モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

梅雨の晴れ間に妻女山へ。ネムノキ、ゼフ、ミツバチ、カブトムシ、キノコ(妻女山里山通信)

2016-07-02 | アウトドア・ネイチャーフォト

 林道脇にエビガライチゴの実(左)。甘酸っぱい美味しい木苺ですが、これが両側から繁茂すると登山道が塞がれるので、春に鞍骨城跡まで切りに行きます。マルバハギの花が咲き始めました(中)。ゼフィルスが好む花ですが、今年はゼフがほとんど見られません。天女の様なユキノシタの花(右)。薬草であり山菜。

 ネムノキの花はそろそろ終わりです。花は樹冠で咲くので、なかなか間近で見られないのですが、この木は林道の下の斜面に生えていたので丁度花が目の高さにありました。花弁は発達していませんが、線香花火の様な雄しべが可憐で美しい。

 木漏れ日のスポットライトを浴びて輝くネムノキの花。マメ科なので、秋には長いさやの豆がなります。葉は夕方になると閉じてしまいます。マメ科なので窒素根粒菌のコブを根に形成します。根粒バクテリアが窒素を変換してネムノキに与え、ネムノキがバクテリアに栄養を与える共生関係を作っています。アメリカでは、その豆を猿が食べるためモンキーポッドというそうですが、日本のネムノキは食べられるのでしょうか。山藤の実は炒って食べたことがありますが。

 カブトムシを発見(左)。すぐ近くに我々(妻女山里山デザイン・プロジェクト)が作った産卵所があります。まだ樹液が出ていないので餓死しないといいのですが。熟して落ちた桑の実などを吸っていると思われます。吸蜜中のヤマトシジミ(中)。小さなシジミチョウよりさらに小さな黄花ですが、未同定。
 シロツメクサで吸蜜するセイヨウミツバチ(右)。以前はニホンミツバチもいたのですが、松枯れ病の空中散布で全滅しました。このセイヨウミツバチは養蜂家のものです。気になるのは、その影響か、オオムラサキのオスとメスをそれぞれ一頭しか確認していないのです。こんなことは今までありませんでした。非常に心配です。

 ホコリタケ科のノウタケの幼菌(左)。大きくなると脳みそみたいなシワができるので脳茸と書きます。中が白い幼菌は食べられます。てんぷらやフライ、オリーブ油炒めなどで。クセはあまりありません。美味しい方です。これもホコリタケ科のタヌキノチャブクロ(中)。キツネノチャブクロより大きくなるようで、後日見たら直径が6センチ位になっていました。これも中が白い幼菌なら食べられます。味噌汁に入ったものを食べたことがありますが、特に不味くも美味でもありませんでした。
 ヤマザクラの倒木に鮮やかな朱色のヒイロタケ。タマチョレイタケ科(右)。もちろん食べられません。

 艶のあるヤブヘビイチゴの実(左)。ヘビイチゴは艶がありません。クサイチゴはブツブツの間の空間がなく甘酸っぱく食べられます。ヤブヘビイチゴは無毒ですが、無味無臭。薬草です。
 この小花が分かりません(中・右)。凄く小さな花ですが、草高は50〜60センチ位あります。葉は右の様で、茎には細かな繊毛が生えています。お分かりでしょうか。思い出しました。ヌスビトハギです。

 上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたと伝わる陣場平。クマノミズキの花も満開から結実へ。手前は貝母(編笠百合)の群生地ですが、現在はほとんど枯れて蕗やカナムグラが繁茂しています。キツツキの激しいドラミングが聞こえてきました。右の地面は、貝母に侵入してきたヨシとノイバラの地下茎を掘り出した跡。右奥に掘り出した根が積まれています。梅雨明けに最後の仕上げをします。両者ともここが藪だった時には生えていなかったものです。最近は帰化植物のブタクサも侵入してきたため、それも抜いています。

 貝母のさく果も枯れました(左)。梅雨明け頃には弾けて種がこぼれるでしょう。林の明るい縁に咲くクララの花(中)。ルリシジミやオオルリシジミの幼虫の食草。クララの数が減っているので心配です。
 妻女山展望台から左後ろへ振り返ると、本当の妻女山、本名斎場山が見えます。地元で妻女山と呼んでいた山は斎場山のことです。展望台のある所は、地元では赤坂山と呼んでいた場所で、謙信本陣ではありません。赤坂山に三角点を設置した時に国土地理院が勝手に妻女山の名前を下ろしてしまったのです。長野市が建てた説明看板にもそのことは書かれていないので、多くの人が誤解したまま帰ってしまいます。ウィキペディアの妻女山には諸説あるようなことが書いてありますが、全くの出鱈目です。

 展望台から見る茶臼山(左)。写真中央の丸い山です。手前は観光客に非常に評判の悪い看板。地図と照らし合わせられないほどこれも出鱈目で、間違いも多い。下部にある写真の説明も間違いがあり、また山名の表示が少なすぎて不明朗。観光客には山座同定をしてあげています。
 帰りに畑に寄ってヤブカンゾウの蕾を採りました(中)。右後ろに見えていますが、蕾は金針菜といって中華料理の食材。炒めてよし、天ぷらでも美味、煮物にも使えます。晴れの日にはヒナゲシ(雛罌粟・雛芥子、別名は虞美人草)が咲き乱れます(右)。英語だとポピー、スペイン語はアマポーラ、フランス語はコクリコ。
 虞美人草という名は、秦末の武将・項羽が劉邦に敗れて垓下に追い詰められた時に、垓下の歌を死を覚悟して詠い、合わせて虞という愛人が舞ったという中国の伝説に基づくもの。80年代に車のCMにも使われたギリシャのナナ・ムスクーリの『アマポーラ』は大好きです。


この8月11日は、初めての国民の祝日「山の日」となります。それに先立ち、7月の第4日曜日(今年は24日)が「信州山の日」で、色々な行事が行われます。私も関連でお仕事を頂きましたが、写真を使った記事や、講座・講演なども承ります。お気軽にお問い合わせ下さい。
 妻女山展望台の南にある大きな駐車場の奥には、清野氏の鞍骨城への地図や、登山ノート、拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』の見本誌とパンフレットなどが置いてあります。お問い合わせやお仕事のお申し込みは、当ブログのメッセージを送るからお願いします。

妻女山の位置と名称について」妻女山と赤坂山と斎場山について。『真田丸』で訪問者が激増中。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。


にほんブログ村 写真ブログへ にほんブログ村 写真ブログ ネイチャーフォトへ にほんブログ村 アウトドアブログへ にほんブログ村 アウトドアブログ ハイキングへ にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 妻女山の陣場平から茶臼山の... | トップ | 炎天下の農作業。久しぶりの... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アウトドア・ネイチャーフォト」カテゴリの最新記事