日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

三陸海岸縦断ツアー - 柳堂

2016-10-07 23:17:06 | 居酒屋
呑み屋の数こそ多いものの、遅くまで呑める店ということになると、選択肢はかなり絞られるのが八戸の特徴です。10時過ぎに「ばんや」を出た時点で、教祖の推奨店は「かこい」を除き明かりを落としていました。ならば「かこい」へ行くかというとさにあらず。前回世話になった「柳堂」の暖簾をくぐります。
教祖が推す「山き」「かこい」「おかげさん」と同じ連鎖街に、若い店主が作ったおでん屋です。おでんなど全国どこにでもあるわけであり、八戸へ来てまでいただく必然性は希薄にも思われる中、八戸の呑み屋街を初めて歩いたときから目に留まったということは、直感に訴えるものを持っていたといことでもあります。しかして前回試しに訪ねたところ、おでんが非常に秀逸だったため、今回も余力があれば再訪をと考えていたのでした。

かような経緯からすれば、二軒目には新規の店を訪ねて、ここには余力があった場合だけ訪ねるというのがあるべき選択のようにも思えます。しかるに一軒目からそのまま流れてきたのは、はしご酒が体力的に厳しくなってきたという目下の事情によります。「ばんや」でもそれほど派手に飲み食いしたつもりはないにもかかわらず、腹具合としてはもう十分といえるほどになり、欲張ってもあと一軒が限界という認識でした。必ずしも万全とはいえない状態で、外す危険も覚悟の上で新規の店を訪ねるよりも、勝手が分かった店で軽く一杯やって終わりにしようと考えたわけです。
そして実際にも一杯限りとなってしまいました。腹が満ちているのもさることながら、とにかく身体が酒を受け付けません。お通しとおでん各二品を肴に一合を飲み干すと、おでんはともかく酒はもういいという感覚になりました。そこでおでんだけもう一品注文し、それを和らぎ水とともにいただいて締めくくるという結果です。前回気になっていたライスカレーをいただく余力はもちろんありませんでした。
とはいえ、注文を受けてから一品ずつ仕上げるおでんは一品料理の域にまで昇華されており、八戸に足を運んででもいただく価値がある逸品と再認識させられました。二年ぶりの再訪を果たせたのを幸いに思います。

柳堂
八戸市長横町18
0178-43-2565
平日 1800PM-100AM(LO)/日祝日1800PM-2200PM(LO)
水曜定休

如空
お通し二品(蒸し鶏・長芋たたき)
牛すじ
玉ねぎ
キャベツ巻
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三陸海岸縦断ツアー - ばんや

2016-10-07 21:12:07 | 居酒屋
前回「ばんや」を訪ねたときは、八戸に着いたのが10時近くとなったため、投宿も後回しにして店へ急ぎました。しかし今回は9時という早からず遅からず理想的な時刻です。悠然と歩いて店へやってきました。

この店のカウンターは少し変わっています。暖簾をくぐると正面の左寄りにL字のカウンターがあるように見えますが、そのカウンターは奥の方でさらに一回折れています。二回折れ曲がるということは、通常ならばコの字型となるわけなのですが、ここでは奥の方の短い辺がコの字とは逆方向へ折れ曲がるため、いわばL字と逆L字を組み合わせたような形状となります。逆L字のカウンターを毛嫌いしていることについては以前述べた通りであり、その一方でカウンターと店内を見渡せるL字の短い辺は、好んで着席する位置の一つです。つまりこの店でいえば、玄関をくぐってすぐの位置にある短いカウンターが特等席ということになり、過去に訪ねたときは幸いにしていずれもそこに通されました。
そして今回、三人の先客はいずれも奥行方向の長いカウンターに着席しており、手前の短い方は空いていました。その結果、またも特等席に通されるという結果です。とはいえその後も三々五々お客が入り、いつの間にやらカウンターは満席となっていました。先日の「独酌三四郎」に続き、入るならここしかないという絶妙の間合いに重なったのは幸運だったことになります。

