日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

小春日和の駿河路へ 2019 - かね田食堂

2019-11-30 19:52:21 | 居酒屋
日の入りが一年中で最も早いこの時期、その分早く呑めることになりました。しかし、早ければ早いほどよいというものでもありません。土曜の七時という、呑み屋が最も混む時間に重なってしまったからです。こうなると、目当ての「新生丸」に入れるかどうかも微妙になってきます。前回は八時過ぎに訪ね、先客が出るところとたまたま重なって、どうにか滑り込んだものの、あと五分でも早ければ振られていたという結果でした。それだけに、七時台では相当厳しかろうと覚悟しました。
果たしてその予感は的中してしまいました。目を疑うほどの人だかりが店先にできているのです。早くから始めた宴会客が出た直後かと最初は思いました。しかし、遠巻きに眺める限りそういうわけでもなさそうです。先客の片付けが済むのを待っているだけとすれば、彼等が入った後であっても、一人客が滑り込む程度の余地は残るかもしれません。しかし、仮にそうして入れたとしても、賑やかすぎて落ち着かない可能性は十分に考えられます。いずれにしても、一旦退却するしかないと判断し、代わりに「かね田食堂」を訪ねるという顛末です。

「新生丸」と並ぶ教祖の推奨店の一つですが、最後に訪ねたのは七年近く前のことになるようです。これは、九時が看板という条件からして、「新生丸」との掛け持ちが難しいという理由によります。それに加えて、直近には満席の立看板が出ていて振られたこともありました。その事実から疑われたのは、このようなことが常態化している可能性です。当地を題材にした国民的アニメ番組の劇中にも登場するという有名店の存在が、口コミサイトの普及により全国的に広まれば、週末には予約客で早々に埋まってしまってもおかしくはありません。しかし幸い、それはこちらの思い込みに過ぎませんでした。「新生丸」へ向かう途中に下見のつもりで寄ったところ、満席の立看板がなかったため、あちらが混んでいるのを見て、すぐさま見切りをつけたのでした。近年すっかり縁遠くなっていたこの店を、久々に再訪できたという点では、怪我の功名とでもいうべき結果です。
相当混んでいそうだった「新生丸」とは対照的に、こちらは早くも終盤の様相を呈していました。カウンターの先客は一組残っているだけで、小上がりの半分は空き、奥にある座敷からも先客らが三々五々引き上げてきます。そのほとんどが相当通い慣れたらしき地元客です。繁華街から離れた場所にぽつんと佇むこの店が、これほど繁盛するという事実からしても、根強い人気のほどが一目瞭然です。
何故にそこまで流行るかを、自身の趣味的見地を抜きにして考えると、収容力が大きい上に、どの品を選んでも外れがなく、それぞれの品に十分な量があるため、大人数の宴会にはとりわけ好適という要因を挙げることができます。これは、独酌には必ずしも向かないということでもあります。頭上に短冊の品書きはあるものの、全ての品を網羅しているわけではありません。手元にある冊子をいちいち開かざるを得ないのが、いささか野暮に感じられます。目の前にある冷蔵ケースに高さがあり、カウンターの向こう側に立つ店主の仕事ぶりがよく分からないのも惜しいところです。
とはいえ、商売道具と食材を大切にする実直な仕事ぶりはカウンター越しにもありありと窺われます。先客らが店主に一声かけてから帰っていく光景も、店と店主に対する信頼の厚さを物語っているかのようでした。

