モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

雪中の節分草(妻女山里山通信)

2011-03-28 | アウトドア・ネイチャーフォト
 週末、降雪があり信州は冬に逆戻りしてしまいました。買いものついでに長男と千曲市倉科の杉山にある節分草の群生地を訪れました。里の雪はすっかり溶けましたが、谷に入ると真っ白。見所は先週の三連休とあったので、これは無理かなと思ったのですが、寒さが功を奏したのでしょうか、まだ咲いていました。

 こんな日でも訪れる人はいるもので、先に来た人達がわずかにのぞく葉や花を見つけては雪をどかしてありました。セツブンソウ(節分草)は、キンポウゲ科セツブンソウ属で、本州の関東地方以西に分布する、高さ10センチほどの小さな多年生草本です。花の直径は約2センチ。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びらです。

 満開になっても花がとても小さく地味なので、華やかさはありません。しかし、その北欧的ともいえる清楚な色合いは、見る人の心を癒してくれます。山地の落葉広葉樹林の林床に生え、石灰岩地を好む傾向があります。関東では節分の頃に咲くのでこの名がありますが、東京では暖冬には1月に咲くこともあります。信州では3月下旬の花です。

 セツブンソウの種は、黄色い蜜と一緒にアリが巣に運んで発芽するアリ散布植物で、日本には200種類以上あります。野山や住宅地のどこにでもいるアリが、実は山野草の重要な役目を背負っているのです。アリが絶滅したら絶えてしまう植物がたくさんあるのです。種にはエライオソームというアリの食物となる物質がついていて、アリは種ごとそれを巣に運びます。それが種まきとなるわけです。

 昔は雑木林に入って草刈りをしたので、明るい林床にセツブンソウがたくさん咲いたのだとか。カタクリも同様、人の暮らしと密接な関係にある植物だったのです。ですから、自生地の環境が破壊されると真っ先に消える植物です。
 花言葉は、気品・ほほえみ・光輝・人間嫌いだとか。高貴な花なんですね。やはり野に置け節分草。栽培ではなく山野で楽しみたいものです。

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★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。野草や蝶、変形菌(粘菌)の写真はこちらで。
コメント (2)
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