着席するなり気になったのは、店主の姿がないことです。その結果、本日はカウンターに立つ女将を二人組のお姉さんが手伝い、奥の厨房で若主人が調理するという布陣でした。帰り際にたずねてみると、寄る年波に勝てず、今は休んでいるとの返答が。カウンターに立たなくなって一年半ということは、前回訪ねたときも限界に近かったのでしょうか。とはいえまだ健在のようではあり、女将と若主人がいれば店も当分安泰でしょう。馬肉の味噌煮込みにイカの友和えなど、店主が作った唯一無二の逸品はいくつもあります。女将と若主人によりこの味が守られ、店も変わらぬ繁盛ぶりなのは幸いです。
それより気になるのが、同じ街路で区切られた一角が更地となり、角地に建つこの店とわずかな建物だけが取り残されたようになっていることです。ここ以外にもまとまった更地が市街の中心にできていました。百貨店などの大箱を取り壊したというより、地上げによって何棟もの建物が根こそぎ取り壊されたかのような空間です。再開発という名の破壊によって軽薄な商業施設でも建てられれば、八戸市街の雰囲気も一変するでしょう。何よりこの店まで飲み込まれてしまってはたまりません。杞憂であってほしいと願いつつ店を後にしました。

ばんや
八戸市朔日町4
0178-24-5052
1800PM-2300PM(日祝日定休)

陸奥八仙・杉玉
お通し
平目刺
馬肉の味噌煮
身欠き鰊
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三陸海岸縦断ツアー - 二年ぶり

2016-10-07 20:58:47 | 東北
「こめ米ロード」の通称を持つ広域農道が国道に並行するのは津軽半島ですが、下北半島にも同様の道があるのを今回知りました。規格が高いのはもちろんのこと、ここは北海道かと思うほど広大な空が広がり、明るいうちに走ってみたかったと思わせる快走路でした。その広域農道を主に走って八戸に着いたところです。日中でも16度止まりだった気温は一時10度まで下がり、市街に入って12.5度となりました。半袖ではさすがに厳しいものの、風がないため長袖シャツ一枚でどうにかなる体感です。
青森というと弘前ばかり贔屓にしてしまい、八戸に泊まるのは二年ぶりです。しかし、泊まった回数こそ少ないものの、碁盤状の街路のところどころに古い小路と怪しげな飲食街が散らばる八戸の呑み屋街は、歩いているだけでも楽しいものがあります。まずは手堅く「ばんや」の暖簾をくぐりますが、もう一軒、できれば二軒はしごできれば幸いです。
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三陸海岸縦断ツアー - 天然温泉三陸

2016-10-07 19:31:01 | 温泉
温泉王国青森の中でも、三沢の周辺といえばとりわけ温泉の豊富な場所で、ツーリングマップルRを見る限りでも五指に余る候補が出てきます。しかしどこへ行っても外れがないのが青森の温泉というものです。選択肢は経路上最も無駄なく寄れるところに落ち着きました。立ち寄るのは「天然温泉 三陸」です。
下北から八戸へと南下していく国道沿いにある、昔ながらのドライブイン併設の温泉は、以前訪ねた「八甲温泉」を彷彿とさせます。しかし、どことなく怪しげな雰囲気だった八甲温泉と違い、こちらの雰囲気は質実剛健という形容が似合います。特筆すべきは木材が贅沢に使われていることで、玄関に屋号を入れた立派な扁額が掛かるのを始めとして、待合室には分厚い一枚板のテーブルと丸太のベンチが鎮座し、壁は羽目板、床はフローリングで仕上げられ、脱衣所の棚も風合いのよい板で組み立てられています。タイルで仕上げた直線基調の浴場には大小二つの浴槽が据え付けられ、深い長方形の浴槽にやや白濁した源泉が注がれてあつ湯となり、それに接した浅い正方形の浴槽がぬる湯になるという仕掛けです。この温泉に250円で入れる地元の人々がうらやましく思えてきます。
温泉がこれほど豊富なのも八戸まで、三陸を南下すれば選択肢は一挙に狭まるでしょう。明日は市街を出る前にもう一風呂浴びていければ理想的です。

