モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

異常気象の恩恵(妻女山里山通信)

2009-12-15 | アウトドア・ネイチャーフォト
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 榎茸は、冬に出るきのこですから驚きませんが、12月の中旬というのに16本もの紫占地が採れました。これは嬉しいというよりも薄気味悪いという感じです。例年なら森はカラカラに乾いているか、積雪で真っ白で地面は凍り付いているかなのですが、多雨で地温が高いために紫占地のシロが増殖してきのこがニョキニョキと顔を出したのです。こんなことは記憶にないとみな言っています。

 そればかりか、普通なら固い冬芽に覆われているはずの木々が新芽や若葉を出しているものもあり、なんと写真の鶯神楽は、一輪だけ咲いていました。本来なら4、5月に咲く花です。狂い咲きです。さすがに今週は寒気が襲来。気温もグッと下がって積雪もありそうです。しかし、来週はまた弛むのではないでしょうか。暖冬傾向は続きそうです。本来ならとっくに天然の干し柿になっているはずの信濃柿(豆柿)もまだ瑞々しい。

 森を歩くと倒木に鮮やかな黄色が目に留まりました。初めは粘菌(変形菌)のモジホコリやススホコリかと思ったのですが、近づくと鋲茸でした。ヤマコウバシの枯葉が北風にあおられてカサカサと音を立て、木になったまま干し柿になっている信濃柿の実が揺れている森を抜けると、目の前に大きな日本羚羊がいました。

 冬季は食糧が乏しくなるので、広範囲に餌を探し歩かねばならず、身を隠す木の葉も落葉、そのため頻繁に目撃されるようになります。日本羚羊は天然記念物なので撃たれる心配はありませんが、猪にとってはこれからが厄月です。特に積雪があると足跡で行動が知れるため、雪の少なそうなこの冬は猪にとってはいい冬となるかもしれません。

 きのこの出現は異常気象の恩恵ですが、その反対に災禍に見舞われるのではないかという不安もつのります。COP15(Conference of Parties)国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議が行われていますが、国が沈む危機にある熱帯の島々や、大雪崩や大洪水の危険がある山岳地域に比べると温帯地域の国々の関心は、もうひとつ他人事のような気がします。都市に住んでいると自然音痴になり、自然の異常にも鈍感になるのでしょう。これは観察力と読解力の問題もあるので、必ずしも田舎に住んでいるから敏感とも限りません。

 ただ机上の知識ではなく、実際に日常的に自然と接していると、ただならぬことが起きていると思わずにはいられないのです。長い地球の歴史から見ると、今は小氷河期にあるらしいのですが、それが人為的に余りにも急速に温暖化に向かっているということが問題なのです。生物の適応力が追いつかないのです。ただ、温暖化はしていないという科学者もいます。先日の「クライメート・ゲート事件」 は、「地球温暖化のデータは捏造だ!」というショッキングなものでしたが、真相はまだ不明です。

 いずれにしても、近視眼的には温暖化は間違いのない事実です。12月に北信州で野菜に元気な青虫がいるなんてことは、エルニーニョのためとはいえ80年以上のお年寄りでも初めての経験。まだ大丈夫だと言っているうちに終末は、突然訪れるかもしれないのです。

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。動物には、猫やもぐら、ニホンカモシカの写真もあります。

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