かね田食堂
静岡市清水区入江1-1-23
054-364-8446
1700PM-2100PM(LO)
日曜及び月曜定休

英君二合
刺身盛り合わせ
たち天ぷら
まご茶漬
コメント

小春日和の駿河路へ 2019 - 和風ビジネス旅館福住

2019-11-30 18:47:34 | 東海
投宿し、風呂から上がって一息つきました。今晩世話になるのは定宿の和風ビジネス旅館福住です。
旅先の候補に清水が浮上した時点で、宿泊事情を一応調べておきました。十分に空きはあり、この宿についても最後の一部屋が空いていました。ただし、早まって手配するのは見合わせました。万一埋まってしまっても、不動の二番手であるキヨナミホテルに泊まれそうだったからです。翌朝再度照会すると、幸い最後の一部屋がまだ空いていたため、手配してから出発するという顛末でした。
通されたのは、前回と全く同じ四畳半の角部屋でした。とはいえ一人旅には丁度よい広さでもあります。前もここだったのを覚えていて、気を利かせてくれたのでしょうか。金沢は「きくのや」の六畳間のごとく、実家に戻ってきたかのような安堵感が湧いてきました。やはり馴染みの宿があるのはよいものです。
コメント

小春日和の駿河路へ 2019 - 篠田酒店

2019-11-30 18:07:00 | 酒屋
来た道を引き返して清水市街へ戻り、出発から200km少々走って投宿という流れはお約束です。その前に酒屋へ寄っていくことについても。先週広島で見送った豊盃のしぼりたてがあったため早速押さえ、県内からは君盃なる初見の酒を選びました。

篠田酒店
静岡市清水区入江岡町3-3
054-352-5047
900AM-2000PM
日祝日定休
コメント

小春日和の駿河路へ 2019 - 三日月

2019-11-30 17:27:59 | 東海
そのようなわけで岬を周回し、港と市街を望む浜辺にやってきました。夕焼けの鮮やかさが冬ならではです。ほどよい高さに浮かんだ三日月も心憎いものがあります。結局予報は下振れし、雲一つないこの空が間もなく曇って、夜半には雨が降り出し、明日も終日曇り空と予想されています。しかし、仮にそうなったとしても、今日の成果だけで十分のように思えてきました。清水と静岡の街で一献やれれば、旅に出た目的はひとまず果たせることになります。夜の部についても楽しみです。
コメント

小春日和の駿河路へ 2019 - 三保の松原

2019-11-30 16:43:19 | 東海
その後は粛々と走ったものの、いかんせん出遅れが響き、由比漁港のかき揚げ屋の閉店にも残念ながら間に合いませんでした。そのようなとき、駆け込み寺にしてきたのは「鐘庵」のカレーそばです。しかるにそれをも素通りしたのは、富士山が陰るかどうかの瀬戸際だったからに他なりません。三保の松原から駿河湾越しに富士山を眺め、今し方山頂が陰ったところです。
正確にいうと、観光客が集まる三保の松原ではなく、半島の先端にある海水浴場です。駿河湾の対岸に富士山が鎮座する絶景が広がるにもかかわらず、観光客が全く来ない穴場でもあります。日没前後の一部始終をこの場所から見届けるのが、清水を訪ねたときの恒例です。ただし、今回は端折ろうかとも思いました。山頂付近に帯状の雲が居座る、画竜点睛を欠く眺めだったからです。それに加え、出発以来飲まず食わずで空腹感が限界だったという事情があります。今更何かをいただいても、夜の部に差し支えるのは明らかです。さりとてこれ以上空腹を抱えるのも耐え難いものがありました。今日は早めに投宿し、呑み屋が開くのを待って入るのもよかろうというわけです。それが例のごとく往生際の悪さを発揮し、やはり訪ねたわけなのですが、結果としては正解でした。
居座っていた雲が次第に晴れていき、いつの間にやら一点の曇りもない眺めに変わったのです。まず駿河湾、その次に手前の山に影が延び、しかる後に富士山が中腹から山頂にかけて次第に暗くなっていく光景が印象的でした。同様の場面に遭遇したこと過去にもあります。しかし、そう滅多に眺められる代物ではありません。真骨頂といえる眺めを、久々に拝めたのは幸いです。
日中に14度まで上がった気温は少し下がって現在12度、風は全くありません。岬を回り込んでいけば、凪いだ水面が茜色の空を映しているでしょう。そちらも眺めてから市街へ戻ります。
コメント