★天然温泉三陸
三沢市三川目3丁目912-1
017-654-2857
800AM-2200PM
第一・第三・第五木曜定休
入浴料250円
泉質 ナトリウム-塩化物泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
泉温 45.8度
pH 7.84
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三陸海岸縦断ツアー - 小川原湖

2016-10-07 18:17:14 | 東北
10月に入って日の入りはますます早まり、四時を過ぎると日の入りに追われるかのような感覚になってきます。わずかな残り時間をどう使うかと考えたとき、最も手近だったのが小川原湖です。
七時の位置から時計回りに周回し、五時の位置まで下りる間に、日はとっぷり暮れて残照もなくなりました。日中に吹いていた西風は止み、凪いだ湖面を三日月が照らしています。
初めて走った小川原湖畔でしたが、どこまでも平坦な地形は十三湖によく似ており、写真映りの点では今一つです。最も様になるとすれば、寒風が吹きわたる荒涼とした冬景色ではないでしょうか。とはいえ、鏡のように凪いだ湖面が残照を映した光景も印象的ではありました。行き交う車もほとんどない西の湖岸に、人っ子一人いないキャンプ場があり、ここで一夜を明かすのもよさそうでした。次第に暗くなる中での走行だったとはいえ、雰囲気だけは体感できたのでよしとします。

この後は太平洋に沿って八戸へ南下していきます。途中で一風呂浴びていくと、投宿するのは八時前後、呑み屋に入れるのは九時前後といったところでしょうか。落ち着いてきた時間帯に入れるという点ではむしろ好都合です。二年ぶりの八戸を楽しみにしています。
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三陸海岸縦断ツアー - 戻り鰹

2016-10-07 16:15:24 | B級グルメ
結局「しもきた」の通過時には日が陰ってしまい、貨物列車三本を撮って列車撮影は終了です。
列車の間合いが帯に短し襷に長しで、結局今日は昼時を逃しました。出がけにカップラーメンをいただいて以来、飲まず食わずで空腹感も限界です。しかし日没までにはまだ時間があり、直ちに八戸へ戻って呑むという状況でもありません。さりとてここで小腹を満たしてしまうと、八戸に戻ってからの腹具合が中途半端になるのは明らかです。何とも悩ましい状況の中、土産を買いに立ち寄ったユニバースでお誂え向きの品を発見。戻り鰹の刺身です。
酒もご飯もないのが物足りないところではありますが、限界に達した空腹感をひとまず収め、八戸へ戻った頃に万全な腹具合となる点では申し分なく、なおかつこの時期の東北らしい品でもあります。店舗の一角に設けられたテーブルを拝借していただきました。
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三陸海岸縦断ツアー - 高架橋

2016-10-07 14:08:06 | 東北
晴天が期待できる初日をどう使うかと考えたとき、いの一番に思いついたのが貨物列車の撮影です。一昨年訪ねた小川原の高架橋にやってきました。
上り線のラーメン橋を行く列車を、広々した空を背景にして撮影でき、手前に稲穂が広がるこの時期はとりわけ絵になる場所です。と記憶していたところ、その稲穂が既に刈られているという誤算が。五月の中旬に訪ねたときも、周辺では唯一水が張られていなかった田圃だけに、稲刈りもまだだろうと思っていたところが、見事に足をすくわれた格好です。ただし、稲穂の代わりに藁ぼっちが並んだ一角があり、それを手前に入れて二本目の貨物列車を撮ったところです。趣の違った画が撮れたという点ではこれでよかったのかもしれません。
二時台の後半に三本目が通過すると、次の貨物列車は六時近くになるため、撮影可能な列車は実質あと一本限りです。とはいえ三時前に早々と切り上げても時間を持て余してしまいます。長大な高架橋には長大な貨物列車こそふさわしく、短編成の列車では今一つ絵にならないのが実情ではありますが、三時半の「しもきた」まで撮ってから切り上げ、一風呂浴びてから八戸へ戻るつもりです。
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三陸海岸縦断ツアー - 陸奥市川駅

