長岡に投宿し、一風呂浴びて九時前に「魚仙」へ向かうという流れもすっかり定着した感があります。本日もそのようにして店へ向かうと、例によって踏切が鳴っており、まず上りの「しらゆき」が通過し、次いで湘南色の115系を先頭にした回送列車が引き上げていきました。それを見届けてから暖簾をくぐるという流れは、見事なまでに筋書き通りです。
そこまではよいのですが、今日は着くなり異変を察知しました。ガラス戸の目から腰の高さが磨り硝子になっており、足下の部分だけ見通せるのがここの玄関の造りですが、カウンターに椅子がないのがその部分から見えたのです。よく見ると椅子は玄関の脇に積み上がっています。まさかの早仕舞いかと一瞬焦った後、一呼吸置いて事情が飲み込めてきました。
実は今回「バル街」なる催しに重なったのです。ただしそのこと自体は告知により知っていました。様々な飲食店が均一料金で酒一杯と肴を出し、参加者が目当ての店を次々はしごしていく催しだということについても。しかし想定外だったのは、それが立ち飲みで行われることと、カウンターの全部がそのために使われていることです。カウンターが使えない以上小上がりに通されるのか、それとも一人客は今日に限ってお断りかと、一抹の不安を抱えつつ暖簾をくぐると、接客の青年から催しの参加者かどうかをまず聞かれました。しかしそれに答えるまでもなく、椅子を置けとの指示が店主からすぐさま飛び、片隅に一つだけ置かれた椅子に案内されるという展開です。L字カウンターの角を切り取った、斜めの部分がここでの指定席だと常々申してきましたが、本日は末席に甘んじる結果となりました。
貸切列車と終焉迫る115系が活動の主題であることはもちろんです。しかし、この店で呑むこともそれらと並ぶ主題の一つでした。しかるに催し物と重なって、カウンターの片隅に取り残されるかのような結果となったわけで、形の上では空振りといえなくもありません。しかしこれもまた一興と割り切れるのは、直近の二月で実に四度目という事情によります。115系にかこつけて散々足を運んだ以上、今回は趣向を変えて、バル街なるものを一目見ておくのもよかろうと思い至ったわけです。
催しの内容を聞いて勝手に想像していたのは、店は普通に営業していて、催しの参加者が時折やってくるというものでした。しかし上記の通り、カウンターは実質貸切状態となって、参加者が次から次へとやってきます。このことからしても、地元ではかなり定着している催しなのでしょう。カウンターには参加者用の品書きが張り出されていて、最初に出る酒と肴で足りない場合は、そこから追加で注文する形のようです。500円均一で十数種、しかも作り置きができるものだけではなく、当店自慢の油揚げなど、その都度調理するものも含まれています。それらの注文を次々捌いていかなければならないということは、相応の布陣が要るということでもあり、店主と手伝いのお姉さん、青年だけだった前回から一転、今日は総出に近い人数です。暇と見たときには最小限の布陣で、書き入れ時には万全の布陣で臨み、常に滞りなく注文を捌いていく柔軟さは、横綱相撲と形容するにふさわしいものがあります。
どの品にも十分な量があるのは当店の特徴ですが、いわゆるちょい飲みを目当てにした参加者向けの品であってもその流儀は貫かれます。一般客も注文できると聞いて、参加者用の品書きから選んだ源三郎の唐揚げは、一尾を気前よく使ったものでした。鰤を主役にした豪華九点の刺身はもちろんのこと、見たこともないような肉厚の焼穴子にも物量感があり、今回はお通しを含む四品で完結と相成りました。
★魚仙
長岡市殿町1-3-4
0258-34-6126
1700PM-2230PM(LO)
日曜定休
夢・松乃井・弥彦愛国・雪椿
お通し(梅貝)
お刺身おまかせ盛り合わせ
焼穴子
源三郎唐揚あんかけ
そこまではよいのですが、今日は着くなり異変を察知しました。ガラス戸の目から腰の高さが磨り硝子になっており、足下の部分だけ見通せるのがここの玄関の造りですが、カウンターに椅子がないのがその部分から見えたのです。よく見ると椅子は玄関の脇に積み上がっています。まさかの早仕舞いかと一瞬焦った後、一呼吸置いて事情が飲み込めてきました。
実は今回「バル街」なる催しに重なったのです。ただしそのこと自体は告知により知っていました。様々な飲食店が均一料金で酒一杯と肴を出し、参加者が目当ての店を次々はしごしていく催しだということについても。しかし想定外だったのは、それが立ち飲みで行われることと、カウンターの全部がそのために使われていることです。カウンターが使えない以上小上がりに通されるのか、それとも一人客は今日に限ってお断りかと、一抹の不安を抱えつつ暖簾をくぐると、接客の青年から催しの参加者かどうかをまず聞かれました。しかしそれに答えるまでもなく、椅子を置けとの指示が店主からすぐさま飛び、片隅に一つだけ置かれた椅子に案内されるという展開です。L字カウンターの角を切り取った、斜めの部分がここでの指定席だと常々申してきましたが、本日は末席に甘んじる結果となりました。
貸切列車と終焉迫る115系が活動の主題であることはもちろんです。しかし、この店で呑むこともそれらと並ぶ主題の一つでした。しかるに催し物と重なって、カウンターの片隅に取り残されるかのような結果となったわけで、形の上では空振りといえなくもありません。しかしこれもまた一興と割り切れるのは、直近の二月で実に四度目という事情によります。115系にかこつけて散々足を運んだ以上、今回は趣向を変えて、バル街なるものを一目見ておくのもよかろうと思い至ったわけです。
催しの内容を聞いて勝手に想像していたのは、店は普通に営業していて、催しの参加者が時折やってくるというものでした。しかし上記の通り、カウンターは実質貸切状態となって、参加者が次から次へとやってきます。このことからしても、地元ではかなり定着している催しなのでしょう。カウンターには参加者用の品書きが張り出されていて、最初に出る酒と肴で足りない場合は、そこから追加で注文する形のようです。500円均一で十数種、しかも作り置きができるものだけではなく、当店自慢の油揚げなど、その都度調理するものも含まれています。それらの注文を次々捌いていかなければならないということは、相応の布陣が要るということでもあり、店主と手伝いのお姉さん、青年だけだった前回から一転、今日は総出に近い人数です。暇と見たときには最小限の布陣で、書き入れ時には万全の布陣で臨み、常に滞りなく注文を捌いていく柔軟さは、横綱相撲と形容するにふさわしいものがあります。
どの品にも十分な量があるのは当店の特徴ですが、いわゆるちょい飲みを目当てにした参加者向けの品であってもその流儀は貫かれます。一般客も注文できると聞いて、参加者用の品書きから選んだ源三郎の唐揚げは、一尾を気前よく使ったものでした。鰤を主役にした豪華九点の刺身はもちろんのこと、見たこともないような肉厚の焼穴子にも物量感があり、今回はお通しを含む四品で完結と相成りました。
★魚仙
長岡市殿町1-3-4
0258-34-6126
1700PM-2230PM(LO)
日曜定休
夢・松乃井・弥彦愛国・雪椿
お通し(梅貝)
お刺身おまかせ盛り合わせ
焼穴子
源三郎唐揚あんかけ