杯という使い方もできることになります。このような芸当が可能となったのは、従業員が増えたためでもあるようです。店主は五時に一旦上がっていき、その代わりにもう一人のお姉さんがカウンターに立ちました。二人組での接客を基本としつつも、何人かで交代しながら回していく仕組みにしたのでしょう。それだけでなく、近日中に駅前にも支店を出すとの告知があります。どの飲食店も人不足に悩んでいるご時世、繁盛しているようなのは天晴れです。
★日本酒真琴
金沢市東山1-5-3
076-205-3800
1130AM-2230PM(水曜 -1600PM)
木曜及び第二・第四水曜定休
竹葉
遊穂
常きげん
能登路
百石酒屋のおやじの手造り
ほまれ
天狗舞
地物珍味盛り合わせ
生姜入りスープカレー
金沢で昼酒というと、駅なら黒百合、繁華街なら赤玉本店です。特に赤玉本店なら、宿からもさほど歩かず行けました。しかるに延々歩いてきたのは、これもある意味昼ならではといえるからです。
この店の存在を知ったのは一昨年の秋でした。そのときは既に看板だったものの、翌年の正月に初めて訪ね、それ以来の再訪です。観光客が闊歩するひがし茶屋街の中でも、比較的人通りの少ない路地裏にあって、能登産のヒバだという白木を生かした店内の設えも好ましく、女性店主ならではの細やかな気配りが感じられるよい店でした。それにもかかわらず二年近くも無沙汰したのは、繁華街から大分離れたひがし茶屋街という立地と、中途半端な営業時間が壁となってきたからでした。行くとすれば、事実上主計町の木津屋旅館に泊まったときしかありません。それも、はしご酒の最初か最後のいずれかということになります。ところが、昼の部は正午から、夜の部は七時から、それぞれ四時間ずつの営業だったのです。前述の通り、昼酒には近年興味がなくなっており、行くとすれば夜の部ですが、11時の閉店はバーとして考えるとやや早めです。さりとて開店が七時では、肩慣らしに軽く一杯という使い方にも向きません。そのような事情もあって、正月に泊まったときは機会を逃しました。
事情が変わったのは最近になってからです。昼と夜に分かれていた営業時間が、昼からの通し営業に変わったと風の便りに聞きました。それなら話は違ってきます。遅めのお昼を兼ねて立ち寄り、明るいうちの雰囲気を味わってみるのも一興と思い立った次第です。
昼の部と夜の部が分かれていたことからして、日中は酒の呑める定食屋、あるいは喫茶のような業態なのだろうと思っていました。しかしそれは勝手な思い込みに過ぎませんでした。以前訪ねたときとほぼ同じ品書きだったからです。定食が四種ほどあるものの、その他については酒肴が多く、惣菜の類は全くありません。ただし、夕方六時までという飲み放題があります。一杯につき七酌ほどという酒も、昼の部では一律500円でいただけるようです。飲み放題が1800円という条件から単純に考えると、三合弱呑まない限り元は取れないということになりますが、何銘柄もいただける価値を含めて考えれば、量だけで決まるというものでもありません。店主の勧めもあって飲み放題を選びました。
安い酒だけ飲み放題にするありがちなものではなく、冷蔵庫にある地酒を自ら注いでよいというものです。お猪口とほぼ同じ量のグラスに注ぐ形になるため、一杯あたりの分量は五酌のさらに半分といったところでしょうか。とはいえ、片っ端から試していくと結構な分量になるものです。はしりの新酒も出回る中、ひやおろしがまだ相当数残っており、それらを中心にいただきました。
そこまではよかったのですが、最後に些細な失敗がありました。時間切れまであと15分ほどとなったところで肴が尽き、最後は汁物でもいただければと考えて選んだのは、前回もいただいたスープカレーでした。ところが、記憶が大分あやふやになっていたと後々知ることになります。汁物をいただくつもりが、出てきたのは一人前のカレーライスだったからです。もちろん米粒一つ残さずいただきましたが、二軒目以降に温存するつもりだった余力の少なからぬ部分を使ってしまいました。次なる機会があったとすれば、ご飯抜きでカレーだけお願いするのも一案でしょう。
そのようなわけで、最後の詰めを誤ったものの、今後は肩慣らしに一杯という使い方もできることになります。このような芸当が可能となったのは、従業員が増えたためでもあるようです。店主は五時に一旦上がっていき、その代わりにもう一人のお姉さんがカウンターに立ちました。二人組での接客を基本としつつも、何人かで交代しながら回していく仕組みにしたのでしょう。それだけでなく、近日中に駅前にも支店を出すとの告知があります。どの飲食店も人不足に悩んでいるご時世、繁盛しているようなのは天晴れです。
★日本酒真琴
金沢市東山1-5-3
076-205-3800
1130AM-2230PM(水曜 -1600PM)
木曜及び第二・第四水曜定休
竹葉
遊穂
常きげん
能登路
百石酒屋のおやじの手造り
ほまれ
天狗舞
地物珍味盛り合わせ
生姜入りスープカレー
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