モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

粘菌スペクタクル

2006-03-13 | シネマ・テレビ
変形菌(粘菌)なるものをご存じでしょうか。
変形菌(粘菌)とは、動物と植物の中間の性質をもつ単細胞生物で、分類上1つの門を形成します。現在はプロチスタ界に分類されていますが、色々議論はあるようです。

別に深山に行かなければ見られないものでもないんです。乾燥した冬場を除けば、その辺の雑木林や公園でもも見られます。ただし、たいてい本当に小さいので真剣に探さないと見つかりません。

葉緑素をもたず、バクテリアなどの固体の食物をとり入れて消化し、アメーバ運動をするところは動物的ですが、胞子嚢をつくり、胞子で繁殖するところは植物的です。菌類に似ていますが、菌類とは異なりセルロースからなる細胞壁を作ります。 世界に約400種、日本に約250種知られています。

野菜に変形菌病を引き起こしたり、慢性中耳炎や創傷感染、膀胱炎などの原因になることがあるとかで、現在は人間にとって有益であるとはいえないようですが、今後の研究いかんでは大発見があるかもしれません。

変形菌は普通食用にはならないのですが、1992年に中国陜西省で25.5kgもある巨大な変形体が発見され、「生ではバラのような香りがし、焼けば肉のような歯ざわり」という発言が記録されているそうですが真偽のほどは不明です。 明の時代に書かれた医書『本草綱目』に、「太歳(タイスイ)」という土中から採取される肉塊のような生物が記載されており、これが変形体の塊ではないかと考えられているそうですが、これも不明。

その変形菌の短編映画「真性粘菌の生活史」を神田小川町のneoneo座へ長男と見に行ってきました。監督は樋口源一郎氏。惜しくも先月、百歳を目前にして亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。上映会は19日までやっています。興味を持たれた方はぜひ。

変形体の運動はとても神秘的で、引き込まれました。生前の湯布院映画祭でのトークも上映されましたが、「わからない」問題を追求するって、日本じゃ全然金が出ません、という氏の言葉には、実は現在はバブル期以上にお金がだぶついているというのにと、本当に情けない思いがしました。いらない空港や高速道路にお金をつぎ込むなら、文化にお金を使えと言いたいですね。

しかし、「見つかったときの面白さってのは、金のことなんか考えられないほど面白い!」という言葉にも大いに頷いたものです。

写真は、私が去年撮影した変形菌4種です。なかなかきれいでしょう。もっと見たい方は、MORI MORI KIDS Nature Photograph Galleryの変形菌をクリックしてください。












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