日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

春遠からじ

2019-11-07 21:21:06 | 旅日記
「冬来たりなば春遠からじ」という諺があります。寒さに耐えて春を待つ心情を例えたものですが、自分の理解はやや異なります。
先日旅した北海道では、10月の上旬までと全く違う、晩秋の季節感をありありと感じました。四月から五月にかけての東北でも、週毎に移り変わる車窓が印象に残りました。その経験から改めて気付いたのは、冬が長い分だけ他の季節が短くなり、駆け足で過ぎていくという事実です。
例年以上に残暑が長引き、秋らしさをようやく感じられるようになったのは先月最初の週末、信州を旅した頃からだったと記憶します。それからわずか一月で立冬です。とはいえ、冬らしさを感じられる時間も長くはありません。冬らしい乾いた青空が広がるのは、例年ならば12月の後半になってからです。立春を過ぎるや寒さはたちまち緩み、三月には日射しもいよいよ熱くなって、やがて桜が咲き出します。北国とは逆に、冬が最も早く過ぎるということです。そう思えばありがたみも違ってきます。春遠からじと言い聞かせ、短い冬をしみじみ感じたいと思う今日この頃です。
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