小春日和の駿河路へ 2019 - 大観山

2019-11-30 13:58:28 | 関東
引き続きターンパイクを駆け上がり、大観山まで走り切りました。路肩はうっすら積雪しており、富士山も真冬並みに冠雪しています。11月でこれかと意表を突かれました。
展望台から見えるのは、山頂のやや下に一筋の雲が居座り、晴れそうで晴れないというありがちな眺めです。とはいえ、これもあながち悪くありません。大きな雲がいくつも漂い、左奥には南アルプスも見えます。富士山だけを切り取ると、居座る雲が目障りに映る一方、短いレンズで全景を入れれば、そこそこ絵になるという仕掛けです。
前回は期待していたほど晴れなかったため、ターンパイクには入らずに箱根新道で越えました。今年はこのまま終わるものと思っていただけに、このような形で埋め合わせができたのは幸いです。
コメント

小春日和の駿河路へ 2019 - 達成

2019-11-30 13:30:09 | 
紆余曲折はあったものの、今回もよい形で迎えることができました。西湘バイパスの本線上で通算22万2222km達成です。
小田原の数km手前で到達しそうなことについては、比較的早い段階で読めました。一般道で節目を迎えるかどうかにかかわらず、直前までは西湘バイパスを走ろうと思っていました。ところがそのつもりで進むと、災害復旧工事とやらで対面通行になっており、凄まじい渋滞が始まりました。一般道で行けという思し召しと受け止め、一区間乗っただけで下りるも、こちらも交通量が多くて流れがよろしくありません。しかも、このまま行けば国府津の市街で到達しそうなことが分かりました。松並木が続く旧街道ならともかく、雑然とした市街地では今一つです。やはり西湘バイパスかと思い直し、二宮から乗り直すことに。いよいよ秒読みに入り、非常用の駐車帯を通過しようとするその瞬間にオドメーターがゾロ目に替わるも、咄嗟のこと故止まり切れません。幸い、1kmに満たない間隔で次の駐車帯があったため、こちらで手短に記念撮影を済ませ、ターンパイクの中腹にある展望台まで登ってきたという顛末です。
国府津ICまで200mの看板がすぐそばに建っていました。緊急時以外停車禁止が建前だけに、長々と止まっているわけにはいかず、感慨に浸る余裕もなかったものの、湘南の海が広がる眺めは上々でした。
コメント

小春日和の駿河路へ 2019 - 罪滅ぼし

2019-11-30 11:20:59 | 関東
清水へ向かって下るとき、母方の墓参をしていくのが通例です。本来なら彼岸と盆にも当然参るべきところではありますが、前回と合わせ、二度にわたって参れたのがせめてもの罪滅ぼしではあります。
当時の記録を振り返ると、ほぼ同じ時間帯に参っていることになります。出遅れに関していえば五十歩百歩だったようです。しかし、早春らしい霞んだ空模様だったあのときと違って、今日は乾いた冬晴れの青空が広がりました。現在地の気温は10.5度、いかにも初冬の関東らしい小春日和です。
コメント

小春日和の駿河路へ 2019 - 寝坊

2019-11-30 10:16:38 | 関東
案の定寝坊してしまいましたが、どうにか気力を奮い起こして出発しました。第三京浜を走り切り、只今保土ヶ谷のPAで小休止をとっているところです。
通算22万2222kmの節目を、本活動中に迎えるのが確定的となった時点で思ったのは、ターンパイクの眺めのよい地点なら最高だろうということです。しかし、そう思い通りに行くものでもありません。84kmを残して出発し、現在地までに32kmを走りました。携帯端末で検索すると、小田原までが国道1号線と西湘バイパス経由で約53kmとあります。つまり、小田原の手前で到達するということです。
西湘バイパスといえば、相模湾と伊豆大島を眺めつつ下っていく快走路です。節目を飾るには申し分ありません。しかし、達成地点をそのまま走り抜けるしかないのも味気ないものがあります。松並木が茂る旧道を下っていくのも一案でしょう。どちらにするかは残りの距離とそのときの気分次第ということになりそうです。
コメント