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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

氷河期の生き残りウスバシロチョウが舞い始めた好日(妻女山里山通信)

2014-05-10 | アウトドア・ネイチャーフォト
 桐の花が開花し始めた妻女山。山の除草と地伏せしてある椎茸のホダ木に灌水するため妻女山へ。鞍骨城跡へ向かうハイカーの車が何台か駐車してありました。山城ブームか、里山ブームか、最近人気があるのです。灌水を終えて戻ると、早々と下山してきた男性がいました。なんでも頂上には団体さんがいたとか。その後軽装の男女が駆け下りてきました。トレラン愛好家でしょうか。妻女山から鏡台山経由で、五里ヶ峯から一重山を結ぶ約20キロのループコースは、人気のようです。

 左から桐の花。田舎では昔家の屋敷に桐の木を植えたものです。娘が嫁ぐときにそれで箪笥を作って持たせたそうです。匂いを嗅ぐとはんなりと白粉の香りがします。ウスバシロチョウの食草のムラサキケマン(紫華鬘)。ケマンというのは仏具で、元々は生花で造られたリング状の環(花環)のことです。右はシロヤブケマン。妻女山ではほとんどがこちらです。

 ナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)と言って、実はナラメリンゴタマバチが作った虫こぶ(ゴール)。ホルモンの作用でコナラを奇形化し偽果を作ります。この中で幼虫は成長するのです。何か他の幼虫がぶら下がっています。ミノムシの幼虫でしょうか。虫こぶは奥が深いのです。
 氷河期の生き残りウスバシロチョウが舞い始めました。シロチョウ科ではなくアゲハチョウ科なので、名前はウスバアゲハの方が適当かもしれません。ステンドグラスの様な透けた翅が美しいので、逆光で撮影すると美しいのですが、まだ吸蜜する花が少ないので、そういう撮影はハルジオンが咲くまでもう少し待たなければなりません。

 貝母(編笠百合)の花は散り、風車のようなさく果が出来始めました。枯れると下を向き種を飛ばします。そんな日は大抵強風の日で、薄い種は遠くまで飛ぶのです。増えるわけです。さく果が種を飛ばすと、貝母は溶けるように消えていきます。

 イノシシのヌタ場の近くでギンラン(銀蘭)の蕾をひとつ見つけました。咲いても蕾のようなギンランですが、絶滅が危惧される希少植物です。妻女山山系で群生地をいくつか知っていますが、これは誰にも教えていません。樹木の根に外菌根を形成する樹木共生菌(菌根菌)と共生しているため採掘しても育ちません。しかし、高く売れるため、枯れるのが分かっていて盗掘し売る不届き者がいるのです。
 そんな藪山で、妻女山では珍しいイカリソウ(碇草・錨草)の小さな群生地を見つけました。生薬名は、淫羊霍(いんようかく)で強壮剤などに用いられます。
 タチタネツケバナの仲間。仲間と書いたのは、色々な種類があるからです。とはいえ、セントウソウと同様に花が小さいため、足元に群生していても注目する人はほとんどいないでしょう。そういう野草です。

 妻女山山系のあちこちで、ヤマツツジ(山躑躅)が咲き始めました。真っ赤なもの、桃色のものと色々です。子供の頃は、この花の根元にある甘い蜜を吸ったものです。しかし、レンゲツツジは致死性の毒があるので吸ってはいけません。庭木で植えてもいけません。もっとも、今の子供や親達は、ツツジの花を吸うことさえ知らないでしょうけれど・・。

 妻女山の登山口では、現在シナノタンポポ(信濃蒲公英)とクサノオウ(瘡の王)が咲き乱れています。シナノタンポポは交雑種が主です。クサノオウの別名は、皮癬草(ひぜんくさ)。生薬名は、白屈菜(はっくつさい)といいますが、非常に毒性が強いものです。瘡(くさ)・丹毒(たんどく)・湿疹を治す薬効があるために、くさ(瘡)の王と呼ばれるようになったとか。茎は中空で、折ると白汁が出て、橙黄色に変化します。
 あちこちでヤマフジ(山藤)が咲いています。花は美しく食べられますが、巻き付いた樹を絞め殺すので、実は厄介な植物なのです。旺盛な生命力で、一日に8センチも成長します。実も炒って食べられます。

 妻女山から見る、手前から象山、プリン型の皆神山。その奥が立石岳、右へ保基谷岳。中央奥に四阿山と左に根子岳。眼下は松代城下。一番手前に桐の花が咲いています。クマバチが周りでブンブン、ブンブンホバリングしている、初夏にしては北風の強い昼でした。こんな日は、長野市北部に降下したホットパーティクルが舞い踊るのでしょう。いずれ分かります・・。

 妻女山展望台から善光寺平。左に戸隠連峰と戸隠富士の名前をいただく高妻山。右に大きな山体の飯縄山。標高1917mなので、低いななどと言われますが、なかなかどうして自然が豊かで歴史のある山です。善光寺平の右手前にクレーンが見えますが、長野パルセイロのホームとなるサッカー競技場が急ピッチで建設されています。千曲川河川敷のヤナギやハリエンジュも緑が濃くなってきました。オオスズメバチの女王が徘徊し始める頃なんですが、今年は気温が低いのでまだ見かけていません。これからの季節は、山へは黒い服を着て行かないようにしないといけません。香水もご法度。

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