2016-10-07 11:31:47 | 東北
八戸から活動を再開するとき、陸奥市川駅の定点観測から始めるのがお約束となってきました。これが五月以来の再訪です。
背の高い駅舎は何一つ変わらないかに見える一方で、着いた瞬間どことなく違和感を覚えました。その正体が点景にあると気付いたのはしばらく経ってからです。駅舎の前に立つ大木が剪定され、それにより駅舎の佇まいが少し変わっていたのでした。
駅舎の全貌が捉えやすくなったのは、写真映りの点では歓迎すべきことのようでもありますが、大木が駅舎を覆い隠すかのような佇まいを見慣れていたこともあるのか、少々物足りなさを感じてしまうというのが率直なところではあります。とはいえ、剪定されただけであって伐採されたわけではなく、一瞬では気付かないほど駅前の雰囲気は変わりません。小さな文庫を置いた待合室の雰囲気についても同様です。健在ぶりを確かめられたのを幸いに思います。
ちなみに現在の気温は14.5度、つまり道北にいた頃よりも下がっており、半袖ではやや肌寒く感じられる状況です。関東以西の残暑がかつてないほど長引く中、北国の秋は日毎に深まっているようです。
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三陸海岸縦断ツアー - はやぶさ3号

2016-10-07 07:32:44 | 関東
始発列車で先を急ぎたいのはやまやまながら、一本遅い列車で旅立ちます。このようなことになったのは、もちろん始発列車が混んでいたからに他なりません。列車を手配したのは旭川に泊まった翌日、つまり六日前でしたが、その時点で始発列車は窓側が全て埋まったかなりの盛況だったため、一本後の列車を選ぶという結果です。
混雑を嫌って始発の一本後、最終の一本前に乗るという選択は、東海道新幹線でも定着しているところではありますが、数分待てば次が出る東海道新幹線と違い、こちらは一本逃すと一時間遅れになるのが厄介です。しかも、五月以来の慢性的な混雑がいまだ解消されておらず、本日の「はやぶさ」は二時台までほぼ満席という、連休初日かと思うような混雑となっています。臨時列車の増発も検討すべきほどの混雑にもかかわらず、一切増発されないのも混雑に拍車をかけている状況です。

こうなると際立ってくるのが、全車指定席という悪しき商慣行です。自由席が少数ながらも連結されれば、そちらの列に並ぶという自衛策が出てくるのに対し、全車指定ではそれすら採りようがありません。その結果、自由席が使える盛岡までに比べて、そこから先の使い勝手が大幅に低下しています。
そもそも特急というものは全車指定が当たり前だったとして、全車指定席化を本来の姿への回帰と指摘する、JR東日本の回し者のごとき論評を最近目にしましたが、それは特急が文字通り特別な列車で、圧倒的な速さと相応の設備・サービスを兼ね備えていた時代の話でしょう。新幹線で直行直帰する以外の選択肢が事実上奪い去られた今、特別でも何でもない列車を全車指定席にするのは、事業者側の都合を利用客に押しつける悪弊以外の何物でもありません。席にあぶれた乗客からも、立席特急券と称して同額の料金を徴収するのが、特別な列車にふさわしいサービスといえるでしょうか。大型連休、盆、正月などの最混雑期にやむを得ずそうするならともかく、それが常態化している現実は、およそ健全とは思われません。全車指定席を死守するつもりなら、今日のような状況では大幅な増発で対応するのがあるべき姿だと思うのですが。

それにしても、以前は前日でも余裕でとれた東北新幹線が、これほど混むようになった理由は何なのでしょうか。思いつくのは北海道新幹線の影響ですが、急激に混み出したのは大型連休明けからであり、あちらの開業からは間が開いています。抜本的な改善がなされない限り、青森からは足が遠のくことになるかもしれません。

★東京736/はやぶさ3(3003B)/1031八戸
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